「ダメ。ゼッタイ。」センターの大麻の記述について、及び厚労省が所有している大麻関係のデータについて聞くため同省に電話したところ、監視指導麻薬対策課という部署に転送され、秋篠氏と話した。
秋篠氏は、私が逮捕されたときガサに来た元キンマ(近畿麻薬取締事務所)の捜査官(いわゆる麻薬Gメン)で、現在は異動になって同部署にいるとのことだった。
秋篠さんとは、逮捕された時にいろいろと議論を交わした。それを覚えてくれていたうえ、当方のサイトにも目を通して下さっている様子。誠にありがたいことである。
「大麻精神病」とか「大麻痴呆症」の症例や統計データが欲しかったのだが、そのような統計はないとのこと。大麻に関する研究報告としては、平成10年に「依存性薬物情報研究班」が「大麻乱用」というタイトルの冊子を出しているそうだ。この冊子はシリーズで、「大麻乱用」はNo.9とのこと。研究は、同省の予算で専門の学者が行ったものだそうだ。
「ダメ。ゼッタイ。」センターのサイトにある大麻の記述は今や原本もない薬物標本の説明書がネタ元で、同センターの責任者ですら出典を明らかにできない、記述の確認もできないようなものであり、内容を修正する必要があると思うので検討して頂きたいと申し入れたところ、今は担当者が不在だが、修正する必要があるかどうかを確認したうえ、回答を頂けることになった。調査に2・3週間ほしいとのこと。
大麻規制のあり方についても話したが、やはりというか、立場の違いを確認したに留まった。
大麻に関するデータを厚労省がどの程度持っているのかを知りたくて電話をしたのだが、たいしたものはないことだけが分かった。
「ダメ。ゼッタイ。」の記述について確認してもらい、回答を頂けることになったのは収穫だった。
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「(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター」のウェブサイトでは啓発資材を販売しており、そのひとつに薬物標本がある。
8:薬物標本 (45×35×10cm)
販売価格: 48,000円
送 料: 実費
内 容: 乱用薬物の模造品をアタッシュケースに配列しております。
この薬物標本、現在は国内で作られているが、10年ほど前までは米国から輸入していたという。今日、同センターへの電話取材で知りました。糸井専務理事が電話中とのことで、資材販売担当の方にお話を伺ったのですが、ビックリしました。
同センターのサイトに掲載されている大麻に関する記述は、米国発行の「ドラッグ エデュケーション マニュアル」という冊子を翻訳したものの抜粋だと、以前、糸井専務理事は説明されました。
資材販売担当の方によると、その冊子の翻訳である「薬物教育指導者読本」は、以前は資材として販売していたものの、現在は在庫僅少で販売していないとのこと。私が驚いたのは在庫僅少だったからではありません。その「ドラッグ エデュケーション マニュアル」というのは、10年ほど前まで同センターが輸入販売していた薬物標本の説明書だと資材販売担当の方は教えてくれたのです。出版物ではありませんでした。英語の得意な友人にネットを探してもらっても、そんな本、ないはずです。糸井専務理事はトボけたのでしょう。
学校教育やマスコミを通じて、日本全国に流布周知されている公的大麻情報のソースは、10年前まで米国から輸入していた薬物標本の説明書だというのです。
その「ドラッグ エデュケーション マニュアル」自体を販売していないのか聞くと、販売どころか、もう原本も残っておらず、記述を確認することもできないのだそうです。
桂川裁判で、情報源を示すよう検察に求められながら、対応できなかった同センターの事情が理解できました。
・・・しかし、こんな杜撰な情報が、全国津々浦々の小学校や中学校や保健所や役所などで広報されていると思うと、オソロシイ話です。
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7-参-本会議-26号 昭和25年03月10日
昭和二十五年三月十日(金曜日)
午前十時五十四分開議
議事日程 第二十四号
昭和二十五年三月十日
午前十時開議
第一 麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第二 帝国石油株式会社法を廃止する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第三 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、電気試験所熊本支所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第四 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、日用品検査所の支所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第五 文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第六 日本国憲法第八條の規定による議決案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 恩給法の改正ならびに恩給支拂促進に関する請願(委員長報告)
第八 恩給法臨時特例改正に関する請願(十三件)(委員長報告)
第九 恩給一時金即時支給に関する請願(委員長報告)
第十 傷い者の恩給増額等に関する請願(委員長報告)
第十一 恩給法臨時特例改正に関する陳情(委員長報告)
○副議長(松嶋喜作君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
○副議長(松嶋喜作君) これより会議を開きます。
この際お諮りいたしたいことがございます。通商産業委員長より、中小企業の実態を実地調査するため、宮城県、福島県及び山形県に境野清雄君を三月十一日より五日間の日程を以て派遣いたしたい旨の申出がございました。委員長申出の通り境野清雄君を派遣することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。
○副議長(松嶋喜作君) 日程第一、麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。
〔塚本重藏君登壇、拍手〕
○塚本重藏君 只今議題となりました麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
先ず本改正案の提出の理由及びその概要を申上げます。麻薬取締法及び大麻取締法は第二回国会におきまして制定を見た法律でありますが、その後第三回国会におきまして、麻薬に関する犯罪捜査の機関といたしまして麻薬統制主事の中から麻薬取締員を指名し、その権限を昭和二十四年一月一日を以て施行される刑事訴訟法の改正に対応するように改正いたしたのであります。即ち現在麻薬及び大麻の取締は、各都道府県の吏員の中から厚生大臣が任命いたしました麻薬取締員に司法警察権を與えまして、これが取締を行なつておりますが、これが法律の欠陷といたしましては、身分関係は都道府県知事に属しており、捜査の指揮の権限は厚生大臣に属しておりますために、国の一貫いたしました取締行政を行うことが極めて困難な状況にあるのであります。今回の改正案によりまして、国の一貫した行政、即ち官吏をしてこの麻薬取締行政を行わせ、麻薬取締に完璧を期するのであります。以上本改正案の大要を申上げました。
本委員会におきましては、改正の内容は以上申上げますごとく極めて簡單ではありますが、麻薬によりまする犯罪の激増する現状に鑑みまして、本法案の審査は二月十五日及び三月七日の両日に亘りまして極めて熱心に且つ愼重に審議を行なつたのであります。その間におきまする政府委員との間に行われました質疑応答のうち主なるもの二三を御紹介申上げます。
従来の制度実施に当つて麻薬及び大麻の取締に如何なる困難があつたのかとの質問に対しまして、従来は身分関係と命令系統が一致しなかつたために、犯罪が他府県に跨がる場合、そういう場合には若干の困難があつたが、今回の改正によりましてこれらを一致させ、国の一貫した取締行政を行うことにいたしたのである、尚この点につきましては、各国とも国の機関をして行わしめておりまするし、将来国際関係の復活の場合の体制を整える必要からもこの改正を行わんとするものであるとの答弁がありました。又国の一貫した官吏をして麻薬取締行政を行う場合、府県の総合行政との関係如何との質問に対しまして、麻薬取締行政は特殊の行政であり、普通の地方行政とは趣きを異にしており、尚、取締官に対しまする監督は專任者を定めてこれに当らせる方針である。実際上は取締官も漸次習熟して来ておりまするから、別段問題は起らないと思うとの答弁がありました。又最近麻薬犯罪が激増しているのはどういうわけであるかとの質問に対しまして、犯罪が殖えたのは、主として麻薬の密輸入が増加したのと麻薬取締員の熟練によりまして摘発の件数が多くなつたためであるとの答弁がありました。
以上のような質疑応答の後、討論に入りましたところ、石原委員より、今回の改正の趣旨には大体賛成であるが、ただ今後本法を実施する上において、この運営に当つて都道府県の総合行政と、こういう特殊行政との間が円滑に関連が持てるように十分係官を指導教養して行くべきことを希望するとの意見がありました。又藤森委員よりは、この法案に賛成するが、この法案によつて麻薬取締官の職務権限が非常に強化されることになるので、麻薬関係の犯罪を防止するというような善良な取締官を養成することに特に留意して貰いたい、徒らに摘発主義で犯罪を殖やすような行政措置は遺憾であるから、政府としてはかかる弊害のなきように運営上十分注意されるよう希望して本案に賛成する旨の討論がありました。かくて討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
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7-参-厚生委員会-16号 昭和25年03月07日
昭和二十五年三月七日(火曜日)
本日の会議に付した事件
○麻薬取締法又び大麻取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○栄養士法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○性病予防法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○厚生年金保險法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○小委員の補欠選任の件
―――――――――――――
午前十一時五十一分開会
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。
○石原幹市郎君 只今の説明で国際條約の関係であるとか、或いは関係筋の熱烈なる要望、これはもうよく分るのですが、私は只今薬務局長代理が言われたようなことは、実際の仕事をやつて来た関係から言うと、余り満足はできないのですが、併しいろいろの事情があるためにやられておることで、一応は了承するのでありますが、ただこの際要望して置きたいのですが、この麻薬と総合行政ということは、これは御指摘のように、非常にかけ離れている面が非常に多いことだと思いますが、厚生省なり、或いは労働省の行政というものは、どうも国の一貫した行政、行政ということを余りに強く主張されて、現在府県の行政においても、非常におかしなものが沢山できておる。これはちよつと違つているかも知れませんが、例えば職業安定行政などは、知事も労働部長もその課長の任免権に関與できなくて、職業課長が確か内申したり、任命したりしておると思います。健康保險の方も或いはそうではないかと思うのでありまして、一貫した行政をやるという意味の非常な重要性もありまするが、又県は県として一つの総合行政をやつておるところであつて、これは非常に両方一長一短が私はあると思うのであります。そういう際にやはり厚生省なり、労働省当局として、地方の実情も十分検討、認識して頂いて、諸般の制度が改正、改革されるような場合に、十分その意思をやはり反映してやつて貰いたい。重ねて申上げますが、結局一貫行政で、形の上はいいようでありまするが、いわゆる本当の属僚行政と言うか、末端の係官の行政になつてしまう。先程相当に取扱監督も習熟しておるなんて言われますけれども、麻薬取締官吏だけの判断で、いろいろな事件をやる場合に、やはり県全体としても、少くともそれを知つていなければならん場合もあるし、連絡して貰わなければならん場合もあるし、一般の厚生行政、衛生行政と非常に関係を持つ場合が多いのでありますから、今後の運営について、こういう取締官吏の行き方として、十分指導を加えて貰いたい、かように思います。
○政府委員(矢野酉雄君) 只今石原委員の御質問、むしろ非常な建設的な御忠言に対しては、厚生当局としては非常に有難く頂載いたします。只今の薬務局長代理の答弁の中にも、言葉の足らない点、表現の当を得ないような点もございまして、何故にこうした改正をしなければならないかという積極性において、まだ十分御納得の行かないような説明の仕方の点もあつたと思いますが、是非今の御意見に副うて、決して地方自治体のその知事等の指導性に任すべきものをこちらが取つてしまつて、そうしていわゆる官僚統制的な、一元的行政の形式のみに捉われないように、実質が必ずそれに副つて行きますように、十分の検討をいたしたいと、こう思つておりますので、御了承願いたいと思います。
○藤森眞治君 麻薬のいろいろな法律違反と申しまするか、事故が近頃非常に我々には多くなつたように考えられます。今薬務当局のお話では、段々少くなつたというお話でありますが、実際におきましては、我々が見聞することは非常に事例が多いのであります。殊にこの裁判関係にもなつて、そうして処罰される、されないとかいう問題が随分沢山出ておりますが、こういうふうに沢山出て来る原因がどこにあるかということについて、薬務当局はどんなお考えを持つておられますか。
それから現在のこの身分でありますると、取扱の身分はいわゆる都道府県に属するものに置いて、命令だけは厚生大臣から来るという、そういう変つた形をしておりまするが、それによつて最近相当に取締員が辞めさせられたか、或いは辞めましたか、いずれか知りませんが、職を退いた者が相当の数あるように聞いておりますが、全国的にどのくらいな数がありますか、又都道府県別にいたしますと、どういうところにそういうようなことがあるかというようなことを承りたい。
それから取締員と進駐軍の方との身分上の関係はどういうふうになつておりますか承りたい。と申しますのは、具体的に申しますると、いわゆる進駐軍の方面の嘱託官のような制度によつてこれが進められていることがあるかないか、又進駐軍の方の嘱託というよりもつと進んだ段階に入つて、或る一定の任務に働いているようなことがあるかどうか、そういう点を一応承りたいと思います。
○政府委員(星野毅子郎君) 最近麻薬犯罪が殖えておりますわけでありますが、これは先程申上げました通り、主として密輸入の麻薬をめぐるものでございます。一般的に申しまして取締が年を逐いまして励行されたという結果によりまして、麻薬犯罪の数が殖えて来た、実際例えば一昨年或いは一昨々年当時、やはり同じような麻薬の違反状況があつたと思うのでございますが、取締につきまして不十分でありましたために、外に現れました件数というものは少なかつたわけでございますが、取締に段々慣れて参りましたので、最近件数が殖えて参つたというふうに厚生省は考えておるわけでございます。国内の麻薬関係の、例えば医療関係者等には、主として趣旨は十分徹底しましたので、その殖えましたのも、大体正式経路以外の全然軌道に乘つておりません麻薬業者の販売が多くなつております。試みに数を申上げますというと、昭和二十二年におきましては違反総件数千二百九十八件でございます。昭和二十三年におきましては千七百四十件でございます。昨年即ち昭和二十四年度におきましては、二千九百五十四件になつておるわけでございます。
次に取締員の身分関係の異動でございますが、特に麻薬取締の成績挙らざるが故に、麻薬取締員としての資格を除いたというような例はございません。併し現在の制度におきましては、麻薬取締員たる本人の自由意思と、所属いたしております都道府県知事の人事の関係におきまして、適当な異動が行われているわけでございます。それを特に厚生省といたしまして、異動を成るべく少くするという方針を明示したこともないわけでございます。成るべき異動は少いことが仕事の上では望ましいわけでありますが、従来はさような意味におきまして、制度上は自由な異動ができておつたわけでございます。最近十人程の異動がございましたわけでございますが、これもさような意味におきまする異動でございまして、その点御了承願いたいと思います。
最後に総司令部との関係でございますが、現在C・I・Dの駐在しております場所におきましては、主として第三国人の麻薬犯罪の取締の連絡上、連絡員を派遣しております。政府といたしましては、特に総司令部の嘱託という程のものではございませんで、C・I・Dに対しまする第三国人関係の犯罪につきましての連絡という意味で、連絡員があるという程度であります。
○藤森眞治君 この麻薬取締員の権限につきましては、前にも法律がここで審議されました際に、こういう強い権限を持つたものを十分に指導しなければ、まるで狂人に刃物を持たすようなものだ、こういうような意味のことをこの委員会の席上が述べたと思うのでありますが、現在の樣子を見ておりますと、只今お話のありましたように件数が殖えております。これは成程取締員の素質がよくなつて、そうして事例をよく発見するようになつた、こういうあなたの善意の説明でありますけれども、一方から申しますと、これは非常に摘発主義になつておる。殆んど取るに足らんようなことまでもほじくり上げるというような点が出て来るのではないか、私は前にこの法律ができまするときにも、殊にこういう新らしい日本にできた法律においては、十分指導主義でなければならん。指導主義で、そうして犯罪の件数というものは指導員によつてなくすべきであるということを申しておりましたが、只今の御説明によると、善良な意味でこれは殖えたという意味でございまするが、どうも私はそうは受取りにくい点があるので、尚実情をよく見てみますると、必ずしもあなたが言われるような行き方をしておらない。まだそれのみならず中には随分取締員が権限を利用して、そうして我々から見ると不穏のような発言、或いは行動を取つておるものがあります。若し実例を申上げてよければ申上げまするが、最近私のところの姫路の裁判所において、麻薬違反の裁判があつた。その裁判の記録を御覽になれば、これに出て来た麻薬取締員の証言が出ておりまするが、これを御覽になるとよくお分りになるだろうと思う。そういうふうに極めて面白くない事例がある。そこへ持つて来て、私共は身分をよくして……行政の一貫と身分の一貫ということには異議ありませんが、そうするためには一方これを保障する、又権限を強くするためには一方には十分これが教育され、そうして指導される、そうすれば全く犯罪が少くなるだろう、こういうことをする官吏が欲しいと我々は思つております。徒らに権限を利用して犯罪を殖やすような思想を持ち、傾向を持つ官吏は私達は欲しくない。こういう点から申しますと、只今御説明があつた点は少し食違いがありはしないかというような考えがいたしますのですが、どういうふうなお考えでおられますか、あなたの方にも若干こういうことはお気付きになつておるのではないかと思うのですが、忌憚ないそういうふうな御意見を承つて、我々は一つ厚生当局の御意見を十分伺いたいと思います。
○政府委員(矢野酉雄君) 只今の局長代理の説明の中に、職務に精励したが故に、段々今まで発見されなかつた犯罪事項等も発見されるようになつた。この点も確かに一面の真意を御答弁申上げたと思つております。併し又只今の議員の御意見或いは御質問等も非常に厚生当局としては猛省しなければならない問題でありまして、いわゆる刀を濫用するために却つて犯罪人をこれによつて作つて行くということにでもなりまするならば、立法の精神を全く没却することになりますので、その点今の具体的実例等も、特に專任者に資料を読ませまして、そうして十分の参考問題としたいと思つております。根本的の精神におきましては、やはりこの立法の精神に従つて、最も公正に職務を執行する考えで、常に親切で、殊に厚生行政は助長行政の一つでありますので、そういう精神から法の運用を十分に心掛けたい、こう考えております次第であります。
○政府委員(星野毅子郎君) 先程数字を藉りましてお答えいたしましたわけでございますが、その内容をちよつと申上げた方が御質問の御趣旨に対するお答えになるかと存じます。私が申上げました歴年殖えております数字の中で、特に殖えておりますのは、非登録者の違反でございます。登録を受けております麻薬取締関係者に対しまする違反というものは、総件数等は殆んど殖えておりません。多少殖えても説論件数におきまして殖えておるわけでございます。非登録者に対しまする取締は非常に殖えておりまして、これが犯罪といたしましてはむしろ惡質でございます。件数を申上げますならば、総件数におきまして昭和二十二年が五〇七件でございます。昭和二十三年が七八五件、これが昭和二十四年になりまして一六五〇件というふうに非常に殖えておるわけでございます。さような意味合におきまして、藤森委員の御指摘の点につきましては、取締上につきましても十分に留意いたしまして運用を将来も行なつて参りたいと存じますし、特に二十四年におきまして検束を受けましたのも、さような意味合におきまして殖えておるということも御承知願いたいと存じております。尚麻薬取締に対しまする教育の点でございますが、司法警察官吏の職務に就きますにおいては、十分に講習会を行なつて趣旨の徹底を図つております。尚今後と雖も、この点につきましては十分に留意いたしまして、只今政務次官からお答えになりましたような点につきましては、事務的にも十分に注意をいたして参りたいと存じております。尚麻薬取締の権限濫用に対しまする具体的の事例等がございますれば、厚生当局の方にお示しを願いますならば、我々といたしましても、この点矯正をいたしまするに具体的な点について指示ができるわけでございます。お願いをいたしたいと存じます。
○藤森眞治君 これは本案から少し距離があると思いますが、ついでに御意見を伺いたいのは、麻薬中毒患者に関してでございますが、麻薬中毒患者から或いは強要され或いは脅迫され、そうして医者が麻薬を注射する、そうしてこれが違反にかかる、こういう事例がある。而も中毒患者は非常に兇惡なものが中にあります。最近においては更に危害を加えられ、或いは患者から脅迫されるというような事柄が起つておりまするが、これについてこの中毒患者を拘束する、只今のところじや何も法的根拠もないように存じておりますが、ただ一時これを收容することができること以外には、大してこれを拘束することがないと心得ております。何とかこれを拘束しないならば、これが非常な惡質に出て来る連中が相当数多い。而も中毒患者というものは、一種の本当の精神上における病的状態である。こういうことを考えますときに、非常に危險が多い。これに対して、今後数か法的根拠をお作りになろうとするお考えがありますかということを伺いたいと思います。
○政府委員(星野毅子郎君) 麻薬中毒患者より脅迫を受けて、医師等が麻薬を中毒患者に交付するというような事例につきましては、それの違反の情状につきましては、検察庁の方におきましても十分にその間の事情は考慮いたしまして事件の処理に当ることになつておるわけであります。中毒患者、兇暴なるさような中毒患者に対する取締の法的根拠といたしましては、麻薬取締法第四條第四号に「麻薬中毒のため公安をみだし、又は麻薬中毒のため自制心を失う」というような一項がございまして、そのようなものは懲役一ケ年以下の刑に処するという罰則を以て禁止をしておるわけでございます。從いまして御指摘のような事例のあります場合におきましては、当然この麻薬中毒患者は麻薬取締法違反によりまして、これを刑罰に処するということにいたすことになつております。顯畜な事例につきましてはさように取締をいたしておるわけであります。尚この刑罰によります隔離或いは懲罰という以外に、さような中毒患者に対しまする、何と申しますか、更に進んだ矯正方法というものにつきましても、将来十分考えて行きたいと思います。
○藤森眞治君 只今の御答弁は、これは極く表面のなにで、一応そういう理窟は出来るのでございますが、実際におきましては、その通りその法律を持つて行くわけに行かない点がございます。これは今ここでお話ししますのはどうかと存じますので、差控えますが、あなたの方でも少し御研究になれば、これがうまく行かない点が容易にお分りだろうと思います。又他の機会にそのことは私は申上げてもいいと思いますが、そういうふうに行ければ大変結構ですが、そういうふうに行けない点があるところに今私が申上げておる理由がある。
○井上なつゑ君 この法律を施行しますのに、取つておいでになります予算を、この間ちよつと説明を伺つたのかも知れませんけれども、もう一度お知らせを願いたいと思います。
○政府委員(星野毅子郎君) この予算の関係におきましては、従来即ち本年度予算におきまして、地方の麻薬取締委員会でございますね。これにつきましては国から全額補助金が出ておりますが、これが国の管理になりましたので、直接麻薬取締監督に関しまする費用といたしまして、厚生省の費用に組替えましたという点に差異がございます。その点だけでございます。
○委員長(塚本重藏君) ただ組替えだけでございますか、費用の差異はありませんか、全額となつた場合に‥‥。
○政府委員(星野毅子郎君) 金額の差異は殆んどございません。
○委員長(塚本重藏君) 外に御質問ございませんか。――麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案についての質疑をこの程度に止めたいと思いますが、どうですか。御異議ございませんね。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕
○委員長(塚本重藏君) では速記を取つて下さい。麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案について質疑を打ち切りたいと思います。御異議ありませんね。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。これより討論採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) では討論に入ります。賛否を明らかにして御意見の御発表を願います。
○石原幹市郎君 私は先程の質疑によりまして、今回の改正の趣旨は大体了承したのであります。大体質疑応答によつて了承いたしました。ただ今後、この運営に当りまして、先程質疑の際にも申述べました通りに、都道府県の総合行政という立場から、こういう特殊行政の立場が円滑に連関が持てまするように、十分係官を指導教養して頂きたいということを希望いたします。
○藤森眞治君 私はこの法案に賛成をいたしまするが、ただ麻薬取締委員が、権限と、それから運用上の関係が非常に一貫して強化される。この強化によつて実際の職務方面を強化して、而も麻薬の沢山の犯罪を今後なくすると、自分らの力によつてなくするというような、善良な意味に進めるような指導員を作つて頂きたい。取締員をお作りになつて貰いたい。徒らに摘発主義で犯罪を殖やすような考え方のものが多いと思うのでありまして、これは法律にとつて非常に遺憾な点があると思いますので、こういう点を十分政府としてやられることを希望いたしまして、本案に賛成いたします。
○委員長(塚本重藏君) これを以て討論を終結したものと認めて差支ございませんか。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。それでは採決に入ります。
麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案について採決をいたします。原案を可とする方の御起立を願います。
〔総員起立〕
○委員長(塚本重藏君) 全員と認めます。全会一致を以て原案通り可決することに決定いたしました。
つきましては委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を得なければならんことになつていますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。
尚本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつていますから、可とせられた方の順次御署名を願います。
多数意見者署名
今泉 政喜 姫井 伊介
石原幹市郎 藤森 眞治
井上なつゑ 小杉 イ子
○委員長(塚本重藏君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れはないものと認めます。
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7-衆-厚生委員会-7号 昭和25年02月24日
昭和二十五年二月二十四日(金曜日)
午前十一時二十五分開議
出席委員
委員長 堀川 恭平君
理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
理事 田中 重彌君 理事 中川 俊思君
理事 苅田アサノ君
今泉 貞雄君 丸山 直友君
亘 四郎君 堤 ツルヨ君
渡部 義通君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 林 讓治君
出席政府委員
厚生事務官
(薬務局長事務代理) 星野毅子郎君
厚生事務官
(社会局長) 木村忠二郎君
委員外の出席者
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
―――――――――――――
二月二十日
栄養士法の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)(予)
性病予防法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)(予)
同月十三日
皇居前広場の管理権移譲並びにその保存事業国
庫補助の請願(星島二郎君外一名紹介)(第七三二号)
同月十六日
遺族の援護対策確立に関する請願(逢澤寛君紹介)(第七五七号)
同(大村清一君紹介)(第七六七号)
同外五件(逢澤寛君紹介)(第七七九号)
同(西村直己君紹介)(第八二六号)
同(苅田アサノ君紹介)(第八二七号)
同(星島二郎君紹介)(第八二八号)
同(橋本龍伍君外六名紹介)(第八二九号)
同外三件(犬養健君紹介)(第八三〇号)
健康保険制度改善並びに外来結核患者の保護に
関する請願(神山茂夫君紹介)(第七八五号)
遺族年金制度創設の請願(北澤直吉君紹介)(第八〇三号)
結核予防対策費補助金交付の請願(江崎真澄君紹介)(第八四七号)
同月二十日
遺族の援護対策確立に関する請願(大村清一君紹介)(第八五七号)
同外一件(若林義孝君紹介)(第八五八号)
同外七件(逢澤寛君紹介)(第九二二号)
同外四件(橋本龍伍君紹介)(第九二三号)
同(星島二郎君外五名紹介)(第九二四号)
国民健康保険制度改善に関する請願(森戸辰男君紹介)(第八六三号)
同(栗山長次郎君紹介)(第八六四号)
同(青柳一郎君紹介)(第八六五号)
同(畠山鶴吉君紹介)(第八六六号)
同(河原伊三郎君外一名紹介)(第八六七号)
同(白井佐吉君紹介)(第八六八号)
同(内藤隆君紹介)(第九一〇号)
同(尾関義一君外一名紹介)(第九一一号)
同(大石武一君紹介)(第九一二号)
同(永田節君紹介)(第九一三号)
同(岡西明貞君紹介)(第九一四号)
同(山本猛夫君紹介)(第九一五号)
同(塩田賀四郎君紹介)(第九一六号)
同(山口六郎次君紹介)(第九一七号)
同(川端佳夫君紹介)(第九一八号)
同(川崎秀二君紹介)(第九一九号)
同(天野久君紹介)(第九二〇号)
財団法人日本製鉄八幡共済組合年金受給者の年
金増額に関する請願(西村榮一君紹介)(第八八三号)
沼部村授産場の施設拡充に関する請願(庄司一郎君紹介)(第九〇二号)
同月二十三日
健康保険法及び厚生年金保険法の一部改正に関する請願(堤ツルヨ君紹介)(第九六八号)
結核療養所の病床増設に関する請願(柄澤登志子君外一名紹介)(第九八三号)
老人の福祉に関する法律制定の請願(中川俊思君紹介)(第九九四号)
遺族の援護対策確立に関する請願外一件(橋本龍伍君紹介)(第一〇二六号)
同外五件(逢澤寛君紹介)(第一〇五〇号)
同(大村清一君紹介)(第一〇八三号)
社会保険行政職員の身分を地方自治体に切替の請願外二件(門司亮君紹介)(第一〇二七号)
同外五件(青柳一郎君紹介)(第一〇二八号)
同(堀川恭平君紹介)(第一〇五四号)
同(渡部義通君外一名紹介)(第一〇八四号)
同(川崎秀二君紹介)(第一〇八五号)
芸北公園を準国立公園に指定の請願(山本久雄君紹介)(第一〇四四号)
保健婦等の既得権者に対する国家試験制度廃止に関する請願(岡良一君外四名紹介)(第一〇六一号)
引揚医師の国家試験受験回数制限緩和に関する請願(大野伴睦君紹介)(第一〇七一号)
健康保険法改正に関する請願(前田正男君外二名紹介)(第一〇八〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十八日
国民健康保険法の一部改正に関する陳情書(一宮市議会議長中西竹太)(第四一三号)
国民健康保険制度刷新に関する陳情書(岩手県気仙郡横田村長畠山良治)(第四一四号)
国民健康保険事業に対する国庫補助増額の陳情書(熊本県玉名郡大原村長管原一八)(第四一五号)
国民健康保険法の強化刷新に関する陳情書(山形市町村健康保険組合理事長松本長兵衛外四
名)(第四一六号)
国民健康保険事業に対する国庫補助増額の陳情書(千葉市千葉県議会議長林英一郎)(第四一
七号)
遺族の援護強化に関する陳情書(福島市福島県議会議長蓮沼龍輔外九十一名)(第四二八号)
渥美半島を国際観光地として指定の陳情書(愛知県知事青柳秀夫外十二名)(第四三四号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)(予)
栄養士法の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)(予)
性病予防法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)(予)
生活保護法に関する件
―――――――――――――
○堀川委員長 これより会議を開きます。
まず麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案、栄養士法の一部を改正する法律案及び性病予防法等の一部を改正する法律案を一括議題といたしまして、審議に入ることにいたします。まず政府の提案理由の説明を求めることにいたします。
林厚生大臣。
―――――――――――――
○林国務大臣 ただいま議題となりました麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案につきまして、簡単に御説明を申し上げます。
現在麻薬及び大麻の取締りは、各都道府県の吏員の中から厚生大臣が任命した麻薬取締員に司法警察権を与えまして、これが取締りを行つて来たのでありますが、これが欠陥といたしましては、身分関係は都道府県知事に属し、捜査の指揮の権限は厚生大臣に属しております関係上、国の一貫いたしました取締行政を行うことが困難な状況にあつたのであります。今回の改正によりまして、国の一貫した行政、すなわち官吏としてこの麻薬取締行政を行わんとするものであります。
以上改正の大要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられんことを、希望してやみません。
次に栄養士法の一部を改正する法律案提案の理由を御説明いたします。
今回改正しようといたします第一の点は、栄養士養成施設の修業年限及び栄養士試験の受験資格として必要な見習期間を二年以上とすることであります。これは現行制度によりますと、栄養士の資格を得るには、厚生大臣の指定いたしました栄養士養成施設において一年以上栄養士たるに必要な知識及び技能を修得するか、または一年以上栄養士の実務の見習をした後、厚生大臣の行う栄養士試験に合格しなければならないことになつておりますが、施行の経験によりまして、さらにこの修業年限及び見習期間を延長し、栄養土の資質の向上をはかることが必要と認められるに至つたからであります。
第二の点は、栄養士試験審査会に関する規定を設けることであります。これは栄養士、試験の公正を期するために必要と認められるからであります。以上が栄養士法の一部を改正する法律案の提案理由及び改正の要点であります。何とぞ御審議の上、御可決あらんことをお願ひ申し上げます。
次に性病予防法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
わが国の公衆衛生は、終戦後著しい発達を示して参つたのでありますが、昭和二十二年の保健所法の改正によりまして、保健所は従来行つていた指導業務のほかに、衛生に関する行政事務をもあわせ行うようになりまして、地方第一線における公衆衛生問題につきましては、保健所が責任をもつて目下着々その成果をあげるよう努力いたしているわけであります。これらの保健所は、都道府県並びに政令で定めた三十の市がこれを設置しておりまして、かつ保健所法の規定により、都道府県知事またはこれらの市の市長の衛生事務に関する権限を保健所に委任することによりまして、保健所を中心とした衛生行政を実施している次第であります。しかるに近来の衛生関係の法律におきましては、これら市長の権限につきましては、ほとんど規定するところがありませんので、現在は地方自治法の規定によりまして、都道府県知事の衛生事務に関する権限の一部を、これらの市の市長に委任することといたしましてその委任の範囲を厚生次官通牒をもつて示して来たのであります。しかしながらかかる措置によるのみでは、なお行政事務を行う吏員の身分、権限委任に伴う費用負担の関係等につきまして種々不便がありますので、これを法律で明瞭に規定することといたしまして、性病予防法外十四件の法律を改正することとしたのであります。
次にこの法案の内容につきまして、その大要を申し上げますと、第一に従来都道府県知事の権限に属する衛生業務のうち、全県的考慮を要するもの、その他特殊なもの以外はこれを政令で定める市につきましては、その市長をして行わしめることとして各法律についてそれぞれの事項を規定いたしましたこと。
第二の政令で定める市の市長は、その事務を行うために、市の吏員の中から食品衛生監視員、環境衛生監視員、屠畜検査員等の職員を任命し得ることといたしましたこと。
第三にこれらの市長の行う事務につきましてその市が費用を負担したときは、国庫よりその市に対して負担金を与えるようにいたしましたこと。
第四にこれらの法律中の「行政官庁」「地方長官」等の用語を現行の用語に改めましたことであります。
以上の改正によりまして、これらの市についての都道府県市間の事務の範囲及び市長の行う事務に伴う費用負担、並びに手数料収入の関係を明瞭にさせ、これらの衛生行政の一層の進達を期しておる次第であります。
以上がこの法案の骨子でございますが、何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられんことを希望いたします。
なお詳細のことにつきましては、政府委員並びに説明員より御説明申し上げることといたします。
○堀川委員長 ただいま議題となつておりますこの三つの法律案に対しまして、これらの質疑は、ただいま三木局長もおられませんから、次の委員会にまわすことにいたしまして、本日は他の件を審議することにいたします。
それでは木村社会局長より発言を求めておられますから、これを許します。
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7-参-厚生委員会-13号 昭和25年02月15日
昭和二十五年二月十五日(水曜日)
午前十時四十二分開会
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
○麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
―――――――――――――
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。
本日は麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案を議題にいたしまして、その審議を進めます。
先ず提案理由の説明をお願いいたします。
○国務大臣(林讓治君) 只今議題になりました麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案につきまして、簡單に御説明いたします。
現在麻薬及び大麻の取締は、各都道府県の吏員の中から厚生大臣が任命した麻薬取締員に司法警察権を與えまして、これが取締を行なつて来たのでありますが、これが欠陷といたしましては、身分関係は都道府県知事に属し、捜査の指揮の権限は厚生大臣に属しております関係上、国の一貫した取締行政を行うことが困難な状況にあつたのであります。今回の症正によりまして、国の一貫した行政、即ち官吏としてこの取締行政を行わんとするものであります。
以上改正の大要を御説明申上げたのでありますが、何とぞ御審議の上速かに可決せられんことを切望いたすわけであります。尚、詳細のことは説明員なり或いは政府委員の方から御説明いたさせます。
○委員長(塚本重藏君) それでは今少し内容について改正の要点を星野厚生省薬務局長代理から御説明をお願いいたします。
○説明員(星野毅子郎君) 麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案の改正の趣旨は、只今厚生大臣より申上げた通りでございます。ただ少しく詳細にその趣旨を補足いたしますならば、身分関係におきまして、只今厚生大臣の指揮監督を受けまして麻薬の取締、捜査に当つております麻薬取締員は、都道府県知事の任命いたします地方の吏員という身分を持つておるわけでありますが、身分関係と命令系統を一致せしめることによりまして、最近の発達いたしました麻薬犯罪の捜査、取締に完全を期したいという強い関係方面の要望もございまして、各條文中都道府県の知事の権限を全部厚生大臣にしました。従いまして都道府県知事の実施機関であります当該吏員の身分を抜きまして、これを官吏に統一し、麻薬取締員を麻薬取締官に改めまして、法律上もこの制度の一致ということに合せた次第でございます。尚曾てこの麻薬に対しまする国際條約におきまして、従来ジユネーブにおきまして、阿片と共に麻薬製造と分配の制限に関しまする條約がございました。我が国も加盟しておつたわけでございますが、その條項に、特別の機関をしてこれらの麻薬の行政に当らしめるという字句があるわけでございます。世界の各国におきましては、国の特例の機関によりましてこれを実施しております。私共が承知いたしておりますところでは、ブラジルのみが、国と地方とこれを分けまして行なつておる状況でございます。ただ国の機関において統一せられておるように承知いたしております。さような関係もございまして、将来国際関係へ復帰いたしまして、この條約に直接加盟するという機会になりました場合に備えまして、かかる改正を行なつたわけでございます。
條文といたしまして特に御説明申上げたいと存じますのは、五十二條の二の、「厚生省に二百五十名以内の麻薬取締官を置き、各都道県にこれを駐在させる。」現在は二百五十名以内の麻薬取締員を置きまして、これを厚生大臣が指名するということになつておりますが、これを取締官に改めまして国の官吏といたしました。駐在場所は各都道府県にこれを駐在させるということにいたしました。その二項といたしまして、「麻薬取締官の駐在する位置及び都道府県ごとの員数は、厚生大臣がこれを定める。」ということになつております。尚その他各條文につきまして、例えば麻薬の盜難の届出の権限或いは届出を受ける権限が知事にありましたのを厚生大臣に移し、或いは業務停止の権限を厚生大臣に移します。或いは臨検、検査等の、知事が当該吏員をして行わしめる権限を持つておりましたのを全部厚生省に統一するということに、只今の趣旨に応じまして全部條文を改正したのであります。
大麻取締法におきましても、例えば厚生大臣と知事両者が不祥事故の調査を命じますとか、或いは立入検査の権限が当該官吏或いは吏員にあつたわけでありますが、これを改めまして、全部官吏一本にいたしたという事務的な改正に過ぎないのであります。厚生省設置法におきましても、従来麻薬取締員を指名することになつておりましたわけでありますが、今後は厚生省の官吏の中から麻薬取締官を補職するということになつたわけであります。
○委員長(塚本重藏君) お諮りいたしますが、この法案に対しまする質疑応答を次回にすることにして、この程度に止めたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) それではあと協議会に移しまして、本日はこれを以て散会いたします。
午前十時四十九分散会
出席者は左の通り。
委員長 塚本 重藏君
理事
今泉 政喜君
委員
姫井 伊介君
山下 義信君
石原幹市郎君
草葉 隆圓君
竹中 七郎君
井上なつゑ君
小杉 イ子君
国務大臣
厚 生 大 臣 林 讓治君
説明員
厚生事務官
(薬務局長事務代理) 星野毅子郎君
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2-参-本会議-54号 昭和23年06月28日
昭和二十三年六月二十八日(月曜日)
午前十時二十四分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第五十二号
昭和二十三年六月二十八日
午前十時開議
第一 民事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二 性病予防法案(内閣提出)(委員長報告)
第三 理容師法特例案(内閣提出)(委員長報告)
第四 麻藥取締法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第五 大麻取締法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第六 國有財産法案付(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第八 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第九 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一〇 肥料配給公團令の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一一 労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第十二 警察制度経費國庫負担に関する請願(委員長報告)
第一三 教職員の最低生活保障に関する請願(委員長報告)
第一四 三田、三輪両町の勤務地手当甲地指定に関する請願(委員長報告)
第一五 看護婦の待遇改善に関する請願(委員長報告)
第一六 電力復興諸施策に関する請願(委員長報告)
第一七 朝日ダム建設促進に関する請願(委員長報告)
第一八 茨城縣の発電計画に関する請願(委員長報告)
第一九 九州地方の電力増強対策に関する請願(委員長報告)
第二〇 在外同胞引揚促進に関する請願(四件)(委員長報告)
第二一 満州引揚開拓民の入植に関する請願(委員長報告)
第二二 樺太引揚医師の内地開業許可に関する請願(委員長報告)
第二三 中國東北地区残留同胞に対し救援物資送付に関する請願(委員長報告)
第二四 警察費全額國庫補助に関する陳情(委員長報告)
第二五 発電水利使用料の引上げに関する陳情(委員長報告)
第二六 地方自治体警察廰舎等に関する陳情(委員長報告)
第二七 自治体警察費の財源に関する陳情(委員長報告)
第二八 集合、大衆運動等の取締りに関する陳情(委員長報告)
第二九 エロ、グロ的新聞、雜誌、写眞等の取締りに関する陳情(委員長報告)
第三〇 寒冷地給の支給に関する陳情(委員長報告)
第三一 教職員の待遇改善に関する陳情(二件)(委員長報告)
第三二 そう合技能指導所設置に関する陳情(委員長報告)
第三三 佐賀関町の地域給引上げに関する陳情(委員長報告)
第三四 教職員の生活保障に関する陳情(委員長報告)
第三五 財務職員の待遇改善に関する陳情(委員長報告)
第三六 寒冷地特別給與制度確立に関する陳情(委員長報告)
第三七 労働委員の手当増額に関する陳情(委員長報告)
第三八 在外同胞引揚促進に関する陳情(九件)(委員長報告)
第三九 在外同朋引揚促進並びに引揚者援護に関する陳情(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━
(中略)
○議長(松平恒雄君) この際、日程第二、性病予防法案、日程第三、理容師法特例案(内閣提出)、日程第四、麻藥取締法案、日程第五、大麻取締法案(内閣提出、衆議院送付)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。
○塚本重藏君 只今議題となりました性病予防法案の、厚生委員会におきまする審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
(中略)
次に麻藥取締法案及び大麻取締法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
この二法案は相互に極めて関連のあるものでありまするので、両法案を一括して審議いたしたのであります。
先ず麻藥取締法案につき説明いたします。阿片、モルヒネ等のいわゆる麻藥は医療上欠くことのできない藥品でありますが、他面これらを濫用することによつて起こります害毒が甚大なことは、歴史の示す通りであります。從いまして麻藥の害毒を排除しつつ、医療上必要なものを確保し、以て國民医療の完璧を期するものであります。本法案は麻藥の範囲を規定し又麻藥を取扱うためには厚生大臣の免許を受けることが必要であり、又一面取扱者でなければ麻藥を所持し、使用すること等を禁止することにしておるのであります。医師等から施用のために交付されたものについては差支えないのであります。尚取扱者になりましたものは、輸入、製造、使用等につきましての報告及び師簿等の記入の義務を負わすことにいたしておるのであります。
次に大麻取締法案につきましては、麻藥と同様な害毒を持つておるのでありますから、大麻草は大体が農業に從事しておる者が栽培しておるのでありまして、今回提出されました麻藥取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、藥剤師等とは、職業の分野が甚だしく異なつておりまする関係から、別個の法律を制定いたしまして、これが取締の完璧を期することになつたのであります。本法案は大麻の定義を規定すると共に、麻藥取締法と同様免許制をとり、その他の面も大体、麻藥取締法と同様であります。
以上がこの法案の内容の概要でありまするが、委員会におきましては、六月二十四日と二十五日の両日に亘つて慎重な審議をいたしました。各委員より様々の質問が行われたのでありまするが、それを省略いたすことにいたします。
かくて質疑を終りまして、討論を省略し、全会一致を以て原案通り可決されました。これを以て御報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。先ず性病予防法案全部を問題に供します。委員長の方向は修正議決報告であります。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決されました。
○議長(松平恒雄君) 次に理容師法特例案、麻藥取締法案、大麻取締法案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立]
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。
(後略)
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2-参-本会議-54号 昭和23年06月28日
昭和二十三年六月二十八日(月曜日)
午前十時二十四分開議
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議事日程 第五十二号
昭和二十三年六月二十八日
午前十時開議
第一 民事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二 性病予防法案(内閣提出)(委員長報告)
第三 理容師法特例案(内閣提出)(委員長報告)
第四 麻藥取締法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第五 大麻取締法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第六 國有財産法案付(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第八 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第九 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一〇 肥料配給公團令の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一一 労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第十二 警察制度経費國庫負担に関する請願(委員長報告)
第一三 教職員の最低生活保障に関する請願(委員長報告)
第一四 三田、三輪両町の勤務地手当甲地指定に関する請願(委員長報告)
第一五 看護婦の待遇改善に関する請願(委員長報告)
第一六 電力復興諸施策に関する請願(委員長報告)
第一七 朝日ダム建設促進に関する請願(委員長報告)
第一八 茨城縣の発電計画に関する請願(委員長報告)
第一九 九州地方の電力増強対策に関する請願(委員長報告)
第二〇 在外同胞引揚促進に関する請願(四件)(委員長報告)
第二一 満州引揚開拓民の入植に関する請願(委員長報告)
第二二 樺太引揚医師の内地開業許可に関する請願(委員長報告)
第二三 中國東北地区残留同胞に対し救援物資送付に関する請願(委員長報告)
第二四 警察費全額國庫補助に関する陳情(委員長報告)
第二五 発電水利使用料の引上げに関する陳情(委員長報告)
第二六 地方自治体警察廰舎等に関する陳情(委員長報告)
第二七 自治体警察費の財源に関する陳情(委員長報告)
第二八 集合、大衆運動等の取締りに関する陳情(委員長報告)
第二九 エロ、グロ的新聞、雜誌、写眞等の取締りに関する陳情(委員長報告)
第三〇 寒冷地給の支給に関する陳情(委員長報告)
第三一 教職員の待遇改善に関する陳情(二件)(委員長報告)
第三二 そう合技能指導所設置に関する陳情(委員長報告)
第三三 佐賀関町の地域給引上げに関する陳情(委員長報告)
第三四 教職員の生活保障に関する陳情(委員長報告)
第三五 財務職員の待遇改善に関する陳情(委員長報告)
第三六 寒冷地特別給與制度確立に関する陳情(委員長報告)
第三七 労働委員の手当増額に関する陳情(委員長報告)
第三八 在外同胞引揚促進に関する陳情(九件)(委員長報告)
第三九 在外同朋引揚促進並びに引揚者援護に関する陳情(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━
(中略)
○議長(松平恒雄君) この際、日程第二、性病予防法案、日程第三、理容師法特例案(内閣提出)、日程第四、麻藥取締法案、日程第五、大麻取締法案(内閣提出、衆議院送付)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。
○塚本重藏君 只今議題となりました性病予防法案の、厚生委員会におきまする審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
(中略)
次に麻藥取締法案及び大麻取締法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
この二法案は相互に極めて関連のあるものでありまするので、両法案を一括して審議いたしたのであります。
先ず麻藥取締法案につき説明いたします。阿片、モルヒネ等のいわゆる麻藥は医療上欠くことのできない藥品でありますが、他面これらを濫用することによつて起こります害毒が甚大なことは、歴史の示す通りであります。從いまして麻藥の害毒を排除しつつ、医療上必要なものを確保し、以て國民医療の完璧を期するものであります。本法案は麻藥の範囲を規定し又麻藥を取扱うためには厚生大臣の免許を受けることが必要であり、又一面取扱者でなければ麻藥を所持し、使用すること等を禁止することにしておるのであります。医師等から施用のために交付されたものについては差支えないのであります。尚取扱者になりましたものは、輸入、製造、使用等につきましての報告及び師簿等の記入の義務を負わすことにいたしておるのであります。
次に大麻取締法案につきましては、麻藥と同様な害毒を持つておるのでありますから、大麻草は大体が農業に從事しておる者が栽培しておるのでありまして、今回提出されました麻藥取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、藥剤師等とは、職業の分野が甚だしく異なつておりまする関係から、別個の法律を制定いたしまして、これが取締の完璧を期することになつたのであります。本法案は大麻の定義を規定すると共に、麻藥取締法と同様免許制をとり、その他の面も大体、麻藥取締法と同様であります。
以上がこの法案の内容の概要でありまするが、委員会におきましては、六月二十四日と二十五日の両日に亘つて慎重な審議をいたしました。各委員より様々の質問が行われたのでありまするが、それを省略いたすことにいたします。
かくて質疑を終りまして、討論を省略し、全会一致を以て原案通り可決されました。これを以て御報告を終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。先ず性病予防法案全部を問題に供します。委員長の方向は修正議決報告であります。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決されました。
○議長(松平恒雄君) 次に理容師法特例案、麻藥取締法案、大麻取締法案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立]
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。
(後略)
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2-参-厚生委員会-16号 昭和23年06月25日
昭和二十三年六月二十五日(金曜日)
午前十時四十九分開会
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本日の会議に付した事件
○健康保險法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○恩給法の一部を改正する法律案(内閣送付)
○國家公務員共済組合法案(内閣送付)
○理容師法特例案(内閣提出、衆議院送付)
○麻藥取締法案(内閣提出、衆議院送付)
○大麻取締法案(内閣提出、衆議院送付)
○性病予防法案(内閣提出、衆議院送付)
○医療制度調査に関する小委員長の報告
○医業類似行爲者のあん摩、はり、きゆう施術禁止に関する請願(第五百十五号)(第七百三十五号)
○國民健康保險事業費國庫補助に関する請願(第七百十七号)
○國立長野療養所上田分院の移轉に関する請願(第八百十六号)
○らい療養所患者の生活改善に関する陳情(第三百六十二号)(第四百四十号)
○國民健康保險制度改革に関する陳情(第三百七十六号)
○藥務局設置に関する陳情(第四百四号)
○健康保險事業費國庫補助に関する陳情(第四百三十六号)
○らい患者保護法制定に関する陳情(第四百四十一号)
―――――――――――――
(中略)
○理事(谷口弥三郎君) 他に御質疑ありませんか。定数が足りませんから、後で人数が集つたところで討論採決をいたすことにいたしまして、それでは次に麻藥取締法案、大麻取締法案の一括質疑に移りたいと思いまいます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(谷口弥三郎君) それでは麻藥取締法案、大麻取締法案について質疑應答を始めます。質疑のあります方はどうぞ……
○中平常太郎君 大麻取締法案の第五條でありますが、第五條の第二項に、一、二、三とありまして、「一、麻藥又は大麻の中毒者、二、禁錮以上の刑に処せられた者、三、禁治産者、準禁治産者又は未成年者」とございますが、この三つを以て大麻を取扱うにふさわしくないと見ておるようでありますが、それ以外に重要な問題が落ちてはいないか。つまり身体上の欠陷者がここに附いていないように思うのでありますが、例えば精神病者、或いは白痴に近い者、その外、認めて以て一般人に劣るような状態におる者などは、外の法律ではいろいろな問題を取扱うことができないように、そんな者はなつておるが、この大麻だけは、その人がそういうものを取扱うてよろしいのかどうか。これが各号の一に該当する者には、大麻取扱者の免許を與えないとありますが、身体上の欠陷が起きて來る者は、大麻取扱の免許が與えられるのでありますか、この点をはつきりしたいと思います。御説明願います。
○政府委員(久下勝次君) 私から只今の御質問に対してお答え申上げます。第五條の第二項に掲げましたのは、絶対的に大麻取扱者の免許を與えない者を掲げたのでございまして、御引例になりました精神病者等につきましては、許可の場合に考慮をいたしたいと思つておるのであります。御参考に申上げますけれども、医師会歯科医師会法等におきましても、從來は精神病者に絶対に免許を與えない取扱にいたしておりましたが、今回の新らしい法律案におきましては、これを相対的な欠格條項として取扱うことにいたしております。免許を與えることもあり、與えないこともあるというような工合にいたしておりますので、それは本條の二項には該当しないものでありますが、この法律の考え方では、第五條の許可をいたします場合に十分考慮をいたしたいと考えております。
○中平常太郎君 それでは、法律にないところの重要問題を何でお決めになるのですか。法律は人権の擁護に欠くるところがあつてはならないのでありますが、法律の條文に禁止してないものが政令、省令で勝手に禁止されるのでありますか。何故に、その身体上の欠陷甚しい者に対しては、やはり大麻のごとき極めて重要なものを取扱わせない、免許を與えないということが法案になぜお示しすることができないのか。その許可を申請したときに勝手に主務省の方で與えたり、或いは與えなかつたり、勝手にするとは私は受取れないのでありますが、やはり何か準拠すべきものがあつて、そういうことがなさるべきものと思うのでありますが、それはどういう標準を、何によつてお作りになるのでありますか。
○政府委員(久下勝次君) お話の通りに、私が先程申上げましたような事柄は、或いは法律に書く方が正しいと思うのでありまするけれども、実際問題といたしまして、大麻の取扱をいたします者というのは、殆んど大部分が農民でございまして、そういう事例は比較的少いと思われますことと、精神病者でありますれば、必ずそれに代るべき者が、実際農業に携わつておるものと考えらまするので、特別に法規の上にこれを相対的な欠格條項として掲げなかつたのでございます。ただ從來の扱いも、免許をやるかやらんかというようなときに十分考慮をいたしたいと思います。若しさような者が免許を申請して参りましたならば、こちらの方でよくお話をいたしまして、そして更に別の同一戸籍内にある適当な者から申請をするというような方法で、人権を蹂躙することなしに措置ができるものと考えて、かようにいたした次第でございます。
○中平常太郎君 まだ不満足でございますけれども、その次に移りましよう。
第九條に届出の手数料が書いてありますが、これはいつ頃案を作られたか知らんけれども、大麻栽培者は六十円、大麻研究者は五十円と書いてあります。それから第十一條の2に、免許証を紛失した場合の再交付申請の者は、手数料として十円國庫に納めなければならないとありますが、こういう問題はやはり時勢に應じたように、もう少し増額してはどうかと私思うのです。大体免許証を捨てて再交付を受ける者は、受益者がそれだけの責任があるわけでありまして、これはそんなに遠慮せいでも、十円なんかという銭は実際丼一つ買えない。それを主務省へ申請するには、各種の段階を通じて漸く厚生大臣の所に行くのです。そうして行つてそれが免許証を貰うという場合に、たつた十円の印紙を貼るだけで貰うというのは、そんなみずから捨てたところの責任はどこにあるか。十円というものはいつ考えられた数字か知らんが、これは何年前かに考えたままで置いてあるのではなかろうかと思うのでありますが、こういうことに対して、大麻栽培者が六十円ということを言いますが、藥剤師が年々免許を更新する際も五百円出さなければならない。これは大麻の栽培者が六十円、大麻の研究者五十円とありますが、これはもとより百円にしていいのでありますが、なぜこういうややこしいことをなさるのか。大体政府はいつでも、運賃を算定した場合にも何十何銭、一キロ何銭何厘何毛何糸、そういうことをやるんだが、それは理論の上から出て來る数に相違ないのです。それは腕と力で大体分るようになすべきです。そういう場合には、賃金ベースの場合でも、或いは又農産品のスライド決定の場合でも、何厘何毛まで出さないでも、四捨五入で明らかに、何人にも分るように……政府はいつもこういうことをやるから、ここで僕は質問するのです。
〔理事谷口弥三郎退席委員長著席〕
○政府委員(久下勝次君) 私からお答え申上げます。実は大麻栽培者及び研究者の手数料の額でございますが、主としてこれは大麻栽培者に関係することでございますが、從来は三十円でありましたけれども、今度の法律案ではその倍額にいたしておるのであります。実は大麻というものは、一方におきまして國内の繊維資源として非常に重要ものでございまして、その意味におきまして、農林省当局におきましても非常に関心を持つておることでございます。現在大麻栽培の許可をし得る範囲が、連合軍当局の指令によりまして、五千町歩が許されておるのでありますが、実際に栽培の許可をいたしました所はまだ三千八百町歩に足りないという実情で、これをできるだけ多く栽培して貰うというようなことから、農林当局におきましても、これを是非できるだけ安くして欲しいという、きつい御註文がございました。相手は零細な栽培地を持つ農家も含まれておりますので、この程度にいたしたのでございます。
それから大麻取扱者の再交付の手数料でございますが、実は大麻取扱者の再交付の免許証というものは、実に簡單な、実はザラ紙程度で、小さなもので簡單にやつておるのであります。從いまして今申しました農家の人を相手にすることでありますので、余りこういうものに沢山の手数料を取るのは如何かという考慮から、先程免許の手数料について申上げましたと同樣な考え方で、極力に安いことにしたいというので、今日の情勢に合わんようなことでございましようが……。
○中平常太郎君 それは安くして政府の財政が持てれば結構であつて、あらゆる方面から財源を捻つてお出しにならんければならん場合だから、少しでもという考えでお話をするのでありますが、要らねば結構なことで、國民が喜ぶだけのものであります。
次に第二十條の第二項、「厚生大臣は、法令の規定により沒收された大麻について前項の処分をなすには、大藏大臣及び農林大臣と協議しなければならない。」とありますが、この大麻を沈收した犯罪行爲、その他によつて沒收した大麻について、その量のことを言わずにおいて、その者を大藏大臣と農林大臣とに、いつでも厚生大臣が協議しなければならないというのはどういうわけか、こういう問題は省の内部において、法律でこういうものを決めんでもよい筈であるし、又厚生大臣が独断でこれを処理していい筈のものであるが、どういうわけで農林大臣や大藏大臣をそこへ引つ張り出して協議しなければならないのか、これを質問します。
○政府委員(久下勝次君) 先ず大藏大臣と協議をすることにいたしました理由は、実は沒收をされました大麻は、國庫の所有に帰属いたすことになつておりまして、法律的に申しますと、大藏大臣の権限に属してしまいますので、その意味におきまして大藏大臣と協議をすることにいたしてあるのでございます。又先程から申しておりますように、大麻の繊維というものが國内の繊維資源として非常に重要なものでありますので、この点について、所管をしておりまする農林大臣とも相談するのが適当であると、こういう考え方で規定をいたしたものであります。
○小杉イ子君 第二十五條の「麻藥製造業者は、各業務所につき翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。」、この項に対しましては、私は非常な不安を感ずるものでございます。その一、二、三、四、五項の品名及び数量並びに容器の讓渡の時期、これを本当に正直に報告するか、せんかということに、もう少し何か力をお入れなさつては如何かと、こう思います。夜中によく出て行く婦人がございまして、何処に行くのかと尾いて行きましたところが、毎晩阿片吸入に行く、こういうことがございましたり、又麻藥を密賣しておる者も現にございます。こういうことがありますというと、賣つたものと又残つたものとの報告が、本当は正確でないということが分ると思います。この点を私は厚生大臣におかれては、これでよいと思われるのか知らんと、こう思つて非常に不安に思うのでございますから、一言申上げて置きます。
○政府委員(久下勝次君) 御引例になりました條文は、麻藥製造業者に関することでございまして、少しこの御質問は如何かと思いますが、麻藥法の第二十五條の御質問と思いますが、二十五條は製造業者に対する届出義務に関する規定でございます。御質問の御趣旨は麻藥が闇に流れ、只今御引例になつたような麻藥中毒患者が、これを吸引に使用するという御引例を御指摘になりましたが、実は本法の麻藥取締法の全体の構想が、さような事柄が世の中に発生いたしますことを嚴重に防止する意味で、この法律を設けておるのでございます。私共もその意味におきまして、できだけ正確な報告を徳するようにいたしておるのであります。ただ月毎に報告を求めておりまするのは、余りこれを嚴密に短い期間毎にやりますことは、徒らに煩瑣でもありまするので、かような方法によつて、常に厚生大臣が麻藥の所在について一般的な認識を持ち得るようにいたしたのでございます。尚これと関連をいたしまして、各府縣には麻藥統制官がおりまするし、又司法警察権をそれらの者が持つておりますので、常にそれらのものは必要な管理をすることになつておりまするから、それらによりまして、御質疑のありましたような問題はできるだけ排除するように、撤底的な排除するように努めておる次第であります。
○草葉隆圓君 大麻の第四條の第二号の「医藥品を施用」するのは、大麻を配合した処方箋を交付することを含むかということをお尋ねします。
○政府委員(久下勝次君) 御趣旨の通りでございます。
○草葉隆圓君 そうしますと、大麻の取締法の中で、全体について私はどうしても不可解な点が一つあります。それは大麻の取扱者という者は栽培と研究者である。この十二條には取扱者でない者は他に讓つてはいけない。そうすると、これからできた品物はどこがどう取扱い得るか、この條文には一つも出ていない。以前の條文、旧法には出ておる。
○政府委員(久下勝次君) 御指摘の通りに、実は大麻から麻藥を取りますこと、そのことが禁止せられておるのでございます。そういう意味におきまして、大麻かに麻藥を取ることは全然行われてないのでございます。ただ大麻の繊維だけが一條で除去されて、これはできることになつております。
○草葉隆圓君 そうすると、先程申上げました第四條の第二号の「施用」というのは、大麻の配合した処方箋の交付を含むと、こうおつしやつたように私伺いました。で大麻から作つたものは一切禁止をするということが、この法の精神であるなら、「施用」という中には、大麻から製造した麻藥というものは今後作らないという方針でありますので、大麻を配合した処方箋の交付を含まないというものが、大麻から製造された麻藥品を施用すというのが、何にもならないという、この條文を、どうしてここに出したのでありますか。
○政府委員(久下勝次君) お答えいたします。私共はこの点は、実は從來大麻から作りました麻藥がまだ國内に残存をいたしておるように思います。さような意味におきまして、この規定を置きましたのであります。
○草葉隆圓君 現在大体麻藥中毒患者が三千百四十八名という御報告であります。その他にも潜在患者が相当多数ある見込だ。これらの患者をどういうふうに、この両方の法案では相当嚴格に取扱つてありますが、社会問題として、どういうふうになされるという予想の下に、この法案をお作りになりましたか。
○政府委員(久下勝次君) 麻藥中毒患者の取扱の問題は、本法を施行します上に最も重要な問題であると思うのであります。その意味におきまして、今回の法律案におきましては、麻藥取締法第四十九條に、麻藥中毒患者を一定の場所に收容をいたす規定を設けたのでございます。大体具体的には精神病院等に入院せしめまして、いわゆる麻藥の禁断療法を施す、これ以外何ら麻藥中毒患者を治療を治療する方法が現在ないように思いますので、さような方法によりまして、結局麻藥中毒患者をなくすという以外に方法がないと思いまして、特に今回の法案にかような規定を入れた次第でございます。
○草葉隆圓君 そうしますと、その施設というものは、大体今の構想はどうなつておりますか。
○政府委員(久下勝次君) 大体私共といたしましては、國立の精神病院がまだ相当ベツトの空いておる所もありますし、更に又國立病院におきましても、かような患者者を收容するに適当な所もあるように思いますので、先ずさような施設を充当いたしますと共に、一般の精神病院等もこれに活用したいと思つております。
○委員長(塚本重藏君) 他に御質疑ありませんですか。
○三木治朗君 大麻が繊維にまでなつてしまへば、これはもう何も麻藥の方に関係がなくなるんじやないかと、こう考えるのですが、ところが繊維も、数量までも一々届出ろというようになつておるように思われるのですが、今麻が日本で大体生産が足りないので、沢山麻を要求しておるのですが、この法律のために、麻を作ることを何んだか非常に面倒なような感じを一般が受けるんじやないか、栽培者が受けるのではないか、それでなくても麻はなかなか肥料が沢山要つて、栽培技術が相当むずかしいものである、このように聽いておるのでありますが、こういう法律のために、栽培することを避けるような結果になりはしないかということを憂えるのですが、その点如何なものでしようか。
○政府委員(久下勝次君) 私共も御指摘の点は心配をしないでもないのでございます。実は從前は、我が國においても大麻は殆んど自由に栽培されておつたのでありますが、併しながら終戰後関係方面の意向もありまして、実は時大麻はその栽培を禁止すべきであるというところまで來たのでありますが、いろいろ事情をお話をいたしまして、大麻の栽培が漸く認められた。こういうようなことに相成つております。併しながらそのためには大麻から麻藥が取られ、そうして一般に使用されるというようなことを絶対に防ぐような措置を講ずべきであるというようなこともありますので、さような意味からこの法律案もできております。その意味におきましては絶対に不自由がないとは申せませんと思いますが、行政を運営する上におきましては、さような点をできるだけ排除して、できるだけ農民の生産意欲を向上するように努めております。
○草葉隆圓君 一應これで質疑を打切りの動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて……。
〔速記中止〕
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて……。外に御質疑ありませんか。
○草葉隆圓君 質疑を打切つて、直ちに討論採決に入りたいという動議を掲出いたします。
○委員長(塚本重藏君) 草葉君の動議に賛成の方は……。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) それではさようにいたします。理容師法特例案、麻藥取締法案、大回取締法案、以上三案を一括いたしまして討論に移ります。どうぞ賛否を明かにして……。
○草葉隆圓君 討論を省略して、直ちに採決に入らたいという動議を掲出いたします。
○委員長(塚本重藏君) 草葉委員の動議に御異議ございませんか。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。それではこれより三案を一括して採決に移ります。原案を可とせられます方の御起立をお願いいたします。
〔総員起立〕
委員長(塚本重藏君) 全会一致を以て、原案を可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承諾を得なければならんことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。尚本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に掲出する報告書について、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本案を議決せられました方は順次御署名をお願いいたします。
〔多数意見者署名〕
(後略)
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2-参-厚生委員会-15号 昭和23年06月24日
昭和二十三年六月二十四日(木曜日)
午前十時四十七分開会
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
○麻藥取締法案(内閣提出、衆議院送付)
○大麻取締法案(内閣提出、衆議院送付)
○興行場法案(内閣提出)
○旅館業法案(内閣提出)
○公衆浴場法案(内閣提出)
○民生委員法案(内閣送付)
○厚生年金保險法等の一部を改正する法律案(内閣送付)
○医師法案(内閣送付)
○保健婦助産婦、看護婦法案(内閣送付)
○歯科衛生士法案(内閣送付)
○歯科医師法案(内閣送付)
○医療法案(内閣送付)
○國民健康保險法の一部を改正する法律案(内閣提出)
―――――――――――――
○委員長(塚本重藏君) 只今より開会いたします。本日は麻藥取締法案、大麻取締法案、興行場法案、旅館業法案、公衆浴場法案、民生委員法案、厚生年金保險法等の一部を改正する法律案、医師法案、保健婦助産婦省護婦法案、歯科衛生土法案、歯科医師法案、医療法案について、厚生大臣より逐次提案理由の説明を聽取いたします。
○國務大臣(竹田儀一君) 只今議題となりました麻藥取締法案について御説明いたします。阿片、モルヒネ、コカイン等のいわゆる麻藥は医療上欠くことのできない藥品でありますが、他面これらを濫用することによつて惹起される害毒が甚大でありますことは過去の歴史が示しておる通りであります。誠に麻藥の取締いの如何は民族の興亡に影響するといつても過言ではありません。從つて麻藥の害毒を排除しつつ一方医療上学術上必要なものを確保し以て國民医療の完璧を期するためには、國内的にも國際的にも適切且つ強力な施策が講ぜられなければならないことは申すまでもありません。
政府におきましては、戰後國内の麻藥の取締りを一層強化するため、幾多の省令を制定し、各般の施策を講じ、鋭意遺憾なきを期している次第でありますが、その後情勢の変化に伴い法規の改廃を要する点もあり、又一方には日本國憲法実施に伴いその精神に則つて、新しく法律を制定し以て取締りの万全を期すると共に、國際的協力の完璧を図るため、本法案を制定した次第であります。
本法案の構成といたしましては、「総則」「免許」「麻藥取扱者」「監督」「雜則」「罰則」の六章及び附則からなつておるのでありまして、全條文は七十五條であります。
次にこの法案の骨子といたしまするところを説明いたします。先ず麻藥の不正取引及び不正使用を防止するため麻藥を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は麻藥を取扱うことを禁止いたしておるのであります。
次に麻藥の中毒者の中、特に公安を乱す者等については、これを取締り、これが絶滅を期する次第であります。
次に麻藥の取引の系統を一定すると共に、取引を要式行爲とし、又麻藥取扱者に記帳義務を課して、麻藥の所在及び移動の責任を明確たらしめることといたしたのであります。
次に行政機関が麻藥の製造、在庫、消費等につきましての適切な施策を行い得るため、麻藥取扱者に対して所定の報告を徴することといたしました。
最後に阿片法及び勅令第五百四十二号に基ずく四つの厚生省令(昭和二十年省令第四十四号、同年省令第四十六号、昭和二十一年省令第八号、同年省令第二十五号(は、これを廃止いたしまして、今後麻薬の取締りに関しましては、本法により一元的に処理し得ることといたしたのであります。
以上麻藥取締法案の骨子につき大要の御説明を申上げたのでありますが、何とぞ御審議の上速かに可決せられんことを切望いたします。
次に只今議題となりました大麻取締法案について御説明いたします。大麻草に含まれている樹脂等は麻藥と同樣な害毒を持つているので、從來は麻藥として取締つて参つたのでありますが、大麻草を裁培している者は大体が農業に從事しているのでありまして、今回提出されています麻藥取締法案の取締りの対象たる医師、歯科医師、藥剤師等とは、職業の分野が甚だしく異なつています関係上、別個な法律を制定いたしまして、これが取締りの完璧を期する所存であり、本法案を提出する理由であります。
本法案の構成といたしましては、「総則」「免許」「大麻取扱者」「監督」「雜則」「罰則」の六章及び附則からなつておるのでありまして、全條文は二十三條であります。
次にこの法案の骨子といたしまする処を説明いたします。先ず大麻の不正取引及び不正使用を防ぐため大麻を取扱う者は、これを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は、大麻を取扱うことを禁止しておるのであります。次に大麻の取引を要式行爲とし、又大麻取扱者に記帳義務及び報告義務を課して大麻の移動の責任を明らかにしたのであります。勅令第五百四十二号に基ずく大麻取締規則を廃止したのであります。以上大麻取締法案の骨子につき、大要の御説明を申上げたのでありますが、何とぞ御審議の上速かに可決せられんことを切望いたします。
(後略)
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2-衆-本会議-67号 昭和23年06月19日
昭和二十三年六月十九日(土曜日)
午後四時十四分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第六十三号
昭和二十三年六月十九日(土曜日)
午後一時開議
第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 麻藥取締法案(内閣提出)
第三 大麻取締法案(内閣提出)
第四 輸出入植物檢疫法案(内閣提出)
第五 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第六 製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律案(内閣提出)
第七 郵便爲替法案(内閣提出、参議院送付)
第八 郵便振替貯金法案(内閣提出、参議院送付)
第九 電波物理研究所を電気試験所に統合する法律案(内閣提出、参議院送付)
━━━━━━━━━━━━━
○議員(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、麻藥取締法案、日程第三、大麻取締法案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長山崎岩男君。
〔山崎岩男君登壇〕
○山崎岩男君 ただいま議題となりました麻藥取締法案及び大麻取締法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
まず麻藥取締法案について申上げます。
阿片、モルヒネ、コカイン等のいわゆる麻藥は、医療上欠くことのできない藥品でありますが、他面、これらの濫用による害毒は、過去の歴史が示している通り、民族の興亡にも影響いたすものであります。從つて、麻藥の害毒を排除しつつ、一方医療上、学術上必要なものを確保し、もつて國民医療の完璧を期するためには、國内的にも國際的にも、適切かつ強力な施策の必要があるのであります。政府におきましては、戦後國内の麻藥の取締を一層強化するため、各般の施策を講じてまいつたのでありますが、その後情勢の変化に伴い法規の改廃を要する点もあり、また一方には、日本國憲法実施に伴い、その精神に則つて新しく法律を制定し、もつて取締りの万全を期するとともに國際的協力の完璧をはかるため、本法案を制定することになつた次第であります。なお、從來の阿片法及び勅令第五百四十二号に基く麻藥取締規則等四つの厚生省令は、これを廃止して、今後麻藥の取締に関しては、本法により一元的に処理せんとするものであります。
次に、この法律案の骨子といたしますところを申上げます。まず第一に、麻藥の不正取引及び不正使用を防止するため、麻藥を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は麻藥を取扱うことを禁止いたしております。第二に、麻藥の中毒者のうち、特に公安を乱す者等については、これを取締り、これが絶滅を期するものであります。第三に、麻藥の取引の系統を一定するとともに、取引を要式行爲とし、また麻藥取扱者に記帳義務を課して、麻藥の所在及び移動の責任を明確ならしめんとするものであります。第四に、行政機関が麻藥の製造、在庫、消費等につきましての適切な施策を行い得るため、麻藥取扱者に対して所定の報告を徴することといたしております。
本法案は、去る六月七日本委員会に付託せられ、同十日政府より提案理由を説明の後、ただちに審議にはいつたのでありますが、政府に対する質疑は少く、麻藥中毒患者の收容施設等に関して政府との間に二、三簡單なる質疑應答があつて、十六日審査を終り、十七日の本委員会において、討論を省略して採決いたしましたところ、全員一致をもつて本案は原案通り可決すべきものと決した次第であります。
次に、大瓶取締法案について申し上げます。
大麻草に含まれている樹脂等は、麻藥と同様な害毒をもつているので、從來は麻藥として取締つてまいつたのでありますが、大麻草を栽培しでいる者は、大体が農業に從事してるのでありまして、先ほどの麻藥取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、藥剤師等とは職業の分野がはなはだしく異なつています関係上、別個な法律を制定いだしまして、これが取締りの完璧を期せんとする所存であり、これが政府の本法案提出の理由であります。
次に、この法案の骨子といたしまするところを申し上げますれば、まず大麻の不正取引及び不正使用を防ぐため、大麻を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は大麻を取扱うことを禁止しようとするものであります。次に、大麻の取引を要式行爲とし、また大麻取扱者に記帳義務及び報告義務を課じて、大麻の移動の責任を明らかにしようとするものであります。
本法案は、六月十日本委員会に付託せられ、十二日政府の提案理由の説明があり、十六日審議にはいりましたが、大麻草の栽培面積の決定と食糧増産との調整に関して、政府との間に簡單な質疑應答があつて、同日審議を終り、十七日の本委員会において、討論を省略して採決いたしましたところ、全員一致をもつて決した次第であります。
以上、簡單ながら御報告申し上げます。
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
――――◇―――――
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2-衆-厚生委員会-11号 昭和23年06月17日
昭和二十三年六月十七日(木曜日)
午後一時五十七分開議
出席委員
委員長 山崎 岩男君
理事 有田 二郎君 理事 中嶋 勝一君
理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君
理事 武田 キヨ君 大石 武一君
近藤 鶴代君 村上 清治君
太田 典禮君 福田 昌子君
松谷天光光君 師岡 榮一君
小野 孝君 最上 英子君
野本 品吉君 松本 眞一君
榊原 亨君
出席政府委員
厚生事務官 木村忠二郎君
厚生事務官 宮崎 太一君
委員外の出席者
厚生事務官 笠井勝三郎君
專門調査員 川井 章知君
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
麻藥取締法案(内閣提出)(第九一号)
民生委員法案(内閣提出)(第一〇〇号)
大麻取締法案(内閣提出)(第一一四号)
厚生年金保險法等の一部を改正する法律案(内閣提出)(第一三一号)
―――――――――――――
○山崎委員長 ただいまより会議を開きます。
麻藥取締法案及び大麻取締法案を議題に供します。両法案は前会において質疑を打切つたのでありますが、別に討論の通告もありませんので、討論を省略してただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めまして、さよう取計らいます。麻藥取締法案及び大麻取締法案を原案の通り可決いたすことに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕
○山崎委員長 起立総員、よつて両法案はいずれも原案の通り可決いたしました。
なお議長に提出いたします報告書の作成につきましては、委員長に一任していただきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 異議なしと認めます。よつてさよう取計らいます。
これで休憩します。
午後二時休憩
――――◇―――――
午後二時三十一分開議
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2-衆-厚生委員会-10号 昭和23年06月16日
昭和二十三年六月十六日(水曜日)
午後一時五十八分開議
出席委員
委員長 山崎 岩男君
理事 有田 二郎君 理事 中嶋 勝一君
理事 田中 松月君 理事 武田 キヨ君
理事 徳田 球一君
井上 知治君 大石 武一君
小笠原八十美君 近藤 鶴代君
山口六郎次君 太田 典禮君
福田 昌子君 荊木 一久君
最上 英子君 野本 品吉君
松本 眞一君 齋藤 晃君
榊原 亨君
出席國務大臣
厚 生 大 臣 竹田 儀一君
出席政府委員
厚生事務官 木村忠二郎君
厚生事務官 久下 勝次君
委員外の出席者
專門調査員 川井 章知君
―――――――――――――
六月十五日
優生保護法案(太田典禮君外五名提出)(第七号)
優生保護法案(参議院送付)(予参第七号)
の審査を本委員会に付託された。
六月十五日
療術業存続の陳情書(療術者支持同盟会山口縣大津郡仙崎町長谷川正也外四十名)(第五七八号)
復興住宅建設促進の陳情書(神奈川縣知事内山岩太郎外九名)(第五九三号)
療術業存続の陳情書(山口縣大津郡深川町字河原山根ソノ外四十二名)(第六二四号)
建築制限並びに無届建築取締の強化に関する陳情書(岩國市長津田彌吉)(第六三二号)
恩給増額に関する陳情書(恩給増額期成全國大会)(第六四五号)
計画住宅建設費全額國庫負担の陳情書(島根縣議会土木部委員長岡本善三郎外四名)(第六五四号)
生活協同組合法制定促進に関する陳情書(長野縣購買利用生活協同組合連合会專務理事塩入胤
雄外八十一名)(第六五八号)
部落問題の解決に関する陳情書(近畿二府五縣同和事業協議会)(第六六二号)
潟町村結核療養所施設の完成に関する陳情書(新潟縣中頚城郡潟町村長柳澤守之輔外七名)(第六七一号)
癩患者の生活保護に関する陳情書(生活擁護患者大会代表者藤田武一外二十五名)(第六七四号)
國民健康保險制度の強化に関する陳情書(北海道網走支廳管内國民健康保險組合連合会委員長千葉朝雄)(第六七六号)
療術業存続の陳情書(山口縣大津郡深川町板持立野新一外四十名)(第六九〇号)
藥事法改正に関する陳情書外一件(京都府医藥制度改善期成大会外一名)(第七〇八号)
生活協同組合法の制定に関する陳情書(大津商工会議所会頭小幡文次郎)(第七一六号)
療術業存続の陳情書(療術者支持同盟会代表山口縣阿武郡三見村駅通長島重成外三十三名)(第七三四号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
藥事法案(内閣提出)(第八八号)
麻藥取締法案(内閣提出)(第九一号)
民生委員法案(内閣提出)(第一〇〇号)
大麻取締法案(内閣提出)(第一一四号)
厚生年金保險法等の一部を改正する法律案(内
閣提出)(第一三一号)
國民健康保險法の一部を改正する法律案(内閣
提出)(予閣第一〇号)
―――――――――――――
(中略)
○山崎委員長 懇談に入りました以前に引続き会議を開きます。麻藥取締法案及び大麻取締法案を議題といたしまして審査に入ります。
○榊原(亨)委員 大麻取締法案第五章第五十二條に「大麻草の栽培区域及び栽培面積は厚生大臣及び農林大臣がこれを定める」とありますが、これと食糧確保臨時措置法案との関係はどうなつておりますか。
○久下政府委員 大麻草の栽培区域及び栽培面積については、農林大臣がその大綱を定め、これに基いて厚生大臣がその細部を定めることになつておりますので、農業大臣が大綱を定めるとき、食糧確保臨時措置法との関係を調整するものと考えられますとともに、大麻草の栽培地は主要食糧の栽培地と重複する場合が少いので、問題はないものと考えております。
○榊原(亨)委員 ただいまの政府委員の答弁は了承いたしかねます。主要食糧の栽培地が大麻草の栽培地と重複しないという点も事実と違うので、両法の運用上多大の問題を起すと思うが、政府はいかに考えますか。
○久下政府委員 大麻草の栽培地と主要食糧の栽培地とが全然重複しないと申したのではないのでありまして、さような場合にも、大麻草の栽培地に関して大綱を決定する農林大臣が食糧確保臨時措置法との関係を調整することと考えるのであります。
○榊原(亨)委員 麻藥取締法第二條第十二項に家庭麻藥の定義があるが、この規定によつて、実際上支障を來すおそれはありませんか。
○久下政府委員 支障ないものと考えて居ります。
○榊原(亨)委員 麻藥取締法第十四條第一項但書に、病院、診療所の麻藥管理者が記録をつくらなければならない規定がありますが、これは各医師が診療録に麻藥の使用に関して記載する以外に、別に管理者が帳簿に記入しなければならないという意味ですか。
○久下政府委員 さようであります。
○榊原(亨)委員 第三十九條の規定によると、麻藥中毒患者で、麻藥を絶対に用いないことにすると生命の危險があるというよう者に対しても、麻藥を使用することができないことになり、適当でないと考えるが政府はどう考えますか。
○久下政府委員 麻藥中毒患者に禁断療法を施す場合、麻藥を與えないからといつて、そのために生命の危險を生ずるということはないと承知しております。
○榊原(亨)委員 もし生命の危險を生ずることがあつたらどうしますか。
○久下政府委員 さようなことはないと考えますが、もしあつたら適当に考慮します。
なお食糧確保臨時措置法案と大麻草の栽培面積との関連につきまして申し上げます。主要食糧の生産数量及び供出数量は食糧確保臨時措置法案第三條の規定によりまして、農林大臣が都道府縣別に定めることになつております。從いましてその栽培面積もおのずから定まるものであります。從來の実作反別を見まするに、主要食糧の栽培面積のほか工藝農産物の側培面積が約十三万町歩ございます。この中に大麻栽培面積である五千町歩が含まれております。從いまして主要食糧の栽培面積には何ら関係がございません。大麻草の從來の実作反別は許可面積である五千町歩以内でありますので、大体において栽培者の希望通り栽培を許可することができるものであります。
〔以下速記〕
○山崎委員長 ではこれから速記を始めてください。
○榊原(亨)委員 その点に関してはまだ了解に苦しむのでございまして、これは一應当局におかれて農林当局とよく御相談の上、食糧確保臨時措置法案とのつながりをはつきりさしていただきたいと存じます。
○久下政府委員 ただいまの榊原委員の御発言につきましては十分農林当局とも話合いをいたしまして、調整をはかるようにいたしたいと思います。
○山崎委員長 大麻取締法案に関する質疑はございませんか。
〔「なしと」呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 大麻取締法案に関する質疑を打来つて差支えありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 それでは大麻取締法案に関する質疑を打切ります。
―――――――――――――
○山崎委員長 次に麻藥取締法案及び民生委員法案の審議にはいります。質疑を許します。
○榊原(亨)委員 麻藥取締法案第二條十二項で、これらの麻藥の含有量が示されておりまするが、これを大量に集めまして、これから麻藥を抽出するようなおそれはないのでございますか。
○久下政府委員 事実的にそういうふうな心配はないものと考えます。
○榊原(亨)委員 第十四條の二項の「麻藥管理者のある病院又は診療所の麻藥施用者が当該病院又は診療所において」云々ということがありますうちに、「当該麻藥管理者がその麻藥の品名数量及び施用又は交付の年月日を記入し」ということがあるのであります。在來の実例から申しますと、これらの病院、診療所におきましては、その交付の日にちを便宜診療のカルテ記載の日をもつて代用されておるのでありますが、このたびの法案によりますと、これらの病院における診療当事者は責任をもたず、ただ管理者のみが責任をもつてこれらの記帳をはつきりしなければならぬということになりますと、非常に煩雜なることが起つてくるのでありますが、この場合にカルテその他の記載をもつて便宜これにかえるというお考えはございませんかどうか、承りたいと思います。
○久下政府委員 この場合に麻藥管理者に特別な措置をお願いたしておりまするのは、ただいまお話のございましたカルてとは別のものを考えておりまして、カルテにこうした記載をすることはもちろんでありまするが、それ以外に麻藥管理者が毎日麻藥を交付しました量、何時にどれだけのものを出したというような品名、数量と、その年月日を毎日集計をして記載をしていただきたいという意味でございます。
○榊原(亨)委員 それではその一日の集計でよろしゆうございますか。
○久下政府委員 それで結構でございます。
○榊原(亨)委員 第三十九條の中毒を治療するために麻藥を施用することができないということでありますが、現今の麻藥の禁断療法によりまして、強力な麻藥中毒患者を、初めから麻藥を使わないで禁断療法をするという実際的療法があるのでありますか、承りたいと存じます。
○久下政府委員 麻藥中毒者の治療のためには、麻藥を使わないということが最も理想的な療法であり、それ以外に療治の方法がないように考えておりますので、さような特殊な麻藥中毒患者でありましても、これを治療いたしますためには、麻藥を使わないでやるという建前でまいりたいと思います。
○榊原(亨)委員 実際上強力なる中毒患者の場合には、急激に禁断療法をすることによつて、脈搏その他が惡くなつて、生命の危險をも來す場合があるのでありますが、それでもなお中毒患者には麻藥を施用することを禁止しようというお考えでございますか。
○久下政府委員 私どもとしては、麻藥中毒患者に麻藥の施用を禁止いたしますために、生命の危險に瀕するというような実例を聞いておらないのでございます。
○榊原(亨)委員 それでは生命の危險がないという前提のもとにこの法律をおつくりになつたのでありまして、もしも事実上生命の危險があるという場合には、便法としてこれをお認めくださいますかどうかを承りたい。
○久下政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもとしては生命の危險がないものという認識のもとに、かような規定を設けたのであります。実際問題として御質疑のようなことが起りました場合には、適当な考慮を拂うつもりであります。
○榊原(亨)委員 第四十九條に「麻藥のため公安をみだすもの又は麻藥の中毒により自制心を失つたものを発見したときは、」云々「六箇月收容しなければならない。」ということがありますが、これらの公安をみださない者、あるいは自制心を失わない者の中毒患者については、どんな処置をおとりになるおつもりでありますか。
○久下政府委員 その程度のものにつきましては、監視をいたすことになりまして処置いたしたいと思つております。
○榊原(亨)委員 その監視をするといいう法律的根拠はどこにありますか。
○久下政府委員 監視をするということにつきましては、特段の法律的な根拠を設けてないのでありますが、御承知の通りに麻藥主務警察権をもつております麻藥統制官が全國に配置されておりますので、それらの者が十分注意するようにいたしたいと思つております。
○榊原(亨)委員 終りました。
○山崎委員長 それでは委員長からお尋ねしますが、麻藥患者に対して朝日賞をいただいたアイエムという藥がありますが、その効果について政府でもつて実驗されたことがありますか。
○久下政府委員 政府といたしましては実驗したことはございません。お話のような藥がありますことは承知しておりますし、またこの藥が中毒患者に対しまして禁断療法を施します場合、この禁断症状を緩和いたしますために、相当な効果があることを聞いております。從いましてこの法規によりまして、麻藥中毒患者を收容いたしますような場合には、活用いたしたいと思つております。
○山崎委員長 それからお尋ね申し上げますが、國立病院でもつて、たとえて申しますると、青森縣の大湊にあります國立病院のごとく、ああいう所に患者を收容しまして、そうして療法を與えていつた方が大変好都合であると思うのであります。ただいま中國その他から引揚げてまいりました引揚民の中にも、麻藥患者が非常に多いのでありまして、これをこのまま捨ておくということは、人道上の重大問題であると考えますので、國立病院における状況を御調査の上で、適当な処置をとつてくださつたならば、大変患者に対しても有益であり、また地方の人も喜ぶだろうと思います。その点について御御見を伺います。
○久下政府委員 お話の通りに十分処置をいたすつもりであります。なお御引例にはございませんでしたけれども、東京附近には武藏野療養所という精神病の療養所もございます。これらも相当なベツトが空いておりますので、これらの者の收容施設として十分活用してまいりたいと思います。
○山崎委員長 麻藥取締法案について他に御質疑ございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 麻藥取締法案に対する質疑は打切つて差支えありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 それでは麻藥取締法案に対する質疑を打切ります。
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2-衆-厚生委員会-8号 昭和23年06月12日
昭和二十三年六月十二日(土曜日)
午後一時十二分開議
出席委員
委員長 山崎 岩男君
理事 有田 二郎君 理事 田中 松月君
理事 武田 キヨ君 理事 徳田 球一君
井上 知治君 近藤 鶴代君
村上 清治君 武藤運十郎君
師岡 榮一君 最上 英子君
野本 品吉君 松本 眞一君
齋藤 晃君 寺崎 覺君
榊原 亨君
出席國務大臣
厚 生 大 臣 竹田 儀一君
國 務 大 臣 野溝 勝君
出席政府委員
厚生事務官 久下 勝次君
委員外の出席者
專門調査員 川井 章知君
―――――――――――――
六月十日
大麻取締法案(内閣提出)(第一一四号)
理容師法特例法(内閣送付)(予閣第七号)
性病予防法案(内閣送付)(予閣第八号)
予防接種法案(内閣送付)(予閣第九号)
同月十一日
厚生年金保險法等の一部を改正する法律案(内閣提出)(第一三一号)
の審査を本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
藥事法案(内閣提出)(第八八号)
大麻取締法案(内閣提出)(第一一四号)
性病予防法案(内閣送付)(予閣第八号)
予防接種法案(内閣送付)(予閣第九号)
医療制度に関する件
―――――――――――――
○山崎委員長 ただいまより会議を開きます。
本日の議題であります藥事法案、麻藥取締法案及び民生委員法案をしばらく後回しにいたしまして、日程を追加して、今回新たに本委員会に審査のために付託されました大麻取締法案、及び予備審査のために付託されました性病予防法案及び予防接種法案を議題といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議がなければ、大麻取締法案、性病予防法案及び予防接種法案を一括議題に供します。まず審査に先立ちまして政府側より提案理由の説明を求めます。竹田國務大臣。
○竹田國務大臣 ただいま議題となりました大麻取締法案について御説明いたします。
大麻草に含まれている樹脂等は麻藥と同樣な害毒をもつているので、從來は麻藥として取締つてまいつたのでありますが、大麻草を栽培している者は大体が農業に從事しているのでありまして、今回提出されています麻藥取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、藥剤師等は、職業の分野がはなはだしく異つています関係上、別個な法律を制定いたしまして、これが取締の完璧を期する所存であり、本法案を提出する理由と相なつております。本法案の構成といたしましては、総則、免許、大麻取扱者、監督、雜則、罰則の六章及び附則からなつておるのでありまして、全條分は二十三條であります。
次にこの法案の骨子といたしまするところを説明いたします。まず、大麻の不正取引及び不正使用を防ぐため、大麻を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は、大麻を取扱うことを禁止しておるのであります。
次に大麻の取引を要式行為とし、また大麻取扱者に記張義務及び報告義務を課して大麻の移動の責任を明らかにしたのであります。勅令第五百四十二号に基く大麻取締規則を廃止したのであります。
以上大麻取締法案の骨子につき、大要の御説明を申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上速やかに可決せられんことを切望いたします。
以下は「性病予法案」。面白いのでオマケ。
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大麻についての誤解に満ちた風聞を社会に流布している「(財)麻薬・覚せい剤濫用防止センター」の記述を検証するに当たり、もしダメセンターが自ら修正を予定しているなら徒労になるので、糸井専務理事に電話インタビューしました。
大麻についての誤解に満ちた記述について、変更する予定は今のところないとのことでした。
記述の根拠に更新はなく、発行年月日も分らない米国の冊子一冊のままだそうです。現在は特に海外の研究データを収集するといったこともしていないとのこと。
また、大麻についての記述は、厚労省が作文したのか、センターが書いたのかも不明だそうです。最終的には厚労省の指導を受けてネットの情報を公開しているのだそうです。
現在の記述を公開する際、他の情報に当たらなかったのか質問したところ、
「当時、世界各地から集めた情報をまとめた形でああいう形になったんです」
とのこと。では、世界各地から集めた他の情報源を教えて欲しいというと、それは「今となっては分らない」そうです。
現在の科学的知見に基づいた記述に訂正して欲しいと申し入れました。
こちらから具体的な記述について誤りの指摘などを申し入れれば、記述を修正するという約束はできないものの、厚労省の担当者に申し送るとのことです。
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