6月5日にNHKで放送された『大麻の怖さ知っていますか?』で、厚労省所管の国立精神・神経センター薬物依存研究部の和田清部長医師がコメントされていた件について、これまで2度にわたって質問のメールをお送りしたが、回答がないので、電話で秘書の方に聞いた。
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NHKの「大麻の怖さを知ってますか?」で、大麻の有害性について専門家として発言している厚労省所管の国立精神・神経センター薬物依存研究部長、和田清氏に、7月7日に質問のメールをお送りしたが、回答を頂いていないので、秘書の方に電話で聞いたところ、回答するかどうかを含めて、先生ご本人の判断なので、改めてメールで問い合わせてほしいとのこと。そこで改めてメールをお送りした。
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6月5日(金)に放送されたNHKの「大麻の怖さ知っていますか?」では、薬物依存症からの回復に取り組む民間団体ダルクの入所者2名と、ラットの実験、国立精神・神経センターの薬物依存研究部長へのインタビューで構成されていた。
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カンナビス・メドさんの記述がいかに恣意的で、ものごとの一部分しか見ずに英国の大麻問題を取り上げているかは、カナビス・スタディハウスさんから転載した論稿や翻訳記事からも明らかです。
多くの研究によって、大麻にはさまざまな疾病に効果があることが科学的に明らかにされているにも拘らず、メドさんは、酒は「心血管疾患を減らすことなどを通じ、健康に貢献する」から利点があるけど、「大麻の使用については、何らかの形で健康に寄与できるという研究報告は1つもありません」と数々の研究結果を無視して書いています。
カナビス・スタディハウスさんのサイトの次のページをお勧めしておきます。
・医療カナビス・ニュース
・カナビスの医学研究
メドさんが引用している英国の薬物濫用諮問委員会は、大麻には一定の害はあるが、厳しく取り締るレベルのものではないという結論を出しました。その報告を無視するかたちで、内務大臣が規制を元のレベルの厳しさに戻そうとしたところ、諮問委員会の学者たちは、報告を無視して政治的な判断を下すなら委員を辞職すると反発し、結局、大麻の非犯罪化政策は継続されています。
ところが、メドさんの文章では、あたかも英国では規制を強化する方向で取り組んでいるかのようです。何か政治的な目的でもあるのでしょうか。
このような恣意的な解釈と引用を行うメドさんは、他の薬物とではなく、突如、日本脳炎の予防接種の効果と、大麻の有害性を比べるのです。
自らの意思で使うことも使わないこともできる大麻の危険性と、自らの意思とは無関係に罹患する病気の予防接種の効果とを比較するのです。何の意味があるでしょう?
これは単に、「大麻使用は統合失調症になる危険を1%だけ増やす」ので、その1%という数字より小さい数字を何でもいいから持ってきて、ほら、大麻のほうが危険だよ、と言っている子供だましに過ぎません。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/east_106/view/200601保健行政の観点から、(もちろん両方大事なのですが)「危険を1%減らす大麻使用追放」と、「危険を0.3~0.03%減らす日本脳炎予防」は、どちらのほうが大事でしょうか?
答えは明らかです。
両方大事だと断りつつ、でも大麻追放と日本脳炎の予防接種、どっちが大事?とメドさん。
答えは明らかに、自らの意思とは無関係に罹るかもしれない日本脳炎の予防接種でしょう。違うの?ハズレ?
さて、最初に挙げた控訴趣意書の内容です:
『大麻はアルコールほどの害がないので、飲酒が合法である以上、大麻所持を禁ずる大麻取締法24条は、憲法14条に違反する』
既述のように、これは論の体をなしていません。
この類の主張を認めた裁判官も、いまだかつて一人もおりません。
既述のように?どこ?
メドさんは、大麻と酒の有害性の比較について、「大麻はアルコールほどの害がない、というのはかなり知られた事です。そして濫用すれば、アルコールはかなり高い確率でおかしなことになります。」としか書いていません。論の体をなしていないどころか、論がありません。
それに、これまでの裁判でも、現在の大麻の規制は厳しすぎるとした判例もあります。
例えば、平成5(1993)年東京地裁判決。
【刑の理由】有害性が認められているアルコールやタバコが罰則をもって規制されず自由に使用できるのに、大麻は罰則をもって一律に使用が禁じられていることを比較すると、大麻を嗜好する者にとって、割り切れない気持ちが生ずることは否定できないところであろう。しかし、法律が大麻の使用、栽培を処罰すると定めている以上、法律に従って適正に処罰することは当然のことである。また、現実に大麻取締法により処罰される被告人の数は少なくなく、これらの被告人との間の刑の均衡を無視した刑を言い渡すわけにはいかない。
大麻堂の旧サイトより引用
http://www.taimado.com/kaihou/jiken/hanketsu.html
大麻が有害だから現状の規制が正当だとするのではなく、だって法律で決まってるんだし、と裁判所は言っているのです。大麻で捕まった他の人も同じように刑を喰らっているのだから、あなただけ軽くするわけにいかないし。この判決はそう言っています。
もっと古いところでは、1987年05月31日、「アルコールやタバコに比べ大麻の規制は著しく厳しい」、「立法論としては再検討の余地がある」という裁判官の見解もあります。
「大麻規制「厳し過ぎる」裁判官異例の見解」
http://asayake.jp/thc/archives/cat_40.php
新しいところでは、大麻取締法違憲論に関し、最高裁が全く審理もせず、三権分立に死刑を宣告していることは、当サイトの大麻取締法違憲論裁判レポートに明らかな通りです。
カンナビス・メドさんのサイトは、全体がこのように恣意的な、政治的な反大麻に満ちています。
それでも、根拠や出典を示している点は、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページよりも良心的というか、手が込んでいるというか。眉に唾である点は同じなのですが。
(つづく・・・・かも)
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英国における大麻と精神病の問題について、カナビス・スタディハウスさんに詳しい年表付きの論稿があったので転載させて頂きます。これは昨年9月に書かれた記事のようですが、カナビス・メドさんが持ち出している反大麻情報がいかに一方的で恣意的かを論証する内容にもなっています。
* * *
イギリス、政争の具にされたカナビスの精神病問題
Pub date: Sep 8, 2006
イギリスのカナビス政策を理解するうえで押さえておかなければならないのは、違法ドラッグが、危険と処罰刑量を組み合わせたABCの3分類で管理されていることだ。各ドラッグは、その時代の状況や要請によって属する分類が変更できるようになっている。
この変更は、法律の改正によるものではなく、科学者や医学関係者からなる諮問委員会の答申を経て、最終的には内務大臣一人の意志決定によって行われる。
カナビスは、以前はアンフェタミンなどの同類のB分類に属していたが、害が少ないとして2004年にC分類にダウングレードされ非犯罪化が行われた。しかし、この決定に対する反発も根強く、カナビスと精神病問題を取り上げてB分類に戻すべきだという揺り戻しが起こった。
それ以後2年にわたってカナビスと精神病問題をめぐる政治劇が繰り広げられたが、実質的に変わったことは何もなかった。しかし、その中から、カナビスの合法・規制化による精神病の害削減という全く新しいコンセプトを持った取り組みも生まれてきた。
●カナビスのダウングレードと揺り戻し
2004年1月にイギリスでは、カナビスのドラッグ分類がB分類(最高刑5年)からC分類(2年)にダウングレードされ、実質的には大半が罰金刑又は警告で済ませるという非犯罪化が行われた。しかし、この決定に対しては、カナビス反対派からさまざまな危険性が語られ、撤回を求める動きも大きくなった。
反対派の理由は、最近になってカナビスと精神病発症の関係が医学研究で明らかになって、特に若年層のカナビス喫煙は統合失調症を引き起こしやすいことが問題になり、マスコミは盛んにその危険性について取り上げた。
攻撃は、ダウングレードを推進したデビット・ブランケット内務大臣にも向けられ、愛人絡みのビザ不正発給疑惑が内閣を揺るがすほどのスキャンダラスに発展した。年末の12月、ブランケット大臣は疑惑を否定しながらも、内閣を混乱させたとして辞任に追い込まれた。
●総選挙を控えた政府、再びカナビスに非寛容に
2005年の年が明けると、総選挙を半年後に控えたブレア政権は、悪影響を恐れて再びカナビスに非寛容な姿勢を強めるようになった。後任のチャールス・クラーク内務大臣は、カナビスが精神病を引き起こすという新たな研究が提出されたとして、ドラッグ乱用諮問委員会(ACMD)に対してダウングレードを見直すべきかどうかを諮問した。
5月の総選挙では、ブレア首相自らもカナビスに対する懸念を表明し、クラーク大臣と同様に、分類をもとに戻すことも考えていると述べた。
こうした背景に勢いを得た反対派は、あらゆる機会をとらえてカナビスによる精神病の恐ろしさを書き立てた。クラーク大臣に対しては、民衆に対する安上がりの教育情報としてマスコミを利用しているという指摘もあった。スキャンダル好きのマスコミも、子供が精神病になった親の悲惨な話などを盛んに取り上げて「教育」に協力した。
●全く新しいコンセプトの出現
だが、一方では、従来の賛成・反対という2極化された範疇に属さない主張も出てきた。カナビス・トラストという団体が、全く新しいコンセプトで、カナビスの合法化による精神病の害削減を訴えた。そこには、精神病患者と支援者の団体も加わっていた。全体とすれば少数とは言え、閉塞的な議論に風穴を明けるものだった。
主張は、精神病のさらなる研究とその成果を反映させた患者の環境改善、教育による若年層のカナビス使用の防止などで、害削減が大きな柱になっていた。さらに、その必然として、安全なカナビスの供給を保証しない非犯罪化ではなく、カナビスを合法・規制して標準的なカナビスが入手できるようにすることを求めていた。
カナビスを擁護する側の人たちも、少数とはいえカナビスで精神病が悪化する人もいることを知っているので、より正確な知識があればあるほど的確な害削減や教育ができるという見方から、さらなる研究を継続して行うことを支持した。
しかし、スキャンダル好きのマスコミには十分に理解されず、議論は従来の2極の泥合戦の様相が続いた。
●分類の変更なし
年が明けて2006年になると、ドラッグ乱用諮問委員会(ACMD)は、害は認めつつも、「疫学的なリスクは小さく、CからBに引き戻す根拠にはならない」とした答申をまとめた。しかしこれを見たクラーク大臣は、答申を無視してB分類に戻すことを検討しているとリークされ、これに対して委員会の科学者や医療関係者たちは、政治目的で戻すなら辞職すると表明して対抗した。
結局、クラーク大臣は、カナビス分類を変更しないと最終決定。しかし、答申には、精神病問題の深刻さを考慮してさらなる研究と調査を求めるとの勧告も盛りこまれていた。これに対して大臣は、この春から数百万ポンドをかけてカナビスに関連する精神病の危険性を訴えるキャンペーンと研究、公共教育を実施すると表明した。
●政争の具として利用されただけの精神病問題
しかし3月になると、保健省の政務次官が、統合失調症全患者約4万人に対してカナビスに関連した統合失調症患者はごく少数だと述べ、実際には政府がカナビスの精神病問題に熱意を持っていないことが露呈し始めた。
さらに、5月に入って、クラーク大臣が外国人犯罪者の移民データ管理不備などで解任されると、後任のジョン・リード大臣は、カナビスと精神病問題にはあまり関心を示さず、費用をかけてキャンペーンなどを行うという約束はスクラップされ、政治問題としては立ち消えてしまった。
現在、これに対しては、カナビスをB分類へ戻すことには反対しながらも、見直し議論によって社会の精神病に対する関心を高めて偏見をなくすことを期待して活動に取り組んでいたリシンクなどから、政府が約束を守っていないと強い非難の声があがっている。
このように、イギリスにおけるカナビスと精神病問題は、政争の具として利用されただけで何ももたらすことはなく、C分類という非犯罪化だけが既成事実として残った。
一方では、カナビス反対派やマスコミも、精神病患者に対する思いやりからではなく、精神病をカナビス攻撃の材料に使うだけだった。結果的には、カナビスをなくせば精神病もなくなるといった誤った図式を社会に植え付け、むしろ精神病に対する偏見を助長してしまった。
イギリスのカナビス政策の変遷 | |
1894 | イギリス・ヘンプ調査委員会 「インドにおけるヘンプ調査委員会報告書」 "当委員会は、実際上、ヘンプの適度な使用においては悪い影響は全くないとの結論に達した。" |
1968 | イギリス政府の諮問していた委員会がウットン・レポートを発表し、カナビスの所持は罰すべきではないという勧告を提出した。「利用できるすべての資料を検討したが、インド・ヘンプ委員会報告(1893-94)やニューヨーク市長委員会(1944 - LaGuardia)が出した、カナビスを長期使用しても適度なら害はない、という結論に全員一致で賛成した。」 |
1969 | イギリス労働党のジェームス・キャラハン首相はウットン・レポートを拒否し認めなかった |
1971 | 国連の向精神薬物条約の締結の合わせて、イギリスではABC分類を基にしたドラッグ乱用防止法が制定される。カナビスは刑罰の重いB分類として分類され、医学使用も禁じられた。この法律の枠組が現在も続いている。 |
1987 | カナビスと統合失調症、スエーデン新兵での長期的研究: スエーデン新兵4万5570人を対象に、入隊時のカナビス使用状況を自己申告させ、15年後に統合失調症の発症具合を調べた。その結果、カナビスを使ったことのない人に比較して、50回以上のヘビー・ユーザーの統合失調症の発症率は6倍と発表。その後、数々の方法論的な不備が指摘される。 |
1991 | ピックル判事がドラッグの合法化を提唱。 |
1991 | トニー・バンクス議員(労働党)がカナビスの合法化を提唱。 |
1992 | イギリス政府が、カナビスの産業および科学研究用途の栽培を認めるライセンスの発行計画を発表。 |
1992 | エコノミスト誌、「医薬品にはしばしば身体に不快な副作用がある。カナビスにも不快な副作用があるが、それは身体的なものではなく政治的なものからきている。」 |
1993 | 国会議員55人が、多発性硬化症の治療にカナビスを利用することを認めるように主張した。 |
1995 | 下院議員44人がカナビスに関する王立委員会の設置を主張。 |
1995 | クラレ・ショート議員(労働党)が、カナビスに関する王立委員会の設置を主張したことで党首から叱責された。 |
1996 | 自由民主党がカナビスに関する王立委員会の設置を主張。マクラスキー上院議員がカナビスの非犯罪化を検討するように提案。 |
1996 | 薬物依存研究所がカナビスについての見解を発表。「 明確に断言できることは、1) カナビスの使用は一般に他のドラッグの使用に先行して行われる、2) カナビスの使用は必ずしも(あるいは通常)他の違法ドラッグの使用を招かない。」 |
1996 | イギリス・ユース・エイジェンシーのジャネット・パラスケーノ代表が、カナビスの 「非犯罪化ではなく合法化」 を主張。 |
1996 | ジョージ・ハワース議員(労働党)が、自分の党ではカナビスに関する王立委員会の設置は望んでいないと表明し、その理由として、労働党政権ではカナビスを合法化するつもりはないが、委員会が合法化すべきという結論を出す可能性があることを上げた。 |
1997 | 総選挙で労働党政権が誕生。トニー・ブレア首相はカナビスを合法化するつもりはないと表明。 |
1997-09 | インデペンデント日曜版が、著名人や医者や学者など100人以上の支援を受けて精力的なカナビスの非犯罪化キャンペーンを開始した。 |
1997-10 | ジャック・ストロー内務大臣がカナビス合法化の考えはないと発表した同じ日に、イングランドとウエールズを統括する高等法院王座部首席裁判官(Lord Bingham of Cornhill)が、カナビスの合法化に関する公開討論を呼びかけた。 |
1998-03 | インデペンデント日曜版やCLCIAなどが中心になって組織したカナビス非犯罪化マーチが開催され、2万人がハイドパークからトラファルガー広場まで行進した。広場で演説した人の中には、ハワード・マークス、ロジー・ボイコット、ポール・フライン議員、キャロライン・クーンなどの姿も見られた。 |
1998-06 | カナビス栽培で裁判にかけられていたコリン・デビスが、陪審に、脊髄損傷の痛みを緩和する医療的必要性を訴えて無罪を獲得した。裁判官は陪審たちに法の規定と証拠だけ判断するように求めていたが、陪審は従わなかった。(ダッチ・エクスペリエンス、コリン・デビス 対 イギリス政府 ) |
1998-06 | イギリス政府は、GW製薬のゲオフェリー・ガイ博士に対して、医学臨床研究目的でカナビスを栽培・所持するライセンスを与えた。イギリス南東部にある秘密栽培場は、電気フェンスと監視カメラ、見張りの犬で守られる。 |
1998-11 | 上院は、現在利用できる証拠をもとに、余暇用途の合法化は認めないものの、猶予のない患者にカナビスを利用できるようにする内容の報告書を作成して政府に提出した。ジャック・ストロー内務相は直ちにこれを拒否し、適切な基準を満たした医薬品のテストが終了しない限りカナビスを利用できるようにはしない、と述べた。 |
2000-03 | イギリスで大きな影響力のある独立系警察財団が設立した委員会が、ハードドラッグやカナビスの量刑全般を大幅に下げるように提言した。ブレア首相は拒否したが、自由党は政府にいつもの条件反射はやめてきちんと考えるようにた申し入れ、内務相は報告書の検討を約束した。 |
2000-09 | 多発性硬化症患者レズリー・ギブソンが、カナビスを所持していたのは痛みの緩和のために必要だったと訴えて無罪になった。(奇跡の薬草、患者たちの証言、レズリー・ギブソン) |
2001-06 | 新内務大臣デビット・ブランケットは、ロンドン警察がヘロインなどのハードドラッグの取締まりに重点を移しカナビスに対するのソフトアプローチを取ろうとしていることを歓迎した。この発言は、従来からカナビスに対して厳しい禁止措置を維持してきた政府の方針からの際だった転換といえる。 |
2001-09 | アメリカ911同時多発テロ事件。これ以降、イギリスでは、盛り上がっていた合法・非犯罪化論議は主要な話題ではなくなった。 |
2002-03 | イギリス政府のドラッグ乱用諮問委員会は、カナビスの扱いについて諮問をうけていたが、C分類ドラッグにダウングレードすることを勧告した。委員長のサー・マイケル・ローリンは、カナビスは無害ではないとしながらも、現在では同じB分類になっているアンフェタミンなどに比較するとリスクはほとんどない、と述べた。 |
2002-04 | カナビスと精神病に関するオランダの調査研究(ファン・オズ)発表。 4000人余りのオランダ人を対象に3年間追跡調査をしている。カナビス・ユーザーが精神病的な症状を発症するリスクはノンユーザーの2.76倍。 |
2002-07 | デビッド・ブランケット内務大臣が、カナビスの分類をB分類からC区分へダウングレードすることを発表した。これによってカナビスの少量所持では逮捕されないことになる。「現在のカナビスの分類は害の程度に見合ったものではなく過大視されている。若者へ信頼できるメッセージを用意し、ダウングレードによってできた時間をもっと害のあるドラッグに集中しなければならない。」 |
2002-11 |
イギリス医学ジャーナルに、カナビスが精神病を引き起こすという論文が3本同時に発表された。この発表のタイミングについては、政治的な思惑が働いていた疑いもある。 |
2003 | メディアは盛んにカナビスと精神病のような心の病との関連を取り上げた記事を頻繁に掲載するようになった。因果関係を示していると主張する多くの研究を引用し、一時的なカナビス使用でも精神病のような心の病を誘発するという結論を書きたてた。 |
2004-01 | 14日の議会議事録には、王立精神医学カレッジの研究を引用して 「精神の病気にかかりにくいとわかっている人では、カナビスの使用が精神病などの心の病気を引き起こすことを示す証拠は全くといってよいほどない。」 と記載されている。 |
2004-01 | 1月29日、カナビスが正式にB分類からC分類へダウングレード。これ以降マスコミでは、カナビスと精神病の関係について深刻な関連があるという記事が繰り返される。 |
2004-08 | タブロイド(The News of the World)が、デービット・ブランケット内務大臣の既婚女性との浮気を暴露。10月にはテレビなどで、愛人スキャンダルを題材にした風刺ドラマが上演される。 |
2004-11 | ギリシャのカナビス使用と精神病の陽性および陰性症状の調査研究発表。1983年4月生まれの人の19才時点でのアンケート調査で収集した3500人のデータを分析したもの。カナビス・ユーザーが何らかの精神病的な症状を発症するリスクは、ノンユーザーの4.3倍。 |
2004-12 | オランダ・チームによるドイツ・ミュンヘンでの調査研究発表。14才から24才までのおよそ2500人の若者のカナビス使用と精神病の関係を4年間追跡調査。その結果、カナビスのヘビー・ユーザーが精神病的な症状を発症するリスクは、ノンユーザーの1.7倍。(カナビスと若年層の精神病リスク、強い証拠はないが、特定リスクグループで顕著) |
2004-12 | 17日、 元愛人の雇った乳母へのビザ不正発給疑惑スキャンダルでデービット・ブランケット内務大臣が辞任。後任は、前教育大臣チャールズ・クラーク。来年の総選挙を5月に控えたブレア政権はスキャンダルの影響を考えて、再びカナビスに非寛容な姿勢を強める。(2004: Blunkett resigns over visa accusations) |
2005-03 | ニュージーランド・クライストチャーチの調査研究発表。クライストチャーチ生まれの1265人を25年間追跡調査。カナビスを毎日常用しているユーザーの場合、ノンユーザーと比較して、幻覚などの精神病的な症状を1.6?1.8倍も経験しやすくなる。(カナビスへの恐怖は如何にして作られるのか、精神病問題と科学の歪曲) |
2005-03 | チャールス・クラーク内務大臣は、カナビスが精神病を引き起こすという新たな研究が提出されたとして、ドラッグ乱用諮問委員会(ACMD)に対してダウングレードを見直すべきかどうかを諮問。(カナビスをB分類に戻すべきか、英総選挙の焦点に) |
2005-05 | 総選挙運動の最終日に、ブレア首相が、カナビスの危険性が増えていることに言及して懸念を示した。(Blair Issues Warning About Cannabis Use) |
2005-05 | 5日の総選挙でブレア首相が率いる労働党が、議席を大きく減らしながらも勝利。 |
2005-05 | カナビス・トラストがカナビス・エディケーション・マーチ&ラリーを開催。カナビスの合法化による精神病の害削減を訴える。(カナビスの規制・合法化に賛成、統合失調症患者の母親の訴え、Message from Zerrin Atkin, National Psychosis Unit) |
2005-09 | カナビスと精神病についての報道が加熱。害データ出典の根拠とされた治療団体が、引用には誇張があると声明を発表。(Sunday Times report on mental health and cannabis was a “distortion and factually wrong") |
2005-11 | デーリーメール紙がオーストラリアの研究を取り上げて、10代のヘビーなカナビス・ユーザの80%がのちに何らかの精神障害になっているとセンセーショナルに報道。各マスコミも追随。(Cannabis 'Worst Drug For Psychosis') |
2006-01 | ドラッグ乱用諮問委員会(ACMD)は、害は認めつつも、「疫学的なリスクは小さく、CからBに引き戻す根拠にはならない」 とした答申をまとめる。しかし、チャールズ・クラーク大臣は、答申を無視して戻すことを検討していると伝えられた。これに対して委員会の科学者や医療関係者たちは、政治目的で戻すなら辞職すると対抗。(14日、Expert advisers threaten revolt against Clarke) |
2006-01 | 19日、チャールズ・クラーク大臣は、カナビス分類を変更しないと最終決定。しかし、答申には、精神病問題の深刻さを考慮してさらなる研究と調査を求めるとの勧告も盛りこまれていた。これに対して大臣は、この春から数百万ポンドをかけてカナビスに関連する精神病の危険性を訴えるキャンペーンと研究、公共教育を実施すると表明した。諮問委員会の報告書が公表される。(害はあるが、心の健康には打撃にならない、英、ドラッグ乱用諮問委員会) |
2006-03 | 保健省の政務次官が、カナビスによる統合失調症患者数についての質問に答えて、正確な数字は掴んでいないが、集計されている統合失調症全患者約4万人に対してカナビスに関連した患者はごく少数だと述べ、実際には政府が精神病問題に熱意を持っていないことが露呈し始める。(Mental Illness resulting from Cannabis Abuse) |
2006-05 | オックスフォードのベックリー・ファンデーションが、カナビスがアルコールと同様に 「すでにその兆候のある人や家族に同種の病気の人がいる場合には統合失調症に陥る可能性がある」 としながらも、「社会全体でみると、過去30年間のカナビス使用の増加に連動して精神症率も増加したという事実はない」 とする報告書を発表。(カナビスは統合失調症になりやすい人でも軽微なリスクにしかならない) |
2006-05 | 6日、チャールズ クラーク内務大臣が外国人犯罪者の移民データ管理不備などで解任される。後任のジョン・リード国防長官は、カナビスと精神病問題にはあまり関心を示さず、政治問題としては立ち消えた格好。 |
2006-06 | カナビスと精神病議論のきっかけになったのは、ジャマイカやアフリカからの移民が多い地域で 「カナビスが統合失笑症の引き金になる体質の人がいる」 という報告からと言われているが、あらためてこれを偏見だと強く否定する見解が出された。(No Evidence Cannabis Leads To Schizophrenia In Black Men) |
2006-07 | カナビスの精神病問題に費用をかけてキャンペーンなどを行うという政府の約束がスクラップされ、リシンクなど関連団体が非難。(Ministers 'failed To Warn Public Of Cannabis Risks'、 Rethink What Charles Clarke promised) |
2006-07 | 英科学技術委員会、ドラッグ新分類を提言。 カナビスはアルコールやタバコよりも害が少ない。 |
引用元ページ:カナビス・スタディハウス
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カンナビス・メド(以下「メドさん」と略称)の反大麻論は、反大麻に都合の良い情報だけを持ち出して並べ、大麻の悪口を言い立てているに過ぎない。
メドさんが引用している英国では、2004年に大麻の少量所持では逮捕されず、警告のみで済む改正が行われている。当時の記事がNatureのサイトにあった。
大麻は精神安定剤、ステロイド剤と同じ扱いに
2004年02月12日
大麻を使用する英国の多発性硬化症患者には朗報
英国では1月29日に規制薬物の規制区分が変更された。その結果、大麻がクラスBからクラスCに格下げとなり、精神安定剤やステロイド剤と同列になった。
この動きを歓迎する人々は多いが、論争も巻き起こっている。大麻が精神疾患の引き金となる危険性を警告する論者や大麻が医療に役立つと主張する論者がいるのだ。
英国では、規制薬物が3つのクラスに区分されている。クラスAの規制薬物にはヘロインとモルヒネが含まれ、クラスBにはアンフェタミンとバルビツール剤が含まれている。そして害が最も少ないと考えられているのがクラスCで、このほど大麻が加わった。
今回の規制区分変更によっても、マリファナの所持、製造と譲渡は、引き続き違法行為とされる。ただし罰則が軽くなった。規制薬物を所持しているところを発見された成人は、今までは拘禁刑だったが、今後は警告を受けるにとどまる可能性が高くなった。そして規制薬物の所持による拘禁刑の刑期は、最長5年から2年に短縮された。この結果、英国の薬物規制は、法律的にはオランダなど一部のヨーロッパ諸国と同じレベルになった。ただ運用面では英国の方が厳しくなる可能性が高い。
nature BioNews Archive
http://www.natureasia.com/japan/sciencenews/bionews/article.php?ID=1185
その後、大麻がパラノイアを発症させるという研究発表が出たことなどもあり、英内相チャールス・クラークが、規制緩和した法の再検討を命じた。(「英、緩和カナビス法を再見直しへ」
http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2005/050323_nz_psychosis_study/nz_psychosis_study.html 参照)
この問題は英国で総選挙の争点のひとつともなっている。(「カナビスをB分類に戻すべきか」
http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2005/050329_revert_to_class_b/revert_to_class_b.html 参照)
この問題について、英国の警察高官イワン・ブレア氏は、「カナビスを再びもとのB分類に戻すべきではなく、少量のドラッグ所持に対しては逮捕や起訴は行わず、決められた罰金と警告書を発行するほうが望ましい」と会見で述べた。(「カナビス法見直に反対」http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2005/050520_not_be_reversed/not_be_reversed.html 参照)
結局、諮問委員会の勧告により、大麻の再分類は行われず、法の見直しも行われなかった。
「使用者個人へのカナビスの害は、アンフェタミンのような現在B分類で規制されている他のドラッグが引き起こす害に比較すれば、実際的に依然低いままにとどまっている。」 さらに委員会は、統合失調症の発症も含め、カナビスの使用者に対する精神衛生上の 「リスクは非常に小さい」 とも述べている。
(「イギリス、カナビス分類変更せず」
http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2006/060119_norml_weekly_news/060119_norml_weekly_news.html#1 参照)
その後、昨年7月31日には、下院議員で構成される英科学技術委員会が、大麻はアルコールやタバコより害が少ないという報告を出している。(「ドラッグ新分類を提言 カナビスはアルコールやタバコよりも害が少ない」http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2006_7/060731_drug_classification_rethink/drug_classification_rethink.html 参照)
その3ヵ月後には、大麻規制を緩和してから英国では大麻使用者が急減したと内務省が発表している。(「イギリス、カナビス使用者数が急減 リベラルな政策で過去10年の最低水準に」http://www.cannabis-studyhouse.com/80_archive/02_news/2006_9/061014_liberal_approach_pays_off/liberal_approach_pays_off.html 参照)
メドさんは、薬物濫用諮問委員会の報告から大麻のマイナス面を散々引用しているが、逮捕しない施策の継続については一切触れずにこう書く。
(「英国の「結論と推奨」(1)薬物濫用諮問委員会の報告書」(日本国民には関係のない、英国の法律制度に関する結論と推奨は、省略しています)
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/east_106/view?.date=20060129 )
結局メドさんは、大麻の危険性・有害性について科学的に検証したうえで非犯罪化政策を継続することになった事実には全く触れず、報告書から大麻の害について書かれた部分だけをご都合主義的に切り取って並べただけ。恣意的な情報を持ち出しているに過ぎないのである。
(つづく)
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2006年5月4日 - イギリス・オックスフォード発
イギリスでドラッグ政策の提言を行っているベックリー・ファンデーションが発行したレビューによると、カナビスの使用は、統合失調症や精神障害になりやすい人でも 「統計的に軽微なリスク・ファクター」 にしかなっていないことがわかった。 ベックリー・ファンデーション は独立系のシンクタンクでドラッグ使用や政策の分析を行っている。
著者たちは、「カナビスとメンタルヘルス: 最近の報告に対する検証」 と題するレビューの中で、カナビスがアルコールと同様に 「すでにその兆候のある人や家族に同種の病気の人がいる場合には統合失調症に陥る可能性がある」 としながらも、「社会全体でみると、過去30年間のカナビス使用の増加に連動して精神症率も増加したという事実はない」 としている。
結論では、「ここで検証した研究では、カナビスの統計的リスク・ファクターは軽微なものであることを示しており、圧倒的多数の若年カナビス・ユーザーについては精神症を発症するようなことはなく、ユーザーのうちでごく少数のグループだけがカナビスの影響を受けやすいという仮説を裏付けている」 と述べている。
ベックリー・ファンデーションの分析は、今年のはじめにイギリスのドラッグ乱用諮問委員会(ACMD)が出した結論と同様のもので、委員会では「現在利用できるデータによれば、カナビスの使用が統合失調症に発展するリスクはほんの僅かでしかない。・・・現在の証拠からはカナビスの使用が統合失調症に発展する生涯リスクは最悪でも1%以内であることを示している」 と 結論 づけている。
For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.
Full text of the Beckley Foundation report is available online at: http://www.internationaldrugpolicy.net/.
Additional information on cannabis and mental health is available in NORML's report, "Cannabis, Mental Health, and Context: The Case For Regulation," available online at: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6798 (訳)
Source: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6893
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英、ドラッグ乱用諮問委員会
20日に発表された政府のドラッグ乱用諮問委員会の報告書によると、カナビスを常用していると心の健康に対して 「はっきりと目立つ」 ほどの害を及ぼすが、統合失調症までは起こりにくい、と結論を出している。
また、カナビスは、精神及び精神運動能力を害し、急性中毒症状を引き起こしたり、過去の心の病を再発させる可能性があるが、現在明らかになっている証拠によれは、カナビスが統合失調症まで発展する可能性は1%以下である、とも述べている。
政府が過去行ったカナビスのB分類からC分類へのダウングレード決定を見直して以前の状態に戻すべきかどうかという諮問に対しては、戻すべきではないとの勧告を出した。
また、大臣は、ドラッグの活性成分がより強力になったことで、心の病に陥る危険が増えたかどうか医学的な面から再検討するように諮問していたが、委員会は、「現在の証拠からは、最悪に見積もっても、カナビスの使用によって統合失調症まで発展する生涯リスクは1%以下であると思われる。」 と結論を出している。
「一部のグループの人たちはカナビス使用によって統合失調症に発展するリスクが高いが、現在のところ、特定の個人がそのグループに属するのかどうかを確認する方法はない。」
「カナビス使用の頻度と心の病への発展が関連しているかについては、現在の証拠からは関連性は薄い。本委員会としては、カナビスのBクラスへの逆分類は奨めず、Cクラスのまま留めることを勧告する。疑いなくカナビスにも害はあるが、Bクラスのドラッグ程ではない。」
2003年にカナビスをダウングレードすべきという勧告が出た後で、「カナビスの使用とそれに伴う精神症への発展の可能性を示す新たな証拠」 が提出されていたが、「それらの研究では、間違いなくそのような関連があると断言できたわけではなく、集めた証拠が因果関係を示唆しているだけで、統合失調症にまで発展するのにカナビスの使用が必要かつ不可欠なことを示しているわけではない。」 としている。
「昨年1年間に300万人以上の人がカナビスを使用したと考えられるが、統合失調症ような悲惨で障害のある状態にまで陥った人は極めて少ない。これに対して、カナビスを使用していなくても多くの人が統合失調症になっている。」
「利用できるデータをもとに考えれば、カナビスの使用が統合失調症に発展するリスクは最悪でもごく小さいものにとどまっている。」
「しかしながら、委員会はカナビスの使用が気管支炎や癌などの害になることも強調しておきたい。従って、カナビスを使わないようにする教育や情報の提供を引き続き行い、心の病との関連性についてさらなる研究を続けることが望まれる。」
昨日、チャールス・クラーク内務大臣は下院で、カナビスを現状のままCクラスにとどめることを提示し、警察が個人の所持について寛大な路線を維持し、罰則も低いままにすることを承認した。
所持できるカナビスの量ついては、昨年の専門家の報告書で示された個人使用4オンス以下にするガイドラインを警察関係者に示した。この量は細めのジョイントで約512本、太めで約256本ほどになる。
クラーク大臣はカナビスの逆分類は提案しなかったが、カナビスには害があり、「身体・精神の広い範囲にわたって危険である」 というメッセージを出し続けなければならない、と述べた。
また、1971年に作られた分類システムが混乱し誤解を招いているとの批判に応えて再評価するように要請し、現在Cクラスに分類されているロヒプノールやGHBなどの、いわゆるデートレイプ薬の分類見直しも諮問した。
影の内閣のデビッド・デビス内相は、カナビスが安全なソフト・ドラッグだと思い込ませかねない混乱したメッセージを出さないように逆分類すべきだったと断罪した。
しかしながら、自由民主党報道官マーク・オーテンは、「チャールス・クラークは、ヒステリーや政治圧力に屈せず、最高の証拠に基づいて正しい決定を行った。カナビスは無害ではないが、他の多くの違法ドラッグよりも害は少ない。」 と語った。
参考: イギリス、ドラッグ乱用諮問委員会報告書全文(PDF)
Source: The Daily Telegraph
Pub date: 21st January 2006
Subj: Cannabis use 'will impair but not damage mental health'
Author: Philip Johnston, Home Affairs Editor
Web: http://www.thehempire.com/index.php/cannabis/news/cannabis_use_will_impair_but_not_damage_mental_health
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精神病問題と科学の歪曲
カナビスの禁止論者たちは禁止の理由となるカナビスの害をあれこれ言いたてるが、実際には論拠のない憶測も多い。しかし、そうした証明も反論もしようもない憶測を一応別にすれば、彼らが科学で証明されているとする主張は最終的には数種類の問題に集約される。
現在、最も多くみられるのが、今のカナビスがかつてのものより効力が増しているのでより危険になっているという高効力問題だが、その他の代表的な例とすれば、1世紀以上も変わらず論争が続いている精神病問題がある。(高効力問題については 別記事 にまとめてある)
最近、カナビスが精神病を引き起こすことが研究で突き止められた、と盛んに叫ばれている。カナダではコミュニティ・アクティビストでライターとして著名なマルグレット・コパラは先日の新聞紙上で、カナビスのリベラルな扱いが若者のユーザーを「精神病層」に引きずり落とす、と書いている。
1893年、インドにおけるイギリス・ヘンプ調査委員会報告
カナビスが精神を破滅させるという恐怖が語られるのは決して最近のことではない。インドがイギリスの植民地だった1世紀以上も前、本国から赴いた宣教師たちは、インドの精神病院の来院者が増えているのは広く使われているカナビスに関連しているのではないかという懸念を寄せてきた。これに応えてイギリス政府は、1893年にヘンプ調査委員会を設置してインドで実態調査に乗り出した。
最大規模の調査が実施されたが、最終的に委員会は、インドにおけるカナビスの使用はイギリスにおけるアルコールの使用は同じようなもので、カナビスが精神異常を引き起こすという証拠はない、という結論を出している。
「ある人にとって適度で害にならないことでも、他の人にはそうでないこともある。適度な習慣であっても、いつのまにか知らずに度を越す習慣になってしまうこともある。しかし、これはどのような陶酔物でも見られることなので、大切なのは適度と過度を区別して考えることだ。こうした観点からすれば、適度なカナビス使用が害になるという証拠は見当たらないといえる。」
拍車をかける嘘の研究と報道
だか、度を越さない適度な、という委員会の観点はこの1世紀の間に見捨てられて、意見は両極端に分かれてしまった。片方でが、どのような場合でもカナビスは有害であると言えば、もう一方では、1960年代にカナビスがポピュラーになってきてから、全く無害であるというような意見も多くみられるようになった。
この長い論争は、カナビスには精神機能に悪作用があると言われていることをめぐる対立が根底になっている。このために、この1世紀はカナビスの悪害を検証しようとしておびただしい数の研究が行われた。
しかしながら、精神衛生や精神病などに関するカナビスの研究の多くはずさんで、悪いはずだと予見が先行したものだった。結果は、新聞の毒々しいヘッドラインとして踊り、さらに法を厳しくすべきだという根拠に使われたが、その後、別の追跡調査で元の研究結果が再現されないと、恐怖を煽る記事はゆっくりといつのまにか消えていく。
過去においては、しばしば、こうしたいいかげんな研究が何度も出ては消えていった。しかし、今日行われているきちんとした研究でも、しばしば、大きく歪められて報道されて嘘の恐怖を生み出す場合もある。
週5本のジョイントでIQが5ポイント下がる?
最近の例としては、2週間前にグローブ&メール誌のコラムに掲載されたジェーン・マルモロー博士のカナビス喫煙が 「脳をフライにする」 という警告がある。記事では、2002年にオタワのカールトン大学のピーター・フライド博士の研究を証拠にあげ、1週間に5本以上カナビスを吸っている人は障害でIQが 「5ポイント」 下がると書いている。
実際の研究では下降は4ポイントとなっているが、5ポイントとしたのは語呂あわせで許容されるとしても、何故かマルモロー博士は、カナビスを吸ったことのない若者の成長にともなう平均IQ増加率が2.6ポイントなのに対して、吸っていたが止めた若者の場合は3.5ポイント上昇していることに触れていない。さらに奇妙なのは、現在週に1~4本カナビスを吸っている者の場合、IQが5.8ポイントも上昇しているのにもかかわらず結果に触れていない点だ。
明らかに、実際の調査結果は正反ごた混ぜになっている。この研究から引き出せる唯一の明確な結論とすれば、IQの低下がカナビスを中断した元ヘビー・ユーザーには見られないという事実しかない。つまり、調査報告にも書かれているように、「知力全体には、カナビスは長期的な悪影響を与えない。」
1世紀におよぶ、科学、エセ科学、歪曲の末にやっとたどり着けた教訓は、カナビスには健康的な適量などないという新しく出てきた主張に対しては、疑いをもって掛からなければならないという事実だったと言える。本当の結論にたどり着くまでには、順に段階を経る忍耐も必要だ。科学が結論を得るには時間がかかる。
最新のニュージーランドの研究
最も最近論議を醸しているのは、ナショナル・ポスト紙に掲載された「カナビス喫煙と精神病の関連が明らかに」と題する記事で、今月の始めに出たニュージランドの研究について取り上げている。その研究では、カナビスを毎日常用しているユーザーの場合、非ユーザーと比較して、統合失調症を特徴づける幻覚などの精神病状を1.6~1.8倍も経験しやすくなる、と指摘している。
このような結論に達した研究はこれが最初というわけでもない。スウェーデンの新兵に関する調査研究やニュージーランドで行われた以前の研究でも、青少年のカナビス喫煙が統合失調症のリスクを上昇させるという結論を出している。
これらが本当ならば際立った発見ということになる。しかしながら、もしそれが正しいとしても、イギリスの元大臣がロンドンの新聞紙上で語っているように、直ちに若者以外の「どの世代」でも同じように幻覚を見るようになるという恐怖に拡大解釈してもよいことになのだろうか? われわれは全員が、コパラ女史の主張する「精神病層」の縁に立たされていることになるのだろうか?
南カリフォルニア大学のミッチ・アーリーワイン心理学教授(「マリファナを理解する」の著者)の答えはNOだ。アーリーワイン教授は、カナビスが統合失調症を引き起こすとすれば、社会全体のカナビス使用率の上昇に伴ってそれに見合った率で統合失調症も増えるはずだが、アメリカではそのような相関は見られない、と語っている。
また、オーストラリアのクイーンズランド大学のウエイン・ホールらも、相関関係を求めて過去30年間のカナビス使用を調査しているが、何の相関も見出すことはできていない。
疑問の多いアンケート質問
また、アーリーワイン教授は、カナビス使用が統合失調症を引き起こすというニュージランドの研究に疑問を投げかけている。
この研究はクライストチャーチ医学健康大学の著名な研究者であるデビッド・ファーガソン教授に率いられたチームが行ったものだが、アーリーワイン教授によると、研究者たちは実際にはカナビス・ユーザーに対する精神病の診断は行っていないと言う。
診断のかわりに行われているのが短い質問で構成されたアンケート調査で、10の精神病的な症状を列挙して被験者にそれぞれの経験の有無を尋ねて統計的に分析している。
いくつかの質問は、「他の人には聞こえていない声を聞いたことがありますか?」 とか 「誰かが自分の思考をコントロールしていると思ったことはありますか」 といったもので、明らかに誘導的で問題を含んでいる。
そのほかの質問もこれほど露骨ではないが、他人から信用されていないように感じたことがあるか、他人に監視されたり噂されたりしていると感じたことがあるか、他人に親近感を抱いたことは全くないか、自分の考えや信念が他人と共有できないと感じたことがあるか、といった具合になっている。
集計結果では、25才の被験者における平均経験項目数は、カナビス経験のない場合で0.64、月間1回以下の経験者で0.89なのに対して、毎日常用している場合は1.95になっており、控えめに言っても統計的有意性が示されたとしている。
カナビス・ユーザーにとっては全く普通の感覚
しかし、アーリーワイン教授は、見た目よりもポイント差は小さいと主張している。ニュージランドの研究が掲載された論文誌のレターの中で、教授は、カナビスの酔いではパラノイア感覚が引き起こされることが極めてありふれたことなのに、「研究者たちは、被験者にカナビス使用中に感じたものと、そうでない時に感じたものを区別するように何の指示も与えていない。」
「つまり、実際に精神病を示す長期的な影響によるものなのか、あるいは、単に酔っている最中だけに感じる普通の影響なのかを切り分ける手がかりが用意されていない」 と指摘している。
さらに続けて、「精神病を特徴づけとされる感覚は、カナビスを使っている人にとっては全く普通の感覚である可能性がある。違法なドラッグであれ、アルコールやタバコのように社会で認知されたものであれ、使っている人は冷やかな目で見られがちで、『自分の考えや信念が他人と共有できない』 気持ちをもともと持っている。」
「これは精神病を表す兆候とは言えない。と言うよりもむしろ、理性的な考えの持ち主が自分の置かれた状況を現実的に見ていることを示している。また、私服の麻薬調査官があちこちにいる状況を考慮すれば、『他人から信用されていない』 と感じたとしても不思議ではない」 と書いている。
これに応えてファーガソン教授はEメールで自分の研究方法を擁護している。「被験者にはカナビスの酔いによるものかどうが尋ねているのかというご指摘ですが、単に論文の表面にあらわれていないだけで、われわれは、デイリーまたはウイクリー・ユーザーに対して調査の意味を伝えております。」
被験者が質問に答える時に、社会的な冷やかな目に影響されているという点に関しては、「カナビス使用と精神病の症状の関連については、オランダのようなリベラルな国でも厳しい国でも同じような傾向が見出されており、そうした影響があるはずだという指摘は必ずしも当たっていません」 と反論している。
リスクは僅かだが確かに?
科学者たちの間では、統合失調症に苦しんでいる人にとっては、カナビスを含めてどのような種類のドラッグであれ、突然、精神的崩壊に発展する可能性があるので健康上好ましくないという点では意見が一致している。
しかし、その上でアーリーワイン教授は、研究が進めば、すでにその兆候のある人がカナビスによって統合失調症の発現が促進されることは明らかになるだろうが、それ以上のことはないだろうと推察している。
「統合失調症の家族を持っている人が、カナビスを使用して早い時期に精神病の症状を発現したとしても驚かないが、カナビスが実際に統合失調症を引き起こすという意見については、私はデータが支持していないと感じている。特別な環境や家族に精神病歴のない人が、カナビスを吸ったらいきなり精神病になるようなことはまずないと予想している。」
この見方に対してもファーガソン教授は異なる。結論に至るのはまだ先のことだとしながらも、予兆のない人が統合失調症になるリスクは、現在まで得られたデータでもある程度示されていると述べている。
「はっきりしないことも多いのですが、カナビスをヘビーに使っている人の場合、精神病や類似症状に陥るリスクが 『僅かですが確かに』 増えるのです。精神病になりやすい気質の人にカナビスの有害性がより表面化しやすい傾向が見られます。」
結局、ヘンプ調査委員会の結論に回帰する
ファーガソン教授の見方を要約すれば、リスクは「僅かだが確かに」あり、ヘビーな使用の結果でてくる、精神病になりやすい気質の人ほどリスクは高くなる、ということになるが、慎重な言い回しで、微妙な違いを表現している。
だが、ジャーナリストや政治家たちは彼の研究結果を使いながら、似ても似つかない警告の声をあげている。それに対して、「メディアは、われわれの研究結果で、カナビスの使用が精神病を引き起こすことが示されたと主張していますが、明らかに誇張です」 とファーガソン教授は語っている。
科学が政治の道具になっているように感じるとして、「われわれの研究に対するそのようなコメントは、カナビス問題を担当する比較的地位の固定した人たちから聞こえます。一般に、リベラルな改革指向の人たちは結果を軽く見ようとしますが、保守的な傾向の人たちは、カナビスが精神病の主要な脅威になっているという証拠として使おうとします。」
「いずれにしても、ごく微妙なグレーの影をあたかも白か黒かという議論にすり替えようとしています。私はどちらも正しくはないと考えています。双方とも、この問題に対して論理的な議論をしようとしていません。」
ファーガソン教授は自分の研究に強い自信を抱きながらも、先走って政治の攻撃材料として使われるべきではないとも主張している。研究の結果は、「医療目的のカナビスの利用を禁じたり、カナビス所持に非犯罪化要求を阻止するための根拠にはなりません。結果が示していることは、カナビスが精神に作用する物質であり、ヘビーな使用には副作用があるので、適切な注意を払いながら使うべきだということです」 と書いている。
表現の仕方は新しいが、結局、「度を越さす適度な使用」 という1893年のヘンプ調査委員会の意見と何一つ変わっていない。
Source: The Ottawa Citizen
Pub date: 21st March 2005
Subj: How Science Is Skewed to Fuel Fears of Marijuana
Author: Dan Gardner
http://www.thehempire.com/index.php/cannabis/news/how_science_is_skewed_to_fuel_fears_of_marijuana/
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マドリード発ロイター。スペイン東北部のバルセルナを中心とするカタルニア地方では、深刻な病気の人たちにカナビスを処方できるようにする、との健康局の担当者が火曜日の会見で発表した。
この先駆的なプロジェクトは国の健康省の認可を求めている最中だが、認められれば4つの病院と60の薬局を通じてカナビスを化学療法や長期の痛みに苦しむ患者さんたちに処方することを計画している。カタルニア健康顧問のマリア・ゲリ氏は「慢性疾患の患者さんでパイロット・プログラムを開始します」と記者団に語った。
スペインではカナビスは違法になっているが、医師が他の医薬品ではあまり効果が望めないと判断した患者さんに対してカプセル入りのカナビスを処方することにしている。
健康省では、まだ技術的な問題を調整中でプロジェクトの正式な開始日を決めていないが、国と地方との間では「良い相互理解」が進んでいると述べている。ゲリ氏も、プログラムの追跡調査に参加する患者さんたちには今年の前半にもカナビスを提供できるだろう、と語っている。
Source: Reuters
Pub date: Tuesday February 1, 2005
Subj: Spain: Catalonia plans cannabis prescriptions
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オランダの研究報告
オランダ政府は、最近、カナビスを販売しているコーヒーショップの閉鎖する意向を強めているが、その根拠にあげている最近の研究に対して、オランダの3人の研究者たちは、カナビスの使用が統合失調症を引き起こすという科学的な証拠はない、として疑問を投げかけている。
精神医学者たちの意見交換専門雑誌の今週号に掲載された記事の中で、3人の著者たちは、現在利用可能なデータからは 「コーヒーショップを閉鎖しようとする提案を正当化するものは何もない」 と述べている。
統合失調症は、通常、ドラッグを使い出す青年期に発症することが多いが、カナビスの使用がネガティブな影響を与えるのは、もともと遺伝的に精神病になりやすい人に限られると指摘し、「従って、家族に統合失調症歴があったり、統合失調症の両親を持つ若者はカナビスをやめたほうがよい」 と書いている。
このところ、オランダ政府は、規制・管理しているコーヒーショップのカナビス販売に対して厳しいルールが適応しており、ショップの数は目立ってに減少してきている。今年になってからは店内でのアルコールの販売が禁止され、さらに、2005年からはコーヒショップも含めてすべての店舗内でタバコの喫煙も禁止されようとしている。
2002年の統計によると、オランダには780軒あまりのコーヒーショップが営業しており、そのうち270軒がアムステルダムに集中している。
Source: Reuters
Pub date: 20th August 2004
Subj: No Marijuana Link To Schizophrenia
Web: http://www.thehempire.com/index.php/cannabis/news/study_no_marijuana_link_to_schizophrenia/
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大麻は、世界的な視野で見れば、間違いなく規制緩和の流れにある。嗜好目的だけでなく、産業的な利用においても同様だ。
個人の大麻少量所持が非犯罪化されている国も多いが、反大麻論者のなかには、非犯罪化は合法化ではないと主張する者もいる。
大麻は、先にレポートした薬物政策研究者氏の論稿にもあった通り、麻薬単一条約という国際条約によって規制されている。だから、この国際条約を批准している国では大麻の合法化はできない。合法化はできないが、どのような規制内容にするかは各国政府に裁量の余地があり、麻薬単一条約批准国でも非犯罪化政策は成立している。
メドさんは言う。
英国の薬物濫用諮問委員会の言葉を使えば、『大麻は疑いなく有害だ』ということです。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/east_106/view?.date=20060130
しかし、その英国では、メドさんがこの文章を書いた2年前、2004年に、個人の大麻少量所持は逮捕しない施策が講じられているのである。
メドさんは別のページにも英国の例を引いている。
日本でも、今まで通りの警察による大麻取締りだけでなく、その有害性を教育・広報する必要が迫られているようです。
英国のように。
「日本の精神病院の現状(2)」http://geocities.yahoo.co.jp/gl/east_106
これは2006年2月1日(水)にお書きになったようだが、この時点で既に英国では個人の大麻少量所持の取り締りなど行われていないのである。メドさんはそれには触れず、日本でも「有害性を教育・広報する必要」がある点のみを説いている。「英国のように」、とか言って。ずるい。日本も、大麻の非犯罪化政策とセットで注意を喚起するなら私も賛成である。英国のように。
「大麻は疑いなく有害」であるなら、酒も煙草も疑いなく有害である。有害でありうるものをどのように規制するか。それがこの問題の本質である。大麻の非犯罪化を主張する者は、少なくとも私たちTHCは、大麻に全く害がないなどという主張をしているのではない。アルコールや煙草よりも害がない大麻を、逮捕や懲役といった刑罰を以って規制するのはあまりにも過剰であり、人権侵害ですらあると主張しているのだ。
メドさんは、続けて大麻と日本脳炎の比較に果敢な挑戦を試みている
引用。
大麻が起こす統合失調症も、入院がしばしば必要になる、本人も家族も長期に苦しむ重い病気です。
大麻が統合失調症を起こすという断定への反論は稿を改めるとして、メドさんの結論はこうである。
保健行政の観点から、(もちろん両方大事なのですが)「危険を1%減らす大麻使用追放」と、「危険を0.3~0.03%減らす日本脳炎予防」は、どちらのほうが大事でしょうか?
答えは明らかです。
私には意味が分らない。統合失調症になる可能性が1%増える危険を理解した上で、個人の意思で使うことも使わないこともできる大麻と、個人の意思とは無関係に罹患する病の予防接種の効果とを比較して、果たして何の意味があるのだろう。このような数字はいくらでも出せるだろう。例えば、アルコールを禁止にすれば、肝臓疾患の発症率を相当に抑制できるだろうし、煙草の所持も懲役刑で取り締れば、癌になる人の数も相当に減るだろう。だが、メドさんは、アルコールや煙草といった嗜好品の危険性とではなく、何が言いたいのか、大麻規制と日本脳炎の予防接種の効果を比べるのである。本質的に別物だと客観的な比較はできないと言いながら、大胆である。
そもそも、メドさんが断定するように、大麻の使用は統合失調症を起こすのだろうか。
(つづく)
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カナビスの唯一の問題点
アルコールやその他のドラッグについてわれわれの考え方を再評価すべき時に来ている。
純粋に客観的な観点にたてば、アルコールはリクレーショナルなハードドラッグだと言うことができる。気持ちは鈍くなるし、簡単に深酒に陥るし、攻撃性や不注意、失意にも密接に結びついている。ドラッグをやっている最中の人間は暴力犯罪や事故を起こしやすいが、そも最もたるものがアルコールだ。
アメリカでは、殺人の65%、年間に7万件にも及ぶ学校でのレイプの55%、交通事故死の39%、全外傷性傷害の33%、水死などの事故死の33%、ティーンの自殺の25%にはアルコールが関係している。毎年、アルコール関連の慢性病では15万人が亡くなり、3000人がオーバードーズ(急性アルコール中毒)で死亡している。
しかし、アルコールにもメリットはある。1日に1、2杯程度の節度ある使用ならソフトドラッグのように作用し、社交的になったりリラックスしたりしてしばらくは楽しく過ごすことができる。長期的にも、血圧やコレステロール値を下げたり、心臓発作のリスクを低くしたり、長生きを促すといった好ましい効果もある。
同じようなことが薬局の医薬品にも言える。プラス面もあれば、多くのリスクもある。痛みに対処するには、薬局のアスピリンやアセトアミノファンなどの鎮痛剤は欠かすことはできないが、それで年間1万5000人が死んでいる。抗うつ剤のパキシルは自殺のリスクを高め、抗不安薬のザナックスは中毒性が高い。
また、不眠症のアンビエンは夢中歩行や居眠り運転を引き起こし、関節炎のアダリムマブはガンのリスクを3倍に高める。ぜんそく薬のサルメテロール・フルチカゾンは肺炎を起こすこともある。感染病のテリスロマイシンは肝臓傷害に関係している。最近、皮膚ガン薬として復活したサリドマイドは、恐ろしい出生異常を引き起こすことが知られている。
子供たちには、ADHD薬としてリタリンやストラテラなどが処方されているが、毎年、何千人もが副作用で病院に運ばれ、何百人もの子供たちが自殺しようとして服用したと語り、混乱のなかで死んでいく子供も少なくない。さらに、オレゴン州では、医師が、末期患者に意図して致死性の「医薬品」を処方することさえ認めている。
また、合法的な興奮剤であるカフェインは、コーヒやソーダ、エネルギー・ドリンクとして広く行き渡り、毎日のように子供の含めどの世代にも使われているが、たとえ適度な摂取でも心臓まひのリスクが高まり、5グラム(コーヒー33杯分)以上なら死んでしまう。
このように、われわれの社会は、明らかに危険な薬物の摂取も認めている。つまり、十分な情報を用意した上で、安全に責任を持って使うか、さもなければ使わないかを選択できるようになっている。
ここで振出に戻って、われわれは、何千万人ものアメリカ人が、極めて安全ながら何故か密かに使い続けてきたもう一つのドラッグことを見直さなければならない。そのドラッグとは、カナビスのことだ。
第1に、国中の警察は、カナビスがアルコールとは違って、暴力や無謀な行為を引き起こさないことを認めている。
第2に、連邦の麻薬取締担当のバリー・マカフェリー長官が諮問して設置された委員会が1999年に発表した包括的な報告書では、カナビスが、「明らかな効果を持った医薬品であり・・・化学療法にともなう吐き気やエイズの衰弱、深刻な痛みなどの病状を適切に調整する働きがある」と結論付けている。
また、2004年に発表された研究では、カナビスがガンマヘルペスを阻害し、2005年には、動脈硬化の進行を遅くし、2006年のUCLAの研究では、カナビスの使用が肺ガンを引き起こさず、腫瘍の成長を抑制することも明らかにされた。2006年のオハイオ大学の研究では、アルツハイマーの進行を止めることも示された。
確かに、特定の分野では、カナビスよりも効果の高い医薬品もたくさんあるが、カナビスには毒性がないという他に見られない利点が備わっている。連邦麻薬局自身も、1988年に、カナビスで死亡した事例は歴史上の記録にはないと認めている。
第3に、リクレーショナル使用に関しては、2002年に、独立法人ランド研究所が、カナビスにはゲートウエイ・ドラッグとしての働きはなく、ティーンエイジャーをハードドラッグに導くようなことはないと結論付けている。また、製薬会社のメルクによれば、カナビスの活性成分であるTHCは、アルコールやタバコと違って身体的な依存性を起こさない。メルクの研究者たちは、カナビスに対する反対意見は、「道徳や政治に根ざしたもので、毒物学にもとづいたものではない」 としている。
現在、カナビスを少なくとも医療利用に関しては10以上の州で認めらてきたように、ゆっくりとではあるが、良識ある考え方も支持を獲得しつつある。しかしながら、連邦の立法府は、科学や道徳的な根拠もないのに、依然として、カナビスのユーザーを逮捕して処罰し続けることを望んでいる。
だが、カナビスの個人使用においては、正当な連邦のエージェントがドアを蹴破り、誰の害にもなっていない人をヤクザのように扱い、逮捕して財産を没収しなければならない理由などない。70年以上におよぶカナビス禁止法で、アメリカ市民は、法の不公平ゆえに残酷で常道を逸した処罰に苦しんできた。
投獄されるのは、われわれを脅かす殺人者やレイプ犯、虐待犯、泥棒、さらに、アルコールやカナビスや睡眠薬の影響下で運転をする人間たちに絞るべきだ。
さらに言えば、この秋、国連は、過去30年の栽培技術の進歩でカナビスの効力が5倍になって危険が増えているとして、地球的規模でさらなる抑圧政策を取ることを主張している。しかし、この主張なナンセンスだ。これは、ウイスキーとビールのことを考えてみれば明らかだ。ウイスキーはビールよりも8倍も効力があるが、人々は単に摂取量を調整して望む酔いを得ている。効力の違いで逮捕されたりしない。
もし、政府が本当にカナビス問題を解決したいのなら、タバコ農家にカナビスの栽培を認め、政府は税金を得て、FDAがそれを監視すればいい。アルコールの会社にカナビスの販売を認め、警察はそれをコントロールし、大人にはカナビスを使えるようにすればいいのだ。カナビスをめぐる唯一の問題は、違法であることだけだ。
Source: Orange County Register
Pub date: 31 Dec 2006
Subj: Marijuana's Only Problem
Author: Chip Parkhurst
http://www.mapinc.org/norml/v06/n1751/a06.htm
カナビス・スタディハウスからの転載です
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カンナビス・メドさんの記述引用。
では、「利点」についてはどうでしょうか。
適量の飲酒は、心血管疾患を減らすことなどを通じ、健康に貢献するのは「酒の利点」です。
ところが個人的な大麻の使用については、何らかの形で健康に寄与できるという研究報告は1つもありません。
つまり、アルコールと異なり、大麻に「利点」は見つかっていません。
これは、英国の薬物濫用諮問委員会の言葉を使えば、『大麻は疑いなく有害だ』ということです。
総体的に見て、害しかないものは抑制政策をとる。
利益になる使い方ができるものは、そのような使い方を奨励する。
これが健全な保健政策といえるでしょう。
健康上のメリットがないという点においては、個人による大麻吸引は、日本脳炎ウイルス感染に似ています。
これがどういうことなのか、健康に害しか及ぼさないという点で共通な、この二者を比べてみましょう。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/east_106/view?.date=20060130
適量の飲酒には心血管疾患を減らすなどの利点があるが、「個人的な大麻の使用については、何らかの形で健康に寄与できるという研究報告は1つもありません」という。筆者は大麻がさまざまな疾病に効果があるという研究報告、臨床報告をご存知ないらしい。
既によく知られたところでは、多発性硬化症に効果がある。カナダでは2005年にGWファーマスティーカルズ社の大麻由来の製剤、Sativexが認可され、売られている。
・同社の広報
http://production.investis.com/gwp/pressreleases/currentpress/2005-04-19/
私自身が裁判で引用した「マリファナの科学」(レスリー・L・アイヴァーセン著、伊藤肇訳.築地書館)にも次のような記述がある。
「大麻の吸引によって進行癌患者が痛みに耐えることができるようになった、癌治療に使う化学療法薬によって起こる悪心が和らげられた、緑内障患者の眼圧を下げることができた、といった事例を報告する研究がますます多くなっている。」
「娯楽目的での大麻の吸引には有害なケースもあるが、コカインやアルコール、タバコほど危険なものではない。」
「大麻には悪い側面と良い側面があり、適量が用いられる限り、娯楽利用の価値もあるとともに、治療上から見ても有望である。」
「近年では、後天性免疫不全症候群(AIDS)や多発性硬化症など、さまざまな肢体障害をもたらす病気を患う数千人の患者が、症状を和らげてくれると確信して、非合法でのマリファナの吸引を始めている。」
「マリファナはその使用者をリラックスさせ、気持を落ち着かせるが、アルコールはときとして攻撃的で暴力的な行動を引き起こす。」
「何世紀にもわたって大麻が安全な医薬品として使われてきて、欧米諸国で何千人という患者がその薬効を信じて疑わないのに、どうしていまさら問題がありえよう。なぜ欧米諸国は、医師が患者に処方できるように大麻を合法化しようとしないのだろうか?」
「患者に安全で効果のある薬剤を認めない根拠が、果たしてあるのだろうか。」
そして、その英国では、既に個人使用の少量の大麻で逮捕しない施策が実施されている。大麻の危険度をダウングレードしてのことだ。多分、客観的に比較したのだと思うけど、メドさんはどう思う?
上に引用したような大麻の医療的効果は、個人にとって、特に大麻の効果が期待できる疾患を持つ個人にとって、命に関わる大きなメリットではないだろうか。
医療使用と嗜好目的では話が違うという意見があるかもしれない。
だが、日本の大麻取締法は医療目的ですら大麻を使うことも、医者が施用することも禁じているのだ。そして、そのような状況は生存権を侵害する憲法違反ではないかという主張を、司法は審理もせずに一切無視し、20年以上前の判例に拘泥しているのである。
「大麻には悪い側面と良い側面があり、適量が用いられる限り、娯楽利用の価値もあるとともに、治療上から見ても有望である。」
大麻問題で英国上院の委員会顧問を務めた科学者の論を否定する根拠を、カンナビス・メドさんはお持ちなのか。大麻に利点がないなどいう主張は机上の空論、もしくは「妄想」でしかないだろう。
カンナビス・メドさんは、アルコールより大麻のほうが害がないのはよく知られたことだけど、本質的に別物なので、客観的に比べる方法はないという。そう言っておきながら、利点については、酒は心血管疾患を減らすが、大麻には利点がないと言う。利点については本質的に別物でも比較できるのはどうしたことか。
医療的な大麻の効果についても、カナビス・スタディハウスさんにたくさん記事があるので、メドさんは偏見を捨てて読んでほしい。
酒の心血管疾患への効果を認めながら、カナダでは医薬品として認可までされている大麻の利点は無視し、「総体的に見て、害しかないものは抑制政策をとる」という主張は、大麻への偏見と無知を晒した「ダメ。ゼッタイ。」的な戯言でしかない。論の体をなしていないさ。
健康上のメリットがないという点においては、個人による大麻吸引は、日本脳炎ウイルス感染に似ています
本質的に別物であると客観的な比較はできないという持論のカンナビス・メドさんであるが、なんと、今度は大麻と日本脳炎ウイルスを比較するのである。
(つづける)
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カンナビス・メドさんの2006年1月30日付トピック情報に「大麻取締法は憲法違反? (1)利点のない大麻」というページがあります。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/east_106/view?.date=20060130
2005年3月、大麻取締法違反被告事件で被告側が出した控訴趣意書に、次の意味の記述がありました:
『大麻はアルコールほどの害がないので、飲酒が合法である以上、大麻所持を禁ずる大麻取締法24条は、憲法14条に違反する』
さて、「害」について考えてみます。
大麻はアルコールほどの害がない、というのはかなり知られた事です。
そして濫用すれば、アルコールはかなり高い確率でおかしなことになります。
しかしうるさいことを言えば、本質的に両者は別物なので、客観的に比べる方法はありません。
両方害がある、というのが正確なのですが、その大小比較は簡単なことではありません。
「大麻はアルコールほどの害がない、というのはかなり知られたことです」とあるように、カンナビス・メドさんは、大麻にはアルコールほどの害がないことをご存知のようです。それも「かなり知られたこと」だとまで書いているのだから、言葉を変えて言えば、大麻にはアルコールほどの害がないことは「公知の事実」だということを筆者はご存知なのでしょう。
大麻とアルコールの比較については、カナビス・スタディハウスさんにも複数の記事が翻訳され、紹介されています。
・アルコールとのリスク比較 英政府系サイトのデータで比較する
Source: UK Cannabis Internet Activists (UKCIA)
Subj: So, what about the health risks the government is always going on about?
Web: http://www.ukcia.org/culture/effects/risks.php#mh
・カナビスはアルコールよりも安全な選択
Source: SAFER Colorado
Subj: Marijuana is safer than alcohol!
Web:http://safercolorado.org/safer-doc" target="_blank"> http://safercolorado.org/safer-doc
・英科学技術委員会ドラッグ新分類を提言 カナビスはアルコールやタバコよりも害が少ない
Source: BBC News
Pub date: 31 July 2006
Subj: UK: Drug classification rethink urged
http://www.ukcia.org/news/shownewsarticle.php?articleid=11548
しかし、カンナビス・メドさんは、この大麻とアルコールの害の比較について、なんか、負け惜しみのようにも聞こえるんですけど、「うるさいことを言えば、本質的に両者は別物なので、客観的に比べる方法はありません」とのこと。
うるさくはないけど、不可解です。そんなことを言ったら、異なる物質の客観的な「害の比較」自体がそもそも成立しないではありませんか。
ヘロインと大麻だって、両者は、そりゃもう本質的に別物なので、客観的に比べる方法はないのでしょうか? それではハードドラッグとソフトドラッグといった分類すら成立しません。その両者を区別するオランダの薬物政策は客観的な比較ではなく、大臣か誰かの直感とか主観とか実感で決めたのでしょうか?
ソレとコレは違う物質だが、それぞれ、どのような害が、どの程度あるのか。それを科学的に数値化するのは客観的な比較でしょう。
「うるさいことを言えば、本質的に両者は別物なので、客観的に比べる方法はありません」というのは、「アルコールはアルコール、大麻は大麻、別物です」と言っているだけのことではないでしょうか。
(つづく)
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