厚生労働省の支離滅裂な情報公開
4月19日に郵送した行政文書開示請求に対する開示決定通知書が昨日届いた。
私が開示請求した文書は、次のようなものだった。
1 請求する行政文書の名称等
厚労省に委託責任のある(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターが、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報を作成した際、管轄官庁として厚労省が確認した「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報の根拠となった文書。厚労省が保有している大麻関連文書全般に非ず。現状の「ダメ。ゼッタイ。」ホームページを作成した際に根拠とした文書である。
本請求は昨年12月11日付提出の開示請求を改めて行うものである。昨年の当該請求で私は「厚生労働省所管の(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの運用・管理に関する全ての文書、及び同ホームページ中の大麻に関する記述の根拠を示す全ての文書」を示すよう求めたが、麻薬対策課松田係長が4月18日に電話で説明したところによると、前回の回答は「行政機関として保有している文書として根拠になる文書を開示するということであって、実際にセンターが何に基づいてホームページを作っているかということとは全く別問題」だとのことである。
だが、私が開示請求したのは、厚労省に委託責任があるセンターが、何に基づいてホームページを作ったか、であり、管轄官庁としてそれを適切に把握しているかどうか確認するためである。
前回の開示については別途異議を申し立て、意見書を出したところだが、併せて、改めて、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報が何に基づいて書かれたか、その根拠文書を全て開示するよう求める。
昨日届いたのはその回答である。以下、通知書から引用する。
1.開示決定した行政文書の名称
- 「大麻」(依存性薬物情報研究班 昭和62年3月)のうち、「Ⅱ 大麻とは」、「Ⅴ 大麻乱用の臨床」の部分
- 「大麻乱用による健康障害」(依存性薬物情報研究班 平成10年12月)のうち、「Ⅳ 大麻性精神病」の部分
- 「薬物依存」のうち、「第13章 大麻依存」の部分
- Cannabis : a health perspective and research agenda
- DRUG EDUCATION MANUALのうち、「CANNABIS」の部分に係るFAX文書
- 薬物乱用防止教育指導者読本のうち、「大麻(カンナビス)」の部分に係わるFAX文書
一読して私は思わず笑ってしまった。今回開示された文書のうち、「大麻」、「大麻乱用による健康障害」、「薬物依存」、「Cannabis : a health perspective and research agenda」については前回と全く同じ内容である。今回新たに加わったのは「DRUG EDUCATION MANUAL」と「薬物乱用防止教育指導者読本」だ。
「DRUG EDUCATION MANUAL」は、かつて麻薬防止センターが米国テキサス州にあるDRUG PREVENTION RESOURCES,Inc.から輸入して販売していた薬物標本の模造品セットに付いていた説明書英語原文であり、「薬物乱用防止教育指導者読本」はその翻訳を中心に構成された冊子である。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに書かれている大麻情報の記述のほとんどが、この翻訳冊子を転載したものだ。それにもかかわらず、前回の開示請求では示されなかったので、私は英語原文を出すよう異議申立を行った。
そしたら、厚労省は、この英語原文は、あくまで担当者個人が勉強のために収集した資料だから捨てようが保存しようが担当者の勝手であり、開示すべき行政文書には該当しないと回答してきたのである。
念のため、異議申立に対する厚労省の「理由説明書」を引用する。
本件文書は、監視指導・麻薬対策課の担当者がセンターより入手したが、個人の資料収集の一環として行ったものであり、上司の指示等によるものではなく、あくまで個人の勉強のためである。
本件文書は、既に販売されている、「薬物乱用防止教育指導者読本」の原本の一部であり、あらためて、組織的に検討、回覧等する必要のない文書であることから、担当者から他の関係職員に配布したり、上司に報告することなどはしていない。
本件文書は、収集後、担当者の個人のファイルに編てつされたが、当該個人ファイルは、担当者の机の中に保管されており、上司も含め、同僚もその存在を知らなかった。したがって、保存・廃棄については、担当者の判断で処理できる性質のものである。
なお、念のため行政文書ファイル管理簿でも検索してみたところ、該当する文書は存在しなかった。
したがって、本件文書は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)第2条第2項に規定する「行政文書」に該当しないことは明らかである。
担当者の机の中にしまってあった、担当者の判断で保存・廃棄できる性質の文書が、いつのまに行政文書に変身したのだろう。「該当しないことは明らかである」とか言ってたのに。
現在、私の異議申立は、内閣情報公開・個人情報保護審査会で審査されている。同審査会に言われる前に出してしまおうということにでもなったのだろうか。「もう出しました」、と答えられるように。
それにしても、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの運営を委託事業ではないことにしてみたり、あくまで担当者が個人の勉強のために収集した資料だと言い張っていたものをいつのまにか行政文書にしてみたり、厚生労働省は本当にお粗末で支離滅裂な役所である。
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