日本では「大麻の危険性は、より人体にとって危険な覚醒剤などの入門薬としての役目があるところにあるのだ。」などと言う事が言われているが、これは2重の意味で証明されない。
それは、
①大麻を使用してから覚醒剤を使用するという実態が(統計上)存在しない。
②ゲートウェイ理論あるいは「入門薬」などという理論は証明されていない。
という事である。
○大麻を主たる使用薬物とした者に関するユニークな特徴
大麻は薬物による精神疾患患者453人中172人が使用している、そのうち17人が大麻を主たる使用薬物としている。残りは併用薬物としているが圧倒的に多いのが覚醒剤を主たる使用薬物とするもの100人で次に有機溶剤を主たる使用薬物とするもの25人でこの二つが大半である。
① 大麻は覚醒剤309人、有機溶剤209人に次いで多く使用されている。
② 殆どが併用薬物としてである。(90%)
③ 大麻を主たる使用薬物とした者(病気治療中の者)の平均年齢が非常に若い(27.6才)、覚醒剤37才(平均36才)比べてもわかるが、有機溶剤31.5才と比べてもそれより若い。(表3-1)理由は治療開始年齢が20~24才に8人と他の主たる使用薬物の開始年齢より若いときに山があるものと思われるがその理由はわからない。(表3-1、表18)、併用薬物として使用した開始年齢、主たる薬物として使用開始年齢は特に特徴はない。
④ 大麻を主たる使用薬物とした者の入院している比率が非常に少なく、一番少ない。
○多剤使用者イコール覚醒剤使用者ではなく、薬物による精神疾患を治療する者は殆ど多剤使用者である。
薬物乱用による精神疾患で、圧倒的に大きな問題は違法、合法を問わず、乱用薬物は多剤使用者の圧倒的に多いことという事が覗えると思う。これは一つの薬物による強力な依存性が原因で精神疾患に必ずなる、という図式だけでは正しい解決が導き出されるわけではないという事が言えるだろう。
その他、この報告の他のデータが数多く一覧表として出されているが、総体的、大局的に見てこの多くの一覧表を全て見た上での判断が日本の薬物乱用対策について要求されるのではないかと思う。
この項おわり
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