カナビノイドが癌細胞の侵入を防ぐ

細胞レベルでのメカニズムを初めて解明

Source: ScienceDaily
Pub date: 26 Dec 2007
Subj: Cannabinoids May Inhibit Cancer Cell Invasion
http://drugpolicycentral.com/bot/article/huliq6731.htm


イギリス癌研究所ジャーナルの12月25日オンライン版によると、カナビノイドが、全身に転移する能力をもった浸潤性の高い癌に対して腫瘍浸潤を抑制することがわかった。

カナビスの活性成分であるカナビノイドは、これまで、癌治療にともなう痛み、体重減少、吐き気などの副作用を軽減するために使われてきたが、最近では、カナビノイドには腫瘍細胞の成長を抑える働きのあることを示す証拠も相次いで見つかっている。しかしながら、細胞レベルでのメカニズムについてはわかっていなかった。

ドイツのロストク大学のロバート・ラマーとブルカード・ハインズの両博士は、カナビノイドがどのようなメカニズムで腫瘍細胞の浸潤を抑制しているのかを調べた。

その結果、カナビノイド自身が腫瘍細胞の浸潤を抑えているだけではなく、浸潤細胞の活動に関係している酵素グループを阻害するメタロプロテアーゼインヒビター1(TIMP-1)の発現を促していることが突き止められた。

著者たちは、「われわれが知る限りにおいて、これまでにカナビノイドによるTIMP-1の反浸潤効果については報告されたことはなく、この研究が最初のものになる。このシグナル経路はカナビノイドの転移抑制作用に重要な役割を果している。このことから、カナビノイドには浸潤性の高い癌に対する治療可能性があり、今後、本格的な臨床試験に取り組む必要がある」 と書いている。