無罪スイス人の勾留、最高裁が認める決定
2007年12月14日17時45分 朝日
一審で無罪判決を言い渡されたスイス人の女性被告(28)が東京高裁によって再び勾留された問題で、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は、勾留の取り消しを求めた弁護側の特別抗告を棄却する決定をした。この外国人被告について「犯罪を疑う相当な理由がある」として勾留した東京高裁の判断は妥当だと結論づけた。
決定は13日付。
スイス人女性は昨年10月にスーツケースの中に覚せい剤約2.3キロを隠して輸入しようとしたとして、覚せい剤取締法違反と関税法違反の罪に問われた。
今年8月に千葉地裁が無罪を言い渡したため、検察側は控訴と同時に被告の勾留を地裁に申し立てた。地裁は勾留を認めたが、弁護側の抗告を受けた高裁第4刑事部は地裁の決定を取り消した。
その後、控訴審の審理を直接担当する高裁第5刑事部が職権で勾留を決定。弁護側の異議申し立てを受けた高裁第6刑事部も棄却したため、弁護側が不服として特別抗告していた。
同じ問題は、97年に東京都渋谷区で起きた女性会社員殺害事件のネパール人被告のケースでも問題となり、最高裁第一小法廷が00年に勾留を認める判断をしている。
このニュースを読んでまず思ったのは、そもそもこのスイス人女性は無実なのではないか、という疑いだ。この記事からは事件の詳細は分からないが、スーツケースの中に覚せい剤が隠されていたことなど、このスイス人女性は全く知らなかったのかもしれない。誰かに騙されたのかもしれない。上告中の祐美さんのように。だから、あの千葉地裁が無罪判決を出したのではないか。だが検察が控訴した。
この国の裁判は、被告が控訴しても高裁はあっさり審理もせずに棄却するが、検察が控訴した場合、高裁はほぼ検察の言いなりだ。何度そんな裁判に愕然としたことか。高藤さんのように、全くの無実であってもだ。
一審で無罪の判決が出たスイス人女性を、検察は、日本から出られてしまったら控訴審ができなくなるから牢屋に入れておいてくれと裁判所に言い、裁判所は、ハイ分かりましたと許可を出す。人権感覚の壊れた「検察官」「裁判官」という肩書きのファシスト。
このスイス人女性は、二度と日本などに来たくないと、怒りとともに感じているのではないだろうか。
「疑わしきは被告人の有利に」という刑事司法の原則があるとかないとか。まあ日本にはないのだろう。我が国では、疑わしきは、一審は無罪でもとりあえず牢屋にぶち込んどけ、という、戦前の特高警察(*1)的な悪しき正義が、官憲によって信じ込まれているのである。これを正義だと思ってやっているのであろうことが、何よりも怖い。
(*1)特高警察をWikipediaで読み、現官房長官の町村信孝の父は特高を指揮した内務官僚だったことを知った。な~るほど、人を見下したあの薄気味悪い横柄さはその血統にも理由があるのかと妙に納得である。
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厚労省と製薬会社による国民の命への犯罪、薬害C型肝炎の問題で、大阪高裁はやはり国家権力側に立った「和解案」を示した。原告たちは怒りを募らせている。
<薬害C型肝炎>「バカにするな」涙の原告、決意新た
12月13日22時29分配信 毎日新聞
刑事事件ではないが、この問題にしても、国民が裁判に参加する制度があれば、結果は全く違ったものになっていたのではないだろうか。明らかに国に過失があるのだ。厚労省医薬食品局は、フィブリノゲンを投与された者たちのリストを倉庫に放置までしていた。厚労省が国民をまず第一に考えていたら、死なずに済んだ命があっただろう。厚労省は国民を殺しておいて、ふんぞり返っている。
昨日のニュースでは、世田谷で一家4人が殺害された事件から犯人を逮捕できないまま7年が経過したことや、警察庁が事件に関する有意な情報に懸賞金を付けると発表したことも報じられた。このような重大な事件の犯人を捕まえることのできない警察が、犯人でもない者を犯罪者にでっち上げ、暴力的で恫喝的な取り調べによって無実の者を刑務所にぶち込んでいる。
<懸賞金>世田谷など指定 新たに3事件対象に 警察庁
12月14日5時0分配信 毎日新聞
一方、三菱自動車製の大型車からタイヤが脱落し、母子3人に直撃して死傷させた事件では、初めて企業の責任を認めて有罪とする判決が出たが、禁固1年6月・執行猶予3年だそうである。金儲けを優先して安全をおろそかにした結果招いた死亡事故なのに、ちょっと大麻を持っていたのと同じ程度、あるいはそれより軽い程度のお裁きだ。
脱落タイヤで母子3人死傷、三菱自の元2幹部に有罪判決
12月13日23時22分配信 読売新聞
この国の政治は、政治家ではなく、官僚が仕切っている。省益と保身と天下り先の心配しかしていない、倫理の退廃した、腐りきった官僚が日本を牛耳っている。司法もまた然り。自民党政治はその官僚システムに乗っかって、業者との癒着に安住している。
今年を漢字一文字で表すと「偽」だそうだが、私には「怒」の一年であったように思う。
怒りを前進するパワーに。来年に向けてアクセルを踏み込みたい。
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薬害エイズといい、薬害肝炎といい、国民の命をないがしろにして開き直る厚生労働省医薬食品局の体質は、この国の官僚がどこまで腐っているか、いかに国民のことなど考えていないかを、あからさまに物語っている。
過日のニュース番組でも、薬害C型肝炎に苦しむ者の悲痛で切実な言葉を、ふんぞり返って背中で聞く官僚らの横柄な姿が画面に映っていた。
原告たちとの初めての面会のとき、マスゾエ大臣がにこにこして歌でも歌いたそうな顔で現れたのは引いた。原告たちの落胆は深かったに違いない。
堺屋太一さんが、我が意を得たりの解説をされている。
――いろんな問題があります。そういうことを考えると日本の官僚はきわめて優秀でない。国際的にみると競争力がないというんですが、日本の官僚は外国の官僚より相当に劣る、と言われるようになりました。そこで官僚のどこが悪いかということを考えてみますと、まず大きな問題として官僚に倫理観がない、倫理が腐敗している。
(中略)
けれども、もっと大きな問題はこちらです。倫理の退廃。何が良いか分からない、何が良いことか何が悪いことか分からなくなる。これがいちばん問題なんです。
(中略)
じつは、いま日本の官僚はこの倫理の退廃に陥っているのではないか、これが大問題です。
堺屋太一のビデオコラム vol.89 腐敗官僚天国・日本 2007/12/10 [JANJAN]
厚生労働省や防衛省だけではない。司法官僚もまた同じ霞ヶ関のムジナだと思う。
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報道によると、「総務省、青少年の携帯・PHS利用でフィルタリング機能を原則義務化」らしい。
ワンクリック詐欺とか、犯罪を仕事として依頼したり引き受けたりする掲示板とか、明らかに規制したほうがいいウェブサイトというのはあると思う。やる奴はまた別のサイトを立ち上げるだろうからイタチごっこだろうが、かといって放置して良いことにもならない。だから、特に未成年者が利用する携帯端末に有害サイトアクセス制限の機能を付けること自体に私は反対ではないが、問題は言論の自由との兼ね合いで、現政府や政策に批判的なサイトへのアクセスを制限するようなことがあってはならないだろう。そういうことをしそうな行政だから怖い。
原則義務化されるという未成年ユーザーへのアクセス制限は、どのようなサイトを対象にしているのだろう。どのサイトが有害であると、誰が決めるのだろう。気になる。
当サイトはasayake.jpというドメインを使っているが、どうも当方のドメインを排除している無料ブログのサービスなどがあるようだ。同じパソコンと通信環境から、別のドメインでは登録できるのに、このドメインでは登録できない。運営会社に確認したいと思っているが、個別のドメインについては回答できないとか言われそうだ。
情報が古くて根拠もないことが明白なのに、国民に平然とデタラメな薬物情報を与え続けている「ダメゼッタイ」のサイトこそ、有害サイトとしてフィルタリングの対象にしてもらいたい。
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喉頭(こうとう)がんで闘病生活を続けていたロック歌手、忌野清志郎(56)が8日、東京・北の丸の日本武道館で行われたチャリティー公演「ジョン・レノン スーパーライヴ」に出演し、1年半ぶりに活動を再開させた。敬愛する元ビートルズのジョン・レノン(享年40)の命日に合わせ表舞台に登場。ジョンの未亡人、オノ・ヨーコ(74)との競演で完全復活をアピールした。
清志郎、復活だぜベイベー!がん乗り越え1年半ぶり活動再開
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以下は、実話ナックルズvol.3(10月25日発売の号)に書いた原稿です。「不都合な大麻の真実」という題で書いたのですが、編集部が一般読者向けに「大麻取締法はダメゼッタイ」と分かりやすく改題してくれました。12月25日発売の号にも連載の予定です。
大麻にはアルコールやタバコほど有害性はない。アメリカの国立薬物乱用研究所も、イギリスの下院科学技術特別委員会も、そう報告している。
近年、海外では大麻の薬学的価値が次々と明らかになり、癌細胞の成長を抑制する働きも報告されている。
ところが、我が国では、GHQに大麻取締法を強いられて以来、厚生労働省は大麻研究をしたこともなく、膨大にある海外の研究データすら持っていない。それでいて、厚労省所管の天下り財団法人、麻薬・覚せい剤乱用防止センター(ダメセン)は、「社会問題の元凶ともなる大麻」は「ダメ。ゼッタイ。」だと国民に周知している。
しかし、このダメセン大麻情報に医学的根拠はない。私たちが調べたところ、日本の公的薬物情報である「ダメ。ゼッタイ。」は、14年以上前にダメセンがアメリカの反薬物団体から輸入して販売していた薬物標本の説明書を翻訳しただけのものであることが明らかになった。昨年10月、厚労省もダメセンの天下り専務理事も、私たちの指摘に対し、内容が古くて見直す必要があることを認めている。ああそれなのに。偏見に満ちたデタラメ大麻情報が未だに放置され、いつまでたっても見直される様子がない。
私たちは、ダメセン大麻情報を医師に検証してもらい、具体的な修正や削除を要望書として提出した。が、厚労省とダメセンの回答は、「回答する法的義務はない」というものだった。腐っているのは年金泥棒の社保庁だけではない。
私たちは厚労省とダメセンを訴えるべく準備中だ。大麻所持で服役中の者からも原告に名を連ねたいと手紙が届いた。
厚労省の担当者とダメセンの天下り専務理事、よ~く首を洗って待っていてもらいたい。
厚労省を訴える件は、行政訴訟の学究的弁護士にも打診しましたが、やるとなれば複数の弁護士で弁護団を組み、数年かかるだろうから、弁護士の費用は1人数百万円というヒィ~現実的な提示だったので、やはり本人訴訟しかないかと考え、手分けして訴状を作成しているところです。
門前払いの可能性も高いのですが、これまで明らかになっている大麻の医学的研究や、海外の事情を社会学的に総括する内容として構成しているので、今後の展開の基盤として使えるデータになると思います。訴訟提起は年が明けてからになります。
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茶箱の中身が大麻だと知りながら密輸入しようとしたという無実の罪で服役している久保田君と高藤さんは、二人とも取り調べで刑事に怒鳴られ、脅されたと話していた。
久保田君などは刑事に怒鳴り散らされ、泣き出してしまったそうだし、言ってもいないことを供述調書に書かれ、署名させられたという。
高藤さんも取り調べの当初から茶箱の中身が大麻であることなど知らなかったと言い続けたが、そのことは調書に書いてもらえなかったと話していた。脅しのような取り調べに折れ、高藤さんは裁判で裁判官に本当のことを言えば当然無罪の判決が出ると信じ、何を言っても聞き入れない刑事とのやりとりに嫌気がさし、仕方がないので調書に署名したそうだ。杜撰な取り調べと裁判によって、二人とも懲役3年6月の実刑が確定してしまった。
取り調べが適切に行われているかどうかを確認するためには、その様子を録画・録音しておくのが最善だろう。全くどういうことだか、取調室ではなく留置場でのことらしいが、想像を超えるような現実がある。
時事通信の記事。
2007/12/07-01:38 浦安署巡査長を逮捕=拘置女性にわいせつ行為-千葉県警
拘置中の女性にわいせつな行為をしたとして、千葉県警浦安署は6日、特別公務員暴行陵虐容疑で、同署刑事課巡査長の中村憲司容疑者(26)を逮捕した。「警察の信用を傷つけた。深く反省している」などと話し、容疑を認めているという。
調べでは、中村容疑者は浦安署で看守係として勤務していた3月15日ごろ、留置場内で、起訴後拘置中だった女性(22)の胸や下半身を触るなどした疑い。中村容疑者と女性はいずれも「お互いに好意を持っていたからやった」などと話しているという。
女性は留置場を出て4月以降、中村容疑者と交際していたが、夏ごろに殴られて頭部などに7日間のけがをし、10月に別れた。県警は傷害容疑でも同容疑者を調べる。
時事通信
まるで監獄風味の風俗店だ。
民主党が参院に提出した、取り調べを可視化するための法案が成立することを強く願う。
民主党:「取り調べ可視化法」参院に提出
民主党は4日、容疑者の取り調べの全過程を録音・録画(可視化)することを盛り込んだ刑事訴訟法の一部改正案を参院に提出した。自白の信用性を理由とする無罪判決が相次いでいることに加え、裁判員制度で市民の裁判員が自白の真偽を判断しなければならないことを考慮した。
民主党は06年3月、同様の法案を衆院に提出したが、審議は行われていない。優位を占める参院で可決して世論に訴え、慎重な議員が多い自民党を追い込んでいきたい考えだ。
今回の法案は(1)任意捜査も含め取り調べの全過程の録音・録画の義務付け(2)録音・録画がない調書が被告に不利な場合、証拠とすることはできない(3)検察官に対し、証拠品目を記載したリストを作り、公判前に被告側に開示するよう義務付け--など。録音・録画を巡っては検察は昨夏から一部事件で試行しているが、すべての事件と過程を対象にすることは否定的だ。【坂本高志】
毎日新聞 2007年12月5日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071205ddm012010074000c.html
冤罪は取調室で作られる。取調室にはこれまた風俗風味の覗き窓ではなく、防犯カメラが必要なのである。
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祐美さんの控訴審判決文です。長いので簡単に言うと、「祐美さんの言ってることは信用できないし、利用されていたのかもしれないけど、惚れた男のために大麻の密輸を手伝うこともあるかもしれないから、有罪にする」という内容です。
控訴審の初めての期日に、即日棄却。本当に祐美さんが嘘をついているのかどうか、審理もせずに。祐美さんが缶詰の中身を知っていた証拠は何もないのだ。疑わしきは実刑。懲役5年。控訴審の初日にこのような判決を言い渡すとは、裁判官池田修・吉井隆平・兒島光夫は、初めから審理などする気がなかったということだ。こんな裁判に何の意味があるだろう。もし、裁判員制度がこのような事案にも適用されて、祐美さんの言葉を普通の市民が聞き、確認すれば、こんなデタラメで滅茶苦茶な棄却の仕方はあり得なかったのではないだろうか。
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人気ブログランキングのクリックをして下さっている方、ありがとうございます。野中さんも書いている通り、大麻取締法を巡る問題への関心の高さを示す指標として、引き続きのご協力をお願い致します。
今年、これまでにどのくらいのアクセスがあったのか、解析を見てみました。下記の表がその統計です。
「ページビュー数」は、当サイトがあるasayake.jpドメイン以下のページが表示された回数で、「訪問回数」は大雑把に言うとアクセスした人の延べ人数です。asayake.jpには「大麻取締法被害者センター」「english」「検証ダメゼッタイ」「世界保健機関大麻レポート'97」「大麻百貨店あさやけ」のウェブサイトがあります。
例えば11月は、41,525回のアクセスがあり、延べ220,267ページが閲覧されたことになります。1日平均1,384回のアクセスがあり、7,342ページが閲覧されています。官公庁やマスコミからのアクセスも結構あります。官公庁で一番アクセスしてくれているのは厚生労働省で、「厚労省・麻薬防止センターとの対話」のコーナーや、「大麻取締法違憲論裁判」が好きなようです。最高裁や衆議院からもかなりアクセスがあります。お役人さま、よく読んで勉強し、お仕事に活かして下さいね。人気ブログランキングのクリックも忘れずに、よろしくね。
マスコミからのアクセスも、産経を含む新聞各社や、NHKやTBSといったドメインからも来ています。記者のみなさん、よく読んで勉強し、お仕事に活かして下さいね。人気ブログランキングのクリックも忘れずに、よろしくね。
THCの取り組みを支持して下さるみなさん、来年もどうぞよろしくお願い致します。良いお年をお迎え下さい。
・・・まだちょっと早いか。
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法律・法学ブログランキングで一位になることは、それだけ多くの人がこの問題に関心を持っていることを示すと同時に、より多くの人に関心を持ってもらえる機会になると思います。
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皆さんのカチカチが世論を動かす力となります。
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前略
安曇野はもう雪が降っているのですね。朝夕はひときわ冷え込む頃となって参りました。
白坂さん、お変わりなくお過ごしですか?
東京拘置所もすっかり冬らしくなってきました。
長い間、御無沙汰しております。先日は控訴審に際して電報を頂きまして有難うございます。にも拘らず御礼の手紙すら差し上げず大変失礼致しました。そして、更に励ましの御手紙を拝受致しました。白坂さんが相変わらず御多忙でいらっしゃることは姉から常々伺っておりました。お気遣いして頂きまして、重ねて有難うございます。
控訴審が終わった日から何度も手紙を書こうとしたのですが、どうしても書く気になれませんでした。
何と書けば良いのか分かりません。
白坂さんの御便りを拝読致しまして、改めて悲しくなりました。
同時に、まだ裁判は終わっていない、まだ諦められないという思いで苦しくなりました。
審議が開始されたと思ったら控訴棄却と告げられてしまいました。
控訴に対しては、自分の裁判であることは言うまでもありませんが、それだけではなく、今まで支えてくれた皆の気持ちに報いるためにも、重ねて無実を闘う人の前例になりたいと思い臨みました。
故に、切実に痛感しますのは皆から応援してきて貰ったのに、またしても、高裁でも、無実を晴らせなかったという悔しさです。
白坂さんの電報にあったように私も希望を持っておりました。正直な所、千葉の判決よりもショックでした。高裁の裁判官の知識と経験、そしてコモン・センスを信頼していました。
自分の趣意書、皆や弁護士の文書から築き上げた自信もありました。
白坂さん、可能性の糸に縋って希望を積み上げ、毎日を繋いでいくのは容易ではありませんが、そうして築き上げた期待を壊すのはとても簡単なことですね。
福岡で無罪を闘っていた方々の御無念は本当に胸にぐっさりと突き刺さっています。
本当に、どんな言葉も慰めにならないと思います。
知らずに運び屋とされてしまった己の浅はかさ、己の愚かさへの代償が、この長期に渡る拘留生活です。人生の一部を失うことで罪を償い、犯罪者として疑われてしまう恐怖を毎日味わいながら暮らしています。これこそが罰だと私は思います。十二分に、罰は受けてきたと思うのです。
それでも更に、無実なのに刑務所に行き、出てもこれから一生、犯罪者というレッテルが貼られてしまうのが正義・公正な判決とは決して納得できません。
私達の無実は誰にも奪えません。
誰にも変えられません。
それが事実だからです。
無実であることが自分には分かるから、悲しみ、苦しみ、もどかしく思います。
やりきれません。
どんな事にも、どんな出来事にも意味があると思います(そう思わなきゃ、ここではやっていけません)。
白坂さん、本当に御手紙有難うございました。
マスコミへのメールも、電話も、心から感謝しています。
長い間変わらず、私にも、姉にも、励ましてくださって、有難うございます。
自分でも、できる限りのことをしていきます。
どんどん寒くなっていきます。
何卒御自愛下さいませ。
草々
白坂和彦様
2007年11月29日
木村祐美
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反動の御用聞き・産経新聞の偏見大麻報道には今さら驚かないが、「嶽本野ばら、大麻事件を語る 読者の審判仰ぎたい」という記事の嶽本野ばらにはがっかりした。必要以上の全面降伏である。
嶽本野ばらは公判でも「バカなことをしたと反省している。何よりもファンを裏切ったことが自分で本当に許せない」と語ったそうだ。
「ファン裏切り自分でも許せない」声震わせる「乙女のカリスマ」
斉藤次郎さんが公判で「大麻には意識の拡張作用があり、心を豊かにする。自分や周りを深く知るために役立つ」と述べたのとは対照的だ。
亡くなった中島らもさんは「こんなことで逮捕されるほどバカバカしいことはない」と法廷で言って弁護士を冷や冷やさせたそうだ。
それに比べて、、、、以下、記事の引用。
公判では「大麻の効き目が残ったままで執筆したことは」と問われ、明確に否定していた。改めて聞くと、「大麻を使っては書けません。ぼんやりした状態で、幾何学的な物語を構築できない。試してみましたが、頭痛が激しくて無理です」。
頭痛が激しかったのはドイツで問題になっている鉛入りの大麻だったとか、単に不出来な大麻だったからではないのだろうか。
ただ、作家の体験が作品に落とし込まれるのだから、作品は大麻の影響下にあったという批判も成り立つ。「あえて否定はしませんが、一歩踏み込んでくれるなら、過去の作品も読んでほしい。大麻の影響ではなく、もともとぶっ飛んでいたと分かってもらえる」
「作品は大麻の影響下にあったという批判も成り立つ」と、大麻の影響下にあることをどうしても批判したい産経記者のメンタリティーはいつものことだが、「もともとぶっ飛んでいた」って、ホントだろうか。権威に弱く、権力に従順な腰抜けナルシストとしか思えないのだが。
酒井記者には「マリファナの科学」(築地書館)くらい読んでほしい。同書の引用。
19世紀中頃、フランスではパリのカルチェ・ラタンに住む作家や詩人、画家たちの間でハシーシュ体験が流行った。若いフランス人作家ピエール・ゴーティエもそのひとりで、ハシーシュに熱狂するあまりパリに有名なクラブ・ドゥ・アシシャン(ハシーシュ・クラブ)を作り、フランス文学界の面々にハシーシュ服用法を紹介したほどである。そのなかにはアレクサンドル・デュマやジェラール・ドゥ・ネルヴァル、ヴィクトル・ユーゴーもおり、彼らは揃ってハシーシュ体験を作品のなかで語っている。
(中略)
ゴーティエの仲間うちでもっとも影響力のある人物のひとりに、シャルル・ボードレールがいた。1860年にパリで出版された彼の作品「人工楽園」では、ハシーシュ経験がロマンティックで、想像力豊かな文体で綴られている。
酒井記者はデュマやユーゴーやボードレールも「作品は大麻の影響下にあった」と批判するのだろうか。
記事は次のように続いている。
9月2日午後、東京・新宿の歌舞伎町で、大麻樹脂と乾燥大麻を所持していたとして現行犯逮捕された嶽本。1カ月ほどの留置場生活で、「引退」を何度も考えたそうだ。「大麻やドラッグをやるのはダメな人間だと分かってもらうためには、引退しかない」と。
(中略)
公判で嶽本は、「作品を通じて薬物の害悪について語りかけたい」と語っていた。
おいおい、大麻をやるのはダメな人間なのか? 情けないことを言ってくれるモノ書きだ。で、薬物の害悪について語り出すのかよ。恥ずかしくないのか。大麻と他のドラッグを区別して、産経的偏見をなくそうと努力している立場からは迷惑な話だ。私は嶽本野ばらの読者ではないが、審判するなら、留置場で考えた通り、ぜひ引退してもらいたい。アウト。
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刑事司法改革は、少なくとも冤罪を生まないような制度設計が必要だ。しかしそれで充分というわけではない。
国選の弁護をなんとかしてもらいたい。公判に顔だけ出しても意味がない。傍聴じゃあるまいし。
弁護士の質もいろいろで、検察の回し者ではないかと疑いたくなるような弁護士もいる。高い報酬を払ってハズレの弁護士に依頼してしまうと悲劇だ。
国選でろくでもない弁護士に当たると被疑者にとって事態は深刻だ。「国選の弁護報酬は1回飲みに行けば終わりだ」と言って、保釈請求もしてくれない弁護士もいる。
ヤクザ者に騙されて、茶箱に隠された大麻を中国から国内に持ち込もうとし、実刑3年6月をくらった高藤さんの場合、一審から私選の弁護士に依頼し、一審では無罪だった。
高藤さんと一緒に逮捕された久保田君も、高藤さんと同じように騙されて何も知らずに運び屋をやらされただけだが、弁護士は国選で、一審であっさり有罪になっている。懲役3年6月。一審で無罪だった高藤さんは検察が控訴し、何も新しい証拠などないのに、1回の審理が行われただけで2回目の判決公判で逆転有罪になった。懲役3年6月は、久保田君の判決と同じにしました、という印象である。
久保田君も最高裁まで国選の弁護士で無実を主張した。上告が棄却され、異議申立をしたいと弁護士に伝えたところ、その国選の弁護士は「そこまでの義務はない」と答えたそうだ。
高藤さんは冤罪事件に関連して著名な弁護士に上告を依頼しようと電話したところ、いきなり「私は高いですよ。250万円。」と言われて別の弁護士を探した。
文字通り、地獄の沙汰も金次第なのである。無実で裁判にかけられ、弁護士に報酬を払って、長期の実刑が確定してしまうなど、地獄の沙汰でしかないだろう。
高藤さんは、上告に250万出せば無実を買えたのだろうか。
弁護士も商売だから、1回飲みに行くと消える程度の報酬で、面倒な刑事事件などにホンキを出せないのだろう。そうであれば、国選の弁護報酬を、手抜きをせずに、真剣に取り組めるようなあり方にしてもらいたい。弁護士の肩書きを裁判に貸しているだけのような国選弁護人(弁護士)がけっこう多い。
現在の司法制度は、無罪かもしれない国民を守る機能・仕組みがあまりにも不十分なのである。
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