圧倒的有害基準の無害基準への置き換え
現在では、大麻反対派すら、以前のような誇張は大げさだったと認めざるを得なくなった。WHOさえ40年前の見解を180度変えて、1995年の大麻報告書で 「大麻は、アルコールに見られるような暴力による被害を引き起こすことはほどんどない」 と認めている。(UK Select Committee on Science and Technology Summary 16)
そこで反対派が出してきたのが害の基準の変更だった。圧倒的な有害基準を臆面もなく完全無害基準に置き換えて、それをテコに大麻が有害だと主張するのが常套になった。
例えば、現在でも、大麻を使うと統合失調症になると盛んに叫ばれているが、これは、いつのまにか、かつての圧倒的有害基準を無害基準に変更し、ごく僅かなリスクを過大に誇張することで成り立っている。実際、統合失調症との関連を主張する論文で問題にしているのは、体質的に精神脆弱性を抱えたティーンエイジャーで、しかも大麻をヘビーに使っている場合であって、全体からすればごく一部に過ぎない。研究者自身ですら、公衆衛生という観点からすれば大きな問題にはならないと認めているほどなのだ。
しかし、大麻反対派は、大麻を使う人全員が統合失調症になるリスクがあるかのように叫び、無害ではないと言い立てている。もちろん、一部だからといって統合失調症という深刻な病気を軽く見てよいというわけではないが、しかし、基準の変更に伴って、大麻反対派は統合失調症患者への思いやりではなく、大麻に反対するための道具として精神病問題を再び利用し、統合失調症に対する偏見をますます助長していることも見逃すことはできない。
また、大麻にはそれほど害がないことから、反対派は、他の害のあるドラッグと無理矢理結びつける「踏石論」を発明して、大麻には害が少なくても踏石になるとして害を言い立てるようになった。実際、大麻が暴力を引き起こすとされた禁止法制定当時には、踏石論の主張など全くなく、やがて大麻では暴力的にならないことが知られるようになってきてから出てきたことからも明らかなように、意図的に踏石論を発明して基準を暗黙のうちに変更したことが分かる。
さらに奇妙なのは、最近、「今の大麻は60年代のものより何十倍も強力なっているので危険が増している」 と盛んに叫ばれていることだ。殺人鬼や精神異常になるとされた前時代の大麻より効力が増えたのに、殺人鬼や精神異常が多発しているとはとても言えない現状に対して、どうして以前より危険になったといえるのだろうか? それとも、以前の主張は全く誤りで、本当は現在よりも昔は無害だったと認めた前提で言っているのだろうか? もうここに至っては基準がどこにあるのかすらよく分からない。
Source: カナビス・スタディハウス カナビス無害論の罠
Pub date: Sep 3, 2006
Author: Dau, Cannabis Study House
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