光市母子殺害事件の差し戻し審、広島高裁判決は「国策死刑」だと思う。
私は、死刑制度に反対だ。殺してよい人命などない。まして国家権力の名において。そう思うからだ。
加害者の権利ばかりが擁護され、被害者や遺族の権利がないがしろにされているという批評を聞くことがある。社会として、被害者や遺族への配慮は十分になされるべきだ。だが、それを粗末にしているのは、テレビカメラを構えて押し寄せるマスコミではないのか。
加害者・被告人の権利は、裁こうとしている権力との対比で考えられるべきだ。現状は、捕まったら最後、警察や検察は圧倒的な物量で捜査し、できるだけ重い罪名に導こうとする。無実であろうが捕まると、経済的な余裕がなければ弁護士を雇うことすらできない。刑事司法における「格差」だ。
刑事司法の場では、被疑者の権利などまるで考慮されていない。あくまでも、捕まえて裁く権力の都合で作られているシステムだ。
これほど冤罪が多いのだから、誤判で死刑が確定した人が少なからずいるだろう。再審が決まった人たちの他、既に執行されてしまった人も含めて。
裁判は、人間がやることだから、事実認定を誤る可能性をゼロにはできない。死刑は、取り返しが付かない。
殺したことが事実でも、罪名や量刑は殺害に至る動機や経緯によって異なる。それを明らかにするのが法廷であるはずだが、現実はそうなっていない。だから冤罪が多いのだ。
取り調べを受けたことのない人には想像しにくいかもしれないが、取り調べる者たちは、被疑者が言ってもいないことを調書に書くし、書いてほしいことを書かない。自白調書が作られてしまうと、それは裁判でとても大きな意味を持ち、法廷で覆すのは極めて困難だ。
ヤクザ者に騙されて何も知らずに大麻の運び屋をやらされ、実刑懲役3年半が確定し、今も服役している高藤さんは、取り調べの時、あまりにも信頼できない刑事たちに辟易し、裁判で言えば裁判官には本当のことが分かってもらえると思って、供述調書に署名してしまったそうだ。高藤さんが荷物の中身を知っていたことを示す物的証拠などなかった。1審では無罪だったが、検察が控訴し、二審で逆転有罪になった。上告するに際し、高藤さんは冤罪事件で著名なA弁護士に電話で相談したが、「私は高いですよ、250万」と言われ、弁護の依頼を断念している。地獄の沙汰もカネ次第。
光市母子殺害事件を起こした元少年は、家裁段階で、4・5歳程度の善悪判断しかできない精神レベルだと鑑定されている。
元少年の父親は家人に日常的に暴力を振るっていたそうだ。元少年は、逆さ吊りにされて水風呂に浸けられたり、殴る蹴るの暴行を日常的に受けて育った。父親の暴力は、元少年の母親にも向けられていた。夫からの暴行を苦に、元少年の母親は自宅で自殺した。発見したのは元少年だったそうだ。13歳、中1の時。事件を起こす5年前の出来事。元少年自身の魂も深く傷ついていただろう。
逮捕後、元少年は言われるままに供述調書を取られたことだろう。性体験もなく、魂の病んだ元少年は、殺人と障害致死の違いなど知りもしなかっただろう。
安田弁護士は元少年の精神年齢について、「4・5歳は言い過ぎで、12・3歳」だと言っている。
弁護士も付かぬまま取り調べを受け、供述調書を、その意味も知らずに取られ、起訴され、裁判を担当したのは国選の弁護士だった。
弁護士は、事実認定は争わず、情状酌量を訴え、減刑を主張する法廷戦略を採ったのだろう。一審で無期懲役が言い渡され、検察が控訴し、高裁も一審判決を維持した。だが検察が上告した。無期では甘い、死刑にせよ、殺せ、と。
検察が上告してから3年8ヶ月。最高裁は弁論を開くことを決定した。それは高裁判決を見直すことを意味していた。
上告審を担当することになった弁護士は、安田弁護士に上告審の弁護を依頼し、国選弁護人が交代となった。弁論期日2週間前のことで、十分な準備ができない。安田弁護士は期日延期を最高裁に申し出た。これまでも同じように期日の延期を申し出ることはあり、それが拒まれたことはなかった。しかし、この件では、即日のうちに、事情の確認もなく、最高裁は期日延期の申請を却下した。それでも出廷できないと伝えれば、最高裁自らが他の弁護人を指名することになるだろう。それでは引き受けた弁護をまっとうすることができない。安田弁護士は、期日前日に最高裁に出廷できないと通知した。マスコミによる弁護団バッシングが激しかったのは記憶に新しい。事実認定を再検証しようとする弁護側の真意を伝えず、一方的なバッシングを募らせるマスコミと世論に私は恐怖を覚える。
検察の上告から3年8ヶ月を置いて弁論を決定し、弁護側には2週間しか与えない最高裁。弁護団を叩くマスコミと、それに煽られた世論。関東学院大学のラグビー部の部員が、寮の押し入れで大麻を栽培して捕まったとき、当局に乗せられて大バッシングを展開したマスコミと世論を私は想起する。
安田弁護士が元少年に初めて面会したとき、元少年は、開口一番、「初めから殺そうと思っていたわけではない」と言ったそうだ。赤ちゃんを頭から床に叩きつけたという、マスコミが書き立て、言い立てた、検察の主張を裏付ける痕跡は、遺体にない。
安田弁護士たちは、まず事実を再検討すべきだと主張した。だが、最高裁の意を受けた広島高裁は、事実認定の再検証を、被告人が反省していない証拠として扱った。
弁護団は上告したが、最高裁の計画通り、死刑が確定するのだろう。事実を大切にすることよりも、判例の変更を優先した恣意的な政治的裁判だ。
この間、大衆には、マスコミを通じて被告人の残虐性が喧伝される一方、遺族への感情移入が誘導され、死刑を肯定する世論が強化された。大衆の激情と逆上を見込んだうえでの、司法行政の誘導による殺せ殺せの大合唱。警察と検察の作り話にお墨付きを与える裁判所。大麻取締法違憲論裁判と全く同じ構図。
病んだ元少年の魂が求めていたのは愛だったのだろうと思う。
病み傷ついた幼い魂を、私たちの社会は導くことができなかった。元少年の魂は、大切な二人の命を奪うほど病んでいた。
罪の深さと重さを自覚させること。元少年には、そのような刑が必要だと思う。
遺族にも、加害者にも、魂の救済が必要なのだと思う。私たちの社会は、どのようにそこに関与できるのか。
病んだ魂を、社会としてどのように救済できるのか。そのような回路、個人が魂を深く病まずに済む社会をどのように作れるのか。そのことが問われているのだと私は思う。
光市母子殺害事件の差し戻し審の判決、そして最高裁で下されようとしている判断は、死刑の存置や廃止の問題を措いて、事実認定を軽視した国策死刑である。
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来年から裁判員制度が始まる。殺人などの凶悪な犯罪について、国民が裁判官とともに判決を下すことになる(1審のみなので、検察が控訴した場合など、2審以降は従来通り職業裁判官だけが判決内容を決める)。
自分自身の裁判を含め、いくつもの裁判で、現在の司法が滅茶苦茶であることを実感している者としては、職業裁判官だけに判決を出させるのではなく、国民の目が加わることに肯定的な期待をしていた。ネットで検索しても、実際にひどい裁判を体験した人たちが裁判員制度に期待し、肯定的に捉えている傾向を感じた。が、知れば知るほど、救いようもないほどに、刑事司法は不公正な方向に向かっていることを痛感する。
裁判員制度だけでなく、現在の司法制度の問題を理解するうえで、光市母子殺害事件の弁護を担当した安田好弘弁護士の講演記録がとても参考になった。
「日本の裁判はどこまで信用できるか」安田好弘弁護士講演
無実の死刑囚・元プロボクサー袴田巌さんを救う会「キラキラ星通信」第61号掲載記事
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残虐な事件が後を絶たない。
ニュースを見聞して気になるのだが、判決で、遺族の処罰感情が厳しいことが量刑の理由に挙げらることがある。突然、愛する家族を殺害された遺族の処罰感情が厳しいのは当然のことだが、では、被害者が天涯孤独で、悲しむ遺族がいないような場合、被告人の刑は相対的に軽くていいのだろうか。
遺族の処罰感情が峻烈であることを刑の重さに加えるなら、被害者に悲しむ遺族がいなければ、その分罪が軽いのだろうか。どこかおかしくはないか。それはホームレスを襲撃する子どもたちの身勝手な差別の論理と交錯していないだろうか。
光市母子殺人事件の報道については、JANJANに掲載された田中良太氏の考察が示唆的だった。
「量刑カプセル」閉じこもりの母子殺害裁判報道
殺人事件に限らず、犯人逮捕後、取り調べの様子についてなど、マスコミが流す情報は、警察や検察の発表やリークに基づいている。犯人の特定には間違いがないらしいとしても、誘導尋問による供述に尾ひれを付けて、犯人への憎悪を煽るような情報操作を当局はしかねない。むしろ、リークされた情報は、世論誘導の意図を持つと疑ったほうがいい。
厳罰化という北風だけでは何も解決しないが、現政権は日本社会に北風を吹き荒らしている。「痛みを伴う改革」の成れの果て。
死刑制度のことなど、社民党の保坂展人氏のサイトが考えさせられた。
春の微熱と「死刑」をめぐり考えること
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このサイトは、人気ブログランキングの「政治」カテゴリーに登録してあります。この問題に関心を持つ人の声の大きさを示す一つの指標になるのと同時に、政治に関心を持つ人たちに、THCの主張と取り組みを知ってほしいという狙いもあります。
ブログ系のプログラムには、更新ping(ピン)という機能があります。記事を更新すると、その更新情報を人気ブログランキングに送信し、最新情報として当該コーナーに表示されるものです。
しばらく前から、このサイトの更新pingが、人気ブログランキングのサーバーから拒否されるようになっています。ランキング自体は表示されているので、登録IDを抹消されたわけではないのですが、更新pingは拒否されます。このようなpingサーバーというのはたくさんあって、他ではほぼ受け付けられているので、当方の機能の不具合ではなく、人気ブログランキングのpingサーバーに拒否されている状態です。
何かこちらの設定にミスがあるのかと思い、2度ほど問い合わせのメールを送りましたが、今のところ回答はありません。
FC2という、無料でさまざまなウェブ関係の機能を利用できるサービスがありますが、こちらは明らかに当方のドメインが拒否されています。無料のブログサービスを使おうとして、asayake.jpドメインのメールアドレスで登録したのですが、手続きは完了するものの、IDなどの書かれた登録完了メールが送られてきません。他のドメインで登録すると、ちゃんと登録完了メールが送られてきて、サービスも利用できます。asayake.jpが拒否されているとしか考えられません。この件も、FC2に問い合わせのメールを送りましたが、回答はありません。
もし、大麻関連の情報サイトは拒否するといったことが、有害情報のフィルタリング強化の流れで行われているのだとすれば、言論の自由、表現の自由、思想と良心の自由に対する抑圧です。当局がNGリストを業界団体に流しているなどということがないことを祈る思いですが、大麻堂の商品がビッダーズから一方的に削除された流れとも符号するように感じられ、じわじわと息苦しい世の中になってゆくのを感じます。
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4月20日限りのNORMLのイベントサイトです。
420 Money Bomb
420記念日に、NORML420マネー爆弾コムで新メンバー募集
NORMLの 420マネー爆弾コム は、ロン・ポール議員が大統領予備選挙で資金獲得に成功した方法に触発されたもので、デイリー・ポッドキャスト、NORMLブログ、フェースブック や マイスペース といった人気ページとともに、NORMLの拡大戦略の一部に位置付けられている。
日本なら8月8日とか9月3日でしょうか。
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ルシティアさんという方の「大麻問題をメタ的に考える 」というブログで、「大麻取締法被害者センターに対して」という「反論」が書かれているのを読みました。
まだ続きがあるようですが、その「反論」にコメントを付けてきました。バックアップを兼ねて、書き残したコメントのみ転載します。
こんにちは。初めまして。山崎さんのブログから来ました。
当方への批判、拝読しました。で、せっかくなので批判にお応えし、議論を深めるなかで、私自身の認識が深まることを期待して、書かせて頂きます。
> これは「医療大麻」カテゴリの問題であって「嗜好品」のカテゴリではない。
そうだけど、だから何でしょうか?(^^y-~
何を批判されているのか分かりません。
嗜好品としての大麻合法化を主張する者は、医療大麻について話してはいけないのでしょうか?
私たちは、「個人が利用する大麻の所持や栽培で逮捕するな」という主張をしています。 さらに言えば、それを制度化して、社会的に管理しようと提言しています。
そのことと、大麻の医療的な価値に言及することは、何ら矛盾する話ではありません。
むしろ、政府のプロパガンダによって大麻について誤解している多くの人たちに、大麻の医療的価値を伝えることは、大麻の事実を伝える目的にも適っています。
サティベックスは医療大麻カテゴリの話であって、嗜好品カテゴリとは何の関係もない、ということを仰りたいようですが、両方とも「大麻」という親カテゴリーに入っているものです。
> すなわち「幻視・幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状や判断力・認識能力の低下等をもたらす精神薬理作用」を害とみなすか否かが焦点である。
それは何の焦点ですか?
私たちの焦点は、大麻の害が、逮捕勾留して裁判にかけ、その者の生活を根底から破壊し、近親者にも辛くて悲しい思いをさせなければならないほどのものなのか、という点にあります。
> 医療大麻の研究が日本で行われるべきかどうかについて、この裁判は関係ない。
すいません、「この裁判」とはどの裁判を指しているのでしょう?
>実際初犯はほぼ執行猶予らしいし。
執行猶予があるから厳しくてもいいというのは、厳罰を正当化する理由にはなりません。厳罰に値することなのかどうかが問題なのです。
更新、楽しみにしています。
どんどん批判して下さい。(^^y-~
よろしくお願いします。
私たちの活動に対する批判や意見は大歓迎です。見落としているかもしれない大切な観点に気付ける機会でもあり、取り組みの内容や意味を再確認する機会にもなります。根拠のない中傷や誹謗はお断りですが、私たちの考えや取り組みについての批判的な意見は、むしろ歓迎です。
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毎日新聞 1977年(昭和52年)9月14日 5面「記者の目」
関 元(編集委員)
重罪扱い 厳しい日本
全米委員会の報告(「マリファナ―誤解のしるし」)―習慣性・禁断症状なし、犯罪誘発の危険少ない―大統領も刑罰緩和を呼掛け
マリファナ(大麻)で挙げられた井上陽水は警察にとって金星か、マスコミにとって堕ちた天使か、ファンにとって殉教者か。彼がそれらのいずれにもならぬことを願いたい。いまどき有名スターがマリファナで捕まって全国的なスキャンダルになるのは世界広しといえども日本ぐらいのものだ。たかがマリファナぐらいで目くじら立てて、その犯人を刑務所にやるような法律は早く改めたほうがいい。
陽水は「自分は酒が飲めないので、くつろぐためにマリファナを吸った」と自供したそうだ。それが、わが毎日新聞を含め日本のマスコミでは極悪犯人扱いである。マリファナはそんなに悪いものか。陶酔感を求めて酒の代わりにヘロインや覚せい剤を乱用すればたちまち身体的依存(習慣性)にとりつかれ、すさまじい禁断症状を呈し、犯罪を誘発し、やがては廃人になったり死んだりして本人にも社会にも不幸をもたらすから、乱用はいけませんというのは常識である。だがマリファナは身体的依存をともなわず、それがもたらす陶酔感も悪影響もともにマイルド(おだやか)だというのが世界的な常識になりつつある。全体主義国はいざ知らず、この常識が政府とマスコミによって真っ向から否定されているのが日本だ。
マリファナに関し、今までに行われたおそらく最も包括的な調査研究はマリファナおよび薬物乱用に関する全米委員会(委員長・シェーファー元ペンシルベニア州知事)が1972年に出した報告である。米大統領と議会によって設置されたこの委員会はスタッフ70人、委託研究者に医師、心理学者、法律家ら80人を使い、米国民を対象にマリファナに多角的なメスを入れた。その要点は次のようなものである。
一、マリファナの酔い心地(マリファナは、その花や葉を刻んで普通は紙でシガレットのように巻き、火をつけて煙を吸い込む)=少ない摂取量なら、まず愉快になり、うっとりして屈託を忘れてくつろぎ、さわる、見る、においをかぐ、味わう、音を聴くなどの感覚が鋭くなり、空腹感を覚える。吸い過ぎるとひとや物がゆがんで見え、感覚的、精神的幻覚が起こる。しかしマリファナが原因の精神異常のケースはほとんどない。
一、短期的影響=相当多量のマリファナを一日一回ないし数回与えて21日間、人体実験をしたところでは、身体機能、運動機能、個人的、社会的態度、作業状態に有害な効果はみられなかった。被験者は一様に体重が増えた。身体的依存や禁断症状の証拠は認められなかった。耐性は脈搏など身体機能、時間推定、射撃など知覚運動機能に関しては現れたが、酩酊に関しては現れなかった。
一、長期的影響=適度の吸い方なら器官損傷はなかろうが、情緒不安定な人間は生活態度に影響を受けるかもしれない。大量に吸い続ければ心理的依存が強まり、生活態度に変化を生じ、また肺機能減退など器官損傷の可能性がある。
報告はこの他、マリファナが生命とりになる、各種犯罪を誘発する、性的退廃をもたらす、生殖機能を阻害する、ヘロインなど一層危険な麻薬乱用に至る、などの俗説を根拠なしと否定し、結局政府に対し「マリファナを法律上、麻薬扱いしない。個人的にマリファナを所持し、吸っても罪にしない。ただし売るためにマリファナを栽培、所持した場合は従来通り犯罪とする」ことを勧告した。
この結果、米国ではオレゴンやカリフォルニア州は、すでにマリファナ使用に対する実刑を廃止し、カーター大統領もことし8月2日の麻薬教書で、5年前のこの報告の「基本的な勧告を実施すべき時である」として、(1)一オンス以下のマリファナ所持には実刑を廃止して罰金刑のみとする (2)しかしこれらは合法化ではなく密売は引続き犯罪扱いする―よう連邦法を改正することを議会に求めた。
先入観に立脚 日本の取締り
これに対し、井上陽水を捕えた警視庁の河越保安二課長は「マリファナを常用すると慢性中毒になって早発性痴呆症になる」と信じている。また厚生省麻薬課が去年出したパンフレット『大麻』には「マリファナを吸えば狂乱し、挑発的、暴力的となる…急性中毒による死亡報告がある…慢性中毒の症状としては多彩なる精神異常発現作用、長期常用による人格水準の低下がある」と書いてある。このパンフレットは全米委員会の報告の趣旨はほとんど無視し、日本内外のマリファナに関する極端に否定的な報告例を断片的に集めたに過ぎない。全米委員会報告が短期的な人体実験および2年から17年に及ぶマリファナ常用者観察例に基づいているのに反し、厚生省は人体実験をしたことが全然ない。
従って日本のマリファナ取締りは科学的というよりタブーめいた先入観に立脚しているが、河越課長は「マリファナはひと握りの隠れた愛好家が吸っている程度で、覚せい剤犯と違って彼らは他の犯罪に走らず、社会に迷惑をかけてもおらず、暴力団の資金源になってもいない」とみて、日本の大麻取締法が所持に5年以下、密売に7年以下の懲役刑を定めながら罰金規定を欠いているのは「意外と重いねえ」と感じている。
しかし取締りの「主管」を自認する厚生省麻薬課の山田課長は「わが国のマリファナ事犯は増えており(昨年で900人を送検)アメリカがマリファナに甘いのはヘロイン取締りに追われてマリファナにはもうお手上げの状態だから」と主張する。確かにカーター教書によれば全米人口2億人中、マリファナ経験者は4千5百万人で彼らを刑務所に送るのは不可能である。そのうち常用者は千百万人にのぼる。ではその千百万人は日本の当局のいうように、やがて「早発性痴呆症」や「人格水準の低下」を来すのだろうか?
大麻取締法は米の押付けだ
井上陽水は「アメリカでマリファナの味を覚えた」と自供したそうだが、マリファナを吸うことも、それに対するタブー意識も、第二次世界大戦後アメリカから日本へ直輸入されたものである。大麻取締法がまさにその象徴だ。これは米占領軍が日本に強制したポツダム政令をそのまま法律化して今日まで続けてきたものだ。
敗戦まで日本でマリファナには何の規制もなかったが、全国に野生し、また栽培されてきた大麻、つまりマリファナを日本人は麻酔剤や下剤に古くから利用し、日本薬局方にも「印度大麻草エキス」は鎮静、催眠剤として収められていた。日本産のマリファナは陶酔物質THC(テトラハイドロカナビノール)含有量が少ないといわれているが、その国産マリファナを日本人が古くから快楽のために使っていた可能性は否定できない。それにだれも目くじらを立てなかっただけの話だ。それは現代において、バナナの皮を乾かして火をつけて吸うとあやしい気分になるからといってバナナを禁制品にしろとだれもいわないのと、多分似たようなことだったろう。
さて、なぜアメリカ人はマリファナを目のカタキにし出したか。「マリファナ」とは中南米に発生したスペイン語だ。これはアラビア語では「ハシシ」といい、それが英、伊、仏、西各国語で「暗殺者」を意味する「アサシン」などの語源となったように、キリスト教世界には昔、十字軍がマリファナを使うアラブのゲリラ戦術にひどい目にあわされた歴史的背景がある。そしてアメリカの中西部にはマリファナが大量に野生し、農民から「ロコ・ウィード(気違い草)」と呼ばれていたが、これを吸う習慣が持ち込まれたのは、全米委員会報告によれば、今世紀はじめごろ、メキシコ移民とジャマイカ移民によってであった。禁酒法を実施(1920~33年)させたアメリカ人の清教徒的ヒステリーがビール好きのドイツ人やウイスキー好きのアイルランド人ら新移民への嫌悪感と結びついていたように、米国民は後の新移民への嫌悪の象徴としてマリファナをやり玉にあげ、1937年、連邦法によって禁止した。
ではなぜアメリカ人はいまや多分、世界一のマリファナ愛好者となったか? それが反体制のシンボルとなったからだ。1950年代にめい想とジャズにふけったいわゆるビート派がマリファナ公然化の先頭に立った。十年後、ベトナム戦争が激化し、アメリカの若者は戦争を憎み、管理社会をきらい、親どもの偽善と物質主義とカクテル・パーティーのわい雑さをさげすみ、繁栄と死の影の下で対抗文化をはびこらせ、その象徴にマリファナをすえた。
60年代のアメリカの若者の旗手ボブ・ディランは歌った。「車に乗っては石ぶつけられ、ギターひいては石ぶつけられ、イエス、だがオレはそんなに寂しくないぜ、みんな石ぶつけられなきゃならないぜ」―「石ぶつけられる」にはアメリカの俗語で「麻薬(主にマリファナ)をやる」の意味がある。だからこの歌は、俗物どもに迫害されても、仲間同士でマリファナに酔って対抗しようという反俗宣言だった。アメリカの大人がマリファナを毛ぎらいするほど、その息子と娘たちはわざといやがらせに吸いまくった。そのころのニューヨーク・タイムスにある学生はこう語った。「中毒しないし、酒より安いし、酔い心地もいい。酒に酔えば自分をコントロールできなくなるが、マリファナに酔ってもコントロールを保てる。二日酔いにもならない」
いま米国では 大人も堂々と
アメリカの若者は大人にマリファナ戦争を仕掛けて勝った。マリファナはアメリカでもはや若者の独占物ではもちろんない。いまのアメリカで、きちんとした、だがちょっとさばけた大人のパーティーで女主人は客にこうたずねる。「お飲みになる?それとも、お吸いになる?」―もちろん、酒かマリファナかを、だ。
マリファナをめぐってアメリカはずい分大騒ぎしたあげく、やっと個人使用への実刑撤廃という大統領提案にこぎつけた。その理由をカーター氏は「個人が薬を所持していることに対する罰則は、その個人がその薬を使ってこうむる損害を上回ってはならない」といっている。要するにたかがマリファナを吸ったぐらいで刑務所に送ってはならない、ということだ。
日本の当局がこのカーターさんの言葉をよくかみしめて、大麻法を同様に改正しても、対米追随にはならない。なぜならそもそもマリファナに対する過剰反応こそ、敗戦によるアメリカの押しつけだったのだから。
1977年、約30年も前の時点でこのような論説が毎日新聞に出ていたことを思うと、大麻についてのマスコミの報道は、寧ろ後退してしまっているのではないでしょうか。タブー視されている感がある。反面、麻の実の食糧としての価値は、マスコミでも近年見直されつつあるように感じられます。これもその方面で尽力されてきた方たちの存在があったからで、黙っていたら麻の実の価値がひとりでに見直されてきたわけではないでしょう。医療用途についても、産業的な利用価値についても、嗜好目的についても、同じ流れにあるだろうと感じています。
新聞記事のコピーはこちら
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ちょっとサイトを整理編集しました。右側の目次の一番上に「現在アクセスしてる人」を付けてみました。これはこのサイトにアクセスしている人数をリアルタイムに表示します。つながっている人がいる感じがして良くない?
「現在アクセスしてる人」のすぐ下に「人気ブログランキング」を差し上げます。お願いね。
昨日、アクセス解析を見たところ、毎月20万ページ以上が閲覧されています。大麻と大麻取締法に関する情報、その課題に取り組む活動状況を発信するサイトとして、一定の役割を果たせているかな。どうかな。まだまだだけど。
「活動履歴」と「外部リンクTOPICS」も更新しました。
新着リンクも適時更新しています。
これから取り組むべき具体的な課題や、すぐにでもやったほうがいいことが山積みで、たくさん溜まっていますが、何か?
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規制薬物を3段階に分類し、そのランクに対応した罰則を適用しているイギリスでは、2004年に大麻はBからCに引き下げられ、事実上、非犯罪化が現実のものとなった。その後、この規制をBに戻そうとする反動的な動きもあったが、諮問委員会の科学者たちの良心に守られて、現在までCのまま据え置かれている。
この大麻規制のランクを再びBに戻そうとして、昨年首相に就いたブラウンおじさんは、科学者が構成する諮問委員会に諮った。その結果、諮問委員会は、大麻規制をBに戻す科学的根拠はないと答申することを決めたという。
参照:イギリス政府諮問委員会(ACMD)答申/カナビスはC分類に据え置くべき
しかし、最終的に決定するのはブラウンおじさんだそうである。政府の最終決定は5月初旬とのこと。
さて、ブラウン首相は諮問委員会の科学者たちの見解を尊重するだろうか。それとも、人気凋落の起死回生策として、大麻の規制を元に戻すだろうか。現在のイギリスはマスコミを含めてリーファー・マッドネス状態なのだそうだ。日本と同じらしい。あちらは非犯罪化が為された上での話だが。
それではここで問題です。
これまで、諮問委員会の答申が尊重されなかったことはないそうですが、今回、ブラウンおじさんは、科学者たちの答申を無視してBに戻すか、それともCに据え置くか、どっちを選ぶでしょう?
次のなかから選んで下さい。
(1)どうせ落ち目だしヤケクソでBに戻す。
(2)諮問委員会の意味がなくなるので戻せない
(3)実はおじさんも大麻を吸ったことがある(但し吸い込まなかった)
正解した方の中から抽選で1名様に、私の執行猶予残り1年半をプレゼント!どしどしご応募下さい。
正解と当選者の発表は5月初旬。チャンネルはそのままで。
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アメリカで大麻法の改革に取り組むNORMLに、THCの「提言」をメールで送りました。丁寧で嬉しい返信を頂いたので、やりとりを紹介します。
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野中さんの原稿をネイティブの人に確認してもらって送ったメール。
Hello.
We are a small (Japanese NGO) citizen's group which is pursuing a course of action to establish the right of cultivation and possession of cannabis for personal use in Japan.
We know about NORML through articles translated by a Japanese volunteer and feel deep respect for your cause and efforts.
We submitted 'A Proposal for Reforming Cannabis Control under the International Treaties' to Japanese Government and the UN Commission on Narcotic Drugs.
Our intent is to illustrate the negative impact of the current Japanese cannabis laws under the zero-tolerance policy mandated by prohibitive international treaties. We hope that collectively with other organizations worldwide that our actions will compel the international body to objectively review subject international treaties and revise the regulation of cannabis consistent with the facts presented during such a review.
The following proposal document is provided for your information and was recently submitted to the 51st session of the UN Commission on Narcotic Drugs.
(以下提言は略)
-------------
NORMLからの返信。
Thanks for contacting NORML!
I am glad that our releases and articles make it to you in Japan, and I am
pleased that it may have played some small part in your reform efforts.
We also feel deep respect for your efforts, particularly to influence UN
policy. If our many voices join around the world, soon we will be listened
to.
Please be in touch if we can do anything to support your efforts.
Sincerely,j
Ron Fisher
National Outreach Coordinator
norml@norml.org
202-483-5500
-------------
やりとりをTHCで紹介して良いか、こちらから確認のメール。英文はチェックしてもらっていないので、間違いとか言い回しが変だと思うけど、出してみた。
Hello,
Thank you for your reply.
In Japan, the movement to reform the law will not be widely accepted.
In a state of affairs like this, your releases and articles show us the way to go.
To tell the truth, I feel a language barrier. But I believe in the truth of cannabis cross the border.
May I place your reply in our web?
The reply from you will make us energetic.
Sincerely,
-------------
そしたらまたすぐに「頑張ろう」と返信を頂いた。
Hello again.
All social movements take time and patience.
You may certainly place our reply on your site. You may place anything from www.norml.org or blog.norml.org there as well, if you feel it will be good.
I feel happy that we have corresponded.
Ganbaro! :D
Sincerely,
Ron Fisher
National Outreach Coordinator
norml@norml.org
202-483-5500
-------------
日本の宗主国アメリカでは、NORMLのような団体が多数あって、それぞれが活発に取り組みを進め、大きな成果を上げている。それに比べて、日本は・・・
Ganbaro! :D
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ミリオン出版のサブカル誌「実話ナックルズX」に連載中の「大麻取締法はダメ。ゼッタイ。」がノーベル文学賞を受賞しました。
以下はその第3回目の原稿です。
今年の3月、国際的な薬物規制について協議する国連麻薬委員会が開催される。1998年、国連は、この先10年で世界から違法薬物の取引を根絶するという壮大な目標を掲げた。3月の会議では「反省と熟慮の年」として、この10年の取り組みが検証される。日本国内でも、内閣府に設置された薬物乱用対策推進本部の新5ヵ年戦略が7月に期限を迎える。
この節目に、私たちは国連と日本政府に対し、大麻規制のあり方を見直すよう提言を出す。厚生労働省の「厄人(やくにん)」は無意味な大麻弾圧を続けている。先進国の中でも日本の大麻規制は異常に厳しい。厚労省が未だにGHQの指令を守り通しているからだ。
私たちの提言に協賛者として、大麻堂の前田耕一氏、大麻問題の専門家である丸井英弘弁護士、元祖フリークスのポンさんこと山田塊也氏、中部大学の武田邦彦教授も名を連ねて頂くことになった。
厚労省大麻情報の根拠は、15年以上前のアメリカ製薬物標本の説明書だ。医学的根拠などなく、その説明書の原本すら残っておらず、厚労省はコピーを持っているだけだ。私達の情報公開請求に対し、厚労省はその情報を隠蔽しようとした。そこで私たちは内閣府の情報公開・個人情報保護審査会に異議申立を行った。審査会は私たちの主張を全面的に認め、厚労省に情報公開をやり直すよう答申した。厚労省のデタラメを内閣府設置の審査会が認めた意義は大きい。
麻薬取締官の本部である厚労省麻薬対策課の厄人を批判しているせいか、どうもしばらく前から内偵されている気配を感じる。5年前、私は嗜好目的で大麻栽培免許を申請し、免許のないまま栽培し、それらをネットで公言し、近畿の麻薬Gメンに捕まった。最高裁まで闘ったが、懲役3年執行猶予5年で終わり、今も私は執行猶予中だ。今回、私たちの情報公開請求に対応したのは、うちにガサに来た麻薬Gメンだった。
だが、断言しよう。勝つのは私たちだ。大麻の真実が勝つ日はそう遠くない。
この原稿を書くしばらく前、昨年の秋から今年の初めにかけて、なんだか鬱陶しい気配を感じていました。THCのような活動をしているので、まあマークはされているだろうし、何か逆恨みしている者がガセネタでチクることも考えられるな、と思っていました。内偵されていたのかどうか事実は分かりませんが、もしされていたなら、何も違法な行為を見つけられずに撤収したのかな、と思っています。が、分かりません。いずれにしても、私は逮捕されての戦いを再び行うつもりはないので、また、THCの代表を名乗っている以上、会員に責任もあるので、法に違反する行為を行うつもりはありません。戦いの道具は現物ではなく、言葉だと思っています。
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カナビス・スタディハウスの情報が、「大麻」というキーワード検索でヒットしないのは大変にもったいないので、「カナビス」という単語を「大麻」に置き換え、「大麻学習館」を建設中です、た。
本家カナビス・スタディハウスのダウさんご自身が、アッという間に作ってしまった。
大麻スタディハウス
http://www.taima-studyhouse.com/
大麻が効く病名や、海外の地名などなどなど、多くのジャンルの多くのキーワードと、「大麻」というキーワードの組み合わせ検索でも、ヒットするようになるでしょう。楽しみです。
ダウさんには、感謝を込めて、「ある若い女の左太腿の内側の写真」をお送りしました。
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自分をガキだと言っている、ある若い女から、左太腿の内側の写真をメール添付でもらった。こーゆーのを、役得というのだろうか。どうせなら、ナマで見たいぞ。
「烈火を纏う麻」のタトゥー。
おお、いいじゃん!ということで、デスクトップの画像として並べてみた。
おお、いいじゃん!ということで、自慢してみる。
某SNSで本人がこの写真を公開しているので、THCでの公開もOKと了解をもらったが、もったいないので元画像は掲載しない。(^^y-~
大麻学習館の建設とか手伝ってくれる人にはあげる。(^^y-~
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大麻の所持を取締当局に自ら告げ、逮捕されることによって司法を潰したいと宣言していた山崎さんのブログが、消された。サービス提供元のYahooが規約違反で消したのか、山崎さんが大麻所持を伝えた検察がYahooに通告したのか、はたまた2ちゃんねらーがYahooに連絡したのか、それは分からない。
また消去される可能性が高いけど、アメブロに移したようだ。
やまのブログ
2ちゃんにも関連スレッドがある。
大麻裁判そして裁判官の職権濫用
山崎さん、勝ち目はないと思うよ。
ただ大麻を所持していたというだけで、既に5年の服役を経験したというのに、あるいは、既に5年の刑務所暮らしを経験したからこそ、かもしれないけど、もう、捕まるような戦い方はやめてほしい。なんだか悲しいよ。山崎さん自身が、「気が滅入る」と書いていたけど、だったら、別の方法を考えよう。気が滅入るような方法ではなく、前向きになれるような、展望を持てるような、気持ちが明るくなるような、違う手段を探そう。
私はそう思う。だから、思い直してほしいけど。
いずれにしても、その魂に、心からの声援を贈ります。
山崎さんが好きだと書いていた中島みゆきの「ファイト!」、俺の好きな吉田拓郎が歌ってました。
頑張れ!山崎!
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