Weekly News


カナビス依存症治療

カナビス使用量が減れば

アルコールの摂取量が増える

Source: NORML Weekly News
Date: July 24, 2009
Less Marijuana, More Booze Reported Among Pot Treatment Subjects, Study Says
http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7936


2009年7月24日 - アメリカ・コネチカット州ファーミントン発

ドラッグとアルコール依存症ジャーナルに掲載された 臨床試験データ によると、「カナビス依存症」の治療を受けた人は、その後のアルコールの摂取量が増える傾向のあることがわかった。

コネチカット大学ヘルスセンターの研究チームは、 DSM-IV基準でアルコール依存とは認められないがカナビス依存と判定された207人を対象にカナビス依存症治療によるアルコールの使用状況の変化を調べた。調査は、治療前とその後3か月ごとに1年間にわたって行われた。

その結果、「全体平均では、カナビスの使用量が少なくとも半減した。その半面、増加量少ない場合もあるが、かなり多くの人たちでアルコールの摂取量が増加し… 73%の人は、通常量を飲酒する日数が最低でも10%増加し、65%の人が1日当たりの飲酒量が少なくとも10%増加した。」

しかしながら研究者たちは、飲酒習慣が増えた人の割合とカナビス使用の減少の割合は必ずしも連動していないと書いている。

「飲酒習慣の増加は、治療状況やカナビス使用の変化には関連していないが、飲酒習慣の基準としたベースラインに関連し、ベースラインを下回る人では治療中よりも飲酒量が増え、逆にベースラインを上回っている人の場合は飲酒量が少なくなった。」

また、カナビス依存症治療終了後の1年間の飲酒レベルについては安定してほとんど変化がなく、「この結果は、アルコールの平均的な効果を求めるようになるためだと考えられ、アルコールとカナビスの使用はお互いに独立したものであることを示唆している」 と結論づけている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Deputy Director, at: paul@norml.org. Full text of the study, "Increased drinking in a trial of treatments for marijuana dependence," will appear in Drug and Alcohol Dependence.

研究者たちの 「アルコールの平均的な効果を求めるようになる(a regression to the mean effect) 」 という解釈は、どうみてもあやふやで十分な根拠が備わっていないのではないか?

むしろこの研究は単に、カナビスの使用を止めたり少なくすれば、代替にアルコールを求めるようになるということと、併用常用者では、カナビスの抗嘔吐作用がなくなってアルコール量が減ることを示しているに過ぎないように思われる。

研究者たちはまた、「アルコールとカナビスの使用はお互いに独立したもの」 と書いているが、カナビス・コミュニティでは、カナビスとアルコールを併用すればさまざまな相乗的副作用が出てくると言われている。

実際、カナビスとアルコールの併用についての研究も多数ある。例えば、週2回以上カナビスとアルコールを使った750人あまりを 調査した研究 では、常習的併用あるいは多量のアルコールの使用は、カナビス・ユーザーをカナビス依存症にするリスクを増やす可能性があり、アルコールの使用がカナビス問題を大きくしていると報告している。

また、運転への影響を調べた研究 では、カナビス単独と僅かにアルコールを併用して場合とでは事故リスクが全然違うことも示されている。

カナビスとアルコールの併用 については、大別すれば、カナビスを吸いながらアルコールを愉しなむ場合と、アルコールの飲みながらタバコを吸うようにカナビスを吸っているケースがあるが、両者は全然違う。

アルコールを飲みながらカナビスを吸うと、カナビスの抗嘔吐作用でアルコールを飲み過ぎたり、時には グリーンアウト して意識を失ったりすることもある。

組合せ 特徴 カナビスを中断すると
@カナビスのみ もともとアルコール嫌い 飲酒しない
Aカナビス+アルコール 20代でカナビスを止めて飲酒だけになるのはごく一般的 飲酒量が増える
Bアルコールカナビス 最悪の組み合わせ。飲酒量もカナビスの量も増える
グリーンアウトしやすい
カナビスの抗嘔吐作用がなくなり飲酒量が減る
Cカナビス*アルコール カナビス使用量が増えると飲酒量が減る
医療カナビス患者で顕著。アルコール依存症の治療

また、特に医療カナビスなどで カナビスの使用量が増えてくるとアルコールの消費量が減ってくる ことや、アルコール依存症の治療 にカナビスが役に立つことも知られている。

いずれにしても、カナビス依存症の治療の結果としてアルコールの使用量が増えてしまえば、アルコールによる害はカナビスよりも大きいので何のための治療なのかという疑問が出てくる。カナビス依存症が治ったとしてもアルコール依存症になってしまえば悲劇としか言いようがない。

その点では、素性のはっきりした良質のカナビスをできるだけ少量で節度を持って使う方法を教育して最初から依存症にならないようにすることのほうがはるかに効果的だと思うが、禁止法下ではそのような教育もできない。

ゲートウエイはこじつけ理論