カナビスとアルコールの併用リスク

使う順序によってリスクが異なる

Source: Erowid Experience Vaults
Pub date: Aug 1, 2005
A Dangerous Mix Alcohol & Cannabis
Author: RyanG
http://www.erowid.org/experiences/exp.php?ID=15848


確かにアルコールとカナビスとの併用はそれぞれのよいところが重なり合う場合もあるが、「グリーンアウト」 するリスクも大きい。グリーンアウトとは、カナビスのオーバードーズ状態になり、極端な吐き気、立ちくらみよる転倒、失神、酔いつぶれたりすることを指している。

どのような場合にグリーンアウトしやすいのか一般的に予想することは難しいが、特徴的なことの一つは、カナビスとアルコールを使う順序によって影響が違うことで、カナビスを先に吸うよりも、アルコールを先に飲んでから後でカナビスを吸うほうがグリーンアウトしやすいことが知られている。

基本的には、カナビスとアルコールを同時に使わないほうが良いが、やむおえない場合は、アルコールを飲みながらタバコのようにカナビスを吸うのではなく、カナビスのハイの中で少量のアルコールを味わうように心がけたほうがよい。

以下の体験記では、グリーンアウトという言葉は使われていないが、その典型例といえる。


使用量:  アルコール: 缶ビール5本、   カナビス: パイプで3服
体重: 65kg(男性)

昨晩、カナビスとアルコールを併用してバッドが状態に見舞われた。確かに、普段からカナビスとアルコールをミックスして使うと、使用量によっては、方向感覚が鈍り、吐きたくなり、非常に眠くなるとは思っていた。カナビスを使い始めてから4年ほどになるが、当初はたまにやる程度だったが最近ではほぼ毎日使っている。アルコールはあまり好きではないこともあって普段は飲まないが、付き合いではたまに飲んだりする。

昨日は7月4日の独立記念日で、友だちの家へ遊びに行っていた。おみやげに、6本パックの缶ビ-ルを各銘柄取り混ぜて4パック買って持って行った。家には友だちのWと彼の弟のMがいた。独立記念日だったこともあって花火で盛り上がった。気分はハッピーで、話も弾んでリラックスしていた。

2時間で5本のビールを飲んだ。気分は本当に良かったが、ちょっと胸がむかつく感じもあった。弟とポーチで話しているときに、Wは家の中に行ってカナビスの入ったパイプを持ってきた。中グレードのカナビスに見えた。ここ1週間はご無沙汰していたのでハイになれることに興奮してしまった。自分の経験ではビールとカナビスは相性が悪いことを知っていたが、その時は、調子が悪くなればビールを飲むのを止めれば大丈夫だろうと思った。

パイプを回して3服ほどするとカナビスが効いてくるのが分かった。だが、いつもよりも強い感じがした。脳に十分な酸素が供給されていないようで体がひどく重い感じもしたが、気分は良かった。

吸い終わると家の中に入ろうということになった。立ち上がると急に頭に血がのぼってきた。入り口のすぐそばで記憶が薄れて床によろけた。断片化した視野はゆっくりともとに戻ったが、椅子の間に倒れ込んで床に激しくぶつかってしまった。

やがて、のぼった頭の血はおさまって行くように感じた。MとWは笑って見ていた。混乱して倒れたという気は全然しなかったが、床の上で意識が回復してからとても驚いた。後から聞いた話では倒れていたのはほんの数秒だったらしい。

立ち上がって、気分が良くないといった途端、また頭に血がのぼるのを強く感じた。何とが3メートルほど離れた浴室に向かおうとしたが、半分ほどいったところでまたもの記憶が薄れててしまった。冷たくなってまた倒れた。やがてゆっくりとのぼった血はおさまってきた。

MとWもそこにいて起きるのを助けてくれた。毒が抜けたような感じで吐き気は全くしなくなっていが、アルコールとカナビアスが効いている感じはそのままだった。

再び立ち上がって、6メートルほど離れたリビングルームに向かって歩き始めた。混乱もしていないし、いつもと同じような感じだったから、助けがなくても一人で行けるからと言った。だが、少しバランス感覚が取れていないような気もしていた。

ふたたび頭に血がのぼってきた。床に起き上がるとMとWは大丈夫か聞いてきた。バツの悪さも手伝って大丈夫と頷いてみたものの、気が失われていくようで驚いた。これまでに失神したり、意識を失うような経験をしたことはなかった。

二人は腕を抱えてリビングルームまで連れて行ってくれた。立ち上がると頭に血がのぼってきて恐ろしいことになることが分かったので座っていた。血がのぼる現象が、脳に行く血が多すぎるとそうなるのか、あるいは少なくなり過ぎるとそうなるのかはわからない。しかし、血圧が低くなって脈拍が速くなっていることは確かだと思った。心臓の鼓動を非常に速く感じた。

座っていると気分もだいぶ良くなってきた。MとWは最初は冗談かと思ったらしい。彼らの話によると、倒れた3回とも数秒で意識が戻ったと言っていた。そのことから考えて、倒れて横になっていると、すぐに脳の血液は正常に回復して意識ももとに戻るからではないかと思った。

20分ほどするとカナビスにピークを過ぎて酔いも覚めてきた。少し歩いてみたが、今度は順調だった。しばらくして、顎や鼻や肘に鋭い痛みを感じ始めた。さらに素面になってきたが、眠気は全然しなかったのでそのまま遅くまでそこで過ごした。少しあとでカナビスを少し吸ったりしたが、もうその晩はビールには手を出さなかった。

今回起こったことについては本当にびっくりした。アルコールを飲み過ぎたつもりもないし、カナビスも3服しか吸っていない。二つの併用が招いたとはとても信じられないような気もするが、3階にある自分のアパートで同じようなことが起こってベランダから下に転落することだってあり得ると思えば、立ち上がろうとして3回も倒れたことを空恐ろしく感じる。それもただ倒れただけなのではなく、意識も失ってしまっていたので、間違いなく転落している。

アルコールとカナビスを併用することには特に注意する必要があると思う。少なくとも自分は、二つ合わせると、血圧と脈拍という生命の重要な機能に悪影響が出てくる。併用すれば少量でも意識を失うことがあり得るなどとこれまでは思ってみたこともなかったが、酔い状態が様変わりしてしまうことがよく分かった。

オーストラリアの国立ドラッグ&アルコール研究センター(NDARC)の 研究 によると、カナビスを使っている学生の3分の2以上(68%)が同時にアルコールも使っており、24才以上の大人ではおよそ90%になるという。

学生の調査では、カナビスで何らかの問題を起こした中では、アルコールとカナビスの併用によるグリーンアウトが主要な問題の一つになっており、12%が経験している。

アルコールを先に飲んでからカナビスを使ったほうがグリーンアウトを起こしやすいことについては、この報告書 でも指摘しているが、その理由についてはよく分かっていないと書いている。

だが、一般的にカナビスを最初に吸った後の10分くらいは、血圧が低下し脈拍が速くなることがよく知られている。特に初心者や久さしぶりに吸った場合などでは自覚できるほどになることもあり、しばしば動悸が激しくなって苦しくなることもある。しかし、この現象が現れるのは最初だけで、継続して吸ってもその度に出てくるわけはない。

また、血圧は座っているときは上昇し、立つと減少するとも言われている。このために、座っている状態から急に立つと血圧が下がり、立ちくらみやめまいを起こすこともある。


カナビスを先に吸った場合は数分以内にピークが来るので、酔い遅いアルコールの効果とは重なり合うことはなく、お互いの効果が影響しあうことはない。従って、グリーンアウトするリスクが特に高まることはないと思われる。また、カナビスを追加して吸った場合も、最初のような血圧の低下や脈拍の上昇は起こらないのでグリーンアウトしにくいと思われる。

一方、すでにアルコールに酔った状態でカナビスを吸ってピークが来た場合は全く違っている。まず、血液中にアルコールがTHCの吸収を早めてピークを鋭くする可能性がある。それに従って、血圧や脈拍も急激な影響を受けてグリーンアウトしやすくなると考えられる。またアルコールにも酔っているので、体のバランスを崩して転倒しやすくなる。

いずれにしても、カナビスとアルコールの併用順序の影響の違いについては、注意深いカナビス・ユーザーなら、アルコールを飲みながらタバコを吸うようにカナビスを使っているほうが、カナビスを吸いながらビールなどを味わう場合よりも潰れやすいことに気づいている。

実際、オランダのカナビス・カフェと呼ばれるコーヒショップでは、カナビスとビールを同時に販売しているが (現在は全面禁止になっている)、カナビスを吸いながら合間にビールを味わうという人が大半なので、酒場のように酔いつぶれてたり、喧嘩をするような人は見かけない。

「グリーンアウト」 という用語は、一般には、カナビスで酔いつぶれて他の人の世話にならなければ自分の部屋に帰ることができないような状態をさして使われたりしている。

しかしもっと狭義に、吐いたり、立ちくらみで転倒したり、瞬間的に寝てしまったり、気を失ったりすることを指すこともある。これは、おそらく臨床的にアルコールの 「ブラックアウト」 と対比して使われて出したのではないかと思われる。

しかし、アルコールのブラックアウトは、その時の行動が記憶から失われて後から思い出せないような状態を指し、グリーンアウトの酔いつぶれた状態とは根本的に異なる。

アルコール毒性がカナビスで強まる、新生児ラット実験、カナビスのみでは毒性なし  (2008.4.8)