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海外情報 > NORML News > 最新科学文献レビュー 2000~2009
関節リウマチ

関節リウマチは、関節に炎症を引き起こす疾患で、痛み、筋肉のこわばり、腫れを特徴とし、最終的に手足の機能が低下する。約1%の人が関節リウマチに苦しんでいると推計されているが、その多くは女性となっている。

関節リウマチの治療に大麻を使った研究は、普通、患者の証言を集めたものになっている。2005年にオーストラリアで医療大麻患者を対象に行われた匿名アンケート調査では、25%の人が関節リウマチの治療にカナビノイドを使っていた、と報告している[1]。また、イギリスの医療大麻患者の調査では、20%以上が関節炎に大麻を使っていたと報告している[2]。だが、それにもかかわらず、関節リウマチに大麻を使った臨床研究についてはごく僅かしか見られない。

初めての臨床対照試験は、2006年1月に発表されたイギリス・ロイヤル国立リウマチ病院の研究チームによるもので、天然の大麻抽出液を関節リウマチに使って、カナビノイドによる関節炎の治療に成功したとしている[3]。論文によると、大麻抽出液を5週間投与したところ、運動にともなう痛み、安静時の痛み、睡眠の質、炎症、痛みの強度でプラセボ対照群よりも統計的に著しい改善がみられ、深刻な副作用もなかった。以前にも小規模な臨床実験(フェーズ2)が行われているが、関節リウマチ患者に大麻抽出液を経口投与して同じような結果が得られている[4]。

臨床前研究でも、カナビノイドが関節リウマチの進行を抑えることが示されている。アメリカ科学アカデミー紀要の2000年8月号では、ロンドンのリウマチ・ケネディ研究所の研究チームが、生体外実験および動物実験で、CBD(カナビジオール)が関節炎の進行を抑制したと報告している[5]。症状の発症後にCBDを投与したところ、深刻な損傷から関節を保護し、「関節炎の進行を効果的に防止した」としている。また、合成カナビノイド・アゴニストのHU320を動物に毎日投与したところ、関節の損傷も起こらずに関節炎が改善したという報告もある[6]。

2005年9月に発行された神経免疫学ジャーナルでは、東京の国立神経科学研究所の研究チームが、以前に発表された科学文献を調べてサマリーを作成し、「関節炎に対するカナビノイド治療には、関節の痛みや腫れといった症状を軽減させるほか、関節の損傷や病状の進行を抑える可能性が認められる」 と結論を書いている[7]。

参考文献

[1] Swift et al. 2005. Survey of Australians using cannabis for medical purposes. Harm Reduction Journal 4: 2-18.

[2] Ware et al. 2005. The medicinal use of cannabis in the UK: results of a nationwide survey. International Journal of Clinical Practice 59: 291-295.

[3] Blake et al. 2006. Preliminary assessment of the efficacy, tolerability and safety of a cannabis medicine (Sativex) in the treatment of pain caused by rheumatoid arthritis. Rheumatology 45: 50-52.

[4] No author. 2003. Cannabis-based medicines. Drugs in Research and Development 4: 306-309.

[5] Malfait et al. 2000. The nonpsychoactive cannabis constituents cannabidiol is an oral anti-arthritic therapeutic in murine. Journal of the Proceedings of the National Academy of Sciences 97: 9561-9566.

[6] Sumariwalla et al. 2004. A novel synthetic, nonpsychoactive cannabinoid acid (HU-320) with anti-inflammatory properties in murine collagen-induced arthritis. Arthritis & Rheumatism 50: 985-998.

[7] Croxford and Yamamura. 2005. Cannabinoids and the immune system: Potential for the treatment of inflammatory diseases. Journal of Neuroimmunology 166: 3-18.

Source: NORML & NORML Foundation
Updated: Jan 17, 2008
Subj: Rheumatoid Arthritis
Author: Paul Armentano, Deputy Director
Web: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7015


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[THC注]
文中にある『東京の国立神経科学研究所』は、出典の論文を見ると国立精神・神経センターのことのようだ。同センターのサイトで「カンナビノイド」を検索してみたところ、この論文は見当たらなかったが、『トルエン慢性処置による覚せい剤作用の増強発現に関する研究:脳内カンナビノイド神経系の関与』という論文があった。また、大麻に関しては『大麻成分慢性処置による覚せい剤精神依存形成に対する影響』や『大麻種子に対する意識およびその取り扱いに関する研究』などといった研究や考察があり、厚労省管轄である同センターの政治性が垣間見えてオモロイ。
また、薬物依存研究部の研究報告書のページには、薬物問題を考えるうえで参考になる興味深い資料が掲載されている。

【転載元】
カナビスの医学研究 関節リウマチ/カナビス・スタディハウス

(転載元のカナビス・スタディハウスでは、解説などが頻繁にアップデートされています。最新の情報を確認するためにも、転載元のカナビス・スタディハウスにアクセスすることをお勧めします。)

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