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非常口ではない
コーヒーショップのバックドア
Pub date: April 9th, 2009
The backdoor of a coffeeshop is not just an emergency exit
Author: Cannabinol
http://www.hempcity.net/blog/
コーヒーショップはこれまでずっと、バッズやハシシを自分自身で供給していると誤解されて混乱を招いてきました。ここではそうした誤解や混乱を解くために、現在行われているコーヒーショップのカナビスの供給と販売方法について説明して、今後は新しい供給システムが必要とされていることを知っていただきたいと思います。
最初にお断りしておきますが、以下にお話することは私のバックドアの経験や考え方を述べたもので、私も加入しているカナビス小売業連盟(BCD)を代表した見解というわけではありません。実際、バックドアは複雑な事情を抱えていますので、同業者の仲間たちの間でもいろいろ違った意見があります。
カナビスの使用を容認しているオランダの政策では、コーヒーショップの表側(フロントドア)では一人5グラム以内のバッズやハシシの販売が認められていますが、裏側(バックドア)では販売用のカナビスを仕入れることが禁じられています。この相反する奇妙な政策は、「コーヒーショップのバックドア問題」 と呼ばれています。この問題は、カナビスの使用が容認された1970年代から未解決のままづっと続いています。
500グラムの在庫制限
どのコーヒーショップもカナビスを収納して置く棚を持っています。中にはお客さんからは見えないようにしたりしている店もあります。一つの棚にバッズとハシシのすべてを置いている店もあれば、容量が大きくなるバッズとコンパクトなハシシを別々の棚で管理しているところもあります。
コーヒーショップのカウンターでカナビスを販売して料金をもらうために作業をする人(ディーラー)は、さまざまな種類のカナビスを扱わなければなりませんが、そのことで複雑な問題が出てきます。普通は種類ごとに供給者が異なっていますので、店は複数の相手から一日に何回も再供給を受けなければならないからです。
このように何度も分割しなければならないのは、コーヒーショップのライセンスに厄介な制限が課せられているからです。その制限は、店に在庫することのできるカナビスの総量を500グラム以下にすることを要求しているのです。
ほとんどのコーヒーショップはメニューを豊富に揃えようとしますが、種類が増えれば1種類あたりの量を少なくしなければなりません。当然のことながら、その分だけ管理は複雑となります。また、違法になっている供給の回数が増加すればリスクも増えることになります。
実際的なモデルで説明
話をわかりやすくするために実際的なモデルを使って説明します。まず理解しておかなければならないことは、管理のすべてが、重さの計量・仕入量の把握・販売量の把握の3つに集約されることです。
例えば、12種類の異なったカナビスを販売している店の場合を考えてみます。普通は、バッズとハシシが12種類といっても、プリロール・ジョイントもありますから、当然、それらも在庫量の対象になります。
しかもジョイントには、タバコを混ぜたものばかりではなく、カナビスだけのピュアなものもあります。つまり、タバコを除いたカナビスの重量が100グラムであれば、残りの400グラムに12種類のバッズとハシシを割り当てることになります。
もし、種類別の販売用コンテナ12個に30グラムづつ確保すると、総量は100 + 12*30 = 460グラムとなります。ここでは40グラムの余裕が出てきますが、その分は売れ筋に多く割り当てることになります。
現在では、計量器とコンピュータが接続されていますから、どのくらい補充すれば500グラム制限に範囲内におさまるかは自動的に計算してくれます。1種類30グラムということは、もしお客さんが小売制限の5グラムづつを買えば6人で売り切れることになりますが、その時点で 「補充係」 にはそのデータが送られて、仕入れの手配をすることになります。
500グラム制限という制限の奇妙なところは、在庫量が500グラム以下でお客さん一人あたりの販売量が5グラム以下である限りは、コーヒーショップは毎日500グラム以上のカナビスを販売することができるという点にあります。
しかし、毎日500グラムを販売している店の場合、在庫500グラム制限を守るためには、一日延べで17回(500 / 30 = 16.6)もの補充を行う必要があります。
新しい代替供給システム
アムステルダムでは40種類のメニューを取り揃えているコーヒーショップもあります。補充についてはあまり触れたがりませんが、7グラムで補充というものすらあります。このように、店はメニューを適正に維持するのにとてつもない労力が必要とされます。
一方、給料のためにこのような仕事をしている人たちにとっては、仕入れや在庫を点検する度に、バッズやハシシが入ったいくつかの小袋がちょろまかされていないか神経をすり減らして調べなければならず、もしオーナーから足りなくなったと苦情を言われれば、たった7グラムのことでも大目玉を喰らう破目になってしまいます。
現在のシステムではこのようなことが起こるので、私も含めて仲間の一部は、不心得者や警察、税務署などの餌食にならないで在庫を維持できるようにするために、これまでとは違った供給システムに変えることを提唱しています。このような代替システムとすれば、すべてのメニューを特定の一ヶ所だけから仕入れて、30グラム補給の面倒もみてもらうようにすることが考えられます。
このようにすれば、補給係に加えられている多大なプレッシャーを取り除けるばかりか、コーヒーショップ側のリスクもはるかに少なくなります。もちろん、新しく仕入れるバッズやハシシについては事前にサンプルをもらってチェックしますので、お客さんの反応を見ることもできます。
バックドア問題の解決には、最終的にはコーヒーショップへのカナビス供給を合法化する必要がありますが、現在の範囲内でもこのシステムに可能性があると考えられます。確かに、これでも供給者には逮捕・起訴されたり押収されたりする危険はそのまま残りますが、問題解決には大きなステップになります。
パラドックス
しかしながら、国境地帯やアムステルダムのコーヒーショップでは、一日に何キロものカナビスを売り上げているコーヒーショップもあります。このような場合はどんな代替システムを用意しても通用することはなく、パラドックスはなくなりません。
500グラム制限は矛盾だらけのイカサマのようなものです。過去の政府も現在の政府もこの偽善に対して何もしようとしていません。世界の国の中には、オランダにならってカナビス法を緩めようとしているところもありますが、これは、多分、バックドア問題など知らずに、オランダ社会のカナビス使用率が低いことだけに注目しているからです。
いろいろと説明してきましたが、まだ混乱は続いている? まあ、事が事だけに仕方ないかもしれませんが…
コーヒーショップ経営者のノル・ファン・シャイク
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