大麻取締法第4条は、「大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること」、「大麻から製造された医薬品の施用を受けること」を禁じている。
だが、大麻がさまざまな疾病に医療効果があることは医学的な事実であり、アメリカの13州や、大麻の個人的な利用が非犯罪化されている欧州では、患者は自らの意思で大麻を自己治療目的で使う選択をすることができる。「大麻汚染」報道に明け暮れる大手マスコミは触れようともしないが、それは世界的な現実だ。
前田さんのブログのコメントで、医療大麻のライセンスを持つアメリカ人が日本に入国する際、厚労省の許可を得て、自己治療目的の大麻を持ち込むことができたという話を知った。それが事実であれば、日本政府も大麻の医療的な価値を認め、大麻の施用を認めていることになる。
東京税関に電話取材した。そのような事例は確かにあるそうだ。
Q.海外で医療大麻のライセンスを持っている人が、日本国内に持ち込む通関を通ったと聞いたが、そのような事例はあるでしょうか?
A.一般的に、送ってもらうことでは無理だろうと思います。
Q.送ってもらうんじゃなくて、海外で大麻を医療的に利用している方が、例えば癌の方が。
A.ありますよね、今ちょと明確に言えないんですが、本人が持ってくる場合、治療目的とか、鎮痛剤のようなかたちで持ってくる場合には、それなりの手続きが取られれば可能だということは聞いています。
Q.そのような人道的な配慮はされているということですか?
A.ありえます。そうしないと困るじゃないですか。逆に日本から持ち出す場合にも同じようなことがありますよね。
Q.持ち出す?
A.日本で鎮痛剤のためにモルヒネなどを使う場合、同じように医者の処方箋とか、それに基づく経済産業省のライセンスが必要なんですが、降りるはずです。
Q.そうすると、海外で医療大麻を使っている人がライセンスを提示すれば、
A.提示ではダメですね、これは。
Q.事前に手続きが必要だということですか?
A.必要でしょうね。医療用麻薬の取り扱いというのは、これで全てかどうか分かりませんが、厚生労働大臣の許可を受けて自己の疾病の治療の目的で麻薬を携帯、携帯ですよ、携えて輸入する場合は厚生労働大臣の発行する麻薬携帯輸入許可証の提示を受け、現物確認のうえ、輸入を許可する、ということになってるんですね。
Q.そいういう事例はもう結構あるんでしょうか?
A.あるわけですね。
Q.それがどのくらいの件数あるかは分かるでしょうか?情報公開をお願いすれば出てくるでしょうか?
A.これは分からないですね。そのデータを取っているかどうかの議論だけになりますから。どういうことかというと、厚生労働大臣に許可を受けてということになれば、しかも限定されてますよね、本人が持ってくることが条件ですよね、ということになれば、厚生労働省のなかで、データを取ってるとすれば、しかもそれが開示されてるとすれば、可能かもしれませんね。
Q.ではもうそういう事例はもう既に発生しているってことですね?
A.ありますね。現実に癌患者の方なんかは実際にモルヒネを使う場合がありますよね? それを服用するなりしないと痛みが取れない場合はあるので、それは人道的に、どうぞどうぞというわけではありませんけど、それなりの手続きを経れば、可能ということになりますね。
データについては、薬事法とはちょっとずれちゃうんですよね、大麻取締法、厚生労働省の代表電話がですね、03の5253、1111、ここでですね、自己用のものとして、大麻等を持ち込む場合の件数を知りたいんだけども、と話してみて下さい。それで税関のほうに聞けよって話になれば、税関のほうでは分からないと。税関のほうではデータ取ってないはずです。その場で判断するだけです。これは入国時ですから、成田か、どこか各空港あたりだろうと思いますが、そのためのデータは取ってないはずです。
Q.それ(許可証)があれば、もうそれで?
A.その場で判断するだけですからね。その記録を取っておかなければならないってことになってないんですよ。証明書があればいいですよってことですよね。ちょっと(厚労省に)聞いて頂けますか。
Q.はい、分かりました。ありがとうございました。
取材音源:tokyozeikan081202.wma/1.30MB/5分30秒
日本政府は大麻の医療効果を認めている。それをなぜ国内で認めないのか。それが問題の焦点として明確になった。
と、いうことで、厚労省に電話した。大代表に聞くと、担当は監視指導・麻薬対策課とのこと。転送してもらったところ、担当の方は電話中で、そのご担当のお名前を確認したところ、安田課長補佐だった。
安田課長補佐には、ここで公開していないものを含め、これまで何度かお話を伺っている。単に大麻を禁圧すれば良いという発想をする方ではなく、とても公平で、公正で、理知的な観点から我が国の政策はどうあるべきかを検討・検証しようという考えをお持ちの、私としては信頼できる、本物のエリート官僚だと思える方だ。
今回もまた、とても有意義なお話をお聞きすることができた。私を含め、厚労省批判は厳しいものがあり、もちろん当然の批判もあるが、真に日本国と日本国民のためを思って職務に向き合う官僚がいるのも事実だ。そのことに、私は、熱処理されていない発芽可能な希望の種を見る思いがする。
(つづく)
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