平成16年4月6日宣告 裁判所書記官 山 本 弘 之
平成16年(う)第57号
判 決
本籍 ■■県■■市■■■■村723番地
住居 長野県■■■郡■■村■■■■番地
白坂和彦
昭和37年5月4日生
上記の者に対する大麻取締法違反被告事件について、平成15年12月3日大阪地方裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から控訴の申立てがあったので、当裁判所は、検察官浅尾俊久出席の上審理し、次のとおり判決する。
主 文
本件控訴を棄却する。
当審における訴訟費用は、全部被告人の負担とする。
理 由
本件控訴の趣意は、弁護人葛井重雄作成の控訴趣意書、「控訴趣意書の誤字訂正」と題する書面及び控訴趣意補充書並びに被告人作成の控訴趣意書及び控訴趣意補充書に各記載のとおりである(なお、弁護人はその控訴趣意は法令適用の誤りを主張するものである旨、また、被告人の控訴趣意も、事実誤認に言及するところを含め、弁護人の控訴趣意と基本的に同じである旨釈明した。)から、これらを引用する。
各論旨は、いずれも弁護人の上記釈明のとおりであって、要するに、大麻取締法24条1項及び24条の2第1項は憲法13条、14条、31条及び36条に違反し、無効であるのに、これらを適用して被告人を有罪とした原判決には、判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤りがある、というのである。
しかしながら、この点については、原判決がその「弁護人の主張に対する判断」の項において説示するように、大麻が一定の薬理作用を有することは公知の事実であり、国家が国民の生命、精神の安全に対する危険を防止する見地から、法律をもって大麻の使用につながる所持や栽培等の行為を規制し、その違反に対して罰則をもって臨むことには、十分合理性が認められるところであって、当裁判所も、大麻取締法の前記各条項が違憲のものとは考えない。
これに対し、所論は、大麻が一定の薬理作用を有するとの原判決の説示は、最新の大麻に関する医学的知見に対する無理解を示すものであり、むしろ、大麻には有害性がないか、あるとしても極めて低いというのが近時における公知の事実である、と主張する。しかし、所論の前提とする大麻に有害性がないなどといった主張は、過去同種事案において何度も繰り返されてきたものにすぎず、その理由のないことも、原判決が引用するものを含め、多くの裁判例が示すとおりである。したがって、所論は採用の限りではない。
所論はまた、飲酒や喫煙についてほとんど規制されていないのに、それらよりも危険性や有害性の低い大麻の所持や栽培について懲役刑を科すことは、法の下の平等を定める憲法14条のほか、罪刑が適正であることを要求する同法31条や残虐な刑罰を禁止する同法36条にも違反する、と主張する。しかし、大麻の有害性が低いなどという前提自体が失当であることは前記のとおりであり、また、大麻取締法の法定刑が過度に重いとはいえないことも原判決が説示するとおりである。したがって、この所論も採用できない。
所論はさらに、本件大麻の栽培には医療利用目的も含まれており、大麻取締法がこのような医療利用目的の場合にまで大麻の栽培等を規制するのは不当である、と主張する。しかし、仮に、被告人が医療利用目的をもって大麻を栽培していた(このこと自体、何ら裏付けがあるわけではない。)としても、被告人は医学や薬学等の専門知識を有する大麻研究家ではないのであるから、そのような目的で大麻を栽培等することが危険、有害であることはいうまでもなく、それが規制されるのは当然といわなければならない。
以上のほか、所論がるる主張するところにかんがみ、更に記録を調査、検討しても、大麻取締法が違憲無効であるとする根拠はなく、各論旨はいずれも理由がない。
よって、刑訴法396条により本件控訴を棄却することとし、当審における訴訟費用を被告人に負担させることにつき、同法181条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。
平成16年4月6日
大阪高等裁判所第4刑事部
裁判長裁判官 白 井 万 久
裁判官 的 場 純 男
裁判官 畑 山 靖
これは謄本である。平成16年4月8日
大阪高等裁判所
裁判所書記官 横 田 博
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大阪高裁のこの判決は、一審の判決をそのまま踏襲しているだけです。
生存権を侵害しているという主張についてはまたしても全く一言も触れていません。代わりに、私の栽培目的に医療的利用があったとしても、専門家でもない私がそーゆーことをすること自体が危険だと指摘しています。
しかし、この法は「大麻から製造された医薬品の施用を受けること」(第4条3項)すら禁止しているのです。
だから、生存権の侵害だって言ってんのに。
最高裁では大法廷を使ってもらいたいところです。
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