大麻の有効成分
大麻の有効成分はカンナビノイドと呼ばれている。大麻に含まれるカンナビノイドには多くの種類があり、60種類以上が同定されている。代表的なものは、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(⊿-9-THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)などである。その中で、精神活性などの強い薬理作用を持つのが⊿-9-THCである。
⊿-9-THCはCB1・CB2作動薬。CBDはCB1・CB2に対して弱い結合力しか持たず精神活性を持たない。CBDはTHCの阻害薬として働くという報告もある。
内因性カンナビノイド
人の体内でカンナビノイド様の作用を持つ内因性カンナビノイドが存在し、2-アラキドニルグリセロール(2-AG)とアナンダマイドが同定されている。
カンナビノイド受容体
wiki:よくまとまっている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Cannabinoid_receptor
カンナビノイドはヒトの細胞上に存在するカンナビノイド受容体に結合することで薬理作用を発揮する。カンナビノイド受容体とカンナビノイドは鍵と鍵穴の関係にあり、鍵穴に鍵が入り込むことによって細胞内に信号が伝達され作用する。カンナビノイド受容体にはCB1とCB2という2種類が同定されている。
CB1 は主に神経細胞に存在し、CB2は免疫細胞などに存在することが知られている。医薬品としての大麻の効果は主にCB1を介したものと考えられる。CB1受容体は、神経細胞同士が接触する場所、すなわちシナプス、に多く存在しており、神経細胞の情報伝達に関与している。
CB1の細胞内シグナル伝達について。CB1はG蛋白結合型受容体(Gi/o)であり、主にアデニル酸シクラーゼを阻害することでシグナルを伝達していると考えられている。また、カリウムイオンチャネルなど、シグナル伝達には他の伝達系も関与している可能性もある。
神経細胞は結合部(シナプス)において神経伝達物質でお互いに情報を交換しているが、CB1受容体は神経伝達物質の量を調節しているらしい。シナプス後細胞(情報が伝えられる側)から内因性カンナビノイドが放出されると、シナプス前細胞(情報を伝える側)のCB1受容体が働く。すると、シナプス前細胞から神経伝達物質であるGABA・ノルアドレナリン・アセチルコリンなどが放出されるのが抑制される。その神経伝達物質の変化がシナプス後細胞に再び伝わり、中枢神経での独特の酩酊作用が出現する。
すなわちカンナビノイドは逆行性シグナル伝達を担っている。
(カンナビノイドは、このように複雑な作用をするため、作用の仕方を理解するのが難しい。興奮作用か鎮静作用かという区別がはっきりしないのはこのような作用機序によるものと考察される。)
末梢では筋弛緩作用・血管拡張作用を示す。
CB2受容体は、さまざまな免疫細胞に存在している。免疫反応に関わっていると考えられているが、正確には分かっていないことが多い。CB2は白血球の遊走と免疫抑制に関わっているようだ。
(編集部注)本稿の初出は「Dr.フロッガーのブログ」です。
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