大麻は規制の対象となる薬物だが、そもそも薬物としての大麻はいったいどういう作用を身体に及ぼし、どういう害を与えるのか。その論議が必要な筈だが、古いデータなど今では否定されている情報を相変わらず啓蒙しようとしているのが厚労省下の財団法人、麻薬・覚せい剤乱用防止センターである。以下ホームページより。
■薬物別解説/大麻
大麻とはクワ科の一年草で中央アジア原産の植物です。古代から繊維用として栽培されてきました。この植物にはTHCという成分が含まれており、葉などをあぶってその煙を吸うと酩酊感、陶酔感、幻覚作用などがもたらされます。現在では世界のほとんどで麻薬として規制され、所持しているだけでも死刑や無期懲役となる場合もあるほどです。
大麻を乱用すると気管支や喉を痛めるほか、免疫力の低下や白血球の減少などの深刻な症状も報告されています。また「大麻精神病」と呼ばれる独特の妄想や異常行動、思考力低下などを引き起こし、普通の社会生活を送れなくなるだけではなく、犯罪の原因となる場合もあります。また、乱用を止めてもフラッシュバックという後遺症が長期にわたって残るため、軽い気持ちで始めたつもりが一生の問題となってしまうのです。社会問題の元凶ともなる大麻について、正確な知識を身に付けてゆきましょう。
これは酷い、大麻はアサ科で一種である。THC以外にCBDという成分があり、2つで相反する作用の相乗効果が様々あることについて触れられていないのは当然か。
日本においては、『日本においては財団法人「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」が大麻の有害性を主張しているが、その主張は薬物標本の説明書の翻訳であり、医学的根拠が定かではない』(ウィキペディア「大麻」より)
奇妙な事ではあるが、ここでは規制薬物として大麻と覚醒剤という「2大乱用薬物」に焦点をしぼり、これを取り締まるための啓蒙運動を主眼としている。「大麻は酒、タバコより害は少なく、言われているよりずっと安全」という強い意見が合理的な根拠とともに述べられている事を、多くの人がネットで知ることが出来る事からは、遠い世界である。
大麻の害が誇大に言われる一方で、日本においてもその医学的効能について、もうかなり知られてきた。が、マスコミは大麻と覚醒剤の区別もわかっていない様な報道の仕方なのは、麻薬防止センターからの垂れ流し情報に影響されているのだろう。検証する動きさえも見えない感じがする。大麻について、害が少ないことや、医療大麻に関する報道をしているのは、週刊朝日が単発的に記事にするだけだと言って良いだろう。
これに対する医学的な反論などは殆ど無いように思えるが、それではいわゆる「薬物乱用問題」として、大麻が引き起こす健康被害が社会的な統計数値として表現されているかというと、まずそういうデータなど見たことがない。しかし、他の薬物、中でも覚醒剤、シンナー、睡眠薬などによる精神疾患患者数は2004年に調べられ、薬物乱用被害の一端を示すものと思われる。
日本でも「薬物乱用問題」は明確に存在するのである。さらに付け加えるなら、「麻薬問題」というよりは日本においては「薬物乱用問題」言う方が正しいことが明確にわかる。実は「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」も、麻薬問題とはいわず、薬物乱用問題と言っている。
薬物乱用による精神疾患患者の入院治療をやっている赤城高原ホスピタルでは、単に病気の治療に留まらず、病気に至る過程、社会における要因についても問題を指摘している。アルコールを含む薬物乱用問題を社会問題として捉え、教育や貧困、DV家庭などに留まらず、社会背景の中に要因を分析している。「薬物乱用問題」についてよく知ることが出来るすぐれたサイトだと思う。
●赤城高原ホスピタル
また、全国各地のダルクという薬物依存症を克服して自立するための民間施設のホームページには、掲示板として薬物依存症者たちや家族の方たちの投稿を見ることが出来る。これらを見ると、日本に於ける「薬物乱用問題」という社会問題は国際的にも深刻なレベルなのかを問う以前に、多くの国民が他人事のように扱い、それを反映して国の政策の一つとして何も問われていないのではないのかと私には感じられた。
全国各地のダルクのホームページがあるが、掲示板が設けてあるサイトを読む限りは、意外に覚醒剤使用が身近にあり、薬物乱用問題としての大麻については、それを問題にしている人は皆無のようである。
運営する人全員が覚醒剤などの薬物乱用経験者であり、この人たちが社会復帰するための「治療」を重点とした、自立プログラムの実践で効果をあげているという。
覚醒剤などの強烈な精神依存性を発揮する「薬物乱用者」は、そのまま「薬物依存者」という病人だという考えを基においているという。各地のアルコール依存症者が作る断酒会の、いわゆる「自立プログラム」と殆ど同じものをダルクも採用し、本人の実行による治療を主としているようだ。
(この項つづく)
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