日本の薬物乱用防止政策は、内閣府に設置された薬物乱用対策推進会議が省庁横断的なとりまとめ機能を担っている。その担当大臣が鳩山政権になって社民党党首の福島みずほさんになった。
社民党は、アンケートの回答で、「ハームリダクション政策を検討する必要がある。」とした上で、「ただし、注射針の供給等の感染予防、代替薬物治療、カウンセリングの態勢等の対策の整備が前提。結果としての健康被害軽減が何よりも重要であり、取締の厳格化だけでは限界がある。」と補足している。また、医療大麻についてのアンケート項目には「医療目的での大麻使用を認める必要がある」とも答えている。
しかし、厚労省監視指導・麻薬対策課の安田課長補佐によると、ハームリダクション的な政策手法のうち、注射針の供給は、薬物使用を肯定することになるので検討されておらず、大麻の医療利用についてもその有効性が国際的な機関で共有される知見とはなっていないため、厚労省として特に検討していないとのことだった。
先のアンケートで民主党は、医療大麻について「今後検討していきます」と回答し、ハームリダクションの必要性については「薬物依存・中毒者への治療と自立支援、家族への相談支援を整備すべきだと考えています。省庁横断的な薬物取締体制を強化するとともに、外国の例を参考にしながら実効性のあるアプローチを検討すべきだと考えます。」と記入回答している。また「政策集INDEX2009」の「麻薬・薬物対策」の冒頭にも「薬物依存・中毒者への治療と自立支援、家族への相談支援を整備します。」と書かれている。
連立を組む国民新党もアンケートには「ハームリダクション政策を検討する必要がある」、「医療目的での大麻使用を認める必要がある。(一定の制限を付した上で認める。)」と回答した。
では、平成20年8月に策定された「第三次薬物乱用防止五か年戦略」については、福島みずほ担当大臣の下で、何らかの修正などが行われるのだろうか。13日に内閣府のご担当に聞いたところ、今のところ見直すなどの話は出ていないそうだ。この新五か年戦略については、年に一度のフォローアップが行われるが、政権交代を受けて関係閣僚が会議を開くなどの予定も現在のところないという。
鳩山政権には、大麻の医学的事実を再検証し、薬物乱用対策のあり方についても他の多くの政策同様に、抜本的な見直しを図って頂きたい。
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