前田さんのブログで紹介されていた厚生労働省のパブリックコメント募集に、下記の意見をメールで提出しました。 ---
第2期厚生労働省における政策評価に関する基本計画(案)等に関する意見
標記の件に関し、真摯に、かつ真剣に検討して頂きたい意見があり、恐れながら申し上げ奉ります。 私は大麻取締法の見直しを求めて活動している者です。 同法を管掌する厚生労働省の怠慢と高慢には、本基本計画の精神から天と地ほど乖離した現実があり、具体的な指摘とともに改善のための意見を申し述べます。 以下、「厚生労働省政策評価実施要領」の「第2 政策評価の目的」に沿って記述します。
「(1) 国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底すること」について 昨年6月15日、私は、厚生労働省の委託で運営されている(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下「センター」と略)の「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに書かれている大麻情報について根拠を示すよう、担当部署である医薬食品局監視・指導麻薬対策課に電話をし、担当の秋篠氏に申し入れました。 回答は6月23日にありました。秋篠氏によると、センターの糸井専務理事に照会したところ、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報の根拠として、英語の原文が出てきたので、それが根拠であり出典であるとのことでした。 しかし、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報には、現在の医学的・科学的知見と反する記述が極めて多く、データの根拠となる研究も示されておらず、英語の原文にも研究の出典は示されていないとのことで、真偽の確認もできないため、原文に記述されているデータの根拠となった研究自体を示すよう改めて私は申し入れました。 秋篠氏は2・3週間で回答するとのことでしたが、それきり連絡がなく、3ヶ月近く過ぎた9月5日、私から電話を入れました。すると、秋篠氏は、調べているけど出典が分からないから連絡しなかった、とのことでした。 時間がかかりそうなら、そう連絡するのが「説明責任」ではないでしょうか。 結局、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに記述されている大麻情報のデータには研究の出典がないことは、10月23日に麻薬対策課情報係の藤原情報係長への問い合わせでも明らかでした。 藤原情報係長は、「根拠はまあ、ないんでしょうね」と、どこか遠い国の昔話でもするかのように、あっけらか~んと回答しています。 また、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報には、原文には書かれていない訳者の感想が、あたかも原文に書かれているかのように改ざんされており、その指摘をしたところ、秋篠氏は更なる改ざんで対応し、藤原係長は削除を約束しましたが、結局これも放置されたままです。 説明責任どころではありません。 情報係の藤原係長は、訳者の感想をそれと示さずに原文に紛れ込ませている点について、「出典を示していないのだから、書き換えても改ざんではない」と、ダイナミックに答えています。説明責任どころではないのです。 お役所が説明責任を果たすのはあったりまえのことですが、それ以前の問題として、そもそも説明できるような根拠ある情報を国民に周知する義務が厚生労働省にはあるはずです。 現場の担当者が、基本政策の理念を十分に理解して公務に励むよう、マトリ教育を徹底して頂きたく、恐る恐るお願い申し上げます。
「(2) 国民本位の効率的で質の高い行政を実現すること」について 大塚製薬が大麻由来の薬剤サティベックスの研究・販売権を米国において得たとの報道が先日ありましたが、多くの先進国では、大麻を医療の現場で制度的に処方することができ、個人利用を逮捕などしません。 ところが、我が国は、先の敗戦に伴う占領軍(国)の無理強いで大麻取締法を制定し、医療的な利用や研究までも厳罰で規制しています。 現在の医学的知見は、大麻が多くの疾病に効果があることを証明しており、その研究すら法で禁じることはナンセンス以外のなにものでもありません。このままでは日本国民本位ではなく、いつまでたっても実質的には米国の占領下です。 アメリカ本位ではなく、日本国民本位の、効率的で質の高い行政を実現して下さい。 医学的・科学的検証を行い、大麻取締法の見直しに着手して下さい。
「(3) 国民的視点に立った成果重視の行政への転換を図ること」について 多くの先進国では、大麻をソフトドラッグと位置づけ、覚せい剤などのハードドラッグと区別して扱う政策が採用されています。 また、薬物政策として、米国は厳罰主義のドラッグウオーに莫大な国家予算を投入し、効果が上がらないどころか、厳罰主義の欠点が露呈しています。 他方、オランダに代表される害削減(ハームリダクション)政策では、薬物を使用する個人の害だけではなく、社会的な害の削減にも効果を上げています。 参照:大麻取締法被害者センター/薬物政策博士X氏の論考 http://asayake.jp/thc/archives/cat_135.php 成果重視の観点からも、どのような薬物政策が望ましいか、科学的で、冷静で、公平な検討をお願い致します。
「(4) 厚生労働省の総合的・戦略的政策展開を推進すること」について 大麻取締法制定当時、国会議員すらその必要性に疑問を持っていたことが当時の議事録から分かります。危険な薬物としての規制であれば、生産と流通を管理することで大麻産業にダメージを与えないよう政策化できるものを、占領軍の意向によって繊維になった麻までを厳重な管理対象としているのです。 以下、参院厚生委員会質疑(昭和23年06月25日)より引用。 三木治朗議員「大麻が繊維にまでなつてしまへば、これはもう何も麻藥の方に関係がなくなるんじやないかと、こう考えるのですが、ところが繊維も、数量までも一々届出ろというようになつておるように思われるのですが、今麻が日本で大体生産が足りないので、沢山麻を要求しておるのですが、この法律のために、麻を作ることを何んだか非常に面倒なような感じを一般が受けるんじやないか、栽培者が受けるのではないか(後略)」 これに対して政府委員は次のように答えています。 久下勝次政府委員「私共も御指摘の点は心配をしないでもないのでございます。実は從前は、我が國においても大麻は殆んど自由に栽培されておつたのでありますが、併しながら終戰後関係方面の意向もありまして、実は大麻はその栽培を禁止すべきであるというところまで來たのでありますが、いろいろ事情をお話をいたしまして、大麻の栽培が漸く認められた。こういうようなことに相成つております。併しながらそのためには大麻から麻藥が取られ、そうして一般に使用されるというようなことを絶対に防ぐような措置を講ずべきであるというようなこともありますので、さような意味からこの法律案もできております。その意味におきましては絶対に不自由がないとは申せませんと思いますが、行政を運営する上におきましては、さような点をできるだけ排除して、できるだけ農民の生産意欲を向上するように努めております。」 その後、大麻産業は衰退し、石油製品が市場を席巻したのは戦後史が証明している通りです。 しかし、今や大麻はバイオマスエネルギーとしての可能性も含め、環境にやさしい素材としての価値が注目されています。我が国においてサトウキビは産地が極めて限られますが、麻は日本全国どこでも栽培可能です。
このような意味と価値を持ち、コメと並んで我が国の重要な栽培作物であった大麻を、戦勝国に押し付けられた大麻取締法という愚法によって医療にも産業にも使えず、研究すら禁じている現状は、我が国の厚生労働行政が、未だにアメリカの占領下にあるようなものです。
真に、日本国民本位の、戦略的政策展開をお願い致します。 以上
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