ナイジェリア人の男に騙されて、何も知らずに、缶詰に隠された大麻6キロを密輸入しようとして、成田税関で逮捕された祐美さんの件、千葉地裁で判決公判がありました。懲役5年罰金100万円でした。(裁判官・古田浩)
公判での争点は、祐美さんが缶詰の中身を知っていたかどうかですが、彼女が中身を知っていたことを示す物証は何もありませんでした。
祐美さんに大麻を隠した缶詰を持たせ、自分は帰国しなかったナイジェリア人の男は、「自分も日本に帰国して祐美さんの為に証言する。自分は祐美さんを愛している。航空チケット代を送ってほしい。」などとメールで祐美さんの姉に連絡し、姉のさゆりさんに20万を送金させておきながら帰国せず、さゆりさんがドラッグのことには触れてもいないのに、「どのような種類のドラッグだったのか」とか、「自分も荷物の中身を知らなかった」などとメールしてきており、それらのメールも祐美さんが騙されていたことを示す証拠として弁護士は提出しましたが、判決は祐美さんが氏名不詳者らと共謀のうえ、大麻6キロを密輸入しようとしたと認定し、長期の実刑判決が言い渡されました。
祐美さんに面会したさゆりさんの話によると、供述調書も祐美さんが言ってもいないことが書かれているそうです。
ミランダの会という弁護士グループが取り調べの可視化(録画と録音)を主張していますが、不当な取り調べや、不当な供述調書作りを防ぐためにも、必要なことだと思います。
冤罪は、こうして警察権力と司法権力がでっちあげるのだと、目の前で見せ付けられる思いです。
2009年から裁判員制度が始まり、殺人などの事件で国民が義務として裁判員を務めることになっていますが、その際にも取り調べのビデオは裁判員にとって貴重な判断材料となるでしょうし、現状のようなでっちあげ調書だけを示されても、国民は公正な判断をすることができないでしょう。取り調べのビデオを検証することでこそ、裁判員は事実や真実に迫ることが可能となるのではないでしょうか。
それにしても、無実であろうとお構いなしに刑務所行きのベルトコンベアーに国民を乗せて流す警察と司法。このような現実を私たちは知らなさ過ぎると感じてもいます。
祐美さんの控訴審に関しては、お知らせできる状況になり次第、お伝えします。
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