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資料 > 印刷用PDF資料
米国立医薬研究所「大麻と医薬品:科学ベースの評価」要旨翻訳
印刷用PDF資料 : 投稿者 : THC編集部 投稿日時: 2012-01-15

※本資料は米国立医薬研究所が1999年に報告した「大麻と医薬品:科学ベースの評価」の要約を翻訳したものです。
前田さんの裁判資料をベースに翻訳家の三木直子さんに訳して頂いたものなので、法廷での書証として通用します。

翻訳して頂いた三木さんに感謝申し上げます。

一家に一冊「マリファナはなぜ非合法なのか?」


【出典】 Marijuana and Medicine: Assessing the Science Base
Janet E. Joy, Stanley J. Watson, Jr., and John A. Benson, Jr., Editors; Institute of Medicine
ISBN: 0-309-51408-8, 288 pages, 6 x 9, (1999)
http://books.nap.edu/catalog.php?record_id=6376
Division of Neuroscience and Behavioral Health
INSTITUTE OF MEDICINE
NATIONAL ACADEMY PRESS Washington, D.C.

【翻訳】 三木 直子 「マリファナはなぜ非合法なのか?」(築地書館)翻訳者
【発行】 大麻報道センター web:
http://asayake.jp mail: info@asayake.jp
【発行日】 2012.1.16

ダウンロード用PDF:「大麻と医薬品:科学ベースの評価」

 

 




大麻と医薬品:科学ベースの評価
要旨
大麻の医療的価値に対する世論は明確に二分されている。医療大麻のことを、病人に対する人間の自然な同情心を食い物にするでっち上げにすぎない、と決めつける者もいれば、大麻は他に類を見ない鎮痛効果を持つ薬であり、誤った主張に基づいた規制法によって患者への使用が不当に禁止されてきた、と主張する者もいる。どちらの見方を支持する者も、その見解を裏付ける「科学的根拠」を挙げ、先ごろ行われた州議会議員選挙の際の住民投票で自らの見解を表明した。米国国立麻薬管理局(White House Office of National Drug Control Policy: ONDCP) は1997年1月、医学研究所(Institute of Medicine: IOM)に対し、大麻とその含有物質であるカンナビノイドに潜在する健康への有益性および危険性を評価するため、これら科学的証拠の再調査を実施するよう要請した(8ページの「調査の目的」を参照)。1997年8月に開始した研究の結果を本報告書に掲載する。
ONDCPによる調査要請のきっかけとなったのは、「医療大麻」合法化を求めた州単位での住民投票(イニシアチブ)である。1996年11月、カリフォルニア州とアリゾナ州において、大麻の医療目的での使用を認めるための住民投票(レファレンダム)が実施され、可決された。アリゾナ州での投票結果は5ヶ月後に無効とされたが、住民投票結果には全国から大きな反響があった。1998年11月には、6州(アラスカ、アリゾナ、コロラド、ネバダ、オレゴン、ワシントン)で医療大麻を支持する住民投票(ballot initiatives)が実施され可決された。(ただし、コロラド州の投票結果は、投票実施後、住民投票を実施するための有効署名数が規定に満たなかったとの裁判所判断が下されたため、無効である。) 大麻は健康上の問題を緩和してくれるのか。医療使用は安全なのか。こうした率直な疑問はさまざまな社会問題と絡み合っているが、そのほとんどは本報告書が扱える範疇を超えている。医療大麻をめぐる論争には、医療目的以外の大麻使用についての議論が影を落とし、正しい科学的知見が見えにくくなっているのである。社会問題をめぐっては意見が相違することが多いのと対照的に、大麻を医療目的で使用する可能性の科学的根拠については、関連する分野の専門家たちの意見がかなりの点で一致していることが、研究チームによって明らかになっている。
本報告書では、大麻の医療使用に関する既知の情報を要約し、分析する。報告書はエビデンスベースの(厳密な科学的分析から得られた知識および経験から引き出された科学的根拠に基づいた)医学を重視し、ビリーフベース(自己判断や直感から得た考えで厳密な科学的試験は経ていない主張)の医学とは一線を画すものである。
本報告書では、大麻(marijuana)は未精製の植物物質を意味し、摂食または喫煙により摂取される葉やつぼみの部分を含む。「大麻の作用(the effects of marijuana)」が示すのは、大麻の多様な成分が持つ複合的な作用を含むものであると理解しなければならない。つまり、テトラヒドロカンナビノール(THC)という大麻の主要な精神活性成分の作用は、大麻が持つ複数の作用の1つであるが、大麻のすべての作用が必ずしもTHCによるものというわけではない。カンナビノイド(Cannabinoids)はTHCに関連する成分の総称であり、大麻草や動物の体内に存在するものも、化学実験室で合成されるものもある。 大麻の医療使用に対する評価は次の3点に焦点をあてて行われた。

1.単離したカンナビノイドの作用の評価
2.大麻の医療使用に関連するリスクの評価
3.喫煙による大麻使用の評価

単離させたカンナビノイドの作用
生物学的側面から見たカンナビノイド
1982年のIOMレポート、「Marijuana and Health(大麻と健康)」以降、カンナビノイドについて多くのことが分かってきた。当時は、大麻の作用の大部分が脳への作用によるものであることは明らかであったが、THCが脳細胞(ニューロン)にいかに作用するか、どの細胞に、それどころか脳のどの部位に主に作用するのかさえ、ほとんど知られていなかった。大麻の有害性または医療的効果を科学的に解明するために必要な、カンナビノイドの生理学的側面に関する情報も乏しかった。1980年代から90年代にかけて、カンナビノイド受容体の同定、解析が行われると、状況は大きく変化した。最近16年間の大きな科学的進歩は、カンナビノイドが医療効果を持つ可能性について、より多くのことを明らかにしている。

結論: これまでに得られた大麻およびカンナビノイド成分の生理学的側面に関する知識から、次の結論が得られる。

・カンナビノイドは、痛みの軽減、運動機能の制御および記憶に作用する性質を持っている可能性がある。

・カンナビノイドが免疫系に生来果たす作用にはおそらく多数の側面があり、詳細はいまだ明らかでない。

・脳にはカンナビノイドに対する耐性が生じる。

・動物実験にの結果は、依存性が生じる可能性を示唆するが、これはベンゾジアゼピン、アヘン類、コカイン、ニコチン等よりも限定された条件下でみられるものである。

・動物実験では禁断症状が観察される場合があるが、アヘン類やジアゼパム(バリウム)等のベンゾジアゼピン類によるものと比較すると軽微である。

結論:ヒトの体内に発見された異なるタイプのカンナビノイド受容体は、ヒトの正常な生理機能に対してそれぞれ異なる役割を果たしているようである。また、カンナビノイドの作用の中には、これら受容体とは無関係とみられるものもある。カンナビノイドが持つ人体への生理的作用機序は多岐にわたるため、異なるカンナビノイド系に選択的に作用する多種類の治療用途が考えられる。

提言1:化学合成および植物由来のカンナビノイドの生理学的作用、また、ヒトの体内に存在するカンナビノイドが生来持つ機能について、研究を継続すべきである。異なるカンナビノイドには異なる作用があると考えられるので、THCの効能だけに限定せずにカンナビノイドの研究を行うべきである。

カンナビノイド薬の有効性
蓄積されたデータからは、カンナビノイド薬の治療的価値、特に、疼痛緩和、悪心や嘔吐の抑制、食欲増進といった効果がある可能性が示された。カンナビノイドのうち、治療的効果が最も立証されているのはTHCによるものである。一般にTHCは大麻の主要成分2種類のうちの1つである(通常、カンナビノールがもう1つの主要成分である)。
研究の対象となった症状に対するカンナビノイドの作用は概して大きくはなく、ほとんどの場合、より有効な治療薬が存在する。だが、治療薬に対する反応には個人差があり、既存の治療薬に良好な反応を示さない患者群は常に存在するものと考えられる。カンナビノイド薬が持ついくつかの効能(不安の軽減、食欲促進、悪心抑制、疼痛緩和)は、化学療法による悪心や嘔吐、エイズによる消耗等、ある特定の症状に対し、適度な効果があることを示唆している。
内容が明らかな物質、例えば純化されたカンナビノイド化合物の方が、組成成分が不安定かつ不明瞭な植物由来製品より好ましい。内容が明らかなカンナビノイドを、単体あるいはほかのものと併用しつつ使用することで、その薬効のより精密な査定が可能になる。カンナビノイドの効能のうち、望ましいものを最大化し、望ましくない作用を最小化できるような薬物療法が見つかる可能性も高い。
カンナビノイドを研究する科学者のほぼ全員が、カンナビノイド薬開発への道筋は明らかだという点で合意するが、科学的研究の成果が一般の医療用途に生かされるという保証はない。カンナビノイド薬は、カンナビノイド薬の研究に公的資金が継続的に提供され、かつ民間企業がそうした薬の開発および販売を行うのに十分なインセンティブがあって初めて利用可能となる。

結論: 科学的データからは、THCを主とするカンナビノイド薬に、疼痛緩和、悪心や嘔吐の抑制、食欲増進に対する治療的価値があることが示された。ただし、マリファナの喫煙は、THCを取り込む方法としては粗雑であり、有害物質まで体内に送り込んでしまう。

提言2:症状緩和のためのカンナビノイド薬については、速効性、確実性、および安全なデリバリー(体内取込・摂取)システムの開発を目標とした臨床試験が行われるべきである。

心理的作用が治療効果に与える影響
THCとこれに類似するカンナビノイドが及ぼす心理的作用は、カンナビノイド薬の医療使用に関して次の3つの課題を提起する。まず、一部の患者、とくに大麻使用経験のない高齢の患者の中には、心理的作用に対する不快感を覚える者がある。こうした患者は、THC投与を受けた後に不快感および見当識障害を訴えており、この反応は大麻を喫煙した場合よりTHCの経口投与でより重くなる傾向が見られる。次に、運動障害や悪心等、不安により症状が悪化するものでは、カンナビノイド薬の抗不安作用が間接的にその症状に影響する場合がある。これを有益な作用とみることもできるが、カンナビノイドの薬理作用について誤った印象を与える可能性もある。3つ目は、症状が多岐に渡る場合、THCの複合的作用が一種の補助的療法として働く場合があるということである。例えば体重減少の症状を有するAIDS患者には、不安感や疼痛、悪心を抑制すると同時に食欲増進効果を持つ薬が有効と考えられる。

結論:不安抑制や鎮静作用、多幸感といったカンナビノイドの心理的作用は、カンナビノイドが潜在的に持つ治癒的効果に影響を与える可能性がある。これらの影響は患者や置かれている状況によっては好ましくない場合もあるし、ほかの患者や状況では有益なものともなりうる。また、心理的作用は、カンナビノイド薬が持つ薬効のその他の特徴に関して、正確な判断を困難にする場合がある。

提言3:不安抑制や鎮静作用等、治療効果に影響を与えるカンナビノイドの心理的作用を、臨床試験で評価すべきである。

大麻の医療使用に伴うリスク
生理学的リスク
大麻は全く無害の物質ではない。様々な作用を持つ強力な薬物である。しかし、喫煙に伴う害を除けば、大麻使用による有害作用は他の医薬品に許容される範囲内におさまる程度である。大麻を医療使用の観点から見た場合、人体への有害作用は薬物乱用による有害作用と必ずしも同等とはいえない。大麻の有害作用を主張する研究結果を読む際は、これらの研究の大多数は大麻「喫煙」を前提としていること、したがって、カンナビノイドの作用と、植物とそれに含まれる有害物質が燃焼して生じる煙の吸入による作用を、区別することができない、という点を念頭に置いて解釈するべきである。
大多数の人の場合、大麻使用による主な急性有害作用は精神運動能力の低下である。したがって、大麻やTHC、その他同様の作用を有するカンナビノイド系薬物を摂取した状態での車の運転や危険を伴う機械類の操作は薦められない。また、少数ではあるがマリファナ使用によって不安や不快感を経験する人がいる。最後に、短期間の免疫抑制作用は完全に立証されてはいないが、仮にそういった作用があったとしても、大麻の合法的な医療使用を不可能にするほど重大なものであるとは考えにくい。
大麻の医療使用についてより懸念されるのは長期的作用であるが、これは、長期喫煙の影響とTHCの作用という2種類に分類される。大麻の喫煙は、人体の気道表面の細胞の異常と関連性がある。大麻の煙はタバコの煙と同様、ガン、肺障害、妊娠結果悪化のリスクを上昇させる。細胞、遺伝子、人体のいずれのレベルの研究においても、大麻喫煙は呼吸器系のガン発生の重要な危険因子となりうることが示唆されるが、習慣的な大麻喫煙がガンを発生させるかどうかの証拠は、適切に設計された研究の結果を待たなければならない。

結論:多くの研究により、大麻喫煙は呼吸器系障害を発生させる重大な危険因子であることが示唆されている。

提言4:大麻喫煙による個々の健康リスクを判断するための研究を、特に大麻使用率の高い集団を対象に実施すべきである。

大麻依存および禁断症状
大麻の長期使用に関してつぎに懸念されるのが、THCの精神活性作用に対する依存性である。大麻使用者で依存性を示す者は稀だが、ゼロではない。大麻依存のリスクファクターは、他の薬物乱用の場合と似ている。具体的には、反社会的性格および行為障害は薬物乱用と密接に関連している。

結論:大麻に独特の薬物離脱症候群も確認されているが、その症状は穏やかで短期的なものである。症状としては、情動不安、神経過敏、軽い興奮状態、不眠、睡眠障害、悪心、痙攣などがある。

「ゲートウェイ」ドラッグとしての大麻
青年期から成人期にかけての使用ドラッグ移行のパターンは非常に定型的である。大麻は最も広く使用されている違法ドラッグであるため、当然、ほとんどの人が最初に経験するドラッグが大麻であるといえるだろう。ほかの違法ドラッグを使用している者の大半が最初に大麻を経験しているとしても驚くべきことではない。実際は、大部分の薬物使用者は、大麻以前にアルコールおよびニコチンを、通常は飲酒や喫煙が合法となる年齢以前に使用している。
他の非合法薬物の後でなく、普通はそれらに先立って経験される薬物であるという意味では、確かに大麻は「ゲートウェイ」ドラッグである。しかし、未成年による喫煙やアルコール摂取が通例大麻使用より先なので、大麻は必ずしも最も一般的なドラッグではなく、違法薬物使用への最初の「ゲートウェイ」であることは滅多にない。大麻の薬理作用と他の違法薬物使用への進行に因果関係があることを決定づける証拠はない。薬物使用の進行に関するデータが、薬物の医療使用にも該当すると考えることはできないという点は十分に注意が必要である。これらのデータからは、処方箋による医療用大麻の入手が可能となった場合、薬物使用の進行パターンが違法薬物の場合と同じになるとは言えないのである。 最後に、大麻の医療使用を容認することによって一般市民の間に大麻使用が広まるのではないかという社会的な懸念が広く存在している。現時点では、この懸念を裏付ける、説得力のあるデータは存在しない。現存するデータは、乱用される可能性のある他の薬物と同様にしっかりと規制されていれば大麻の医療使用は問題とならない、という考え方と矛盾しない。

結論:薬物使用の進行に関する現在のデータは、医療用に入手可能となることが薬物乱用を助長するという指摘を肯定も否定もしていない。しかしこの論議は、薬物の医療使用に関して通常検討される課題の範疇を超えており、大麻あるいはカンナビノイドの医療利用の可能性に関する査定の際に考慮されるべきではない。

大麻タバコの使用
喫煙には健康上のリスクが伴うため、医療目的で長期にわたって大麻を喫煙することは一般的には薦められない。とはいうものの、末期患者や衰弱性症状を持つ患者など、一部の患者にとっては、長期使用のリスクを論じることにあまり意味はない。さらに、大麻喫煙には法律上、社会上、および健康上の問題がつきまとうにもかかわらず、大麻は特定の患者グループでは広く使用されている。

提言5:医療目的での大麻使用の臨床試験は、以下に挙げた限定状況下で実施されるべきである。
大麻使用期間を短期間に限定すること(6ヶ月未満)。
効果が十分に期待できる症状の患者に対して実施すること。
治験審査委員会の承認を得ること。
有効性に関するデータを収集すること。
大麻喫煙の臨床試験の目的は、大麻を承認された医薬品として開発するためというよりむしろ、非喫煙型で即効性のあるカンナビノイド摂取システムの開発に向けた第一ステップとして位置づけられるであろう。しかし、吸入器など、安全かつ効率のよいカンナビノイド摂取システムが患者に利用可能になるまでには何年もかかると思われる。その間にも、衰弱性症状を持ち、大麻喫煙が症状緩和に役立つかもしれない患者は存在する。このような病人に大麻を喫煙によって使用させる場合、期待される大麻の治療効果と、患者のケアにおける倫理的問題の両者を考慮すべきである。後者には、大麻喫煙をめぐる周知の、また疑われるリスクに関する情報を提供することが含まれる。

提言6:衰弱性の症状(難治性疼痛や嘔吐など)を持つ患者に対する大麻タバコの短期使用(6ヶ月未満)は、以下の条件を満たさなければならない。
・承認済みの薬物による治療が、すべて症状緩和に無効であったことが文書で記録されていること。
・即効性のカンナビノイド薬により症状が緩和されることが十分に期待されること。
・その治療法の有効性を検証できる形で、医学的監督の元に治療が行われること。
・治験審査委員会による審査の手続きに匹敵し、医者から報告を受けて24時間以内に大麻を指定用途で患者に提供できるような指導が可能な、管理手順があること。

非喫煙型で即効性のカンナビノイド薬摂取システム(DDS)が利用可能となるまでの間、たとえば疼痛やAIDSによる消耗など、大麻喫煙で緩和できる可能性のある慢性症状に苦しむ患者にとって、明確な代替摂取法は存在しないことは事実である。一つのやり方として考えられるのは、n-of-1臨床試験の対象として患者を治療するという手段である。その際患者には、有害なDDSを用いた実験的治療の被験者という立場であることを明示し、その症状は終始医学的管理のもとに綿密に監視・記録して、そうした状況下で大麻を使用することの危険性および恩恵の知識ベースを拡大する。

調査の目的
この研究は、大麻の医療使用について、現在わかっていることとそうでないことを明確にするためのものである。報告には、大麻の作用機序に関する科学的基礎の総括、専門家によって検証された大麻の治癒効果に関する科学文献の検証、そして、具体的な疾患(緑内障、多発性硬化症、消耗性疾患、悪心、疼痛など)に対して、さまざまな形状の大麻と、認可された薬を使用する場合の費用の比較が含まれる。
また、健康状態と行動に大麻が与える、急性および長期的な作用の評価、認可された薬と比較した大麻使用の弊害、さまざまな大麻の摂取システムによる有効性の評価(たとえば吸引と経口摂取の比較)、大麻をゲートウェイ・ドラッグと位置づけるデータの分析、そして、年齢や病状によって大麻の作用に差がある可能性の検証などが含まれる。

具体的な論点
検討される論点は、大きく3つのカテゴリーに分類される。科学的基礎、治療目的の使用、そして経済的側面である。

科学的基礎
・大麻に関連した神経科学、特に依存と渇望に関する最近の研究結果の妥当性の検討
・大麻使用に関する行動科学および社会科学的な基礎、特に、大麻使用に続く他の薬物への移行の相対リスクの評価
・未加工の大麻に含まれるどの化学成分に治癒効果が見込まれ、どの成分が副作用を起こすかを断定する文献の再調査

治療目的の使用
・大麻の医療使用に関して他の研究グループが引き出した結論の評価
¥緑内障、消耗症候群、疼痛、悪心、その他の症状のための既存の薬剤と比較した場合、大麻のさまざまな摂取システムにはどれほどの有効性と副作用があるか
・大麻のさまざまな形態による効果の違いと、年齢や疾患の種類との関係

費用
・緑内障、消耗症候群、疼痛、悪心、その他の症状のための既存の薬剤の価格と、さまざまな形態の大麻の価格の比較
・入手しやすさという点から見て、大麻と既存の薬剤にはどんな差があるか

提言
提言1:化学合成および植物由来のカンナビノイドの生理学的作用、また、ヒトの体内に存在するカンナビノイドが生来持つ機能について、研究を継続すべきである。異なるカンナビノイドには異なる作用があると考えられるので、THCの効能だけに限定せずにカンナビノイドの研究を行うべきである。
科学的データは、疼痛緩和、カンナビノイド薬が疼痛緩和、悪心や嘔吐の抑制、食欲増進に効果があるという可能性を示している。この効能は、薬剤に即効性があることでさらに高まる。

提言2:症状緩和のためのカンナビノイド薬については、速効性、確実性、および安全なデリバリー(体内取込・摂取)システムの開発を目標とした臨床試験が行われるべきである。
カンナビノイドによる心理的作用はおそらく、その治癒的価値を決める重要な決定要因である。心理的作用が間接的に症状に影響して、薬剤の効能について誤った印象を作る可能性もあるし、補助治療として有益な場合もある。

提言3:不安抑制や鎮静作用等、治療効果に影響を与えるカンナビノイドの心理的作用を、臨床試験で評価すべきである。
数多くの研究により、大麻喫煙は呼吸器系障害を発生させる重大な危険因子である疑いが示唆されているが、この疑いを決定的に立証あるいは反証するデータは収集されていない。

提言4:大麻喫煙による個々の健康リスクを判断するための研究を、特に大麻使用率の高い集団を対象に実施すべきである。
大麻はTHC摂取のシステムとしては粗雑であり、有害物質が同時に摂取されるため、医療目的で大麻を喫煙することは一般的には薦められない。にもかかわらず、大麻は特定の患者グループに広く使用されており、そのことが安全性と効能の両面で問題となっている。

提言5:医療目的での大麻使用の臨床試験は、以下に挙げた限定状況下で実施されるべきである。
大麻使用期間を短期間に限定すること(6ヶ月未満)。
効果が十分に期待できる症状の患者に対して実施すること。
治験審査委員会の承認を得ること。
有効性に関するデータを収集すること。


薬剤としての大麻利用に未来があるとすれば、単離されたカンナビノイド類や、化学合成されたそれらの派生品の中にある。単離されたカンナビノイドからは、大麻草を未加工のまま調合したものからよりも確実な効果を得られる。したがって大麻喫煙の臨床試験の目的は、大麻を承認された医薬品として開発するためというよりむしろ、非喫煙型で即効性のあるカンナビノイド摂取システムの開発に向けた第一ステップとして位置づけられるであろう。

提言6:衰弱性の症状(難治性疼痛や嘔吐など)を持つ患者に対する大麻タバコの短期使用(6ヶ月未満)は、以下の条件を満たすこと。
・承認済みの薬物による治療が、すべて症状緩和に無効であったことが文書で記録されていること。
・即効性のカンナビノイド薬により症状が緩和されることが十分に期待されること。
・その治療法の有効性を検証できる形で、医学的監督の元に治療が行われること。
・治験審査委員会による審査の手続きに匹敵し、医者から報告を受けて24時間以内に大麻を指定用途で患者に提供できるような指導が可能な、管理手順があること。

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