反論

天然のカナビスのほうが医療価値が高い

カナビス・ピルがベストではない

Source: Lansing State Journal
Pub date: 07 Jan 2007
Subj: Marijuana has Medical Values LSJ didn't report
Author: Kathy Kennedy
http://www.mapinc.org/norml/v07/n019/a12.htm


先日掲載された、「医療カナビスはピルがベスト」 という記事は全面的に間違っている。

記事では、医療カナビスの喫煙について、専門家のほぼ全員が、活性成分のカナビノイドを摂取する方法として良くないと思っているという主張で始まっている。だが、2003年に医学雑誌ランセット神経学ジャーナルに掲載された広範囲にわたるレビューでは、カナビノイドを経口摂取した場合は吸収が遅く、均一でもないために、適正な摂取量を調整することがほとんで不可能で、「おそらく、カナビスの摂取法としては、経口投与は最も満足の得られない方法だろう」 と結論付けている。

全米科学アカデミー医学研究所の報告書でも、THCピルのマリノールについて、「マリノールの経口摂取法では、効果が十分に引き出せないことがよく知られている」 と同様の指摘をしている。

また、医療カナビスの摂取方法には喫煙しかないというわけではなく、バポライザーとよばれる装置を使えば、煙りに含まれるタールや刺激成分を吸い込まずに、カナビスのすべての有効成分を吸うことができる。発現も早く、摂取量の調整も容易にできる。昨年、薬学ジャーナルに掲載された研究では、バポライザーが 「安全で効果的なカナビノイド搬送システム」 であることを確かめている。

先の記事で、アルジャナディ医師は、カナビスにはガンを引き起こす成分が含まれており、依存性も引き起こすと述べているが、もともと、人工甘味料やブロッコリーといった食品ですら発がん性物質を含んでいる。さらに、信頼できる大規模研究でも、一貫して、カナビスの喫煙が肺ガンなどの煙に関係するガンのリスクを高めることはないと示されている。一部の研究では、カナビス・スモーカーのほうがノンスモーカーよりもガンのリスクが下がることさえ示されている。

依存性についても、病気を抱える人たちは、生涯にわたって生活の質を維持するために医薬品に依存するようになることもある。しかし、モルヒネの依存してしまうのは良いと言えるだろうか? 末期患者に使われる多くの医薬品は、強力で中毒性が高く、乱用の可能性も大きい。だが、カナビスは、モルヒネやオキシコンチンなどの多くの合法医薬品に比べて、はるかに中毒性は低く、乱用の危険性も少ない。

ここで問題にしているのは、カナビスのリクレーショナル用途ではなく薬としての効果だが、カナビスには少なくとも66種類以上のユニークなカナビノイドが含まれており、その中のいくつかについては、痛みや炎症、けいれんなどの症状をコントロールする働きのあることが多くの研究で明らかになっている。例えば、カナビジオール(CBD)がTHCの好ましくない精神効果を中和することはよく知られている。

こうした点で、もし、THCの経口ピルの効果が迅速に現れて、摂取量が正確に調整できるようになったとしても、多数の成分を持つカナビスの効果や安全性には決して勝てないだろう。

私も、かつては、カナビスが医薬品だなどと言われても信じられなかった。病気になってもかまわないと思う人だけが使うものだと思っていた。だが、多発性硬化症の人が車椅子を使わずに歩けるようになったのを見て間違いに気づいた。

また、視力を残す希望をすべてを断って、ただ痛みの緩和だけのために目の手術をするしか残されていない緑内障患者に対して、医師が近寄り、「このことは話すつもりはなかったんだけど、カナビスを吸えば手術の必要はなくなるかもしれない」 と耳打ちしたことを知った。その患者は、20年間痛みもなく、今でもいくらか視力が残っている。

医療カナビスは、まだ少ないかもしれないが、確実に患者の助けになっている。次は、あたたかもしれないし、あなたがケアしている親や子供かもしれない。そんな時、あなたは医療効果のあることが分かっていても、違法だから拒否するのだろうか? あるいは刑務所のリスクを犯してまで使おうと思うのだろうか? そのどちらも間違っていると思うなら、今こそミシガン州の法律を変える時に来ている。


 



医療カナビスはピルがベスト

カナビス喫煙のメリットは一部だけ

Source: Lansing State Journal
Pub date: December 29, 2006
Subj: Experts: Medical Marijuana Best as Pill
Author: Christine Rook
http://www.mapinc.org/norml/v06/n1748/a06.html


最近、ミシガン州では、医療カナビスを吸う権利について盛んに論じられている。

医療カナビスを合法化する州下院法案の審議が12月より始まったばかりだが。既に、イートンラピッド地区では州の有権者の住民投票を求める署名運動が始っている。興味深い政策ではあるが、そもそも医療カナビスは本当に良い薬なのだろうか?

そうであるとも言えるし、そうでないとも言える。

確かに、カナビスの主要な精神活性成分が医薬品として多大な可能性を秘めていることについては強い証拠もある。だが、専門家によると、薬の投与法としてカナビスの喫煙がベストな方法だとはとても言えないようだ。

実際、活性成分のTHCを煙で吸うことは、特別の基準に適合したほんの僅かな慢性病患者だけにしか当てはまらない。ガン専門のアナス・アルジャナディ医師は、カナビスの喫煙について「薬の投与法として非常に悪い」 と語っている。

アルジャナディ医師は、ミシガン州立大学ブレスリン癌センターでガン患者の治療を担当しているが、医療目的でカナビスを吸うことは、「たとえ末期の患者さんでも」 決して奨めたりしないと言う。THCを処方するには、カナビスを吸うのが唯一の方法というわけでもなく、ピルの形態になった処方医薬品が利用できるからだ。


THCの薬用効果

1999年の発表された全米科学カナデミー医学研究所の報告書によると、THCには、一部の患者さんの痛みの軽減や、化学療法にともなう吐き気の緩和に効果があることが証明されている。また、エイズの消耗症候群の治療にも有効なことも示されている。

だが、それ以外にもいろいろな効果があると主張されてはいるが単なる主張に過ぎない。例えば、先の報告書では、カナビスは緑内障患者の眼圧を下げることが示されているが、効果は一時的で、副作用を考えれば価値はないとしている。確かに、THCは気分を変えるが、苦痛をもたらすこともある。

だが、この議論には終わる兆しは見えない。

デトロイドに住む保険販売会社の幹部であるティム・ベックさんは、痛みの軽減のためにカナビスを吸っている。デトロイトやファーンデール、アナーバー、トラバースの各市では、医師の承認を受けた患者さんが医療目的でカナビスを吸うことが認められている。例えば、デトロイト市警察では、たとえ州法でカナビスの所持が違法であっても、医療カナビス患者を捕まえたりしないと語っている。

ベックさんは自分の病気の詳細については触れないが、処方THCピルがすべての人に効くわけではないと言う。「人それぞれで代謝のしかたが違うのです。」


カプセルの利用

連邦食品医薬品局によると、化学合成したTHCはマリノールという商品名のカプセルで販売されており、内容量は3種類ある。エイズの深刻な体重減少の治療薬として認証され、化学療法にともなうむかつきや嘔吐に処方されている。

だが、認証範囲が限定されているために、市民の自由の問題として議論になっている。「健康にかかわる医療についての決定権は誰にあるのでしょうか? 患者と医者でしょうか、それとも政府の役人なのでしょうか?」 とマコーム郡のレオン・ドロレット州議会議員(共和)は問いかける。彼の答えは、患者と医師だ。

アルジャナディ医師は、医師の立場から、依存症になったり、ガンを引き起こす成分が含まれていることが分かっているカナビスを吸うことにはほとんど否定的で、「私の患者さんでも、喫煙によるカナビスしか効かないを言い張っていた人がいましたが、今では、マリノールがとてもよく効くと言って使っています」 と語っている。

現在、ミシガン州では、医療カナビス法の制定に向けて審議が行われているが、ここに取り上げた議論はそれを背景にしている。

表面的には、合成マリノールと天然カナビスのどちらのほうが医療価値が高いかという議論になっているが、実際には、医療カナビスに反対する人たちが、法案の成立を阻止するために、既にマリノールがあるのだから、医療カナビスを認めなくても十分事足りているという主張が隠されている。

今では、
アメリカ国民の7割以上が医療カナビスに賛成 するようになってきて、アメリカ政府もカナビスの医療的効果については否定することはさらに難しくなってきている。これまでは、カナビスには全く医療的価値はないという主張だけでカナビスの全面禁止を正当化してきたが、最近では少しずつ様子が変わってきた。

2006年1月には、アメリカ連邦医薬品局が、ずっと先のことだと考えられていた カナビス・スプレーの臨床試験を認可 し、製薬会社の製造したカナビス医薬品を受け入れ始めた。そして、そのあたりから、製薬会社のカナビスと天然のカナビスを全く別のものだとする主張があちこちで見られるようになってきた。

今後も、カナビスの全面禁止の意図を隠したこのような主張が、医療関係者を通じてますます声高に叫ばれるようになることが予想される。しかし、本来、医薬品は効力の順序によって認可されるものではなく、マリノールの方が優れているから医療カナビスは認めなくてもよいという論法自体が破綻しており、政治的意図だけが露骨になってくるだけだろう。

マリノール 対 天然のカナビス、両派の意見と患者の選択
カナビスの医療効果についての科学的検証、全米科学アカデミー医学研究所(IOM)報告

魔法の蒸気 バポライザー
カナビス喫煙と肺ガンは無関係、ロスアンジェルスの大規模研究 (2006/5/23)
バポライザーは安全で効果的なカナビノイド搬送システム (2006/4/27)

今回と似た論争がカナダでも行われている。
Is there a role for marijuana in medical practice? No (2006/12/1)
Is there a role for marijuana in medical practice? Yes (2006/12/1)

Synthetic Marijuana Helps Cancer Patients: Study (2006/12/15)