職質で所持品検査をされ、大麻所持で友人が逮捕されたという相談が以前あった。
逮捕された若者の両親はパニックに陥ったそうだ。
弁護士を紹介してほしいとのことだったので、その地域で思い当たる二人の弁護士の名前を伝えた。
すぐにそのうちの一人を選任したそうだ。
しばらくして、不起訴で済んだというメールが届いた。
大麻所持の現行犯で逮捕されて、勾留され、不起訴で済んだなんて、弁護士の腕がいいのか、どういうことか、再度事情を聞くと、所持していたのは0.7gのリーフだったそうだ。
0.7gのリーフ。リーフで0.7gというと、見た目はどのくらいの量になるのだろう。
大麻樹脂0.7gだったら不起訴で済んだだろうか。その程度で逮捕された者もいる。
裁判レポートのNさんは0.4gのチャラスで有罪判決を受けている。
リーフ0.7gでは大麻の反応が正式には取れず、起訴を断念したのだろうか。
さすがにこんなことを犯罪として法廷に掛けては忙しい裁判官に申し訳ないと自制したか。
0.7gのリーフ。何のために持ち歩いていたのだろう。
バッズを吸った残りだったのだろうか。
銘柄は何だったのだろうか。
それにしても、0.7gのリーフを持っていただけで逮捕するニッポンの現実。
警察力の無駄遣いもいいところだ。
そんなもの押収したところで吸えないだろうに。
不起訴で済んだとはいえ、逮捕された若者や両親の精神には深いトラウマが残ると思う。
いったい、こんな厳罰規制に何の意味があるだろう。
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麻枝さんのブログで紹介して頂いた通り、当方に相談してくる人は「藁をも縋る思い」のことが多い。
昨夜メールをくれたユウコさん(仮名)もそうだった。
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From: "ユウコ" <*******@hotmail.co.jp>
To: thcjapan@yahoo.co.jp
Subject: 突然のご相談で申し訳ありません
Date: Mon, 28 Aug 2006 20:42:37 +0900
交際中の彼が、先週、麻薬密輸の容疑で逮捕され、現在拘留中です。
私の自宅も家宅捜索され、パイプ等押収されました。
私も明日、事情聴取のため出頭しなければなりません。
とても不安で、少しでもお話を聞いていただければとメ-ルをさせていただきました。
本当にずうずうしいお願いですが、できましたらご返答よろしくお願いします。
ちなみに明日は、10時から1日かけて事情聴取とのことです。
私もそのまま逮捕という事になるのでしょうか・・・。
どうかよろしくお願いします。
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メールサーバーに20時42分の受信だったが、私がこのメールに気が付いたのは日付を越えた午前3時過ぎだった。10時からの事情聴取で、自分も逮捕されるかもしれないという心配のようだ。
返信した。
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Tue, 29 Aug 2006 03:46:48 +0900 (JST)
From: "THC" <thcjapan@yahoo.co.jp>
Subject: Re: 突然のご相談で申し訳ありません
To: "ユウコ" <******55@hotmail.co.jp>
ユウコさん
メール拝見しました。
10時から事情聴取とのこと、時間がありませんね。
今日はこのまま起きていますから、いつでも携帯に電話を下さい。
090-1047-****
詳しいことは電話で。
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ユウコさんから電話があったのは午前6時過ぎだった。眠れぬ夜、私のメールに気がつきながら、せめて朝6時までは電話を控えたらしい。声は最初からテンションが高かった。無理もない。あと数時間後に逮捕されるかもしれないと心配しているのだ。
担当の刑事は、午前10時から、昼休みを挟んで、一日かけて事情聴取をすると言ったそうだ。現時点では、帰宅させるつもりだということだろう。
家宅捜索でパイプを押収されたらしいが、パイプに残っていた微量の大麻で逮捕された例も以前にあった。だから、パイプに残っていたものから大麻反応が出れば、逮捕されるかもしれない。でも、押収されたのは先月のことで、既に1ケ月以上が過ぎているという。鑑識の結果もそう長くはかからないだろうから、大麻反応が出て、当局が逮捕するつもりなら、彼と同時に逮捕されてもおかしくない。
いろいろと事情を聞いて、思うまま答えた。
30分くらい話したろうか。ずいぶん落ち着いたようだった。逮捕されることはないだろう、下手に嘘をつかず、ありのまま話したほうがいい、大丈夫、必ず帰ってこれる。そう励ました。
「元気が出てきました。気持が楽になりました。朝早くから申し訳ありませんでした。ありがとうございました。」
礼儀正しく彼女は言って、事情聴取が終わったら電話をもらうことにして、モーニングコールを切った。
午前10時を過ぎ、事情聴取が始まった頃かな、と思いつつ、大事な話をし忘れたことに気が付いた。
午後5時過ぎ。ユウコさんから、解放感に満ちた声で電話があった。ほっとした。事情聴取はほぼ予想したような内容で、嘘の供述をすることもなく、対応できたようだ。きつくお灸を据えられたようで、緊張のあまり「吐きそうだった」そうだが、彼女が逮捕される心配は消えた。ただ、当局によると、まだ他に聞きたい点もあり、来週中にもう一度事情聴取があるとのこと。
ユウコさんの声は疲れ果てていたが、心から安堵した溶けるような声だった。
「本当にありがとうございました。夕べは不安で全然眠れなかったんですけど、今日は安心して眠れます。」
俺が逮捕を見逃してやったわけではないのだけど。
胸一杯の不安が解消して、気持が晴れたばかりの、新鮮な空気を呼吸している人に立ち会うのは、こちらまで嬉しい。人はそのような機会を生涯にどれほど持てるだろうか。心から安堵して戻った笑顔。マクドナルドの注文カウンターでは絶対に出会えない。
あとは、彼女と一緒の旅行中、法に触れるモノであることを知らず、ボリビアからコカ茶の葉を日本に送ってしまい、土産の人形のオマケとしても同じモノを持ち帰り、税関で逮捕されてしまったドジな彼氏の救助をどう進めるか。それが課題だ。ただ、彼も本当に何も知らずにやってしまったことなので、事情を知った当局も、そう手荒なことはしない意向のようだ。 もっとも、彼は既に彼女と一緒に帰国した際に逮捕されたのだから、充分に手荒な扱いを受けているとも言えるが。
彼女は無事に調べを終えて電話をくれた。
しかし、もし、事情聴取を受け、そのまま逮捕された場合にどうするか。
朝の電話で、私はそれを彼女に伝え忘れた。逮捕されることはないだろうと思い、話を落としてしまった。
夕方、彼女から電話をもらうまでは、肝心なことを伝え忘れたドジが頭に居座り、ひょっとして万が一、実は私もドキドキしていた。
今日はうまいビールが飲めるね、と言うと、
「彼が帰ってくるまではガマンします。」
とのこと。
THCとしては、とてもそこまでは付き合えない。
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談話室(THC掲示板)やメールで、「尿検査があるけど大麻の反応が出るだろうか」、という不安げな問いが時々ある。
出るかもよ~
メルクマニュアルの大麻の項には次のように書かれている、と答えることにしている。
マリファナを吸うと、ごくたまに軽く吸うだけの人でも、尿検査の結果は数日から数週間にわたって陽性になります。常用者では、マリファナが体の脂肪から徐々に放出されるため、数週間以上にわたって検査結果は陽性になります。
私が他人の小便に関して責任を持って回答できるのはここまでである。
あんたの小便に大麻が出るか糖が出るか、俺に聞かれたって分るわけがないだろ?ご健康とご幸運を祈る。
会社の定期健康診断で尿検査があっても、一部の職種を除いては薬物検査はしないだろう。
検査項目が増えれば、その分の費用が発生し、企業はそれを負担しなければならない。
尿検査で何の数値を調べるのかは予め分るだろうし、勝手に薬物検査などしていたら、それこそ問題だ。
但し、一部の職種では、尿検査で薬物反応も調べるらしい。
数年前に聞いた話だが、警備会社の入社時健康診断で尿検査があり、配られた検査項目一覧に、覚せい剤や大麻も入っていたとのこと。その話をしてくれた若者は前日の晩にもブリブリしたそうで、ヤバイと思った彼は知り合ったばかりの同期入社の男に紙コップ半分の小便を分けてもらったそうだ。せっかく親切な同僚に恵まれたのに、その若者はすぐにその警備会社を辞めてしまった。彼は、健康診断は毎年あることに気付いたのだ。
任意の事情聴取で尿を取られたという話もよく聞く。そもそも、職質は任意であり、所持品検査などに応じる法的義務はないのだが。
警察が尿検査で調べるのは主として覚せい剤の反応を見るためらしい。
私も逮捕された当日に小便を取られた。担当は、「覚せい剤だよ、念の為な」と言った。大麻とアルコール以外の薬物が出る心配はなかった。驚いたのは、その小便を捨てるのにさえ、容疑者の同意がいるのだった。
小便を取られたあと、引き続き逮捕直後の取り調べが続いたが、担当のマトリが男からユ●コちゃんに代わり、ユ●コちゃんは私に紙を見せ、記入と署名を求めた。その紙の書式名は忘れたが、小便の所有権を放棄するためのものだった。小便を捨てるのにさえ容疑者の同意が必要だとは、なんか、とても、法律に守られてるような気がした近畿麻薬取調室の夜。ユ●コちゃんと二人きりの密室で、監視カメラに覗き見されながら、私は尋ねた。
「これ、俺が署名しなかったら、裁判終わるまで小便を保管しておいて、返してくれるの?」
意表を突く私の問いかけにユ●コちゃんは言葉を詰まらせた。私のなかの良からぬものが、
「署名、どうしようかな。でも、小便、冷蔵庫にでも入れておかないと腐っちゃうね。事務所の冷蔵庫にでもしまっとく?」
ユ●コちゃんは何も答えてはくれなかった。
どうしたんだい?ボクのことがキライになったのかい?
残念だけど、今夜は一緒にいてあげられないんだ。
檻で寝なきゃだし。
一緒に来るかい?
ま、こんなことで粘っても。
夜も遅いし。
私は、言われた通り、「いりません」と書いて署名し、指印を押したのだった。
同じ事件の流れで私より少し遅く捕まった友人は、尿検査に応じなかったそうだ。酒を呑まない彼は大麻しか出るものもなかったが、大麻で逮捕することへの抗議の意思を示すため、断固拒否したという。
私には、尿検査を拒否するという発想すらなかった。考えたのは、返してもらうかどうかだけだった。
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THCは、個人的な大麻栽培や所持で逮捕投獄するのはやめてほしいと主張しています。誰にも、どこにも、被害どころか迷惑すらかけていないのに、罰則があまりにも過剰で、逮捕された者や家族はとてつもないダメージを受ける現実があるからです。
一方、若年層・未成年の薬物乱用が深刻な問題であることにも目を向ける必要があるだろうと思います。
リンクのページでも紹介させて頂いている小森弁護士の「薬物乱用防止 ドラッグについてきちんと話そう」では、ドラッグにハマってしまい、そこから抜け出ようとする若者たちの姿を知ることができます。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~skomori/index.htm
個人使用目的の大麻で逮捕しないでほしいと願う者たちも、若年層の薬物乱用といった社会状況を肯定などしないでしょう。
だからこそ必要なのは、各薬物に対する正しい知識に基づいた教育でしょう。根拠もない頭ごなしのコケ脅しサイトをYahoo!の一番上に出してる手間があるなら、内容を吟味することに労力を使えよ、この天下りタコ野郎と言わざるを得ません。
小森弁護士のサイトでも紹介されている夜回り先生の水谷修氏には、救いがたい薬物嫌悪があるようで、熱意と正義感には感嘆するものの、こういう人が一番困ると私は感じています。
ただ、大麻で逮捕しないでほしいと願う者として、決して未成年者の薬物乱用を助長したり、肯定したりするつもりはないこと、また、そのような現場で格闘し、取り組んでいる人たちに、納得してもらえる言葉を私たちが持つことも大切だなあと、久し振りに小森氏のサイトを読んで思ったのでした。
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カナビス・スタディハウスさんに「検証 カナビスと精神病」というコーナーが設けられ、海外文献の翻訳データだけでなく、大麻の社会政策についての論稿などが掲載された。
★検証 カナビスと精神病
あらゆる物質は有害でありうる。酸素だって使い方によっては危ない。市販の薬にしてもそうだし、酒や煙草も無害ではない。酒や煙草ほどの有害性はないとしても、大麻に限って無害ということはないだろう。
現在は厳罰で規制されている大麻だが、いわゆる非犯罪化では供給ルートの管理ができず、研究や教育もできない。
大麻を合法化して、流通を管理し、研究にも自由な道を開き、得られた成果を医療や教育や産業にフィードバックする。そのような在り方が望ましいのではないだろうか。
●合法化して、年齢制限を設け、教育指導をする
子供たちがカナビスのリスクを犯さないように年齢でコントロールするには、カナビスを合法化して、アルコールやタバコと同じように年齢制限を設けた上できちんと規制する必要がある。精神病が予見できるかどうかにかかわらず、そもそもカナビスの使用が完全に無害であるなどということは他のドラッグと同様にあり得ないのだから、規制してコントロールできるようにすることが重要なのだ。(未成年者と親のための害削減の方法、 16才、18才、21才)
アルコールはある条件下では精神病を引き起こすことが知られているが、そのリスクに対してはガイドラインが用意されている。カナビスの場合も、これと同様に、ガイドラインを研究して設定すれば、無節操な使用にはどのようなリスクが伴うかを教育することができるようになる。
一見すると禁止法は究極的な解決法に見えるが、何のコントロールの役割も果たさない。禁止されている状況では、脅しによる教育しかできず、害削減のガイドラインも示すことはできない。流通しているカナビスの品質の管理もできない。無知のままで有害な混入物の入った偽カナビスを使う危険をなくすこともできない。害の削減どころかリスクを拡大してしまう。
このことは、非犯罪化政策にもあてはまる。非犯罪化を合法化の一ステップとみることもできるが、現在のイギリスのように供給が容認されていない中途半端な状態でノーマライズされてしまうと、教育問題にしても異物混入問題にしてもコントロールは無いに等しく、禁止状態と実態は何も変わらない。
(中略)
●合法化は自由化ではない
合法化は自由化を意味するわけではない。栽培や販売を規制・課税してコントロールすることで、未成年者への販売を禁止し、製品の質を表示して保証することで正しい使い方のガイドラインを設けることができる。得られた税金は、未成年者のドラッグ教育に使うこともできる。
数年前、オランダのドラッグ政策機構は次のように書いている。「カナビスの健康リスクは非常に限定されたものだが、完全に無害というわけでもない。もし完全に無害ならば、お茶などと同じルールを適用することができるが、明らかに健康リスクを伴うので、カナビスには特別な法的規制システムを用意する必要がある。カナビスを自由に利用できるようにすべきではないが、規制を設けることでごく普通のものとして寛大に扱うことができる。」(カナビスと精神病の問題、法規制によるコントロールの必要性)
カナビスの合法化運動に取り組んでいるグループで、未成年者のカナビス使用まで認めるように主張しているところなどない。害の削減にはコントロールが不可欠なのだ。
薬物行政を管轄する厚生労働省の担当のお役人は、カナビス・スタディハウス全文を5回は読んで、しっかり考え、アメリカの猿真似ばかりせず、我が国としての健全な薬物政策を立案し、推進してほしい。
女は子どもを生む機械だとか、大臣がまるで女をブロイラーのようにしか考えていないありさまでは無理な話だろうか。
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MBさんの奥さんの手記、「(4)裁判」「(5)自由の身」「(6)93日間を振り返って」「(7)一難去ってまた一難」を掲載しました。
文中、ナイスな記述がいくつもあります。
日本の司法制度には、「私達夫婦の愛を試す事が出来ました。大麻取締法ごときで壊れませんでした。有難う。」と言いたい。(かなり負け惜しみ)
負け惜しみなんかじゃないです。こんな糞法ごときで壊れる愛ではなかった。とっても心強く、嬉しく、こっちまで元気が出るような言葉です。
逮捕された人の話/MBさん(デンマーク人)
ナタの最高裁決定文も掲載しました。
全く、ナタの手紙にも書いてあったように、被告人をバカにした、ふざけた決定です。大麻の事実について、一切の検証をする気がないという腐れ司法の意思表示でしょう。蛙の面に小便という言葉を思い起こします。
裁判長裁判官蛙滝井繁男翁は、最高裁のサイトで次のような自己紹介をしています。
◆裁判官としての心構え
全ての者が,公正,透明なルール・原理に基づいて,平等な地位の下に適正な手続に従って違法行政の是正や権利救済をはかられるべきであるという司法の使命に常に思いを致しつつ,日々の課題に取り組みたいと思います。
その際には,法は生きものであり,社会適応力を持ち得るよう,活力を与えていくことが大切であるということを忘れてはならないと思っています。
爺さん、ブラックジョークのつもりでしょうか。
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元内閣法制局長官の林修三さん(故人)という方が、次のような随筆を書いています。
『時の法令』財務省印刷局編 1965年4月 通号530号「大麻取締法と法令整理」より
<一>
近頃、マリファナたばこなどという麻薬の一種がマスコミの話題になっている。先頃、来朝した黒人ドラマーなどがこの麻薬使用のかどで逮捕されて世間の注目をひいた。ジャズマンなどが好んで使用するのは、この麻薬が一種の陶酔状態を作り出すからだという。あへん、ヘロインなどとは作用のちがうものだそうであるが、中近東地方の麻薬といえば、大体がこの系統のものらしい。十一、二世紀のイランの山地地方にハッシーシュという麻薬を使って若者を誘惑し、これを暗殺者に仕立てて近隣諸国をふるえ上らせたという暗殺者王国(山の老人の王国)があったことは有名な話であるが、そこで使われた麻薬も、この種類のものであったようである。ついでであるが、英語のアサシネーション(暗殺)ということばの語源は、このハッシーシュから出ているらしい。
<二>
それはさておき、このマリファナたばこの麻薬的作用はカンナビノールという成分によるものだそうであるが、その原料になるものは大麻草(カンナビス、サティバ、エル)である。大麻草といえば、わが国では戦前から麻繊維をとるために栽培されていたもので、これが麻薬の原料になるなどということは少なくとも一般には知られていなかったようである。したがって、終戦後、わが国が占領下に置かれている当時、占領軍当局の指示で、大麻の栽培を制限するための法律を作れといわれたときは、私どもは、正直のところ異様な感じを受けたのである。先方は、黒人の兵隊などが大麻から作った麻薬を好むので、ということであったが、私どもは、なにかのまちがいではないかとすら思ったものである。大麻の「麻」と麻薬の「麻」がたまたま同じ字なのでまちがえられたのかも知れないなどというじょうだんまで飛ばしていたのである。私たち素人がそう思ったばかりでなく、厚生省の当局者も、わが国の大麻は、従来から国際的に麻薬植物扱いされていたインド大麻とは毒性がちがうといって、その必要性にやや首をかしげていたようである。従前から大麻を栽培してきた農民は、もちろん大反対であった。
しかし、占領中のことであるから、そういう疑問や反対がとおるわけもなく、まず、ポツダム命令として、「大麻取締規則」(昭和二二年 厚生省・農林省令第一号)が制定され、次いで、昭和二三年に、国会の議決を経た法律として大麻取締法が制定公布された。この法律によって、繊維または種子の採取を目的として大麻の栽培をする者、そういう大麻を使用する者は、いずれも、都道府県知事の免許を受けなければならないことになり、また、大麻から製造された薬品を施用することも、その施用を受けることも制限されることになった。<三>
こういういきさつがあるので、平和条約が発効して占領が終了したあと、昭和二七年から二九年にかけて、占領法制の再検討、行政事務の整理簡素化という趣旨で、大規模な法令整理が考えられたときには、この大麻取締法の廃止(少なくとも、大麻草の栽培の免許制などの廃止)ということが相当の優先順位でとりあげられたのであり、私ども当時の法制局の当局者は、しきりに、それを推進したのである。厚生省の当局も、さっきも書いたように、国産の大麻は麻薬分が少ないことから整理の可能性を認めたのであるが、なお最後の踏切りがつかないというので、私どももそれ以上の主張はせず、この法律の廃止は見送られることになった。
もし、このとき、法令整理の方に踏み切っていたとしたら、最近のような大麻系、麻薬横行の事態に直面して、厚生省当局は、必要な法令まで廃止したものとして、世論の批判をまともに受けることになっていたであろうし、それにつながって、私どもも責任を感じなければならない破目になっていたであろう。
こういう点をみても、法令整理とか行政事務の整理ということが中々難しいものであることがわかる。昨年九月に出た例の臨時行政調査会の答申も、行政事務の整理、法令整理ということを内容に含んでいるが、わが国の現状で、整理すべき法令、整理すべき行政事務のあることはたしかであるとしても、その選択については一時の思いつきによることなく慎重な調査と検討を必要とする。そうでないと、この大麻取締法の場合のような危険をおかすことになりかねない。これは別に臨時行政調査会の答申を批判しているわけではなく、むしろ、私のざんげ話である。<四>
ところで、これまで麻薬の国際的な取締りについてはいくつかの条約が併存し、規定も重複していてわかり難いところが多かったが、それらを統一整備するために、「一九六一年の麻薬に関する単一条約」という条約が作られ、昨年一二月一二日発効している(この条約については、本誌第五二五号に解説が出ている。)。わが国も、昨年の第四六回国会で承認を受けて、これに加入しているが、この単一条約では、大麻について、第二八条に、従来の国際条約になかったような新しい規定を設け、締約国は、大麻または大麻樹脂の生産のための大麻植物の栽培を許すときは、大麻植物につき、けしの統制についてこの条約の規定する統制制度と同様の統制制度を適用しなければならないとしている(二八条1)ので、この条約が発効したあとは、わが国の場合、逆に、従来の大麻取締法程度の取締りだけでいいのか、あへん法がけしの栽培について行なっている程度の厳重な統制をしなければ条約違反になるのではないかという疑問が生じてきた。大麻取締法が法令整理のやり玉に上った当時とくらべると、まさに一八〇度の方向転換である。
単一条約と大麻取締法の関係については、昨年、単一条約を国会に出すにあたって、私も若干心配になったので、厚生省あたりにいろいろ研究して貰ったのであるが、条約第二八条は、前記の規定に続いて、この条約は、もっぱら産業上の目的(繊維およぴ種子に関する場合に限る。)または園芸上の目的のための大麻植物の栽培については適用しない旨を定めており(二八条2)、わが国で現在、大麻草の栽培の免許を受けているのは、大部分は繊維または種子を採取する目的のものばかりであり、これについては、右の規定で条約の適用が排除されるから問題はないし、研究目的で大麻を栽培するため研究者の免許を受けている者も若干いるが、それはわずか十数人で、その栽培量もきわめて少なく、さらに大麻取締法は、大麻研究者が大麻を他人に譲渡することを禁止する旨の規定を設けているから、このさいは、わざわざ大麻取締法を改正するには及ぶまいということであった。そこで、その改正は、見合わせということにしたのである。
一時は廃止されるかという運命にあった法律が、今度は強化の必要性が問題にされるとは、まさに有為転変の世の中である。それにしても、昨今の新聞などをみると、青森県あたりでは、繊維または種子を採取の目的で栽培されている大麻が米軍基地などに流れているという話である。こういうことが大きくなってくると、あるいは法律の改正話も出てくるかも知れない。
(前内閣法制局長官)
当時の法制局長官が、「なにかのまちがいではないかとすら思ったものである。大麻の「麻」と麻薬の「麻」がたまたま同じ字なのでまちがえられたのかも知れないなどというじょうだんまで飛ばしていたのである。」というほど、何が目的の法律か、為政者たち自身にすら全く理解できなかった法律。だから、大麻取締法には第一条に書かれるべき「目的」がないのでしょう。立法の経緯からして、ズサンだったわけです。
当局者がこれではマトモな法律ができるわけがありません。占領下だったので、占領軍に言われるまま、テキトーに作った法律だということですね。
厚生労働省は立法の当初から「有害性」についてのデータを持っていなかったばかりでなく、わが国の大麻はインド大麻とは毒性が違うとか言って、大麻取締法の必要性に首をかしげていたと言うのです。
もし、このとき、法令整理の方に踏み切っていたとしたら、最近のような大麻系、麻薬横行の事態に直面して、厚生省当局は、必要な法令まで廃止したものとして、世論の批判をまともに受けることになっていたであろう
そんなことなかったでしょうね。もし、あの時、法令整理に踏み切って大麻取締法を廃止していれば、今ごろは嗜好用途で逮捕されないだけでなく、医学的な研究も進んでいて、産業的にも自由な研究と開発が認められ、さすが我が国の厚生労働省は先見の明があったと、後世まで日本の誇りだったかもしれないのに。
ひょっとすると、当時の為政者たちは、占領軍の指令で止むを得ず大麻取締法を作ったけど、こんなくだらない法律には目的なんかないのだという抵抗の意地を見せて、敢て目的条項を入れなかったのかもしれないとさえ思えてきます。大麻とは、伊勢神宮の御札のことでもあります。
大麻と日本人のアイデンティティの問題については、丸井英弘弁護士の「大麻取締法の運用の改善と改正を求める請願」に論考があります。
戦争に負け、大麻を奪われ、私たち日本人は神を失ったのだと思います。国家神道といっしょに宗教性まで奪われてしまったような気がしてなりません。
大麻取締法の問題に取り組むことは、占領国に押し付けられた悪法を克服するという意味で、私たち日本人自身が自分たちの社会を創り、回復する活動でもあるのだと思います。
林修三さん、戦後歴代の内閣で長く法制局長官を務めた方のようです。ご存命だったらぜひ大麻裁判で証言して頂きたいところでした。このような随筆を遺して下さったことに感謝です。
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午後から、ある若者の父と呑んだ。
お父さんは、若者の使っていたワンボックスで迎えに来てくれた。
小さな市街地を抜け、10分ほど走って山道に入ると、力強くもあり清楚でもあるような、白い花をつけたコブシが、緑の谷に散在した。
「今日が満開じゃないかな」
とのこと。
猿が喰った痕だという皮のめくれた木々など説明してもらいながら、凸凹の激しい細い林道を車は走り上がり、お父さん手作りだという山小屋に着く。冬はオートモービルで往き来するそうだ。
谷向こうの斜面にも、背にした山にも、コブシが咲き誇っている。
雲が全くない。
真っ青に高い天が頭上に広がっている。
高度は1000メートルとのこと。
この方の息子は、執行猶予中に又も大麻で逮捕され、拘置所にいる。
南の旅先で財布を落としたことがきっかけになったらしい。
落とした財布には、彼が熱心なボランティアとして所属する大麻関連団体のパンフレットが入っていた。
親切な人が拾って財布を警察に届けてくれた。
財布は若者の手に戻ったが、免許証とパンフレットは警察の目に留まった。
弁護士は、若者の逮捕は、その財布が原因の狙い討ちだと言う。
逮捕時の職質への対応といい、あまりにも無防備だった。
若者は懲役2年の判決を受け、執行猶予中の2年6月と併せて4年6月の長期の実刑となってしまった。
控訴するかどうか。
本人は思案中だと思う。
お父さんとの一献は、一審判決を受け、その慰労会という意味もあった。
山小屋は谷側の斜面を小さく拓いて作られていた。
居住用の小屋とは別に、茶室のような、頭を下げてくぐらなければ入れない、東屋風の一棟があった。
座布団を乗せた椅子用の杉丸太数脚。その椅子用の丸太を縦に切って横にしたような小さなカウンター。その向こう側が厨房の空間になっていて、ガスコンロもある。4・5人入れば満席だろう。
お父さんが厨房の椅子に座り、もてなして下さった。
寒く、雪深い季節を終え、ようやく来た春。
鳥の囀りが楽しそうに聞こえる。
地元の酒蔵で利き酒係をしている知り合いが、出荷はしていない、旨いところを一升くれたとのこと。
ラベルのない一升瓶のそれは、引き締まったフルーティーな香りで、甘過ぎず、濃く、さっぱりしており、喉越しの辛さが爽やかな、春にふさわしい酒だった。
ご馳走だった。
自家栽培の椎茸。傘の裏に醤油と日本酒を垂らし、網焼き。
筍の煮物。野沢菜漬。海草サラダ。ホタル烏賊の酢味噌はお父さん手作りだったのだろうか。
摘んだばかりの山菜の天麩羅。
雪の下、ミョウブ、タラの芽、ふきのとう、こごみ、行者にんにくの葉、などなど、その場で天麩羅にして頂いた。
「足りなけゃそこらで摘んできますから」
と、冗談を言いながら、呑みながら、手際よく揚げて頂き、揚がる順に片っ端から頂いてしまって、お父さんの分を取っておくのが遅くなり、失礼しました。
お父さんは調理師免許をお持ちで、打った蕎麦が吉兆に供される達人である。
谷を飾る白いコブシの花。
山桜も所々に咲いている。
地べたには高山植物のイワウチワの紫も満開。
「花を愛でつつ、こうして酒を呑む。こういうのが好きなんですよ。」
お父さんの言葉、ナイスであります。
若者から来た手紙に、「今年は山菜が食べられないのが残念」と書いてあったのを思い出す。
なんか、若者に悪い気もするが、ま、仕方ない。
たらふくご馳走になり、歓談し、帰りは、お母さんの運転で私宅まで送って下さった。
送迎付きの、申し訳ないような、VIP待遇であった。
このご両親に育てられた若者は、刑務所に入るような悪いことなど何もしていない。
それなのに、小さな狭い社会で、世間から後ろ指を刺されることに怯えて、うしろめたい思いを強いられて暮らさなければならない。
本当に、日本はいつまでこんなアホなことを続けるつもりなのだろう。
春爛漫。息子を刑務所送りにされるご両親の心痛は深い。
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大麻で逮捕しないでほしいという主張を聞いて、では大麻は何の規制もせずに野放しにしてよいのか、という反問に遭うことがある。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページなどで厚生労働省や財麻薬覚せい剤乱用防止センターが社会に流している大麻についての記述には根拠がないことは、もはや法廷の場でも明白になっている。徒に恐怖を煽るような過剰な記述は、現実との落差もあって、他の記述に対する信用も失う結果を招くだろう。
野放しにするのではなく、ちゃんと管理したら良いと思う。
そのために必要なことは、まず正しい情報を社会に定着させることではないだろうか。そのような意味でも啓蒙的な活動は大麻で逮捕されない社会をめざす上での基調的な意味を持つと思う。
大麻について正しい理解が得られば、逮捕投獄するようなことではないことが分かってもらえるだろう。
大麻の規制緩和として、「酔い」はアルコール程度、「煙害」は煙草程度を求めたい。乗るなら吸うな、吸うなら乗るな、公の場での大麻喫煙は周辺の者が酔っちゃうので禁止。
自家消費用の数本程度は栽培免許を出す。税収にもなる。
そのような規制のあり方で良いと思う。それは野放しとは違う。
誤った情報であることに気づきながら、それを流布することを止めず、逮捕投獄することを止めず、更に輪をかけて取締りを強化することで問題を糊塗しようとする暴君的官僚の罪は極めて重い。
担当の官僚諸君は大麻問題の落とし所を探るべきである。
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大麻で逮捕されない社会は、既に複数の国や地域で実現されているし、そもそも取り締まりの対象などではない国や地域も多数ある。
欧州に目をやれば、薬物問題は犯罪ではなく健康からのアプローチが社会化されている。
井の中の蛙、日本。
大麻の個人使用で逮捕されない社会はそんなに遠くないと思う。
医療、産業、大麻の可能性は、そこから更に花開くだろう。
そこにどう辿り着くか。
大麻自由化というゴール、新たなスタート地点へ向けてのオリエンテーリング。
いろんな人やグループが、あっちのポイントやこっちのポイントを巡りながら紆余曲折、奮闘努力している。たまには衝突することもある。
大麻で逮捕されない日が来たら、THC解散記念大麻パーティーを開催したい。
その日をひとまず目標に。
欲しがりません。勝つまでは。
禁断症状もありません。(´・ω・`).
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