私の娘は「ハイ」(酩酊感)を求めているのではなく、持病の回復を切に願っているに過ぎません。しかしながら、米国の多くの州で大麻草が禁止されている現状では、これも叶いません。
私の10才になる娘は、大きなブルーの瞳が自慢で、シカゴ・ブラックホークス(北米プロアイスホッケーチーム)の熱心なファンです。彼女は音楽や童話を楽しみ、そして夜の街の信号機の下をドライブすることが大好きです。一方で、娘は、歩くことも、喋ることも、食事をすることもままなりません。これは、娘が生後三ヶ月から苦しんでいる重度のてんかん発作が原因です。私たちが様々な治療を試みた結果も虚しく、娘は毎日、SUDEP(てんかん患者による予期せぬ突然死)の危険に晒されています。
そして、これはつい去年の出来事ですが、私の娘や、娘と同様に重度の、衰弱を伴うてんかん発作等といった疾病を抱える、多くの子供たちに一筋の希望があらわれました:一筋の希望とは、特殊な品種の大麻草のことで、一日に数百回訪れる、生死に関わる重度のてんかん発作の諸症状を劇的に抑制する薬理効果が確認されたのです。しかし、不条理な迄に厳しい州法や連邦法のおかげで、この特殊な品種は現在、嗜好大麻が先だって合法化されたコロラド州でのみ栽培されており、そこでしか手に入りません。
このような法律を改正すべき時が来ました。
この問題の焦点は、カンナビジオール(CBD)という成分を多量に含んだ大麻草の新品種です。まだ完全には理解されていない現象ですが、CBDには従来の主要なてんかん治療法ではお手上げだった発作を劇的に抑制する効能が認められたのです。更に素晴らしいことに、この大麻草の新品種は、テトラヒドロカナビノール(THC)の含有量が極めて少なく、従って、精神作用は無く、「ハイ」になることもありません - この品種が当初「ヒッピーの落胆」という銘柄で出回っていたのもうなずけます。ここではっきりさせましょう:この種の医療大麻は、子供たちが経口摂取出来るもので、決して子供たちが「ストーン」(酩酊状態)になることはありません。これによって、子供たちが得られるものは、重度の障害を伴う苦しい症状の緩和と、突然死の回避です。
このような状況下に於いて、依然としてCBDの含有率の高い大麻草が、連邦政府によりスケジュール1に指定されていることに愕然とせざるを得ません。スケジュール1の意味する所は、「一切の医療効果が認められず、乱用の危険性が著しく高い」ということに他なりません。コロラド州から他州(たとえ医療大麻が認められている州に於いても)へこの新品種を運搬することは連邦法に抵触します。これでは、研究者や、医療大麻患者に同情的な医師たち、そして我が子の命を救うのに必死な両親等を連邦法の犠牲にしてしまうことになります。
結果的に、このような連邦法は様々な人に悲痛な思いをさせるだけではなく、没論理的でもあります。高CBD含有量を誇る新種の(精神作用の無い)大麻草を、「ハイ」になる為の大麻草と同様に禁止することは、ウェルチ社のグレープジュースをワインとして扱うのと同じくらい馬鹿げています。同じ植物由来だからといって、精神作用の無いCBDと精神作用のあるTHCが同列に扱われていい筈もありません。私は、決して、難しいことを言っているのではありません - 例えば、他のケースでは法律はきちんと機能しています。例えば、モルヒネもヘロインもケシ由来ですが、一方は医薬品として認められ、後者は違法です。これはとても簡単な選択肢です。
小児用医療大麻が合法な州の、高CBD大麻草がもたらすてんかん抑制効果(抗痙攣効果)の事例証拠には説得力があります。2013年の米国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)による「てんかん治療」に焦点をあてた会議では、18人のCBDで治療中のてんかん児童を抱える両親にアンケートをとったところ、これらの子供に於けるてんかん発作の減少が確認され、又他のてんかん治療用の薬物にありがちな副作用もみられませんでした。結果、多くの副作用を伴う他のてんかん発作を抑制する為の医薬品を減らしたり、全く服用しなくても良くなったりしました。ユタ州立大学の小児神経学の責任者をはじめ、多くの医療従事者がCBDに関して声をあげています。
喜ばしいことに、この分野に於いて、進歩の気配もあります。イギリスの製薬会社が開発した「エピディオレックス」というCBD化合物がそれで、制限付きの臨床試験により、125人の被験者(殆どが子供)がCBD化合物を投与されています。オーリン・デヴィンスキー医学博士が統括するニューヨーク州立大学の総合「てんかんセンター」では、CBD化合物の安全性や有用性を調査し、米国食品医薬品局の認可を得ようとしています。認可には少なくとも2年はかかると言われています。一方で、てんかんの子供を抱えた両親たちが活動家として、メディアにしきりにこの問題の切実さを訴えています。そして、ゆっくりながらも、政治家たちもこの問題に関心を示しています。フロリダ州が医療大麻制度の導入を検討している現在、コロラド州で栽培されている高CBDの新大麻草品種、「シャーロッツ・ウェブ」への近道が開かれることを期待しています。「シャーロッツ・ウェブ」は最初にこの品種を試した「シャーロット」というてんかんを患っている女の子に因んで命名されました。「シャーロット」はこの大麻草が無ければ、命を落としていた可能性が非常に高いです。
しかし、日々前進しているとはいえ、このような進歩は重度のコントロール不能のてんかんを患う多くの子供たちにとって、あまりに遅すぎます。残酷で皮肉なことに、大麻草が、それを欲するものにとって、いとも簡単に手に入る世の中になった今 - そして2州で嗜好大麻が合法化された今、未だ多くの州で、それを必要としている人々には医療目的の大麻草が手に入らない、という事態になっています:そう、私の娘のような子供たちです。ニューヨーク州立大学で臨床試験を展開する神経学の権威も、事の緊急性を承知しています。
デヴィンスキー医学博士は、先週、公共ラジオで次のように語りました:
「もし私に重度てんかんの子供がいて、15種に及ぶ医薬品やこれまでの治療法が効かず、障害を伴うてんかん発作を一日に何度も起こしたならば、私は高CBDの大麻草製品を使用することが理にかなっていると判断します」
今こそ、「シャーロッツ・ウェブ」や他の高CBDの大麻草の品種については、連邦法の麻薬密売罪を適用しないよう、法律から除外すべき時がきました。もちろん、これらについては更なる研究が必要ですが、CBDの研究は重度てんかんの子供を持つ親たちにとって実に切迫した問題で、このような研究の後押しをするのも、このような親御さんたちが中心です。行動すべき時は今です。子供たちは危機に直面しています。我が子の命を救う為の、理にかなった判断と行動が、連邦法に抵触すべきではありません。
マーガレット ストレイ(Margaret Storey)
Source: the guardian
Medical marijuana could save my daughter's life
Saturday 25 January 2014
翻訳:麻生しげる
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