By:Maia Szalavitz
記事の全文は2014年10月15日Substance.com に掲載
時間を割いて大麻を吸ったことがあれば、大抵の人は、筋金入りの大麻喫い(diehard stoner)を誰か一人はご存知だろう。目はいつも赤く、「朝起きて吸って(wake and bake)」という言葉も皮肉にならず、いつもどうしてもしっかりできない人。そのようなヘヴィー・スモーカーは、低水準の仕事をしていたり、無職であったりであろうが、そういう人々を知っている人は皆、彼らには野望さえあればもっとやる能力があることを知っている。
それは本当に依存症だろうか。そうだと考えられる(が、これは反大麻合法化の議論にはならないと思われる)。事実、大麻に依存性がある理由が分かれば、依存症の本質が解明される。依存症は、人と薬物または活動との関係性であり、単に薬物が「脳を占拠している」状態ではない。実際依存症になりそうな経験をしても、依存症になるのは半数に満たないし、人によっては、例えば人参のように、明らかに「中毒性のない」ものに依存することもある。依存症は、学習や環境、心理状態に依るのであって、神経伝達物質だけの話ではない。
米国では、嗜好品としての大麻の使用が 2 つの州で合法化され、他の州も追随しようとする中、依存症の本質について理解することがこれまでになく重要になっている。この件について、大麻合法化議論における賛成と反対の立場にある両支持者の主張は、共に極端なものだ。合法化支持者は、「大麻依存症などというものはない」と言うし、反対派は、「大麻にはヘロインと同等の依存性がある」という具合だ。
しかし、われわれが持つ依存症の概念は主に、アルコールやヘロイン、そして、コカインなどといった薬物の文化的体験から来ている。ヘロインのようなオピオイド系薬物には(嘔吐や震え、蒼白、発汗、下痢などの)禁断症状があり、客観的に見ても明らかため、オピオイド系薬物は中毒症状を引き起こすというのは万人に共通する考え方だ。そのことは、それが摂取出来なくなった時が顕著で、アルコールについても同様。アルコール依存症の禁断症状はさらに深刻で、時には死ぬことさえあるほどだ。
続きは、全文をご覧ください。
以下は続きの要約・・・
それに比べ大麻やコカインは、依存性があるとはいえ、心理的なもので、身体的依存とは異なる。以前までは、身体的依存の状態が客観的にも明らかで、ヘロインやアルコールなどのほうが大麻やコカインよりも依存性が高いと認識されてきた。 しかし、クラック・コカインが普及し、とりわけクラックには、禁断症状などヘロインと同等の問題があることがわかり、コカインの認識が変わった。ちなみに、血圧治療の薬剤やパキシル(抗うつ剤の一種)などは、精神作用がなく、禁断症状はあるが精神的依存は引き起こさない。また、ヘロイン中毒になった人は、禁断症状よりも、その後、ヘロインからの離脱を保つことのほうがもっと辛いという。このことから、依存症は、必ずしも耐性、身体的依存や禁断症状ではなく、むしろ精神的依存状態にあることを言うのではないか。それにより、欲を満たせる喜びや楽しみが得られると、執着し、負の結果が出ようと、止むに止まれぬようになる。それが依存で、その中には大麻も含まれる。
大麻依存になると、人生を台無しにしないまでも、例えば昇進の機会を失うなど、なっていない場合よりも「機会を逃す」ことが多くなり、水準の低い人生になることがあるのは事実。その点は他の薬物でも同じことで、摂取することで得られる恩恵が、摂取し続けることで起こりうる結果に上回っているか常に考えておくことが重要になる。しかし、その計算に歪みを生じさせるのが依存症だ。 大麻の場合はなおさら、致死量が全くない上に、耐性が良好で、使用中の弊害も少ないため、知らないうちに依存症になるケースがあるが、米国の統計では、実際大麻喫煙者で依存症に陥るのは全体の10%ほど。その9割は、もともとアルコールなど他の薬物依存症か、反社会的人格障害だという。
この割合から見ると、今後合法化されても大麻依存症患者の数が増えることはないと思われる。また、合法化された場合に負の結果として考えられることの1つは、統合失調症などの精神病だというが、英国では、一度大麻規制が緩和された後再び厳しくなった際、実際はその罹患者数は増えたという統計もある。最近まで『エントリー・ドラッグ』とされてきた大麻だが、10数年前からコカインやヘロインなどの薬物の『イグジット・ドラッグ』になるとの報告がいくつも公表されている。
ある薬物のリスクは他の薬物のそれとは切り離して考えられるが、現実はそういうわけにいかない。大麻の中毒症状はヘロインやコカインよりも軽度であることは明らかだが、喜びになりえる他の物質と同様、大麻に依存性があることに変わりはない。今後よりよい薬物政策を望むのであれば、否定的な面を避けることが必要になる。
訳注:筆者 Maia Szalavitz は、Time、New York Times、Washington Post など、各誌に寄稿する神経科学・依存症専門のジャーナリストで、関連の書籍も多い。Substance.com 専属記者。
projectcbd
Of Course Marijuana Addiction Exists. And It’s (Almost) All In Your Head.
Oct. 15, 2014.
翻訳:bongyo
コメント:マイナス面を予防するのに『ダメぜったい』が有効な薬物政策であるはずがないことを、国は真摯に考えるべき。 身体依存と精神依存、何でも目に見えない次元の方が根が深いのだなあと。
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Re: 大麻依存症は当然存在する。その(ほぼ)全ては脳内に | 0 | 3376 | 0 | 0.00 | 2015-2-20 12:14 hairen |