医療カナビスはピルがベスト
カナビス喫煙のメリットは一部だけ
Source: Lansing State Journal
Pub date: December 29, 2006
Subj: Experts: Medical Marijuana Best as Pill
Author: Christine Rook
http://www.mapinc.org/norml/v06/n1748/a06.html
最近、ミシガン州では、医療カナビスを吸う権利について盛んに論じられている。
医療カナビスを合法化する州下院法案の審議が12月より始まったばかりだが。既に、イートンラピッド地区では州の有権者の住民投票を求める署名運動が始っている。興味深い政策ではあるが、そもそも医療カナビスは本当に良い薬なのだろうか?
そうであるとも言えるし、そうでないとも言える。
確かに、カナビスの主要な精神活性成分が医薬品として多大な可能性を秘めていることについては強い証拠もある。だが、専門家によると、薬の投与法としてカナビスの喫煙がベストな方法だとはとても言えないようだ。
実際、活性成分のTHCを煙で吸うことは、特別の基準に適合したほんの僅かな慢性病患者だけにしか当てはまらない。ガン専門のアナス・アルジャナディ医師は、カナビスの喫煙について「薬の投与法として非常に悪い」 と語っている。
アルジャナディ医師は、ミシガン州立大学ブレスリン癌センターでガン患者の治療を担当しているが、医療目的でカナビスを吸うことは、「たとえ末期の患者さんでも」 決して奨めたりしないと言う。THCを処方するには、カナビスを吸うのが唯一の方法というわけでもなく、ピルの形態になった処方医薬品が利用できるからだ。
THCの薬用効果
1999年の発表された全米科学カナデミー医学研究所の報告書によると、THCには、一部の患者さんの痛みの軽減や、化学療法にともなう吐き気の緩和に効果があることが証明されている。また、エイズの消耗症候群の治療にも有効なことも示されている。
だが、それ以外にもいろいろな効果があると主張されてはいるが単なる主張に過ぎない。例えば、先の報告書では、カナビスは緑内障患者の眼圧を下げることが示されているが、効果は一時的で、副作用を考えれば価値はないとしている。確かに、THCは気分を変えるが、苦痛をもたらすこともある。
だが、この議論には終わる兆しは見えない。
デトロイドに住む保険販売会社の幹部であるティム・ベックさんは、痛みの軽減のためにカナビスを吸っている。デトロイトやファーンデール、アナーバー、トラバースの各市では、医師の承認を受けた患者さんが医療目的でカナビスを吸うことが認められている。例えば、デトロイト市警察では、たとえ州法でカナビスの所持が違法であっても、医療カナビス患者を捕まえたりしないと語っている。
ベックさんは自分の病気の詳細については触れないが、処方THCピルがすべての人に効くわけではないと言う。「人それぞれで代謝のしかたが違うのです。」
カプセルの利用
連邦食品医薬品局によると、化学合成したTHCはマリノールという商品名のカプセルで販売されており、内容量は3種類ある。エイズの深刻な体重減少の治療薬として認証され、化学療法にともなうむかつきや嘔吐に処方されている。
だが、認証範囲が限定されているために、市民の自由の問題として議論になっている。「健康にかかわる医療についての決定権は誰にあるのでしょうか? 患者と医者でしょうか、それとも政府の役人なのでしょうか?」 とマコーム郡のレオン・ドロレット州議会議員(共和)は問いかける。彼の答えは、患者と医師だ。
アルジャナディ医師は、医師の立場から、依存症になったり、ガンを引き起こす成分が含まれていることが分かっているカナビスを吸うことにはほとんど否定的で、「私の患者さんでも、喫煙によるカナビスしか効かないを言い張っていた人がいましたが、今では、マリノールがとてもよく効くと言って使っています」 と語っている。
表面的には、合成マリノールと天然カナビスのどちらのほうが医療価値が高いかという議論になっているが、実際には、医療カナビスに反対する人たちが、法案の成立を阻止するために、既にマリノールがあるのだから、医療カナビスを認めなくても十分事足りているという主張が隠されている。
今では、アメリカ国民の7割以上が医療カナビスに賛成 するようになってきて、アメリカ政府もカナビスの医療的効果については否定することはさらに難しくなってきている。これまでは、カナビスには全く医療的価値はないという主張だけでカナビスの全面禁止を正当化してきたが、最近では少しずつ様子が変わってきた。
2006年1月には、アメリカ連邦医薬品局が、ずっと先のことだと考えられていた カナビス・スプレーの臨床試験を認可 し、製薬会社の製造したカナビス医薬品を受け入れ始めた。そして、そのあたりから、製薬会社のカナビスと天然のカナビスを全く別のものだとする主張があちこちで見られるようになってきた。
今後も、カナビスの全面禁止の意図を隠したこのような主張が、医療関係者を通じてますます声高に叫ばれるようになることが予想される。しかし、本来、医薬品は効力の順序によって認可されるものではなく、マリノールの方が優れているから医療カナビスは認めなくてもよいという論法自体が破綻しており、政治的意図だけが露骨になってくるだけだろう。
マリノール 対 天然のカナビス、両派の意見と患者の選択
カナビスの医療効果についての科学的検証、全米科学アカデミー医学研究所(IOM)報告
魔法の蒸気 バポライザー
カナビス喫煙と肺ガンは無関係、ロスアンジェルスの大規模研究 (2006/5/23)
バポライザーは安全で効果的なカナビノイド搬送システム (2006/4/27)
今回と似た論争がカナダでも行われている。
Is there a role for marijuana in medical practice? No (2006/12/1)
Is there a role for marijuana in medical practice? Yes (2006/12/1)
Synthetic Marijuana Helps Cancer Patients: Study (2006/12/15)