先日、大麻草検証委員会の森山さんのご厚意で出席させて頂いた民主党国会議員藤田のりひこ氏のハーティーで、藤田議員をはじめ、馬淵澄夫国土交通大臣、蓮舫行政刷新担当大臣、鈴木寛文部科学副大臣、石井一民主党副代表に、「国会における大麻の科学的検証についての要望書」をお渡しした。
(蓮舫さんと名刺交換させて頂いた際、私が「大麻の合法化運動に取り組んでいる者です」と自己紹介したら、なんか、表情が固まった気がしますた。なんでそんな人がここにいるの?みたいな。石井一さんには「先生!大麻を合法化して下さい!」と言ってみたら、石井さんが「はい、そうですか、わかりました」と仰ったのでビックリしたけど何か勘違いかも。)
要望書を読み直してみると、不十分な内容に思えたので、改めて加筆編集し、主要11政党と、厚生労働委員会に所属している国会議員、衆議院45名、参議院25名に、本日付けで以下の改訂版要望書を、「大麻報道センターニュースVol.1」といっしょに郵送した。
要望書の内容は、かなりパワーアップしたと思うのですが、どうでしょう。医療大麻の話は、仮定の話ではなく、今や我が国でも現実に起きている問題として、先生方に提起しました。先生方は、自らの疾病を癒す目的で大麻を使っている病人たちを、逮捕することに賛成なのでしょうか。
来年は、この要望書をもとに、各党と各国会議員に、兎年だしぴょんぴょんと、直接説明に伺いたいと思っています。
■送付先政党
民主党.国民新党.社民党.新党大地.自民党.公明党.共産党.新党日本.みんなの党.新党改革.たちあがれ日本.
■送付先議員
・衆議院厚生労働委員会委員(衆院サイトの名簿に記載の45先生方)
・参議院厚生労働委員会委員(参院サイトの名簿に記載の25先生方)
衆議院厚生労働委員会委員各位
2010年12月13日
大麻報道センター
http://asayake.jp/
主宰 白坂和彦
住所・電話番号
国会における大麻の科学的検証についての要望書
我が国の公的大麻情報の再検証について、下記の通り要望します。
1.日本の公的大麻情報
我が国では厚生労働省所管の天下り財団法人麻薬覚せい剤乱用防止センター(以下「ダメセン」と略)が、「ダメ。ゼッタイ。」として、ホームページ等を通じ、大麻の有害性を国民に周知しています。「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻についての記述は、大麻の有害性を示す根拠として、裁判でも検察が公判で報告しています。 しかし、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報は、ダメセンが米国の民間団体から16年ほど前まで輸入していた薬物標本見本の説明書を翻訳しただけのものであることが、大麻報道センターの情報公開請求で明らかになっています。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに書かれている大麻の有害性について、医学的論拠を示せないことは、ダメセンの前専務理事や、厚労省監視指導麻薬対策課の情報係長(当時)、海外の薬物情報を収集する同課の担当者も認めています。
2.海外の大麻研究報告例
・米国科学アカデミー医学研究所(IOM)報告
1997年に連邦政府が100万ドルを拠出して過去の大麻研究を総合的に再検証し、大麻の医療効果を調査しました。1999年に発表された報告書では、大麻は比較的無害であり、痛みの緩和や嘔吐の抑制や食欲増進などの医療効果があるとしています。
・イギリス科学技術委員会によるドラッグ分類
2006年7月、イギリス下院科学技術特別委員会がまとめたドラッグの新分類では、最も害のあるA分類に、ヘロイン、コカイン、エクスタシー、マジック・マッシュルームが含まれ、B分類には、覚醒剤、アルコール、タバコ、バルビツール酸系睡眠薬が含まれ、大麻や一部の精神安定剤はC分類とされました。
3.大麻所持に対する海外の罰則
麻薬単一条約によって大麻は規制薬物に指定されていますが、個人使用目的の大麻所持に刑事罰を科すことが求められているわけではありません。
我が国では、一般に、米国が大麻に寛容だと思われていますが、米国こそが大麻禁止政策の輸出国であり、欧州ではスェーデンなど一部の国を除き、個人使用目的の大麻所持や、国によっては栽培や譲渡も容認されています。
4.判例の崩壊
大麻取締法の罰則規定が過剰に厳しく違憲であるとする裁判は、これまで何度も繰り返されてきましたが、大麻取締法を合憲とした昭和60年最高裁決定以来、大麻の有害性は「公知の事実」とされ、有害性が「公知の事実」である以上、刑事罰の適用は国会の裁量権を逸脱するものではないとされてきました。
しかし、昭和60年以降、世界各国で大麻の医学的・社会学的研究が行われ、大麻の有害性は昭和60年当時に考えられていたほどではないことが明らかになり、大麻の医療的有効性も科学的に認められ、医療大麻を合法化している国も多数あります。
今般、大麻取締法が憲法違反であることを主張するために敢えて逮捕されて東京地裁で一審を終えた山崎一夫さんの裁判【平成22年特(わ)第541号】では、弁護側が昭和60年最高裁決定という古い判例は現在の科学的知見と乖離している点などを論証しました。結果、一審判決では、従来、大麻取締法の違憲を主張する裁判では必ず判例として示されていた昭和60年最高裁決定も引かれず、「公知の事実」とされていた大麻の有害性については、「薬害等の詳細がいまだ十分解明されていない」とされました。
昭和60年の最高裁決定以降、大麻の有害性は「公知の事実」とされ、だから、懲役刑を科すのも国会の裁量権を逸脱してはいないと司法は判断してきたのです。しかし、大麻の有害性が「公知の事実」ではなく、「未だ解明されていない」のだとしたら、なぜ大麻の少量所持に懲役刑を科されなければならないのでしょうか。
大麻取締法違憲論に対する司法判断は崩壊しました。
5.医療大麻
大麻は古来から世界各国で医療的に使われており、日本でも敗戦までは薬局方に「印度大麻」「印度大麻エキス」「印度大麻チンキ」が収載されていました。
米国では、連邦法によって大麻の医療使用は禁じられていますが、15州が州法で医療大麻を合法化しており、オバマ大統領は、州法に従って医療大麻を使用する患者を連邦法で検挙することはないと明言しています。
一方、我が国では、大麻取締法第4条によって、大麻を医療目的で施用することも、施用を受けることも、懲役刑という重罰で禁止されており、国内にも現に存在する、医療大麻を使用している患者たちは、自らの疾病を癒す行為によって、日々逮捕の恐怖に怯えています。
国会議員諸賢は、自らの疾病を癒す目的で大麻を服用している者たちを、逮捕して懲役刑を科すべきだとお考えでしょうか。
6.国会で大麻の科学的事実を検証するよう要望します
薬物乱用防止政策と、薬物乱用防止教育は、何よりもまず、当該薬物の「正しい知識」に基づかなければ、無意味であるどころか有害ですらあります。
上述した通り、我が国の公的大麻情報は、厚労省と天下り法人の怠慢と無責任によって、担当者たちすら医学的根拠も示せない内容のまま放置されています。
我が国の大麻政策は、海外の科学的知見と乖離した、医学的根拠も示せない大麻有害説に依拠する現状のままで良いのでしょうか。
国民の代表である国会議員は、国会の場で、政治の責任において、大麻に関する現在の医学的・社会学的知見を再検証し、その上で、「正しい知識」に基づく政策を再構築すべきではないでしょうか。
主要各政党並びに国会議員諸賢に対し、以下2点、要望致します。
1.国会に内外の専門家を招き、大麻の科学的事実を検証して下さい。
2.医療大麻が制度的に運用されている諸外国に国会議員の視察団を派遣し、現状調査して下さい。
我が国の大麻政策を、現在の科学的知見に基づいて再構築するよう、強く、激しく、要望致します。
以上
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