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長老派教会、医療カナビスを支持

米連邦議会の採決を後押し

Source: Religion News Service
Pub date: June 24, 2006
Subj: Presbyterian Church Votes To Support MMJ
Web: http://www.thehempire.com/index.php/cannabis/news/
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先日、アメリカ長老派教会は総会で、「連邦法で医療目的のためのカナビスの使用や製造、配布を認めるように要請する」 決議を総意で採択して、深刻な病気の患者に合法的に医療カナビスを使うことを支持する宗教団体の列に加わった。

この決議は、近々採決が迫っているアメリカ議会での医療カナビスをめぐる重要法案を後押しするために行われた。現在、下院には、州で承認された医療カナビス患者を逮捕するための支出を禁じる商業・司法・国家歳出修正法案が提出されている。

これまで既に、アラスカ、カリフォリニア、コロラド、ハワイ、メイン、モンタナ、ネバダ、オレゴン、ロードアイランド、バーモント、ワシントンの各州で、医療カナビス患者は州や地元警察の刑事執行の対象にならなくなっている。

以前から医療カナビスを支持していた宗教団体としては、アメリカ聖教会、統一キリスト教会、改革派ユダヤ協会、進歩主義バプティスト協議会、ユニタリアン・ユニバーサリスト協会などが知られているが、今回、長老派教会もこれに加わった。

「医療カナビスは慈悲の問題です」 とアラバマでホスピス専属の牧師をしているリン・ブレッドソウ牧師は語っている。「信仰に仕える者として、苦しむ必要のない人たちのために立ち向かうことが求められています。深刻な病に苦しむ患者さんが、医師のすすめで医療カナビスを使って懸命に病と闘っているのに、逮捕するなどというのは、良心に照らして到底受け入れることはできません。」

「立法府の方々は、口では倫理的価値観を唱えますが、医療カナビス問題に対しても一貫性のある態度を示すべきです」 とインターフェス・ドラッグ政策イニシアティブ(Interfaith Drug Policy Initiative)のチャールズ・トーマス代表も述べている。「確かにこれまで、主要宗派で医療カナビスに公式に反対している団体はありませんが、逆に公式に支持を表明している宗派も6つだけでした。今回、長老派教会もこれに加わったことになります。」

総会で決議案を提出したネブラスカ・ホームステッド長老派教会の代表であるジム・マクニール牧師は、「深刻な病に見舞われることは、逮捕の恐れがなくても、それだけですでに十分に大変なことなのです。宗教にたずさわる者は、ご自分で声を上げられない人たちに代わって声を上げることが仕事なのです。私たちは、議会が思いやりを持って、患者さんに対する戦争をやめることを祈っています」 と語っている。

参考:

 
Pain Man

今度1〜2週間のうちに予定されているヒンチィー・ローラバシャー修正案と同じような内容の法案が昨年と一昨年にも提出されている。2004年には148対268で否決されたが、2005年には、直前のライヒ裁判で連邦最高裁が連邦の捜査権を認める判決を行った直後にもかかわらず、賛成が13票増えて差は161対264に縮まった。

この時は民主党議員の70%が賛成しているが、共和党議員では19%に過ぎなかった。州別にみても議員の投票行動は大きく異なり、全員が反対票を投じている州もある。一方、医療カナビスの是非についても各種の世論調査が行われているが、どれも70%の住民が医療カナビスを支持している。

このように、住民と議員の意識のギャップは非常に大きく、特に共和党系の保守派の反対が根強い。しかし、保守州のロードアイランドの動向にも見られるように、この構図の根底は崩れつつある。今回、修正案の採決に合わせて、長老派教会が医療カナビスに明確な支持を表明したことで、この流れはいっそう強くなると期待される。

法が通過すると考えている人はほとんどいないが、議員たちは今秋の中間選挙を控えて露骨に医療カナビスに反対しにくいという事情もあり、民意とのギャップがどの程度解消されるか注目されている。

全国および州の医療カナビス世論調査結果一覧
医療カナビスの意識ギャップが解消、ニューヨーク州民と連邦議員の溝
保守州でも医療カナビス支持、カソリック保守地盤のロードアイランド州

長老派教会(Presbyterian Church)はキリスト教の宗教改革で出現したカルバン派のプロテスタント。

キリスト教にはカソリックのように聖職者が頂点に立つ宗派と、バプティストのような会衆中心の宗派が対極にあるが、長老派など多くのプロテスタント宗派はその中間にある。長老派教会では、牧師中心でありながらも長老たちの役割が重視される。

2001年のアメリカ宗教信者数調査 によると、キリスト教 76%(カトリック24% プロテスタント系52%)、ユダヤ教 1.3%、 イスラム教 0.3%、無宗教層 13% などとなっている。キリスト教の宗派別では、カソリック 24%、バプティスト 16%、無宗派 9%、メゾシスト 7%、ルター 4%、長老派 3%。

医療カナビスだけではなく、カナビス全般を 「酒類やギャンブルと同じように課税して合法的に管理規制する」 ことに関しても世論調査が行われている。しかし、医療カナビスの場合とはかなり違う結果になっている。 2006ゾグビー世論調査 

回答者の意見は信仰する宗教によって大きく異なっている。自らユダヤ人と認めている回答者では約70%、無神論者では約60%が支持しているが、カソリックでは48%、プロテスタントでは38%しか支持していない。このことから、特にキリスト教徒では多くの人が医療カナビスと一般のカナビス使用と分けて考えていることがうかがえる。