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大麻取締法違憲論裁判 > 桂川さん裁判
控訴趣意書1の要約と補充2
桂川さん裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2004-08-26

平成16年(う)第835号大麻取締法違反等被告事件
被告人  桂川 直文

控訴趣意書1の要約と補充2

平成16年8月26日

弁護人  丸井 英弘

大阪高等裁判所第6刑事部  御中

第1。大麻取締法は、社会的必要が無いのに、占領政策として一方的に制定されたものであり、無効でる。
原判決は、この無効な法律を適用して、有罪判決をしているのであるから、刑事訴訟法第380条の法令適用の誤りがあるので、破棄すべきである。

1。第2次大戦前の日本における大麻の栽培風景は、1929年の第16回二科展に発表された清水登之氏の「大麻収穫」という次の絵のとおりである。清水氏は栃木県出身であり、その絵は1920年代の栃木県鹿沼地方での大麻収穫風景を描いたものである。(控訴趣意書1添付資料1「地球維新 vol.2」扉の裏参照)

 また、中山康直氏著の「麻ことのはなし」評言社2001年10月10日発行の46頁で農業絵図文献よりの引用で「古来から日本の各地の畑で見られた麻刈りの風景」という題で次の絵が紹介されている。

 さらに、昭和12年9月に栃木県で発行された大麻の生産発展を目的にして発行された「大麻の研究」という文献あるが、その45頁で日本における麻の分布図を引用しているがであるが、その内容は次のとおりであり、大麻が日本全国において縄文時代の古来から栽培利用されてきたことは明らかである。なお、「大麻の研究」の末尾で著者(栃木県鹿沼在住)の長谷川氏は次のように述べている。

「斯る折に本書が発刊されこの方面に関心を持つ人達に愛玩吟味されて日本民族性と深い因縁のある大麻に対する認識を新たにし、是が生産発展上に資せられたなら望外の幸と存じます。」(控訴趣意書1添付資料1「地球維新 vol.2」6~7頁参照)

2。大麻の栽培が日本の伝統的な文化財であることは、大分県日田郡大山町小切畑で大麻すなわち麻の栽培をしている矢幡左右見さんが 1996年6月26日、文化財保存技術保持者として文部大臣から認定を受けたことからも明らかである。大山町のホーム頁でその記事の要約を次のとおり紹介している。このように、大麻の栽培者が文化財保存技術保持者として文部大臣から認定を受けているのであり、大麻すなわち麻を犯罪として取り締まることが不適切であることは、明白である。
『 矢幡さんは、昭和6年に栽培を始め、49年から福岡県久留米市の久留米絣(かすり)技術保存会から正式な依頼を受けて粗苧の製造 を始めました。以来、矢幡さんは毎年、粗苧20Kgを出荷しています。粗苧(あらそ)とは、畑に栽培され、高さ2メートルに成長した麻を夏期(7月中旬頃)に収穫して葉を落とし、約3時間半かけて蒸し、さらにそぎ取った表皮を天日で一日半ほど乾燥させて、ひも状にしたものです。粗苧は、国の重要無形文化財である「久留米絣」の絣糸の染色の際の防染用材として使われ、久留米絣の絣模様を出すためには欠かせないものです。しかし、栽培・管理の手間に比べて利益率が低いことから生産者は減少の一途をたどり、現在では矢幡さん一家を残すのみとなりました。 久留米絣の模様は粗苧なしではできないといわれており、粗苧が無形文化財の保存・伝承に欠くことのできないものであるということから、今回の認定になりました。矢幡さんは、「ただ、自然にやってきたこと だけなのに、とても名誉なことです。」と話しています。』

 また、「麻 大いなる繊維」と題する栃木県博物館1999年第65回企画展(平成11年8月1日ー10月24日)の資料集では、次のあいさつを紹介している。

「ごあいさつ

麻は中央アジア原産といわれ、わが国への渡来も古く、古代より栽培されています。
表皮を剥いで得られる繊維は、他の繊維に比べ強靱で、肌ざわりがよく、木綿や羊毛、化学繊維が登場するめで、衣服や漁網、下駄の鼻緒の芯縄、各種縄などに用いられてきました。その一方では麻は特別や儀礼や信仰の用具に用いられ、現在でも結納の品や神社の神事には欠かせない存在となっています。麻は実用のみならず信仰・儀礼ともかかわる、まさに大いなる繊維でした。
ここでは、質量とも日本一の「野州麻」の産地である足尾山麓一帯で使用された麻の栽培・生産用具、麻の製品、ならびに東北地方の一部で使用された麻織物に関する用具や麻織物を展示するものです。
麻がどのように生み出され、利用されてきたか、大いなる繊維「麻」について再認識していただければ幸いです。
おわりに、本企画展の開催にあたり、御指導御協力をいただきました皆様にこころより、御礼申し上げます。

平成11年8月1日 栃木県立博物館館長 石川格 」

 そして、表紙の2頁目では、次の鹿沼市立北小学校校歌が紹介されているが、このような麻が第2次大戦後の占領米軍による占領政策でもって犯罪視されてしまったのである。

「鹿沼の里に もえいでし
 正しき直き 麻のこと
 世の人ぐさの 鏡とも
 いざ 伸びゆかん  ひとすじに 」

3。米軍による軍事占領下の1948年(昭和23年)7月10日に大麻取締法が制定されてからすでに56年が経過した。そして、1950年に日本全国で25118名いた大麻栽培者は、1998年には102名まで減少してしまった。この減少した理由は、毎年の免許更新手続きが面倒な大麻取締法による規制のためと安価で大量に生産できる石油化学繊維の台頭によって麻製品の市場がなくなったことによると思われる。
しかしながら、大麻には、控訴趣意書1で述べたような有益性があるのであるから(逆に大麻にはこのような有益性があるから、日本をアメリカ系の石油系産業の市場とするために占領政策として大麻産業を規制したのが大麻取締法である)、占領政策である大麻取締法の当否を根本からみなおすべき時期に来ていると考える。

第2。原判決には、刑事訴訟法第381条の量刑不当があるので、破棄されるべきである。
現判決は、「被告人を懲役5年及び罰金150万円に処する」と判断しているが、その具体的根拠が明らかでは無いので、破棄されるべきである。
控訴趣意書1の要約と補充の8頁で述べた「被告人の大麻の栽培は社会的に公認されていた」との点を補充する。(同頁の下から8行目の「父親や支援者の話しによれば被告人の生活していた地方はかった大麻の生産地であり」を「父親や支援者の話しによれば被告人の生活していた地方はかって大麻の生産地であり」と訂正する。)

1。被告人の居住している長野地方もかって大麻すなわち麻の生産地として栄えたところであるが、最近その麻栽培を地域起こしとして復活しようという動きが起こっている。
被告人の居住している池田町のとなりにある美麻村では、商工会が中心になって「道の駅 美麻フェステバル2004」というイベントが開催されたが、その案内(別添資料1)で次のように述べている。なお、別添資料2として、美麻村の麻の館というパンフレットを紹介する。
● 開催のねらい
弥生時代から栽培され、村の特産品で、村名ともなったr麻」をテーマにしたはじめてのお祭りです。北アルプスの白馬へ行く道沿いにあるr道の駅ぽかぽかランド美麻」の施設を貸し切って開催されます。昔から美しい麻がとれることで全国的に知られていた美麻村では、1980年代を最後に麻栽培の歴史は途絶えてしまっていますが、国の重要文化財である旧中村家住宅(屋根材に麻殻を利用)や麻の資料館である「麻の館」があります。今日の麻を巡る世界情勢及び日本での動きを美麻村から新しい時代の鼓動として発信し、長野県及び日本全国に広げていきたいと考えています。麻に御縁のある方々の来場を心よりお待ちしております。美麻村商工会
● 目的
・美麻村の「麻」文化の再発見
・一般にはほとんど知られていない「麻」商品情報の発信
・「麻」復活の機運を盛り上げる

2。弁護人は、本件8月16日の午後、被告人の自宅を訪問して被告人の父親および支援者と会合をした。その際、弁護人が被告人が大麻を栽培していた場所を調査したところ、大量の大麻が生育していた。その大麻は自然に自生してきたとのことであるが、公道からも丸見えの状況であった(参考資料として本年8月25日に弁護人の依頼によって被告人の友人の白坂氏が撮影した現場の状況写真を資料3として添付します)。地元の人は大麻の栽培が違法であるという認識はないとのことで、地元の警察や長野県当局から、その自生している大量の大麻を取り去るようにとの指導は全くないとのことである。なお、被告人の父親の話しでは被告人の祖父が、昭和10年頃自宅で大麻の栽培をしていたとのこである。
このような状況の下において、被告人が大麻の栽培は社会的に公認されていたと考えたのは無理からぬものであり、原審の量刑はあまりにも重いものである。

添付資料

1。「道の駅 美麻フェステバル2004」と題するチラシ
2。「麻の館」というパンフレット
3。被告人の自宅で野生化している大麻の状況を写した写真4枚

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