麻生しげる
コロラド州、ワシントン州に続き、アラスカ州やオレゴン州でも娯楽用大麻が合法化された。どちらも住民発議による投票の結果である。アメリカの首都であるワシントンD.C.特別区でも同様の法が住民投票で可決されたものの、同法案は議会の猛反対にあって、悪戦苦闘しているらしい。いずれにしても、この現象は、アメリカの世論が大きく大麻合法化に傾いていることの証左に他ならない。
酩酊感をもたらすから大麻を禁ぜよというのは、砂糖は甘いから取り締まれというのと一緒で、言語道断のナンセンスに過ぎない。このような愚の骨頂には一刻も早く終止符を打つべきで、これはアメリカだけの問題ではない。日本もまた、大麻取締法が存在する以上、大麻を巡る真剣な議論がされなければならない。
そして、大麻取締法は正しく改められなければならない。そのためには、マスコミや政治家だけでなく、一般市民も議論に参加する必要がある。議論をして、まずは病人が安心して高品質の医療大麻を使えるようにしなければならない。議論をして、それが娯楽目的であっても、国民が高品質の大麻を使えるようにしなければならない。なぜなら、大麻取締法が生存権や幸福追求権の原則に違反しているからである。
また大麻取締法が毎年多くの被害者をもたらす以上、それが重大な人権侵害であることも間違いない。大麻は国家的に合法化し、積極的に栽培を奨励すべきで、日本はウルグアイの例にならうべきである。日本固有の伝統行事などを持ち出すまでもなく、日本の歴史は大麻と密接な関係にあり、マリファナを語らずして、日本は語れないのだ。
さて、ここ最近のアメリカの大麻を巡る動きはかなり激しい。先に述べた州における全面合法化だけでなく、ニューヨークでも25gまでの大麻所持が非犯罪化された。世界有数の大都市であるニューヨーク・シティで大麻が非犯罪化された意味は大きい。そして、アメリカ領土のグアム島では、医療大麻に関する新法案が可決された。アメリカ先住民の自治区での大麻販売をアメリカ司法省は認める旨、通達を出した。揉めに揉めた来年度の予算委員会では、各州の医療大麻に関する、連邦政府による訴追には税金を投入しないことが決定した。
アメリカのマスコミの大麻報道も大きく変わった。CNNを筆頭に、HLN、FOX、MSNBCなどがこぞって大麻特集を組んだ。そのほとんどが、マリファナの医療用/娯楽用の特性に肯定的なものであった。また、税収や産業としての大麻にも着目し、それに対しても好意的であった。
アメリカでは、確実に大麻に関する意識が変わってきている。大麻が連邦政府レベルで解禁になる日も近い。その時、日本はどうするのか。役人に無駄飯を食わせるためにのみ存続する大麻取締法を、このまま後生大事に守るのか。それとも、大麻を解禁して税収や雇用を得るか。答えは一目瞭然の筈である。なにせ、大麻取締りの本家本元がアメリカなので、日本や世界の大麻取締法が同様に崩れていくという流れは、火を見るよりも明らかである。
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