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逮捕された人たちの話 > 祐美さん(大麻密輸の冤罪)
本人による控訴趣意書(8)
祐美さん(大麻密輸の冤罪) : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2007-11-28

3.ベルギー・オランダへの行程、経緯
一、1回目の渡欧 2005年11月

私はその後すっかり携帯電話のビジネスについて忘れていました。ところが2005年11月に二人で会っていたときでした。彼が突然、
「実は今、すごく困っているんだ」と言ってきました。「どうしたの?」と尋ねると、
「前に一緒に中国へ行ったときに私が買った携帯電話があったでしょう?あのときのは1・2カ月後には全て壊れてしまった。あの店の中国人は悪い製品だと知ってて売りつけたんだ。ただ、私としては、ああいう携帯電話のビジネスをもう一度やりたいと思っていたんだ。それでどこか中国じゃないところから買おうと思って探していた。ヨーロッパが良いなと思っていたらベルギーの会社を見つけた。
ヨーロッパの会社なら中国の商品みたいに粗悪品じゃない。人としても、中国人はすぐに騙そうとするから信用できない。ヨーロッパの人なら仕事の相手として申し分ない」
「そして、その発注を、実を言うとすでにベルギーの会社にしているんだ。その携帯電話はもうとっくに、いつでも日本に送れるよう荷造りも済んでいるから、取りに行かなきゃいけないんだけど・・・私はニューヨークの父親の具合が悪くて、会いに行くために休暇をたくさん取ってしまったから、もう取れないんだ。私の代わりにベルギーまで携帯電話を取りに行ってくれるように友達にも知り合いにも、皆に頼んだのだけれど誰も行くことができないというんだ。誰も助けてくれない。私の友達は困っている時には私は助けてあげるのに、私が困っている時は皆助けてくれはしない。どうしたらよいか分からない。」
などと言ってきました。さらに、彼が
「1日も早く行かないと荷物は既に準備できているし、その荷物を今はずっと倉庫に置いてもらっている。このままだと保管料も多く支払わなければならない。ただ行って帰ってくるだけなんだ・・・」
と訴えてきたのです。

当時、2005年11月、私は大学4年生でゼミと1・2コマの講義があっただけでした。時間的に行けないわけでもなく、悩んでいる、困った、どうしよう・・・と訴える彼に代わって私が行くことになりました。彼と二人で面と向かって話をされました。断ることなどできませんでした。

それまで海外に一人で行ったこともなく、一人で行かなければならないなんて怖いという気持ち、不安でいっぱいでした。
「行って、帰ってくるだけで携帯電話の荷物に関しては私の友達が手続きしてくれるから、君は何もすることないんだ」
という彼の言葉に対しても果たして自分が彼の携帯の輸入を手助けできるか、ほとんど何も分からない状態でした。けれど彼が中国で購入した携帯電話を売るような、同じようなビジネスをやりたいというならば、外国人として日本に来て働いている真面目な人だからこそ彼の困窮している姿を見ると、応援したい、協力できればと思いました。

この1回目の時彼は携帯電話ビジネスについて
・彼はこのビジネスをアムステルダムにいる友達といっしょに始める。
・携帯電話をオーダーするのはベルギーにある会社である。その会社はインターネットで調た。
・自分が働いているPREXTONという会社はベルギーに本社がある。その出張に行ったときにネットで調べた携帯電話の会社を見に行ったことがあって、その会社の人とも話して気に入ったのでそこで取引しようと思った。
・チャールズの友達がベルギーにある携帯電話の会社とのやりとりを担当している。
・荷物を運ぶのに郵送では携帯電話だから壊れてしまったりするかもしれない。誰かが直接飛行機で行って預託荷物として運んだ方が安心できる。
・輸入してきた携帯電話は自分の知り合い、友達にまとめて売る。ベルギーに注文する前に各自がどれくらい買ってくれるか聞いてから携帯電話をオーダーする。だから輸入したらすぐ売れるし在庫として残ってしまうことも無い、良いビジネスだ。
・運送料も重さも量もあるから海外郵送で運ぶと結構料金もかかる。一人が往復する航空券やホテルの費用とを合わせた分よりもかかるものだ。
・旅行代理店を通じて航空券を買えば正規の代理店とは異なり格安で帰る。

そして、どうして私が旅行者としてオランダに行かなければならないのかについては

・ベルギーまで行ってくれるならばついでに友達に会ってほしい。その友達はアムステルダムにいる。彼に書類を渡してほしい。
・アムステルダムの友達にも航空券を渡してほしい。それをもとに友達がベルギーの会社に連絡して携帯電話の荷物をあなたが帰るとき、ベルギーの会社があなたの荷物としてオーストリア航空に預ける。

という、携帯電話の輸入のためにオランダのアムステルダムにいる友達に会うようにとの理由からでした。

また、携帯の荷物をオーストリア航空に預ける際にはその会社の人がブリュッセル空港まで来てチェックインしてくれる。会社の人は、事前にチャールズの荷物である携帯電話を私の名義で預けるということができる。個人でするのではなく企業間で手続きをするから預託荷物として預けることができる。全ては前もって説明を航空会社にしてあるから可能なのだ。
そのため私は向うの空港から日本へ出発する際に自分で彼の携帯電話の荷物を預ける必要がない。日本に到着すると私と一緒に運ばれてきた携帯電話は千葉にある保管所までチャールズが引き取りに行くと聞いていました。チャールズはそこで私の利用した航空券が控えて照会して、関税の支払いをしたり、荷物の検査をする。一連の手続きが終わったら携帯電話を受け取る。私が帰国したら彼はすでに荷物保管所に彼の友達と車で行くから、手続き後、受け取った荷物を車で運ぶ。
との説明でした。

ベルギー、オランダへと行くことが決まるとチケットをすぐに手配することになりました。チャールズにベルギーに行ってくれと頼まれた日、彼は「1日も早くいってほしい、毎日保管料がかかるんだ」と言うのでなるべく早い日程で行くことになっていたのです。
そこでチャールズが普段海外へ行く際に毎回チケットの手配をしている旅行代理店で私の航空券を購入するように言われたので、いつもチャールズの予約の担当してくれている難波さんという女性職員に会いに行きました。その会社はマップ・ツアーという名前で、横浜駅西口から約五分くらいの距離に横浜営業所がありました。その際には、私一人では現地で滞在するホテルもみつけられないので、航空券予約する際にいっしょにホテルも予約してもらいました。そして、チャールズから携帯電話の話を聞いて2・3日後にはベルギーへと向かいました。
航空券を予約する際に起きたことも、チャールズを信じてしまうようになってしまった理由の一つでした。まず、出発するチケットがあって、ベルギーに翌日に行けるかどうかを調べてと言われ、旅行代理店に問い合わせてみると、翌日出発のチケットはないのだと言われました。早くても2・3日後の日程から先でしか予約できないとの反応でした。費用は10万円前後くらいだったと思います。次に直接、航空会社へ問い合わせてみるよう、チャールズに言われました。万一、空席があればそれを使おうという話でした。オーストラリア航空、エアフランスなどに電話をして尋ねると、「席はあるが値段は50万円くらい」しました。電話をかけたのは私でした。それを彼に言うと、
「ほらね、正規の航空運賃だと、こんなに費用がかかるんだ。もし普通に航空郵便で送るとそれくらいお金を払わなければならない。日本人は輸入する際、貨物の代金として正規の料金だから旅行代理店を通して航空券を購入すれば10万円前後で済む。人が一人行って持ってくれば2分の1くらいの料金で経費は足りるんだ」

と、私が旅行者として行く意義を説明されました。こうした経緯からチケットは航空会社を通して翌日の便で予約するのではなく、旅行代理店の難波さんを通して値段の安い航空券を買うことになったのです。
チケットを買うと、すぐにベルギーへと行きました。とにかく、彼の話を聞いて応援したいという気持ちしかありませんでした。

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