新規相談数―21件
前月以前から継続して対応している案件の数―10件
◇相談内容と対応
相談1:主人が大麻所持で逮捕された。その3日後に家宅捜査を受けるが家で吸っていたことはないので何も見つからず。面会の際に10日間の勾留をされることを告げられる。警察から弁護士をつけてもどうにもならないと言われたが、どうしたらよいのかわからないので相談にのって欲しい。
対応:量や逮捕された経緯が明らかでないが、逮捕されて3日目で接見可能となっていることから、所持の初犯であれば軽微な罪であると考えられる。
当番弁護士の手配について説明。後に当番弁護士を私選の弁護士として選任され、順調に勾留期限まで進んでいたが、余罪が発覚してしまい再逮捕。数回のやりとりがあったが現在も引き続き状況について連絡を受けている。
相談2:弟が職質で大麻所持で逮捕された(初犯)。栽培もしていたようで知り合いの弁護士に依頼する予定だが、量刑についてなどアドバイスが欲しい。
対応:初犯で自己使用目的の大麻の所持や栽培での逮捕・起訴でしたらよほど大量でない限り、通例執行猶予付きの判決が望める。
大麻事犯に関しては、営利容疑での逮捕、起訴となると初犯でも一発で実刑となってしまう可能性が高くなるが、営利は絡んでおらず初犯であれば弟さんも起訴されても執行猶予付きの判決となるのではないかと思われる。
知りあいの弁護士が私選につくとのことだが、もう決まっているのであれば、早めに接見にいってもらい、弟さんに取調べの際の供述の仕方のアドバイスをしてもらい、今後の展望も伺うと良い。
またもし起訴が決まったら、すぐ保釈請求できるのでその準備に掛かると、裁判まで更なる勾留とならずに自宅にスムーズに戻れることになりやすいということを伝える。弁護士は大麻に詳しい弁護士とのことで名前を伺うがその後の連絡は今のところない。
相談3:海外在住の友人についての相談。1年ほど前に、日本の友人から頼まれて、海外からハシシュを少量日本に送ったところ、郵便局に受け取りに行った友人が警察に捕まり、3ヶ月勾留され執行猶予で出てきた。
海外在住の友人は帰国の際、逮捕される覚悟はあるのだが、どのような罪になるのか教えて欲しい。
対応:大麻取締法第24条の1の違反で密輸入。第24条の2の違反で譲渡の罪及び関税法違反となると考えられる。
今回初犯で無償の譲渡なら、量も少量なので上記の罰則で逮捕・起訴されても、執行猶予付きの判決は望める可能性はあることを伝える。
相談4:大麻とMDMA所持と使用で逮捕され保釈となった本人からの相談。翌週公判予定であるが弁護士は起訴前に選任した弁護士。
勾留されているときから現在の心境の変化に伴い反省文なども懸命に書いたのだが、事前の打ち合わせで弁護士にその反省文を法廷で裁判官宛に提出することは完全否定されてしまった。
あげくのはては、今回の件とは何も関係がない過去につき、自分にとって不利になるとしか思えないよう発言を法廷でするように差し向けたり、自分の意思には一切耳を傾けてはくれずショックを受けた。
対応:その弁護士はカス。
前科がなく、少量の大麻とMDMAの所持であれば実刑になることは考えられないが、弁護士の言うとおりの発言を法廷でしても、裁判官や検事に対する心象が悪くなり、執行猶予期間を長くされる要因にしかならない。
経済的に可能なら、解任して別の弁護士に依頼したほうが良いと思いますが、時間的にも経済的にも厳しいなら、法廷では弁護士の言いなりにならずに過去のことなど言わないほうがよいと思われる。
相談5:自宅に家宅捜査に入られた。何も物は出ず、警察署で任意の覚せい剤の尿検査を受けた。後日知人から尿検査で大麻反応は出るが、使用では逮捕はされないと言われたのが本当のことなのか? 仮に自分で吸わないとしても、他人が吸った煙で体内に入り検査で大麻反応が出る場合もあるのか? またその様な場合はどうなるのか?
対応: 他人が吸った煙を吸ってしまい尿検で大麻反応が出ても逮捕されることはない。
反応が出た場合任意の事情聴取などに呼ばれる可能性はあるが、任意なので拒否することも可能。
受けるのであれば何をどう答えるかを考えておくことを勧める。
相談6:最高裁の上告期限を明後日に控えている(保釈中の本人からの相談)。
地裁で懲役2年、執行猶予3年の判決を下され控訴するが棄却される。
冤罪なのに冤罪の証拠がなく、上告趣意書も書けないのでこのまま有罪を受け入れるしかないのかと思う。
さゆりさんの妹さん(注:THCでレポートをしている大麻密輸冤罪事件)は、その後 どうなったのか? 自分の裁判と進行が似ているので、気になっている。
対応:自ら上告趣意書を書くなら、自分は無実であること、取り調べの問題点、逮捕や裁判を通じて思ったこと、問題点など、思いの限りを書き出しては?
控訴審の内容について書けることがないのだとすれば、棄却されてしまう可能性が高いと思われる。
しかし、冤罪は冤罪、間違っているのは司法のあり方だと、冤罪で被害を受けた人が声を出さなければ、いつまで経ってもこの国から冤罪はなくならないことと、さゆりさんの妹さんのその後について説明。
相談7:友人が職質にあい少量の大麻所持で逮捕された。友人が職場を解雇されないように、他の友人と協力して方々に手を尽くしたが、結果思うようには運ばず、自分達のしたことが正しかったかどうかわからない。
対応:まずは逮捕された本人の意向を確かめるために、当番弁護士を手配するなどの初動が必要であったと思われる。
しかしこのような被害にあった友人を深くおもいやり、行動し、更にその行動を振り返り自問自答している姿勢には共感する。
相談8:知人夫婦が大麻所持の現行犯で逮捕された。保釈も間近であるが自分も関連があるとして疑われているようなので、相談にのってもらいたい。
対応:知人夫婦の起訴が所持のみで、しかも数グラム程度。営利目的や譲渡が付くと、その関連先に捜査が広がる可能性が高いが、単純所持であれば任意の事情聴取で済む可能性が高いのではないかと思われる。
更なる情報収集の結果、逮捕は免れず、逃亡していては保釈が通りづらくなるなどの点を考慮し、出頭を促す。
相談9:友人宅にガサが入り物は何も出なかったのだが、警察に譲渡の証拠があるとして友人が逮捕された。起訴も決定しているが前科があるので保釈は可能か。
対応:起訴されていたとしても、保釈は執行猶予が付きそうな状況であればより認められやすい。
また、関連者がいるということであれば、その状況も保釈が認められるかどうかに関わってくると思われる。
相談10:友人が営利目的の大麻所持で逮捕された。過去にも大麻での前科あり。接見禁止のため逮捕されてから今まで、一切どうしているかわからない。
友人が心配で仕方がないので、この件に詳しい英語の話せる弁護士を紹介してほしい。
対応:勾留先の地方で英語が出来て大麻事犯に寛容な弁護士を2名紹介。ならびに今後の対処方法をアドバイス。
相談11:友人が自宅の畑で大麻を7本栽培し近所の人の通報で逮捕された。
自分ともう一人の友人は栽培を手伝ったとして事情聴取に呼ばれている。3人共前科はなし。自分と友人も逮捕・起訴されてしまうのか? またこの地域で大麻事件に詳しい弁護士を紹介してほしい。
対応:逮捕された友人の状況がわからなければ、逮捕・起訴されるかどうかの予測が難しい。またこの地域で大麻事犯に詳しい弁護士はわからなかったので、ミランダの会にこの近辺の弁護士がいるかどうかを問い合わせるか、地域の弁護士会に問い合わせることを勧める。
相談12:弟が大麻・コカイン・MDMAの所持で逮捕された。営利の疑いもかけられているようだが、近くに大麻や薬物事犯に詳しい弁護士がいたら紹介してほしい。弟は初犯であるが、以前パイプと巻き紙の所持で厳重注意を受けている。このような場合、執行猶予ではすまされないのか?
対応:なぜ営利の疑いを掛けられているかを明確にすることが重要なので、当番弁護士の手配の仕方、また私選の弁護士の紹介をする。
大麻のほかに2種類押収されているが、いずれも少量のため営利目的でなければ執行猶予判決は望めることを伝える。
相談13:大麻の購入先が逮捕されたかもしれない。今後どのように対処していったらよいのか。
対応:購入先とのメールや電話などの通信記録が捜査されている可能性がある。
今後に備え、弁護士に相談しアドバイスを受けられることを勧める。
相談14:夫が少量の大麻所持で逮捕され、その後の取調べで栽培してる事も発覚。夫の大麻使用、栽培も知っていたが、手を出していなかった私も共犯とされるのか? 私自身事情聴取に呼ばれているが、大変不安なのでアドバイスが欲しい。
対応:ご主人への当番弁護士の接見の有無の確認。またメールの内容からは相談者の逮捕の可能性は低いと思われるが、事情聴取を受ける場合は事前に弁護士に相談することを勧める。
相談15:彼の友人が逮捕された。彼も関連先として捜査の対象となっているようだが、逮捕されたらと不安でたまらない。彼となかなか連絡がとりづらい状況にあるが今後どうしたらよいのか。
対応:彼がどのような事で捜査の対象となっているのかわからないので、逮捕される可能性についても推測が困難。彼自身が弁護士に相談にいくか、こちらに連絡をしてもらうよう伝える。
相談16:大麻を使用した彼の具合が悪くなり病院に行ったところ、警察に通報された。任意出頭を求められたので使用状況や購入先についても素直に自供し、いったん返されたが後日再度出頭を求められそのまま逮捕勾留された。勾留される日数や、懲罰がどの程度となるかなど今後についてアドバイスがほしい。
対応:今回初犯ならば、起訴されても執行猶予付きの判決が望める範囲。勾留期限と保釈、並びに弁護士についての説明をする。
相談17:彼が4グラムの大麻所持で逮捕された。mixiで知り合った海外在住の人物に「絶対に大丈夫」と購入を勧められ、郵送してもらったところ配達員から受け取ってすぐに大勢の捜査員に踏み込まれた。保釈はいつごろになるのか。
対応:まずは当番弁護士の手配することと、弁護士を通して彼の状況を知り、今後について彼自身の意向を聞くことを勧める。逮捕されてからの流れと勾留期限、保釈についてなども説明。
相談18:過去に大麻を使用した経験があるが、関連者が逮捕された。現在所持も使用もしていないが、物がなくても過去に買ったことで逮捕されることはあるか。
対応:現物が出なくても、通信記録などで証拠があげられれば、事情聴取、ガサ、逮捕の可能性はあるので、弁護士に相談することを勧める。
関連者の逮捕状況や容疑、取調べの状況等がわかれば、どの程度の捜査に及ぶか予想がつきやすいが、一切わからず。
相談19:勤務先の代表が大麻所持と栽培で逮捕された。すでに起訴されているので保釈申請したいが、現在の弁護士では不安。業務に支障をきたしているので、早急に保釈許可を通せそうな弁護士を紹介してほしい。
対応:複数の弁護士の紹介と、正式に選任するまえに状況を詳しく話し、保釈の見込みがあるかどうか法律相談という形で弁護士に確認されることを勧める。
相談20:友人が5グラムの大麻所持で逮捕され、取調べと尿検査を受けたがその日に釈放された。仕事もあるので起訴されたとしても今後も勾留されずに済むことを望んでいるが、在宅起訴ですむかどうか教えてほしい。
対応:逮捕されても警察の裁量で釈放、通いの取り調べ、また起訴され裁判となっても通いで済み一度も勾留されずにすむ場合はある。
尿検査はおそらく覚せい剤反応を調べるため。警察から次の取調べについで連絡が来ると思うので、今後勾留されることはあるかどうか直接聞いたほうが良いことを伝える。
相談21:知人が営利栽培で捕まり、初犯ながら判決は実刑2年となってしまった。栽培させていた主犯はこれから判決。実刑2年は控訴して短くなるだろうか?
対応:残念ながら難しいのが現実。本人の意思を確認し、違憲論裁判でやるなら協力するが、現状では勝てないと思うことも伝える。連絡待ち。
◇7月分あとがき
今まで月平均十数件だった新規の相談数が、今月は急増し21件でした。
大麻ユーザーが増加しているのか、逮捕者が増加しているのか、またはTHCの知名度があがったのかわかりませんが、この法律の被害にあい苦境に立たされている人たちが変わらず続出しています。
逮捕状況としては大麻の個人使用目的の少量の所持や栽培が主ですので、そのような場合は初犯である限り起訴されても執行猶予判決が望めることは出来ます。
しかし、逮捕・勾留されることは本人にとっても近親者にとっても大変なダメージを受けることですから、以前からそのような被害にあわないためにもっと気をつけてほしいと思っている事があります。
まずは、「ネットで大麻や薬物を販売しているのを見つけても、買わない」また「売らない」こと。
ネットでの売買は、通信記録という証拠が残ります。
購入先、または販売先が逮捕された場合、当局も当然通信記録を捜査しますので、芋づる式に検挙されることも多々あります。
また営利で販売したことが発覚しますと、初犯でも一発で実刑判決となってしまう可能性が非常に高まります。
営利で有罪とされますと、どれだけ利益をあげたかによって懲役だけでなく罰金も発生する場合があります。
また組織的な販売と見られますと、麻薬特例法での起訴となり、その場合は猶予付きの判決はほぼ絶望的で、長期の懲役と多額の罰金刑を受ける場合もあります。
それから「海外から大麻の発送はしない、頼まない」
海外から発送した大麻や大麻樹脂が税関で発覚し、逮捕されてしまった方々が過去から何人もおります。
こういう方法だったら絶対に大丈夫などということはありません。
海外からの発送はまず税関でばれると思っていてください。
税関で発覚すれば、例えあて先の住所に工夫をこらしても捜査員が張り込みます。
またこのような場合は、大麻所持だけでなく、密輸、関税法違反などの複数の容疑にもなりますので、起訴されるまでの勾留期間もそれだけ長期となりやすく、単純所持などよりも重い懲罰を科せられてしまうことにつながってしまいます。
上記2件以外の方法なら良いのかというとそうではありませんが、特にこの2つの方法はあまりにもリスクが高く、自ら逮捕してくれと言っているようなものです。
「絶対に大丈夫」という甘い言葉に乗らないようにしてください。
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