ビデオニュース・ドットコムで公開された「マル激トーク・オン・ディマンド 第372回(2008年05月17日) 日本が再生可能エネルギーを推進すべきこれだけの理由」がとても面白かった。
タイトルは「推進すべきこれだけの理由」だが、内容は「推進できないこれだけが理由」でもあった。
欧米、中国、インドでは、再生可能エネルギーとしての風力発電の利用が急激に進み、『ドイツは、再生可能エネルギー関連産業を「21世紀の自動車産業」とまで位置づけ支援し、17万人の雇用創出をし、2兆5000億円の経済効果を発生させている』という。
ところが、日本はこの分野で大きく遅れ、未だに原発ムラでは無謀な画策が続いている。諸悪の根源は、官僚と電力会社と政治家の癒着構造だそうだ。
自然エネルギーを利用する政策について、欧米などでは国境を越えた議論があり、中国やインドもそのような世界的な知を共有する環のなかにいて、ドイツの成功例を採用し、風力発電を大きく伸ばしている。ところが、日本の官僚機構は鎖国状態で、海外で流通している知を共有できていない、知ろうともしていない現実があるのだという。
ダメだこりゃ。大麻も同じ。経済産業省も厚生労働省も同じ。防衛省も、外務省も、国土交通省も、もうみんな霞ヶ関は同じ穴の疫病神。
日本社会は、明治維新以来の変革期を迎えているのでしょうね。戦争に負けて統治システムに「民主主義」の概念が導入されたけど、統治しているのはずっと同じ官僚機構。道州制も、いつになったら本格的な議論と実現性が見えてくるのやら。
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関連情報
無謀なプルサーマル計画再始動か?
民事訴訟法に明確に違反したもんじゅ最高裁判決 海渡雄一(もんじゅ訴訟弁護団)
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アメリカ大統領選挙の予備選で、民主党のオバマ氏が勝利宣言をしたとニュースが報じていた。自身が大麻ユーザーだったというオバマ氏は、現在の連邦政府による医療大麻弾圧を止めると公約しており、このまま弾圧を続けるつもりの共和党候補マケイン氏よりも、大麻の法的な扱いについて期待が持てる。
対米追従の日本はどうなるだろう。オバマ氏が大統領になり、連邦政府レベルで医療大麻を公認することになれば、厚生労働省も医療大麻を理解しようとするだろうか。大麻取締法の見直しを求める動きにとって、プラスの材料になるだろうか。
現在、大塚製薬は米国でサティベックスの研究開発を行い、販売を視野に入れているようだ。当然日本国内の市場も狙っているだろう。製薬メーカーとしては、誰でも栽培できる大麻そのものを商品化しても儲からない。あくまでもサティベックスのような大麻製剤として、既存の医薬品マーケットに限定して流通させようとするだろう。さまざまな疾病に効果がある大麻そのものの話が、製薬メーカーと官僚の癒着構造に呑みこまれ、加工された薬剤としてのカナビノイドの話にすり替えられてしまうキケンを感じる。製薬メーカーによって製造された大麻製剤はOKだけど、大麻そのものはダメゼッタイ。製薬メーカーと厚労省が結託し、厚労族議員を抱きこんで、そのような施策を取ろうとするのではないだろうか。
でも、いずれにしても、マケイン氏よりはオバマ氏に大統領になってほしいなーと、属国の国民としては期待する。
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裁判員に「心のケア」24時間の電話相談
2008/05/12 06:36【共同通信】
来年5月の裁判員制度導入に向け、最高裁は、殺人事件などの審理で精神的ショックを受けた裁判員を対象に、24時間態勢の無料電話相談窓口や心理カウンセラーによる面談を受けられる「心のケア・プログラム」を設ける方針を決めた。
裁判員裁判の対象事件は殺人や強盗致傷などの重大事件。審理の中で、遺体の解剖写真や凶器、残酷な犯行場面の再現などを見たり、被害者や遺族の話を聞いたりして、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になる可能性が指摘されている。
裁判員制度に対する最近の意識調査でも、参加に消極的な人の多くが理由として「心理的な不安」を挙げており、最高裁は不安を解消してもらうため、陪審制のあるオーストラリアや米国の複数の州でも採用されている類似の制度を参考に、プログラムを考案した。
共同通信:http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008051201000025.html
来年5月から始まる裁判員制度では、7割の裁判が3日以内で終わるので、裁判員が長期間に亘って拘束されることはないと最高裁は説明している。だが、裁判員制度が適用になるのは引用記事の通り、殺人などの凄惨な事件だ。場合によっては、今日知った事件について、明後日には死刑の判断を下さなければならないことになる。それまで事件や裁判などと無関係に生活してきた国民に、そのような判断が下せるだろうか。精神的な拷問にすら思える。あまりにも無理があるのではないだろうか。
冤罪が必然的に起きる現状なので、司法改革は必要だと思うが、なぜ裁判員制度なのだろう。そのような議論や説明が置き去りにされたまま、形式的に国民参加を導入し、国際社会から繰り返し指摘される日本の司法制度への批判をかわそうとしているように感じられる。
日本の司法の最大の欠陥は、最高裁長官が内閣の指名によって決まる点にあると私は思う。戦後、例外的な一時期を除いては、政権交代もなく、自民党の長期政権が続いてきた。首相を始め大臣の顔ぶれが変わっても、同じ穴の狢。そのようななかで実質的に行政を牛耳る官僚が腐敗し、裁判所は政権与党の顔色を窺うような判決を多発する。このような三権分立の不徹底が本質的な問題なのではないだろうか。最高裁長官も日銀総裁のように国会の同意を要する人事システムにすれば、時の政権におもねる司法判断ばかりが出される状態を回避できるように思うのだが。
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マスコミが流す事件情報は、多くの場合、警察や検察の発表がネタになっている。そのことを記事に明記してあれば、読者は警察や検察が出した情報として認識できるが、まるで記事を書いた記者が見てきた事件であるかのように書かれている場合も多い。例えば、次のような事件報道があった。
傷害:女子中学生、髪切られる--愛知・半田の路上
6日午後0時40分ごろ、愛知県半田市北二ツ坂2の路上を歩いていた中学3年の女子生徒(14)が、後ろから近付いた男にポニーテールにまとめた髪をつかまれ、先端部分約7センチを切り落とされた。女子生徒が大声を出して逃げて振り返ると、男は逃走した後だった。女子生徒にけがはなかった。県警半田署は傷害容疑で男の行方を追っている。【加藤潔】
毎日新聞 2008年5月7日 中部夕刊
http://mainichi.jp/chubu/archive/news/2008/05/07/20080507ddh041040004000c.html
同じ事件を読売は次のように書いている。
中3女子のポニーテール、男が切り逃走…愛知・半田
6日午後0時40分ごろ、愛知県半田市北二ツ坂町の路上で、部活動を終えて帰宅途中の同市立中学3年の女子生徒(14)が、後ろから近付いてきた男に、いきなりポニーテールの後ろ髪(約7センチ)をつかまれ、根元からはさみのようなもので切られた。
女子生徒が大声を上げて逃げ、振り返ると、男の姿はなかった。
県警半田署が傷害事件として捜査しているが、発表によると、男は30歳位のやせ形で、身長約1メートル70。切られた髪は現場になく、男が持ち去った可能性が高いという。
(2008年5月6日16時23分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080506-OYT1T00382.htm
この事件は、その後、女子生徒の狂言だったと続報が出た。嫌な事件でなかったことは良かったが、毎日と読売の一報だけを見ると、警察発表であることが書かれていないので、あたかも事件そのものが既に事実として確認されているかのような印象を受ける。
この報道に関しては、事件そのものがなかったことが明らかになったが、警察や検察の発表であることを伏せて、まるで記者自身が見てきたような書き方をすると、読者は報道を事実であると誤解してしまう。
光市母子殺人事件の報道では、犯人の元少年は乳児を頭から床に叩きつけて殺害したとされていたが、これも警察や検察の発表であって、事実そのものかどうかは分からない。供述調書に書かれているとしても、その調書自体が取り調べで作文されたものに過ぎない可能性もある。最高裁から担当した弁護団は、鑑定書などを調べ直し、遺体にはそのような痕跡はないと言っている。
もちろん、私はこの犯罪自体を擁護する気など毛頭ないが、当局の発表をそのまま垂れ流し、あたかもそれが事実であるかのような心象を社会に形成してしまうマスコミのあり方に強い疑問と危惧を覚える。
因みに、朝日と産経は同じ警察発表を次のように報じている。
部活帰りの中3女子が髪切られる
6日午後1時ごろ、愛知県半田市北二ツ坂町路上で、部活帰りの同市の中三女子生徒(14)が見知らぬ男に髪を切られたと半田署に通報があった。生徒にほかにけがはなかった。同署が傷害事件として男の行方を追っている。
調べでは、同日午後0時40分ごろ、女子生徒が北二ツ坂町の公園近くを歩いていて、後ろから来た30歳ぐらいの男に突然後ろ髪をつかまれ、ハサミのようなもので約7センチ切り取られた。生徒が大声を上げると、男は走って逃走。髪の毛は持ち去ったとみられる。
同署によると、男は身長170センチぐらいのやせ形で暗い色のTシャツとジーパン姿だったという。女子生徒は赤いジャージー姿だった。
2008.5.6 17:13
MSN産経ニュース:http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080506/crm0805061712017-n1.htm
帰宅中の女子中学生、男に髪切られる 愛知・半田
2008年05月07日10時01分
6日午後1時ごろ、愛知県半田市北二ツ坂町2丁目の路上で、歩いて帰宅途中だった女子中学生(14)がハサミのようなもので髪を切られた、と半田署に届けがあった。同署は傷害容疑を視野に捜査している。
調べでは、同日午後0時40分ごろ、女子生徒が路地を歩いていたところ、突然後ろから近づいてきた男に後ろで束ねていた髪をつかまれ、約7センチほど切られた。女子生徒は大声を出して走って逃げ、しばらくして振り返ると男の姿はなかった。見知らぬ男だったという。男は30歳前後で身長約170センチ、やせ形でジーンズにTシャツを着ていたという。
asahi.com:http://www.asahi.com/national/update/0507/NGY200805070002.html
蛇足。事件は女史中学生のウソだったという毎日の続報は以下。
愛知・半田の傷害:「髪切られた」女子生徒のうそ
愛知県半田市の中学3年生の女子生徒(14)が6日、見知らぬ男に「ハサミで髪を切られた」と届け出た事件は、県警半田署の調べで9日、生徒の虚偽だったことが分かった。
調べでは、生徒は母親から散髪するように言われ、3日に美容院に行ったが、友人とも美容院へ行く約束があり、3日後、また美容院に行き髪を切った。ところが髪が短くなりすぎ、「母親に2度行ったことがわかるとしかられる」と思い、うその届けをしたという。8日夜、生徒は両親らと一緒に同署に虚偽だったことを届け出た。【河部修志】
毎日新聞 2008年5月9日 中部夕刊
http://mainichi.jp/chubu/news/20080509ddh041040007000c.html
マスコミの報道を鵜呑みにすると危ない。
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科学者を中心に構成される諮問委員会の勧告を無視し、ブラウン首相とスミス内務大臣は大麻の規制をCからBに戻すことを表明したそうです。
ブラウン首相の支持率は低迷しており、先の統一地方選挙でも大敗したことがニュースで報じられていましたが、この決定は警察組織にも不評なようです。
全国警察署長協会(ACPO)は、現在の政策が期待どおりの成果を上げているとして、議会がいかなる決定を下しても、軽微なカナビス事犯を逮捕するために時間や経費の浪費することを拒否するという声明を今月の始めに出している。
首相の決定に警察署長協会がNOを言えるというのは羨ましい話です。規制変更が実施されるのは議会の承認を得た後の来年初頭になりそうだとのことですが、不人気のブラウン首相がいつまで政権を維持できるのか、我が国の首相とどちらが先にその座を去るか、気になるところです。
科学者たちが、科学的な根拠を示してクラスCに据え置くことを勧告しているのだから、それを無視した決定はできないのでは、と個人的には思っていたのですが、推測がハズレました。スミス内務大臣は、大麻を使用すると気が狂うと言っているそうですが、自身はオックスフォードの学生時代に大麻を吸っていた経験があるそうです。自説を身をもって証明したということでしょうか。
イギリス政府 カナビスの罰則強化を公式に表明
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大麻にはさまざまな疾病に対する治療効果がある。そんなことは今さら言うまでもなく明らかなのに、日本では医療目的で使うことを懲役刑で禁じている。
こんなバカげたことが罷り通っているのも、自分たちの既得権益の保守と拡大にしか興味がない厚生労働省の怠慢と腐敗が原因だ。
カナビスの煙には肺癌を抑える抗癌作用がある
カナビス喫煙では肺癌にならないばかりか、抑制効果すらある……
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裁判員制度についての疑問の続き。
もし、被告人が、調書に書かれていることは刑事たちに脅されて無理やり著名させられたもので、事実は違うのだと裁判で主張したら、裁判員はそれをどのように確認できるのだろう。自白偏重の現状では、裁判員は、職業裁判官に「供述調書には証拠能力があります」などと説明され、法廷での否定は罪を免れるためだという心象に誘導される危険はないだろうか。3日で終わらせるためにも。取り調べの様子を全て録画録音してあれば一目瞭然だが、警察はそれを拒んでいる。見られると困るような秘め事をしているから可視化を拒んでいるとしか思えない。取調室にも死角のない監視カメラが必要だ。
凄惨な現場の写真など見せられて、さあ3日後に裁けと言われたって、そんなことできるわけがない。苦痛以外のなにものでもない。もっとも、裁判員は任命される前に思想調査のようなものがあるようだから、大麻取締法は憲法違反、それについては無罪だと主張する者は、端から裁判員に交ぜてもらえないのかもしれない。
死刑執行をベルトコンベアー化したい鳩山法務大臣の下での、裁判のベルトコンベアー化。逮捕から死刑執行までの合理化。
日本政府に対する国連拷問禁止委員会の勧告を読むと、いわゆる「国際社会」が日本の刑事行政をどう見ているのかがよく分かる。
日本に対する国連拷問禁止委員会の結論及び勧告/2007年5月18日
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あまりにも冤罪が多いので、裁判に国民の目も入れたほうがいいのではないかと、漠然と裁判員制度に期待を持っていた。だが、知れば知るほど問題が多いと感じるようになった。最高裁の「裁判員制度Q&A」を読んでいると気が重くなる。
裁判員候補として呼び出され、嫌だと思って行かないと10万円以下の罰金。
裁判員候補者として呼出しを受けたにもかかわらず,裁判所に行かないと,罰せられるのですか
殺人などの重大な犯罪について国民が裁判官と一緒に判決を下すことになるが、証拠調べで、凄惨な現場の写真などをしっかりと見ないといけない場合もあるようだ。
死体の写真なども見なければいけないのですか
裁判は、約7割の事件が3日以内で終わると見込まれているらしい。真実の追究がおろそかになる可能性が高いうえ、短期間の審理で「死刑」とか「無期」とか結論を出さなければならない。本当に自分の判断が正しかったのだろうかと誰かに相談したくても、「どのような過程を経て結論に達したのかということ(評議の経過),裁判員や裁判官がどのような意見を述べたかということ」は、守秘義務があって他言は許されない。
具体的にはどのような秘密をもらしてはいけないのですか(守秘義務の対象)
来年の5月から始まってしまうらしい。大丈夫だろうか。
精神的に参ってしまう人が頻出するのではないだろうか、と思っていたら、反対派の記述に次のようにあった。
最高裁が「法廷で残忍な犯行場面の再現で精神に変調をきたしたり、自分の評決に悩む市民の『心のケア』を考える」と言い出したことは、この制度の矛盾を極致的に示していると言えます。
裁判員制度はいらない! 大運動
裁判員制度自体が何かの刑罰のように思えてきた。
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光市母子殺害事件の差し戻し審、広島高裁判決は「国策死刑」だと思う。
私は、死刑制度に反対だ。殺してよい人命などない。まして国家権力の名において。そう思うからだ。
加害者の権利ばかりが擁護され、被害者や遺族の権利がないがしろにされているという批評を聞くことがある。社会として、被害者や遺族への配慮は十分になされるべきだ。だが、それを粗末にしているのは、テレビカメラを構えて押し寄せるマスコミではないのか。
加害者・被告人の権利は、裁こうとしている権力との対比で考えられるべきだ。現状は、捕まったら最後、警察や検察は圧倒的な物量で捜査し、できるだけ重い罪名に導こうとする。無実であろうが捕まると、経済的な余裕がなければ弁護士を雇うことすらできない。刑事司法における「格差」だ。
刑事司法の場では、被疑者の権利などまるで考慮されていない。あくまでも、捕まえて裁く権力の都合で作られているシステムだ。
これほど冤罪が多いのだから、誤判で死刑が確定した人が少なからずいるだろう。再審が決まった人たちの他、既に執行されてしまった人も含めて。
裁判は、人間がやることだから、事実認定を誤る可能性をゼロにはできない。死刑は、取り返しが付かない。
殺したことが事実でも、罪名や量刑は殺害に至る動機や経緯によって異なる。それを明らかにするのが法廷であるはずだが、現実はそうなっていない。だから冤罪が多いのだ。
取り調べを受けたことのない人には想像しにくいかもしれないが、取り調べる者たちは、被疑者が言ってもいないことを調書に書くし、書いてほしいことを書かない。自白調書が作られてしまうと、それは裁判でとても大きな意味を持ち、法廷で覆すのは極めて困難だ。
ヤクザ者に騙されて何も知らずに大麻の運び屋をやらされ、実刑懲役3年半が確定し、今も服役している高藤さんは、取り調べの時、あまりにも信頼できない刑事たちに辟易し、裁判で言えば裁判官には本当のことが分かってもらえると思って、供述調書に署名してしまったそうだ。高藤さんが荷物の中身を知っていたことを示す物的証拠などなかった。1審では無罪だったが、検察が控訴し、二審で逆転有罪になった。上告するに際し、高藤さんは冤罪事件で著名なA弁護士に電話で相談したが、「私は高いですよ、250万」と言われ、弁護の依頼を断念している。地獄の沙汰もカネ次第。
光市母子殺害事件を起こした元少年は、家裁段階で、4・5歳程度の善悪判断しかできない精神レベルだと鑑定されている。
元少年の父親は家人に日常的に暴力を振るっていたそうだ。元少年は、逆さ吊りにされて水風呂に浸けられたり、殴る蹴るの暴行を日常的に受けて育った。父親の暴力は、元少年の母親にも向けられていた。夫からの暴行を苦に、元少年の母親は自宅で自殺した。発見したのは元少年だったそうだ。13歳、中1の時。事件を起こす5年前の出来事。元少年自身の魂も深く傷ついていただろう。
逮捕後、元少年は言われるままに供述調書を取られたことだろう。性体験もなく、魂の病んだ元少年は、殺人と障害致死の違いなど知りもしなかっただろう。
安田弁護士は元少年の精神年齢について、「4・5歳は言い過ぎで、12・3歳」だと言っている。
弁護士も付かぬまま取り調べを受け、供述調書を、その意味も知らずに取られ、起訴され、裁判を担当したのは国選の弁護士だった。
弁護士は、事実認定は争わず、情状酌量を訴え、減刑を主張する法廷戦略を採ったのだろう。一審で無期懲役が言い渡され、検察が控訴し、高裁も一審判決を維持した。だが検察が上告した。無期では甘い、死刑にせよ、殺せ、と。
検察が上告してから3年8ヶ月。最高裁は弁論を開くことを決定した。それは高裁判決を見直すことを意味していた。
上告審を担当することになった弁護士は、安田弁護士に上告審の弁護を依頼し、国選弁護人が交代となった。弁論期日2週間前のことで、十分な準備ができない。安田弁護士は期日延期を最高裁に申し出た。これまでも同じように期日の延期を申し出ることはあり、それが拒まれたことはなかった。しかし、この件では、即日のうちに、事情の確認もなく、最高裁は期日延期の申請を却下した。それでも出廷できないと伝えれば、最高裁自らが他の弁護人を指名することになるだろう。それでは引き受けた弁護をまっとうすることができない。安田弁護士は、期日前日に最高裁に出廷できないと通知した。マスコミによる弁護団バッシングが激しかったのは記憶に新しい。事実認定を再検証しようとする弁護側の真意を伝えず、一方的なバッシングを募らせるマスコミと世論に私は恐怖を覚える。
検察の上告から3年8ヶ月を置いて弁論を決定し、弁護側には2週間しか与えない最高裁。弁護団を叩くマスコミと、それに煽られた世論。関東学院大学のラグビー部の部員が、寮の押し入れで大麻を栽培して捕まったとき、当局に乗せられて大バッシングを展開したマスコミと世論を私は想起する。
安田弁護士が元少年に初めて面会したとき、元少年は、開口一番、「初めから殺そうと思っていたわけではない」と言ったそうだ。赤ちゃんを頭から床に叩きつけたという、マスコミが書き立て、言い立てた、検察の主張を裏付ける痕跡は、遺体にない。
安田弁護士たちは、まず事実を再検討すべきだと主張した。だが、最高裁の意を受けた広島高裁は、事実認定の再検証を、被告人が反省していない証拠として扱った。
弁護団は上告したが、最高裁の計画通り、死刑が確定するのだろう。事実を大切にすることよりも、判例の変更を優先した恣意的な政治的裁判だ。
この間、大衆には、マスコミを通じて被告人の残虐性が喧伝される一方、遺族への感情移入が誘導され、死刑を肯定する世論が強化された。大衆の激情と逆上を見込んだうえでの、司法行政の誘導による殺せ殺せの大合唱。警察と検察の作り話にお墨付きを与える裁判所。大麻取締法違憲論裁判と全く同じ構図。
病んだ元少年の魂が求めていたのは愛だったのだろうと思う。
病み傷ついた幼い魂を、私たちの社会は導くことができなかった。元少年の魂は、大切な二人の命を奪うほど病んでいた。
罪の深さと重さを自覚させること。元少年には、そのような刑が必要だと思う。
遺族にも、加害者にも、魂の救済が必要なのだと思う。私たちの社会は、どのようにそこに関与できるのか。
病んだ魂を、社会としてどのように救済できるのか。そのような回路、個人が魂を深く病まずに済む社会をどのように作れるのか。そのことが問われているのだと私は思う。
光市母子殺害事件の差し戻し審の判決、そして最高裁で下されようとしている判断は、死刑の存置や廃止の問題を措いて、事実認定を軽視した国策死刑である。
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来年から裁判員制度が始まる。殺人などの凶悪な犯罪について、国民が裁判官とともに判決を下すことになる(1審のみなので、検察が控訴した場合など、2審以降は従来通り職業裁判官だけが判決内容を決める)。
自分自身の裁判を含め、いくつもの裁判で、現在の司法が滅茶苦茶であることを実感している者としては、職業裁判官だけに判決を出させるのではなく、国民の目が加わることに肯定的な期待をしていた。ネットで検索しても、実際にひどい裁判を体験した人たちが裁判員制度に期待し、肯定的に捉えている傾向を感じた。が、知れば知るほど、救いようもないほどに、刑事司法は不公正な方向に向かっていることを痛感する。
裁判員制度だけでなく、現在の司法制度の問題を理解するうえで、光市母子殺害事件の弁護を担当した安田好弘弁護士の講演記録がとても参考になった。
「日本の裁判はどこまで信用できるか」安田好弘弁護士講演
無実の死刑囚・元プロボクサー袴田巌さんを救う会「キラキラ星通信」第61号掲載記事
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残虐な事件が後を絶たない。
ニュースを見聞して気になるのだが、判決で、遺族の処罰感情が厳しいことが量刑の理由に挙げらることがある。突然、愛する家族を殺害された遺族の処罰感情が厳しいのは当然のことだが、では、被害者が天涯孤独で、悲しむ遺族がいないような場合、被告人の刑は相対的に軽くていいのだろうか。
遺族の処罰感情が峻烈であることを刑の重さに加えるなら、被害者に悲しむ遺族がいなければ、その分罪が軽いのだろうか。どこかおかしくはないか。それはホームレスを襲撃する子どもたちの身勝手な差別の論理と交錯していないだろうか。
光市母子殺人事件の報道については、JANJANに掲載された田中良太氏の考察が示唆的だった。
「量刑カプセル」閉じこもりの母子殺害裁判報道
殺人事件に限らず、犯人逮捕後、取り調べの様子についてなど、マスコミが流す情報は、警察や検察の発表やリークに基づいている。犯人の特定には間違いがないらしいとしても、誘導尋問による供述に尾ひれを付けて、犯人への憎悪を煽るような情報操作を当局はしかねない。むしろ、リークされた情報は、世論誘導の意図を持つと疑ったほうがいい。
厳罰化という北風だけでは何も解決しないが、現政権は日本社会に北風を吹き荒らしている。「痛みを伴う改革」の成れの果て。
死刑制度のことなど、社民党の保坂展人氏のサイトが考えさせられた。
春の微熱と「死刑」をめぐり考えること
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何かこちらの設定にミスがあるのかと思い、2度ほど問い合わせのメールを送りましたが、今のところ回答はありません。
FC2という、無料でさまざまなウェブ関係の機能を利用できるサービスがありますが、こちらは明らかに当方のドメインが拒否されています。無料のブログサービスを使おうとして、asayake.jpドメインのメールアドレスで登録したのですが、手続きは完了するものの、IDなどの書かれた登録完了メールが送られてきません。他のドメインで登録すると、ちゃんと登録完了メールが送られてきて、サービスも利用できます。asayake.jpが拒否されているとしか考えられません。この件も、FC2に問い合わせのメールを送りましたが、回答はありません。
もし、大麻関連の情報サイトは拒否するといったことが、有害情報のフィルタリング強化の流れで行われているのだとすれば、言論の自由、表現の自由、思想と良心の自由に対する抑圧です。当局がNGリストを業界団体に流しているなどということがないことを祈る思いですが、大麻堂の商品がビッダーズから一方的に削除された流れとも符号するように感じられ、じわじわと息苦しい世の中になってゆくのを感じます。
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4月20日限りのNORMLのイベントサイトです。
420 Money Bomb
420記念日に、NORML420マネー爆弾コムで新メンバー募集
NORMLの 420マネー爆弾コム は、ロン・ポール議員が大統領予備選挙で資金獲得に成功した方法に触発されたもので、デイリー・ポッドキャスト、NORMLブログ、フェースブック や マイスペース といった人気ページとともに、NORMLの拡大戦略の一部に位置付けられている。
日本なら8月8日とか9月3日でしょうか。
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ルシティアさんという方の「大麻問題をメタ的に考える 」というブログで、「大麻取締法被害者センターに対して」という「反論」が書かれているのを読みました。
まだ続きがあるようですが、その「反論」にコメントを付けてきました。バックアップを兼ねて、書き残したコメントのみ転載します。
こんにちは。初めまして。山崎さんのブログから来ました。
当方への批判、拝読しました。で、せっかくなので批判にお応えし、議論を深めるなかで、私自身の認識が深まることを期待して、書かせて頂きます。
> これは「医療大麻」カテゴリの問題であって「嗜好品」のカテゴリではない。
そうだけど、だから何でしょうか?(^^y-~
何を批判されているのか分かりません。
嗜好品としての大麻合法化を主張する者は、医療大麻について話してはいけないのでしょうか?
私たちは、「個人が利用する大麻の所持や栽培で逮捕するな」という主張をしています。 さらに言えば、それを制度化して、社会的に管理しようと提言しています。
そのことと、大麻の医療的な価値に言及することは、何ら矛盾する話ではありません。
むしろ、政府のプロパガンダによって大麻について誤解している多くの人たちに、大麻の医療的価値を伝えることは、大麻の事実を伝える目的にも適っています。
サティベックスは医療大麻カテゴリの話であって、嗜好品カテゴリとは何の関係もない、ということを仰りたいようですが、両方とも「大麻」という親カテゴリーに入っているものです。
> すなわち「幻視・幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状や判断力・認識能力の低下等をもたらす精神薬理作用」を害とみなすか否かが焦点である。
それは何の焦点ですか?
私たちの焦点は、大麻の害が、逮捕勾留して裁判にかけ、その者の生活を根底から破壊し、近親者にも辛くて悲しい思いをさせなければならないほどのものなのか、という点にあります。
> 医療大麻の研究が日本で行われるべきかどうかについて、この裁判は関係ない。
すいません、「この裁判」とはどの裁判を指しているのでしょう?
>実際初犯はほぼ執行猶予らしいし。
執行猶予があるから厳しくてもいいというのは、厳罰を正当化する理由にはなりません。厳罰に値することなのかどうかが問題なのです。
更新、楽しみにしています。
どんどん批判して下さい。(^^y-~
よろしくお願いします。
私たちの活動に対する批判や意見は大歓迎です。見落としているかもしれない大切な観点に気付ける機会でもあり、取り組みの内容や意味を再確認する機会にもなります。根拠のない中傷や誹謗はお断りですが、私たちの考えや取り組みについての批判的な意見は、むしろ歓迎です。
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