カンナビス・メド(以下「メドさん」と略称)の反大麻論は、反大麻に都合の良い情報だけを持ち出して並べ、大麻の悪口を言い立てているに過ぎない。
メドさんが引用している英国では、2004年に大麻の少量所持では逮捕されず、警告のみで済む改正が行われている。当時の記事がNatureのサイトにあった。
大麻は精神安定剤、ステロイド剤と同じ扱いに
2004年02月12日
大麻を使用する英国の多発性硬化症患者には朗報
英国では1月29日に規制薬物の規制区分が変更された。その結果、大麻がクラスBからクラスCに格下げとなり、精神安定剤やステロイド剤と同列になった。
この動きを歓迎する人々は多いが、論争も巻き起こっている。大麻が精神疾患の引き金となる危険性を警告する論者や大麻が医療に役立つと主張する論者がいるのだ。
英国では、規制薬物が3つのクラスに区分されている。クラスAの規制薬物にはヘロインとモルヒネが含まれ、クラスBにはアンフェタミンとバルビツール剤が含まれている。そして害が最も少ないと考えられているのがクラスCで、このほど大麻が加わった。
今回の規制区分変更によっても、マリファナの所持、製造と譲渡は、引き続き違法行為とされる。ただし罰則が軽くなった。規制薬物を所持しているところを発見された成人は、今までは拘禁刑だったが、今後は警告を受けるにとどまる可能性が高くなった。そして規制薬物の所持による拘禁刑の刑期は、最長5年から2年に短縮された。この結果、英国の薬物規制は、法律的にはオランダなど一部のヨーロッパ諸国と同じレベルになった。ただ運用面では英国の方が厳しくなる可能性が高い。
nature BioNews Archive
http://www.natureasia.com/japan/sciencenews/bionews/article.php?ID=1185
その後、大麻がパラノイアを発症させるという研究発表が出たことなどもあり、英内相チャールス・クラークが、規制緩和した法の再検討を命じた。(「英、緩和カナビス法を再見直しへ」
http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2005/050323_nz_psychosis_study/nz_psychosis_study.html 参照)
この問題は英国で総選挙の争点のひとつともなっている。(「カナビスをB分類に戻すべきか」
http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2005/050329_revert_to_class_b/revert_to_class_b.html 参照)
この問題について、英国の警察高官イワン・ブレア氏は、「カナビスを再びもとのB分類に戻すべきではなく、少量のドラッグ所持に対しては逮捕や起訴は行わず、決められた罰金と警告書を発行するほうが望ましい」と会見で述べた。(「カナビス法見直に反対」http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2005/050520_not_be_reversed/not_be_reversed.html 参照)
結局、諮問委員会の勧告により、大麻の再分類は行われず、法の見直しも行われなかった。
「使用者個人へのカナビスの害は、アンフェタミンのような現在B分類で規制されている他のドラッグが引き起こす害に比較すれば、実際的に依然低いままにとどまっている。」 さらに委員会は、統合失調症の発症も含め、カナビスの使用者に対する精神衛生上の 「リスクは非常に小さい」 とも述べている。
(「イギリス、カナビス分類変更せず」
http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2006/060119_norml_weekly_news/060119_norml_weekly_news.html#1 参照)
その後、昨年7月31日には、下院議員で構成される英科学技術委員会が、大麻はアルコールやタバコより害が少ないという報告を出している。(「ドラッグ新分類を提言 カナビスはアルコールやタバコよりも害が少ない」http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2006_7/060731_drug_classification_rethink/drug_classification_rethink.html 参照)
その3ヵ月後には、大麻規制を緩和してから英国では大麻使用者が急減したと内務省が発表している。(「イギリス、カナビス使用者数が急減 リベラルな政策で過去10年の最低水準に」http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2006_9/061014_liberal_approach_pays_off/liberal_approach_pays_off.html 参照)
メドさんは、薬物濫用諮問委員会の報告から大麻のマイナス面を散々引用しているが、逮捕しない施策の継続については一切触れずにこう書く。
(「英国の「結論と推奨」(1)薬物濫用諮問委員会の報告書」(日本国民には関係のない、英国の法律制度に関する結論と推奨は、省略しています)
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/east_106/view?.date=20060129 )
結局メドさんは、大麻の危険性・有害性について科学的に検証したうえで非犯罪化政策を継続することになった事実には全く触れず、報告書から大麻の害について書かれた部分だけをご都合主義的に切り取って並べただけ。恣意的な情報を持ち出しているに過ぎないのである。
(つづく)
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