マリファナに関しての言及後、イギリスのドラッグ・アドバイザー解任
by マイク・メノ(Mike Meno)
2009年10月30日
イギリスの薬物問題に関する諮問機関のトップであるデービッド・ナット教授は、マリファナ所持を厳罰化するというイギリス政府の決定を批判した直後、本日(記事掲載は10月30日)解任を言い渡された。
解任のほんの数時間前、違法ドラッグに関するディベートが行われていた。ナットは、イギリスの政治家たちが、そのディベートの中で使われた科学的な研究報告を捻じ曲げたうえ、過小評価しているとして公然と非難したのだった。木曜日に発刊された、犯罪・司法研究センター(the Centre for Crime and Justice Studies)の記事によると、ナットは、マリファナ・LSD・エクスタシーなどの違法ドラッグは、アルコールやタバコなどの合法ドラッグよりも害が少ないと言及し、そして、薬物に関連した害について、公によりよく周知することを目的とした形で分類するべきだとして変革を求めた、とされている。
中でも特にナットが非難したのは、マリファナをCクラスドラッグからBクラスドラッグへと格上げするという大臣らによる1月になされた決定であった。この変更は、所有による刑罰は最高で懲役5年、売買は14年にまで引き上げるというものだ。 ナットは、マリファナは「有害」であるという立場だが、マリファナが健康問題や社会問題の主因にはならないという事実に関して、政府は人々に対して正直であるべきだ、と理性と科学に基づいて抗議をしているのである。
「我々は若者が経験を好むということを認めなければならないだろう。そして、我々がしなければならないことは、この時期の若者を害悪から守ることである。したがって、もっと正確で信頼性のある情報を提供しなければならない。若者が私たちの情報を、好ましい情報源として使えるためにも、我々は、若者に真実を伝えていかねばならない。もし、子供たちを怖がらせることで、彼らが薬物使用を踏みとどまると考えているなら、それはおそらく誤りである。」とナットは言う。
要約: イギリス内務省(the British Home Office)はイギリスのドラッグに関する法律の再検討と科学的証拠に基づく提案を提供するようにナット教授に要請した。要請にこたえて、ナットは-当然の事ながら-2004年のマリファナに関する法を緩和する決定は正しく、それは維持されるべきであったという研究結果と結論を提供した。しかし、これらの結果が政府の政策と矛盾したために、彼は解任されたのだった。民主主義社会の自由で開かれた議論は踏みにじられたのである。
もし、アメリカでも同じようなことが起こりえるのかどうかを知りたいなら、それは、すでに起こっているのである。ナットの苦境は、米軍医師ジョセリン・エルダーズ(Jocelyn Elders)の1994年の解任に不気味なほど似通っているのである。(現在、彼はMPPの有力な顧問アドバイザーである)
Source:MPP Blog
UK Drug Adviser Fired After Marijuana Comments
by Mike Meno October 30, 2009
翻訳とコメント by ゴブリン
私はナットに賛成だ。彼の言及は日本の社会でも言えることだろう。日本社会の公的機関による「薬物問題」の語り方によく見られるのが、「正しい知識」をもとにした「啓蒙活動」なのであるが、内容の妥当性はどうも疑わしいものが多い。つまり、イメージとしての「恐怖」を前面に押し出し、怖がらせようとしているだけで啓蒙と呼ぶにはあまりにもお粗末なものが多いのである。かなりの誇張が見られるため、長い目で見ると「薬物問題」それ自体が非常にねじれているように感じる。遠ざけるだけでは解決にはなり得ないということが自覚されないといけない。
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