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大麻取締法違憲論裁判 > MHさん裁判
論告要旨
MHさん裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-01-22

論告要旨

大麻取締法違反  被告人 ××××


第1 事実関係
本件各公訴事実は,当公判廷で取り調べられた関係各証拠により,その証明は十分である。

第2 情状関係
本件は,被告人が,自宅内において,大麻草約23.98グラムを所持し,大麻草8本を栽培した大麻取締法違反の各事案である。

1 犯行に至る経緯及び動機に酌量の余地はない。
被告人は,平成10年ころから,大麻の吸引を始め,大麻取締法違反による前刑の執行猶予期間中,大麻の吸引を中断した後,平成15年9月ころから,友人に勧められたことをきっかけとして,大麻の吸引を再開し,同年10月ころからは,自宅内において,大麻草の栽培を始め,大麻の吸引を継続していた。
被告人は大麻吸引による快感を求めて,再び大麻の吸引にのめり込み,本件各犯行に及んだのであって,その犯行に至る経緯及び安易かつ短絡的な動機に酌量の余地は全くない。

2 本件犯情は悪質であり,被告人の大麻等の薬物使用に対する親和性及び常習性は根深い。
被告人は,前記のとおり,平成10年ころから,大麻の吸引を始め,密売人等から大麻樹脂等を購入して,大麻の吸引を続けていたが,平成12年2月23日,大麻の譲り受け,譲り渡し及び所持の各事実により,懲役1年8月3年間執行猶予の判決を受けた後,その執行猶予期間中は,大麻の吸引等を中断していたものの,平成15年9月ころ,友人の××に大麻の吸引を勧められたことをきっかけとして,大麻の吸引を再開し,それ以降,同人を含む数人の仲間と集まっては,××が持ち込んだ大麻の共同使用を繰り返し,そのかたわら,同人から譲り受ける大麻では満足できなくなり,自ら大麻草を栽培することを決意し,自宅内において,大麻草を水耕栽培し,収穫した大麻を自分1人で吸引するようになった。

被告人は,インターネット通信販売により,オランダで行われている大麻草品種品評会の上位入賞品種の種子を購入し,雑誌やインターネット等から得た大麻草栽培の知識を用いて,市販されているロックウール等の園芸用品等を利用して,大麻草を水耕栽培し,収穫した大量の大麻草のうち,効用の高い花弁の部分のみを乾燥させ,いつでも吸引できるように,ガラス瓶等に小分けした状態で保管し,ほとんど毎日のように大麻を吸引していた。

このように,被告人の大麻吸引の期間は長く,頻度も高い。また,被告人が所持及び栽培していた大麻は多量に及び,その所持態様も頻回使用に適した状態であった。さらに,被告人は,高品質の大麻を大量に収穫することをもくろみ,高品質の大麻草の種子を選別して購入し,少ないスペースで効率的に大麻草を栽培するため,ロックウール等を利用した水耕栽培の方法を用い,収穫した大麻草のうち,効用が高く吸引に適した部分のみを乾燥させて保存していた。被告人が,高品質の大麻を大量に収穫するために用いていた大麻草栽培及び収穫の態様は,被告人がいかに大麻吸引による快感に耽溺していたかを自ずと示している。

そして,被告人は,前記のとおり,同種事犯により,執行猶予付きの寛大な判決を受けながら,その執行猶予期間満了の約半年後には,大麻の吸引を再開し,ほどなく,大麻草の栽培も開始したのであって,これらの点に照らせば,被告人の大麻吸引に対する親和性及び常習性は極めて根深いものであることは火を見るより明らかである。

3 同種事犯の再発防止等の一般防止の見地からも,被告人に対しては,厳重な処罰が必要である。
被告人による本件各犯行は,そのほとんどが密室内で敢行されていて,密行性が高く,また,容易に入手可能な器具等を用いている点で模倣性が高い。
かかる密行性及び模倣性が高い本件同種事案の根絶を図る必要性は高く,一般予防の見地からも,被告人に対しては,厳重な処罰が必要である。

4 被告人の再犯可能性は高い。
被告人の大麻吸入に対する親和性及び常習性が根深いこと,被告人が,前刑公判において,二度と同種犯行は繰り返さない旨を誓いながら,性懲りもなく,本件各犯行に及んだことに照らせば,被告人の遵法意識は完全に鈍磨しているものと認められること,被告人による本件各犯行の密行性の高さ等からいって,被告人が本件各犯行と同種犯行を再開することは極めて容易であるといわざるを得ないことなどの点に鑑みれば,被告人の再犯可能性は,極めて高い。

5 結語
以上述べてきた諸事情を総合すれば,被告人の刑事責任は極めて重く,被告人に対しては,相当期間の施設内処遇によって,猛省を促すとともに,徹底した矯正教育を行う必要がある。

第3 求刑
以上の事情を考慮し,相当法条を適用の上 被告人を懲役3年に処し 平成16年領第507号符第1号 同符第2号 同符第5の1号 同符第19の1号 を没収するのが相当である。

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