From Cannabis News
医療カナビス再び法廷へ
エンジェル・ライヒ、生きる権利を懸けて
Source: The Associated Press
Pub date: 23th March 2006
Subj: Renewed Bid for Medical Marijuana Back in Court
Author: David Kravets
Web: http://cannabisnews.com/news/21/thread21685.shtml
これまでアメリカ最高裁が医療カナビスに関連の裁定を下すときには、裁判官たちはいつも、病気や死の淵にある患者が症状の緩和や延命に医療カナビスを使うことに対して却下してきたが、ドアが完全に閉じられたことも決してなかった。今週、カリフォルニアの連邦控訴裁判所で医療カナビスについてまた新たな法廷論争が始まろうとしている。
月曜日の第9回巡回控訴裁判所で開始される裁判では、生きる権利に論点を絞って争われることになっている。この裁判で争われる 「生きる権利」 とは、もし患者が生きることや耐え難い痛みから逃れるために取りうる選択肢としてカナビスしかない場合はその使用が許されるべきだという論理から構成されている。
この論理が認められれば、たとえ医療カナビスが認められいる11州でなくても、深刻な患者や医療カナビスの提供者であるなら全員にあてはまることになる。
裁判に取り組んでいるボストン大学法学部のランディ・バーネット教授は、「これに勝利すれば、死に直面していたり深刻な病状に苦しんでいるすべての人に朗報となります」 と語っている。
この裁判は、カリフォルニアのオークランドの住むエンジェル・ライヒさん (40才、2児の母) が起こしたもので、かの女は、脊柱側弯症、脳腫瘍、慢性的吐き気などの疾患に苦しんでおり、痛みの緩和や食欲増進のために数時間おきにカナビスを使っている。
「おそらく、カナビスなしではかの女は死んでいたと思います。他の薬はどれも効かないのです」 と主治医のフランコ・ルシード医師は語っている。彼はこれまでに3000人以上の患者たちに医療カナビスを薦めてきた。
これに対してブッシュ政権側は、この訴訟には訴える側の利益がなく成り立たない、と応じている。「そもそも、カナビスを配布したり、栽培したり、所持したりする権利など基本的にない」 と政府の法務補佐官・マーク・クインリーバン医療カナビス担当弁護士は法廷に意見書を提出している。
1996年、カリフォルニア州では、医師の処方があれば患者がカナビスを使うことを認めた州法を全国にさきがけて制定している。それ以来10の州でも医療カナビス法が制定されるに至っているが、連邦政府側は、終始、カナビスには医療価値がないと主張してきた。
2001年には、最高裁は、ライヒさんのカナビスを供給していたオークランド・カナビス・バイヤーズ・コーポレーションに対して、カリファルニアの有権者が医療使用を認めたからといってもカナビスを販売することは法に違反する、と裁定を下している。
その2年後、医療カナビス擁護側に小さな勝利がもたらされた。最高裁は第9回巡回控訴裁判所の決定を追認し、医師が患者に対してカナビスについて相談したり処方しても憲法修正第1条の権利によって政府の制裁対象にはならないと判定した。
しかし、昨年の6月の最高裁は、連邦政府が医療カナビス患者や供給者を告発することが可能だという裁定を下している。一部の州では、連邦政府の執行機関が散発的に患者を逮捕したり、患者にカナビスを配布しているポット・クラブの家宅捜査を繰り返している。
2001年に行われた裁判では、クレランス・トーマス判事は判決の補足説明の中で、医療カナビスに関連する法的に未解決の問題が残されている、と指摘している。今回の訴訟はその閉じられていないドアを開けようとしている。
トーマス判事が指摘した憲法上に重要な未解決問題点としては、州独自の法律に干渉する権利が連邦議会にあるのかという点と、アメリカ市民には生存と痛みの緩和の手段としてカナビスを使う基本的権利があるのかという2点に絞られている。
昨年の裁判はその第1点について答えたもので、ライヒさんの提訴に対して、医療カナビス法のある州に住む患者であっても、連邦議会がカナビスを違法な規制薬物と規定している限り、連邦政府は告発できると裁定している。
これに応えるかたちで、ダナ・ローラバッカー議員(カルフォルニア州選出、共和党)とモーリス・ヒンチェイ議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、司法省が州で合法になっているカナビス患者を起訴できないようにする法案を提出している。
昨年の下院議会はこの法案に対して、過半数に57票足りない264対161で否決している。だが、賛成票は2003年から年々増えてきており、ヒンチェイ議員の広報官は、この夏にもこの法案を再提出する予定だと語っている。
ライヒさんが、今度の第9回巡回控訴裁判所に提訴しているのは、まだ最高裁で決着のついていない残りの第2点に向けられている。
かの女のバーネット弁護士は、憲法が重篤な人が生存や拷問のような痛みの緩和に薬を利用する権利を保証していると主張している。
しかし、もしこの訴訟に勝利しても、ポット・クラブに対する家宅捜査が止むとは考えられず、大半の医療カナビス患者や供給者の防御になりそうもない。ライヒさん自身も、先週、最近行われた医療カナビスクラブの家宅捜査に抗議してオークランドの連邦裁判所前でデモをしていたところ、治安を乱したという理由で一時逮捕されている。
かの女は、この裁判の結果如何にかかわらず、病気の治療のためにカナビスは使い続けると宣言している。また、連邦政府の告発の恐れがなくなるまで戦い続けるとも語り、最終結果がどうあれ、ともかくこの訴訟が連邦裁判所まで行きつくことを願っている。
「これは医療カナビスの問題ではなく、生きる権利の問題です。彼らが私の生命を奪うまで戦い続けます。」 「もし最高裁で負けるようなことになれば、連邦政府が、人の生き死にに対して口出しすることができることになってしまいます。」
裁判名は 「Raich V. Gonzales,03-15481」 となっている。
http://www.serendipity.li/jsmill/gonzales.htm
http://www.rense.com/general69/georgetwn.htm
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