カナビスは

飲酒による脳のダメージを防ぐ


Source: MPP Blog
Pub date:Aug 21, 2009
Study: Marijuana May Protect Against Brain Damage From Binge Drinking
Author: Bruce Mirken
http://blog.mpp.org/research/study-marijuana-may-protect-
against-brain-damage-from-binge-drinking/08212009/


神経毒性学&奇形学ジャーナルのオンライン最新版に掲載された 研究 によると、カナビスには、アルコールの深酒によって引き起こされる脳の損傷を防ぐ働きがあるらしいことがわかった。

この研究は、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが拡散テンソル画像と呼ばれるハイテク・スキャン装置を使って行ったもので、16才から19才までの学生42人を対象にアルコールとカナビスの使用状況で大脳白質にどのような変化が起るかを微細に比較している。

被験者は、アルコールだけを深酒するグループ(男性の場合は1回の酒席で5杯以上、女性の場合は4杯以上)、カナビスを吸いながらアルコールの深酒する併用グループ、アルコールもカナビスもほとんどやらない非使用グループに分けて、大脳白質の8箇所について各ボクセル毎の拡散の大きさと異方性を示す異方性比率 (fractional anisotropy:FA)と平均拡散率(mean diffusivity:MD)の違いを調べた。

その結果、深酒グループでは予期されていたように調べた8箇所すべてにおいてFAスコアが低くなっていることが確認された。しかし、深酒&カナビス・グループでは、非使用グループに比較してFAスコアが低くなっているのは8箇所のうち3箇所のみで、深酒グループに対しては7箇所でスコアが高くなっていることが見出された。

このことは、深酒グループよりは深酒&カナビス・グループのほうが脳へのダメージが少ないことを示している。研究者たちも、「大脳白質領域では、深酒グループに比較して、深酒&カナビス・グループは非使用グループに近い状態になっている。カナビスには、アルコールに関連した酸化ストレスや興奮毒性による細胞死を軽減する神経防護作用が備わっていると考えることができる」 と書いている。

実際のところアメリカ政府も、神経防護物質としてカナビノイドの パテント を所有しているので、カナビスの成分が脳や神経細胞をさまざまなダメージから守ることは知っているはずだが、不可解ことに同じ政府が一方ではカナビスが脳をダメにするとみんなに信じ込ませようとしている。

この事実についてマリファナ・ポリシー・プロジェクト(MPP)のキャンペーン・デレクターであるスティーブ・フォックス氏は、「この研究はカナビスがアルコールよりも安全であることを示してだけではなく、アルコールの深酒によるダメージから守る働きのあることを示してします。…」

「ティーンはアルコールだけではなくカナビスもやらないほうがはるかに良いのは当然ですが、この国の指導者たちは、カナビスを認めないでアルコールの使用を奨励している現行法を守るために危険なメッセージを撒き散らしているのです」 と語っている。

スティーブ・フォックス氏は、昨日、NORMLのポール・アルメンターノ、SAFERのメイソン・ツーバット両氏と共著で 『マリファナのほうがアルコールよりも安全 - 国はなぜ人を飲酒に向かわせるのか?』(Marijuana Is Safer: So Why Are We Driving People to Drink?) を発行して注目を集めている。

White matter integrity in adolescents with histories of marijuana use and binge drinking  J. Jacobus, et.al, Neurotoxicology and Teratology, doi:10.1016/j.ntt.2009.07.006

この実験結果については、深酒をしても一緒にカナビスを吸えば問題がなくなると誤解する人もいるかもしれないが、基本的にそれは間違っている。

この実験で示されたことは、未成年時の数年間のドラッグ使用による大脳白質の変化についてであって、それを検知すれば 「未成年時のドラッグ使用による認知機能の異常を見つけることができる」 可能性を示したもので、カナビスとアルコールの併用による急性的な問題や依存性の問題について考慮されているわけではない。

実際、カナビス・コミュニティでは、カナビスとアルコールを併用すればさまざまな相乗的副作用が出てくると言われている。

アルコールを飲みながらカナビスを吸うと、カナビスの抗嘔吐作用でアルコールを飲み過ぎたり、時には急性的な グリーンアウト して意識を失ったりすることもある。グリーンアウトの危険なところは、意識や認知力が低下して卒倒したり階段を転落したり、意識を失いながら嘔吐して窒息したりすることがあるからだ。

カナビスとアルコールの併用による依存性の亢進ついての研究も多数ある。例えば、週2回以上カナビスとアルコールを使った750人あまりを 調査した研究 では、常習的併用あるいは多量のアルコールの使用は、カナビス・ユーザーをカナビス依存症にするリスクを増やす可能性があり、アルコールの使用がカナビス問題を大きくしていると報告している。

また、運転への影響を調べた研究 では、カナビス単独と僅かにアルコールを併用した場合とでは事故リスクが全然違うことも示されている。

カナビスとアルコールの併用 については、大別すれば、カナビスを吸いながらアルコールを愉しなむ場合と、アルコールの飲みながらタバコを吸うようにカナビスを吸っているケースがあるが、両者は全然違う。

組合せ 特徴 カナビスを中断すると
@カナビスのみ もともとアルコール嫌い 飲酒しない
Aカナビス+アルコール 20代でカナビスを止めて飲酒だけになるのはごく一般的 飲酒量が増える
Bアルコールカナビス 最悪の組み合わせ。飲酒量もカナビスの量も増える
グリーンアウトしやすい
カナビスの抗嘔吐作用がなくなり飲酒量が減る
Cカナビス*アルコール カナビス使用量が増えると飲酒量が減る
医療カナビス患者で顕著。アルコール依存症の治療

カナビス依存症治療、カナビス使用量が減ればアルコールの摂取量が増える (2009.7.24)

カナビスの効果を十分知らない初心者は絶対にアルコールを併用しないように、本人ばかりではなく周囲の人も注意する必要がある。