カリフォルニア州最高裁

医療カナビス供給者の資格を制限

Source: San Francisco Chronicle
Pub date: 24 Nov 2008
State high court opens door for prosecuting some medical pot suppliers
Author: Bob Egelko, Chronicle Staff Writer
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?
f=/c/a/2008/11/24/BAD314B41O.DTL


カリフォルニア州最高裁は、24日、州の医療カナビス法を狭く解釈し、医師の認証を受けた医療カナビス患者に対してカナビスを供給している人であってもドラック・ディーラーとして告発・起訴できるという判決を下した。

だか、今後の成り行きについては、医療カナビス擁護グループも州側ともどちらも同じような見方をしている。カリフォルニア州では2003年にカナビス患者が患者共同組合からカナビスを入手できるようにする州法が制定されたが、双方とも、今回の全会一致判決によって、個人ではなく組合からの入手にいっそうの拍車がかかると見ている。

医療カナビス推進グループであるアメリカン・フォー・セーフ・アクセス(ASA)の弁護士を務めるジョセフ・エルフォード氏は、「今では、患者さんもだんだんとコレクティブや共同組合から医療カナビスを入手するようになってはきていますが、個人的なつながりから入手しなければならない患者さんもいますから、今回の判決があまりに強い効力を持ち過ぎないことが理想です」 と語っている。

一方、州の司法副長官を務めるミッシェル・スワンソン弁護士は、「2003年の州法で代替供給源が用意されたわけで、今回の判決で問題にされたのは、その条件に満たないようなケアギバーと呼べない人や共同組合に所属していないような人たちなのです。1996年の医療カナビス215条例に賛成した投票者たちも決してそのような人たちまで保護されるべきだと考えていなかったはずです」 と話している。

しかし、今回の裁判のロジャー・メンチッヒ被告の弁護をしているローレンス・ギッブス弁護士、「この判決によって、認定患者が医療カナビスを入手することがますます困難になる」 と指摘している。

確かに、患者は組合やクラブから入手するようにすることもできるかもしれないが、栽培や供給が集約された分だけ連邦当局の強制捜査の対象にもなりやすくなる。連邦政府は、215条例の制約を受けないからだ。

また、バラク・オバマ次期大統領は、選挙のキャンペーンでは、カナビスの医療使用を合法化した州の権利を尊重すると語っていたが、一方では、連邦の食品医薬品局(FDA)の管理対象にすべきだとも言っており、実質的には政策を塩漬けにする意図も見え隠れしている。

カリフォルニアの医療カナビス215条例では、医師の推薦を受けた患者がカナビスを栽培して使用することを認めているが、州最高裁が条例の適応範囲を制限する判決を出したのは今年に入ってから今回で2度目のことになる。

1月には、雇用主は、ドラッグテストで陽性になった医療カナビス患者を解雇して職場から追放することができるとする判決が下された。この決定に対しては議会が新しい法案を通過させて覆そうとしたが、シュワルツネッガー知事の拒否権で葬り去られている。

今回の裁判のロジャー・メンチッヒ被告は、2003年に、預かった現金が数か月間もカナビスの強い匂いがすると訴えた銀行の出納係の通報で逮捕された。郡保安官代理が自宅を捜索して、およそ200本の栽培中のカナビスを発見した。メンチッヒ被告は、医師の推薦を受けた医療カナビス患者で栽培していたが、5人の患者にも提供したり販売していた。

販売目的で栽培・所持していたとして起訴されたが、彼は、5人の「プライマリー・ケアギバー」なので、罪には問われないはずだと訴えた。さらに、供給だけではなく、カナビスの栽培法や使い方を指導したり、代わりに医師の予約をとったりも利益なしで行っていたと訴えた。

しかし、裁判官は、陪審員たちに彼がケアギバーだったかどうかを考慮しないように言い渡し、結局、メンチッヒ被告は販売目的の栽培と所持で3年間の執行猶予付き有罪判決を受けた。サンノゼで行われた控訴審では、彼の有罪判決を覆して陪審員たちにケアギバーだったかどうか決めることを認めたが、今回、州最高裁はそれに同調しなかった。

今回の判決を担当したキャスリン・ミクル・ウエルデガー裁判官は、カナビスの供給者がプライマリー・ケアギバーとなることのできるのは、患者がカナビスを使い始めた時点において同居しているか医療サポートを提供していた場合に限られると述べている。

また、医療サポートという点では、カナビスを必要としている重篤な患者を世話している看護師や親戚などが当てはまるが、メンチッヒ被告のように訴追から免れるために「事後的にケアギバー関係を言い出す」 ような場合は認められないとも述べている。

裁判は、サンノゼ控訴審に差し戻されたが、ギッブス弁護士は、メンチッヒ被告が2003年の州法で定められた患者共同組合の一員だったことを示したいと語っている。