厳冬のクリスチャニア
2003年1月
マルスカと私はクリスチャニアをもう1年以上も訪れていなかった。その間、このポット愛好コミュニティはまたしても当局の圧力にさらせれている、と人から聞いたり新聞で読んだりして心配していた。
クリスチャニアの友達のルナに電話をしてこの悪いニュースを確認してみると、新しい動きは何もなく、新内閣はいつものようにスクワットした所有地を返還するように望んでいるだけだ、と言っていた。
私たちは早朝に出発したが空港に行く途中であちこちで渋滞に巻き込まれ、乗る飛行機に間に合わないのではとあせった。おまけに雪まで降ってきた。
コペンハーゲンには午前11時頃には到着する予定だったので、ムーンフィッシャー・コーヒーショップの素敵な朝食に間に合うだろうと思っていたが、たいした雪でもないのに出発はキャンセルされ何時間も機内で過ごすはめになった。おかげで到着したのは午後の4時をまわっていた。
私たちはオランダから持ってきたタバコの箱の中からたまたまウイードを「発見」した。いつも上質のマリファナを入れておく習慣だったので気付かずそのまま持ってきてしまった。マルスカはたいして驚きもしなかったが・・・
コペンハーゲン空港に到着したときに税関のチェックを受けた。係官はバッグの中からまずローリング・ペイパーを取り出し、次にマリファナのロゴ入りのTシャツとウイリー・ウォーテルのライターを見つけた。彼は、私にどこから来てどこに行くのか尋ねてきた。オランダのハーレムから来てクリスチャニアに行く途中だと答えた。
次に二番目の大きなバッグを開けると100個余りのガンジャ・グリンダーと数十冊の私の著書が入っていた。彼はグリンダーの箱を開けて何なのか聞いてきた。私は、ウイードを粉にする道具でバッズの樹脂が指に付着しないようにするオランダ最新のものだと説明した。
彼はマルスカの下着を手にしたままバッグの中をグチャグチャにかき回したのでマルスカはイライラして文句を言った。彼もイライラしていたがチェックを続けた。
彼は本の入っている箱を開けて一冊とりだし表紙を読み始めた。私は、別の一冊を出して裏表紙の写真を顔の横にもってきて著者の自分であることを教えた。
すると彼はデンマークにカナビスを持ち込もうとしているのでないかと尋ねてきた。周知のようにクリスチャニアではいくらでもカナビスを買って吸うことができるのでご冗談でしょう、と答えた。
大きなバッグからカナビス・カルチャー・マガジンの束を見つけたところで彼はあきらめ、行くように促してコーヒーを飲んでいる仲間のところに戻っていった。ウイードとハシシは見つからずに済んだ。私たちは表に出てタクシーを呼んだ。
上の完全に顔を隠した人は古くからの友人だがある理由から匿名にしておいた。彼はわれわれがプッシャー・ストリートを歩いているところを見かけて呼び止めてくれた。デンマークの人たちはオランダ流のおおげさなキスはしないが、デンマーク流の大きな抱擁をしてくれた。後でムーンフィッシャー・コーヒーショップで会って一服しようと言って別れた。彼は私を歓迎するために上質のモロッコ・ハシシを入れた大きなチラムを携えて戻ってきた・・・
ムーンフィッシャーのクルーのトビーは、煙を肺いっぱいに吸い込んでから少し吐き出して味わっていた。
次は私の番だったが、コートを脱ぐ間もなかった。
ヘビーな最初のセッションが済むと、クリスチャニアではいつも最高の世話をやいてくれる旧友のルナがこの村の典型的な自転車に荷物を載せて部屋まで案内してくれた。
われわれが泊まった建物は以前は軍の宿舎だったところだった。ルナと恋人のボーは素敵なアパートに改造し、もう外出しないで済むように上品なバスルームを増築しているところだった。寒くて外に長くいることはできなかった。
部屋の窓からの眺め。クリスチャニアのサッカー場の一部が見えた。
翌朝は早くからムーンフィッシャーに戻って、ルナが用意してくれたおいしい朝食をいただいた。デンマークにいるときはいつもこんな風にして一日がスタートする。
クリスチャニアのスモーカーたちは皆んなハシシが乾かないように注意していた。ここではオランダのような5グラム・ルールはなく、どのみち違法なのだから量などは誰も気にしていない。
ボボは小さな銀のスタッシュ・ボックスからハシシを出してジョイントを作った。
マルスカとルナはいつものようにさっそく吸ったり巻いたりしていた。
ムーンフィッシャー・コーヒーショップでは普通のキッチリと巻いた典型的なジョイント。
外は無風でも零下10度で風があればもっと寒くなるので外には長くいられないので、クリスチャニアの偉大な歴史をちょっとばかり勉強してみた。
大変尊敬されているクリスチャニアンのフライ・ハシュ・フレミングの雑誌を見せてもらった。彼は自分でも吸うかたわらハシシを吸う権利のために立ち上がった。自らをさらけ出すというここで最初に起こったカルチャーの一つがここにある。彼らは1979年にすでにヘンプ・リーフという雑誌を始めていたのだ! 「Nu med moms」 というのは「税込み済」という意味だ。
中にはアース・パイプをつくり方の詳細が書かれている。粘土で作った大きなパイプはデンマークでは非常にポピュラーで、イベントやパーティではコンテストさえ行われている。地球ですらパイプにできるという発想だ。
フレミングはこのバイチャーを雑誌にいれて配った。彼の説明によれば、バウチャーはクリスチャニアの人たちの間で通用する地域通貨のようなもので、おかげで金欠になった者はいつもタダでハシシにありつけたという。
この伝統は、バウチャーがクリスチャニア・コインに置き換わったが、今でも続いている。このコインは前にルナとボーから受け取ったものだ。
これはフレミングの商品。プリロール・ジョイントで典型的なデンマーク・スタイル。デンマークの人たちは煙を冷やすために長いフルターがお気に入り。フレミングは純なバイオ・パーソンで室外で育ったスカンクしか吸わず、シェアもしない。また彼はイヌ語がわかり病気やけがをした犬たちと話をする。クリスチャニアにいるすべての犬は彼が旧友のように大好きだ。驚くべき能力!
フレミングは2000年に行われたクリスチーナ・ジョイント・ローリング・コンテストでも優勝している。その時のメダル。彼は完璧なジョインニストだ。
デンマーク流のジョイントはオランダやアメリカの作り方とはちょっと違っているので説明がいる。ジョイントにはそれぞれタバコを使うものとそうでないものもある。
大抵のデンマークのスモカーはジョイントにタバコを使う際には事前にトーストする。タバコが健康に良くないことはわかっているが、クリスチャニアの人たちは大抵がハシシを吸うのでジョイントやチラムではタバコを入れないと燃えにくい。彼らは滅多にボングやパイプは使わない。
まずライターの炎でタバコをあぶってトーストし、タバコ・メーカーが添加した余計なものに火を通す。
加熱した後も、添加物を除き、クリアな香りを出すためにフィルターを通す。
トーストはタバコから煙が出なくなり黒くなるまで繰り返す。彼らは乾燥した味のないタバコを使い1グラム程のハシシを混ぜてジョイントを作る。
ムーンフィッシャー・コーヒーショップの早朝のプールルーム。2台のプールテーブルは店が閉まるまで長いウエイティング・リストができるほど終日賑わっている。
夕食はいつもスピスルーペンで取った。クリスチャニアでは大きなレストランで、地元の人とその客人専用に5つのテーブルがリザーブされている。食事を待つルナとボーと私とモータン。
クリスチャニアでハッジーな3日を過ごした後、最良の友、ルナとボーに別れを言わなければならなかった。今度も完全にわれわれをもぬけの殻にしてくれた・・・。だが、いつものようにまた戻ってくるだろう。われわれにとってはクリスチャニアはこの空の下では特別の場所なのだ・・・
ノル・ファン・シャイク
http://www.hempcity.net/travelreports/christiania2003/index.html
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