平成17年(う)第275号 大麻取締法違反被告事件
控訴趣意書
平成17年3月14日
東京高等裁判所第12刑事部 御中
被告人 ■■ ■■
弁護人 髙濱 豊彦
第1 大麻取締法24条の2第1項の違憲性
原審は、本件に大麻取締法24条の2第1項を適用しているが、同項は、少なくとも大麻「所持」に関する部分において憲法13条、14条及び31条に違反するものとして無効であるから、本件は構成要件該当性を阻却される。この点において原審判決は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤り(刑事訴訟法380条)を含むものである。
以下、憲法の規定ごとに論ずる。
1. 憲法13条(幸福追求権の保障)との関係
(1)原審は、大麻につき、種々の精神薬理作用として衝動的あるいは興奮状態、不安恐怖状態、妄想や幻覚の発現等々の症状を列挙した上で、大麻が人体に有害なものであることは公知の事実である、とし、どのような範囲で法的規制を加えてどのような刑罰をもって臨むのかについては原則として立法政策の問題であるとして、大麻取締法の規定は憲法13条に違反しているものではない、としている。
(2)しかし、大麻その他の物質の使用、特に本件のような鎮痛剤としての利用を含む医療的利用は、ライフスタイルに関わるものとして個人の自己決定権の一内容をなし、したがって憲法上幸福追求権(13条後段)に含まれるから、その規制手段は、規制目的との関係で必要性・合理性の認められるものでなければならず、原審のいうような「立法政策」あるいは「立法裁量」の問題とされている訳ではない(在監者の喫煙規制に関する最大判昭和45年9月16日:民集24巻10号1410頁参照)。
大麻の有害性としては、原審の列挙した「衝動」、「興奮状態」、「不安恐怖状態」、「錯乱状態」については特に存在せず、「妄想」、「幻覚」、「幻視」、「幻聴」といった精神分裂症的症状は、大麻によって発症するかどうかについては勿論、既に精神分裂症に罹患している者の症状を昂進させるかどうかについて未だ争点として残されており、せいぜい既に罹患している者の症状を昂進させる可能性があるとされているに止まる(WORLD HEALTH ORGANIZATION「Cannabis : a health perspective and research agenda」(世界保健機関「大麻:健康の視点と研究課題」)(1997年(平成9年)4月)以下「WHO報告書」という)。
確かに、原審のいうように「パニック反応などの症状が生ずることもあり、」また「多用者や常用者については精神的依存性がみられ」得るが、「慢性的な人格障害として、自発性、意欲、気力の減退、生活の退嬰化が生じ得る」というのはあくまでも仮説上の異状にすぎず、仮説の基礎となっている臨床観測は適切に管理されたものでもない。更に、このような無気力症候群自体明確に定義されてきたものでもないのである(WHO報告書)。
このように大麻の有害性自体疑問の余地の大きいものであるから、原審のように「人体に有害なものであることは公知の事実である」とするのは不当である。
また、大麻は、癌の化学的療法における嘔吐・吐き気の抑制剤として、及びHIV(AIDS)の衰弱症候群における食欲刺激剤として、また緑内障の上昇した眼の内圧を下げるのに有用であることが立証されてきており、更に、本件のように強力な鎮痛剤としての効能も認められている(WHO報告書)。
以上のような大麻の有害性に関する多くの疑問点、加えて医療的利用における確立された有用性からすれば、大麻の単なる所持、特に医療的利用のための所持までも規制し処罰する大麻取締法24条の2第1項は、社会全体の保健衛生上の危険防止という規制目的を達成するための手段として合理性・必要性を欠いていることが明らかである。
したがって、上記規定は憲法13条に違反し無効である。
2. 憲法14条(法の下の平等)との関係
(1)原審は、「アルコール飲料や煙草は、古くからその社会的効用が認められ、広く一般に受け入れられてきたものであり、また、その摂取による心身に及ぼす影響についてもよく知られて」いるが「大麻についてはこれらの事情が歴史的に異なる」などとして、両者の「規制が異なるからといって、直ちに不合理な差別とは言え」ないとしている。
(2)確かにタバコやアルコールは心身に及ぼす悪影響についてよく知られているが、その社会的効用までもが古くから一般に認められてきたとするのは甚だ疑問であり、少なくとも大麻との差別的取扱いを正当化するだけの理由が欠けていることは明らかであり、この点で原判決は理由不備を免れない。
(3)また、原審は、前記1で引用したように、先に大麻が「人体に有害なものであることは公知の事実である」としながら、ここでは、タバコやアルコールは心身に及ぼす影響についてもよく知られているが大麻についてはそれとは異なる、すなわちよく知られていない、としており、論旨の内部矛盾を含む点において原判決は理由齟齬をきたしているともいえる。
(4)憲法14条の法の下の平等については、事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでないかぎり差別的な取扱いをすることを禁止する趣旨と解すべきである(旧尊属殺人重罰規定に関する最大判昭和48年4月4日:刑集27巻3号265頁参照)。
(5)そこで大麻とタバコ及びアルコールの有害性について比較してみると、末尾の比較表のように、総じて大麻はタバコあるいはアルコールと大差ない、あるいはむしろタバコやアルコールの方が有害性において上回っている分野もある(以下の比較は、WHO報告書、厚生労働省「たばこと健康に関する情報ページ」、社団法人アルコール健康医学協会ホームページに依拠した)。
すなわち、脳・行動への影響については、大麻の場合急性的に学習能力・精神運動能力を損ない、自動車運転において事故発生の危険を増大させ、慢性的には認知機能への微妙な影響、大麻への依存、精神分裂症患者において症状の促進の可能性があるが、タバコの場合脳卒中の罹患率を上昇させニコチン依存症の原因となり、アルコールでは急性的に暴力的・衝動的になるという人格変化、死亡の危険、飲酒運転による事故発生の危険の増大、慢性的には学習能力・集中力・記憶力の低下をきたし、アルコール依存症の原因となる、というように、大麻よりアルコールの有害性の方が大きいことが明らかである。
次に心臓・血管への影響についてみると、大麻は頻脈となる可能性があるものの、血圧増加は10パーセント未満であるのに対し、タバコは心筋梗塞、狭心症等の虚血性心疾患の罹患率を上昇させ、アルコールは、心拍数・心臓の負担の増大、更には急激な血圧上昇の原因となる、というように、むしろ大麻よりもタバコ・アルコールの有害性の方が大きい。
呼吸器系への影響では、大麻の長期にわたる継続的使用により肺の炎症、慢性気管支炎の原因となる可能性があるに止まるのに対し、タバコでは肺癌の危険度を増大させるという点で、タバコの方が有害である。
肝臓・消化器官への影響では、大麻は殆ど、あるいは全く悪影響が存在しないのに対し、タバコは口腔・咽頭癌、食道癌、膀胱癌の危険を増大させ、アルコールは喉頭癌、食道癌、肝硬変、胃炎、胃潰瘍の危険を増大させるという点において、タバコ及びアルコールの有害性が明らかに上回っている。
妊娠中の女性が大麻を使用した場合、出生後の子における精神運動能力への影響は極めて僅かなものであり、母親の超重度使用のときのみ子に注意力減退・衝動性の増大がみられるのに対し、タバコでは出生後の子において体重減少、早産、自然流産、周産期死亡の危険が高く、アルコールでは子の知能発達の遅延、様々な奇形の原因となるというように、ここでもタバコ・アルコールの有害性の方が大きい。
加えて、前記1で述べたとおり、大麻には、タバコあるいはアルコールにはない医療的利用という大きな有益性が認められる。
以上のことからすれば、未成年者についてのみ使用を禁じ親権者等を科料、販売者を罰金に処するに止まるタバコ・アルコールにおける取扱い(未成年者喫煙禁止法1条・3条・5条、未成年者飲酒禁止法1条・3条)、更にはこれらが事実上放置されているという運用実態と比較して、単なる所持も含めて全面的に使用を禁じた上で違反者は常に懲役刑に処し、逮捕・勾留も伴うという大麻における取扱いは差別的取扱いとして合理性を欠いていることが明らかである。
したがって、大麻取締法24条の2第1項は、少なくとも「所持」については憲法14条に違反し、この点からも無効たるを免れない。
3. 憲法31条(適正手続の保障)との関係
(1)原審は、憲法31条との関係においても「原則として立法政策の問題であり」「立法裁量」の問題とした上で、法定刑が1月以上5年以下の懲役であって選択刑として罰金刑のない現行大麻取締法24条の2第1項も同条に違反しない、としている。
(2)しかし、憲法31条との関係では、「およそ刑罰は、国権の作用による最も峻厳な制裁であるから、特に基本的人権に関連する事項につき罰則を設けるには、慎重な考慮を必要とすることはいうまでもなく、刑罰規定が罪刑の均衡その他種々の観点からして著しく不合理なものであって、とうてい許容し難いものであるときは、違憲の判断を受けなければならないのである。」(「猿払事件」に関する最大判昭和49年11月6日:刑集28巻9号393頁参照)
そこで大麻取締法24条の2第1項の特に「所持」に関して検討すると、前記1・2において述べたような大麻の性質、特にタバコ・アルコールと比較しても有害性が下回りタバコ・アルコールにない医療的効能を有する点からすれば、このような大麻の単なる所持、就中医療的利用のための所持に対して常に懲役刑を科し、選択刑として罰金刑もなく、初回には刑の執行が猶予されるとしても逮捕・勾留という長期間の身柄拘束を伴い、保釈には極めて高額の保証金を要し、その間失職の危険を生じ、2回目以降には確実に実刑となる現行法の規定及び運用は、罪刑の均衡及び実質的制裁の大きさという観点から著しく不合理なものであって、とうてい許容し難いものであるから、全体として憲法31条に違反するものといえる。
第2 正当行為・緊急避難行為としての大麻所持
原審は、被告人の大麻所持が正当行為ないしこれに準ずるものであるといえないことは明らかである、として行為の違法性を肯定しているが、被告人の本件行為は以下のとおり正当行為及び緊急避難行為の要件を充足し違法性が阻却される。この点においても、原審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤り(刑事訴訟法380条)がある。
1. 正当行為(刑法35条)としての大麻所持
(1)原審は、被告人の大麻使用が医師の処方に基づくものでないという理由で、被告人の大麻所持が正当行為ないしこれに準ずるものであるといえないことは明白である、としている。
しかし、大麻使用について医師の処方を受けることは、少なくともわが国内では不可能であり、原審の掲げる理由は不備ないし齟齬があるといえる。
(2)本件における被告人の大麻所持・使用は、次のとおり、大麻の鎮痛剤としての効能を知悉していた被告人が医療行為の一環として行ったものであり、その行為態様・結果からして社会的相当性が認められ、正当行為として違法性が阻却される。
すなわち、被告人は、中学1年のときバスケットボールを始め、中学時代は社会人のチームに所属し週5日・1日約2時間、高校時代には部活動で週6日・1日約2時間、加えて社会人のチームで週4~5日・1日約2時間、試合・練習等に励んだ。
中学2年のころから被告人には腰痛の症状があり、当時の■■県■■市の医師に「腰椎椎間板症」と診断され、中学時代に2,3回通院した他、中学2年・3年時には■■市内の整骨院に週3回通院した。
その後、平成12年2月に被告人は学生ビザで渡米し、写真を学ぶためにロサンゼルス・シティ・カレッジに転入し、平成16年7月に帰国するまで、途中1,2か月間帰国した以外はずっと在米生活であった。
被告人の腰痛は高校時代は殆ど出なくなっていたが、在米中の平成16年1月ころから腰痛が悪化し、同月の末ころには動けないほどになったため、同年2月からロサンゼルス市の南方にあるトーレンス市で開業している医師のツネオ・ヒラバヤシ氏のところへ行き、そこに4回くらい通院し、バイキリンという鎮痛剤を処方してもらったが、実際に服用してみたところ、眠気・できもの・食欲不振・便秘などの副作用が出たので、被告人は、同月ころ、カリフォルニア州内にある飲食店のオーナーの知人であるアメリカ人医師に相談した。
すると、その医師が「WEED」(雑草)つまりマリファナを奨めたので、被告人が上記オーナーに相談したところ、そのオーナーは「医療用大麻だよ」と言いつつ、赤十字マークの箱に入れられていた乾燥したカリフラワー状の大麻を被告人に譲った。被告人がそれをほぐして紙巻きにして煙を吸ってみると、約10分後に顕著な鎮痛効果が出た。なお、このとき何ら副作用らしきものは出なかった。
被告人はその後、平成17年2月に学生ビザが切れるので今度は職業ビザを取得しようと考え、また、悪化していた腰椎椎間板症の治療のために、平成16年7月16日に帰国した。
帰国後、被告人は、友人の■■■という整体師のもとに腰痛治療のため通ったりしたが、平成16年8月13日、朝からずっと腰痛が酷かったため、同日午後6時ころに東京・新宿の長距離バスの停留所でバスに乗車できなかった後、中野総合病院、聖路加国際病院に電話したが、いずれも整形外科の医師がいないと言われた。
通常の薬剤では強い副作用が出るが大麻では副作用が出ずに抜群の鎮痛効果のあることを記憶していた被告人は、大麻を入手しようと思い立ち、渋谷へ向かい、午後8時すぎに特に組織暴力などと関係のない人物から大麻樹脂を購入し、点火してその煙を吸ったところ、明らかに痛みが軽快した。
その後被告人は、京王井の頭線に乗り吉祥寺駅で午後11時ころ下車した後、近くの路上を歩行中、再び腰痛に見舞われたために、もう一度大麻の煙を吸い、それによって腰痛が消失した。
以上述べたとおり、被告人は本件大麻所持を、腰痛軽減のための鎮痛剤として使用する行為の一環として行ったものであり、通常の薬剤では強い副作用が出、また医師の治療を受けることができなかったという事情があり、実際に鎮痛効果には顕著なものがあったのであるから、被告人の本件行為は刑法35条の定める正当行為として違法性が阻却される。
2. 緊急避難行為(刑法37条)としての大麻所持
前記1のとおり、被告人の本件行為は、腰椎椎間板症による強い腰痛という自己の身体に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為であり、前記第1で述べたとおり、これによって生じた害は小さく、避けようとした上記の腰痛という害の程度を超えないことが明らかであるから、刑法37条に規定する緊急避難の要件を充足し、この点からも違法性が阻却される。
第3 結論
以上述べたところからすれば、被告人の本件大麻所持行為は構成要件該当性及び違法性が阻却され犯罪が成立しないことが明白であり、原判決は破棄を免れない。
以上
平成17年(う)第275号 大麻取締法違反被告事件
事実取調請求書
平成17年3月14日
東京高等裁判所第12刑事部 御中
被告人 ■■ ■■
弁護人 髙濱 豊彦
書証
(1)WHO「Cannabis : a health perspective and research agenda」
(世界保健機関「大麻:健康の視点と研究課題」)(平成9年4月発行)
(立証趣旨)
大麻の人体に対する影響及び医療的効能という医学上の経験則を立証する。
(2)厚生労働省「たばこと健康に関する情報ページ」(平成17年2月14日時点)
(立証趣旨)
タバコの人体に対する影響という医学上の経験則を立証する。
(3)社団法人アルコール健康医学協会ホームページ(平成17年2月14日時点)
(立証趣旨)
アルコールの人体に対する影響という医学上の経験則を立証する。
以上
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ヘルニア痛を抑える目的で大麻を所持していたのだから無罪であるとして、「懲役6月執行猶予2年」の判決を不服とし、控訴したNさんの控訴趣意書が届きましたので掲載します。Nさんの主張と情報を基に、国選弁護人が書いたものです。大麻取締法が違憲であることを論証しています。
公判日時が分かり次第お伝えします。東京地方の方、ぜひ傍聴にお出かけ下さい。
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一審判決文抜粋
(弁護人の主張に対する判断)
1. 弁護人は、(1)大麻取締法は憲法13条、14条、22条1項、25条、31条、36条に違反する、(2)本件には実質的ないし可罰的違法性がないので、このような事案に大麻取締法を適用することは憲法13条、14条、22条1項、31条、36条に違反する、(3)被告人が本件大麻を所持していたことは認めるが、その目的は腰の痛みを軽減するためであり、その所持目的には正当性があり、刑法35条の正当行為に準ずるものであり、みだりに所持していたのではなく、正当行為である旨主張するので、以下判断する。
2. 大麻が以下のとおり精神薬理作用を有しており、人体に有害なものであることは公知の事実である〔注1〕。大麻は摂取することによって陶酔的になったり多幸感をもたらす反面、衝動的あるいは興奮状態や不安恐怖状態になったり、妄想や幻覚の発現、パニック反応などの症状が生ずることもあり、特に多量に摂取した場合には、幻視、幻聴が現れたり、錯乱状態になることがある。多用者や常用者については精神的依存性がみられ、慢性的な人格障害として、自発性、意欲、気力の減退、生活の退嬰化が生じうる。したがって、大麻の有害性を否定することはできない。
3. 所論は、仮に大麻が有害なものであるとしてもこれを規制する手段として懲役刑を科することの不合理性をいうが、大麻の有害性が上記のような内容及び程度を有しており、個人のみならず、社会全体の保健衛生上の危険防止という公共の利益の見地から規制することは十分に合理的である。また、どのような範囲で法的規制を加えて、どのような刑罰をもって臨むのかについては原則として立法政策の問題であり〔注2〕、現行の大麻取締法による規制のうち、本件に関する法定刑は1月以上5年以下の懲役であり、選択刑として罰金刑はないが、その下限は懲役1月であり、その刑期も幅が広いし、執行猶予制度もあることからすると、前記規制の内容及び程度が立法裁量の範囲を逸脱しているものとはいえない〔注3〕。以上のことから、本法の規定は憲法13条、25条、31条、36条に違反しているものではない。また、被告人の大麻所持が吸引あるいは摂取する目的であって、栽培を職業とするものとは何ら関係がないので、憲法22条1項違反をいう点は失当であって、理由がない〔注4〕。
4. 心身に有害とされるアルコール飲料や煙草に対する規制と大麻取締法による規制との不均衡が憲法14条に違反するとの主張について
アルコール飲料、煙草と大麻とでは、それらの心身に及ぼす影響が異なるため、有害性の程度を単純に比較することは困難である。また、有害物に対する規制の内容・程度は規制対象となる物の有害性の内容・程度、それぞれの有害性の社会的認知度、規制対象物の文化的歴史的背景、その社会的効用の内容・程度、これらに対する国民の意識等を踏まえて検討されるべきであって、アルコール飲料や煙草は、古くからその社会的効用が認められ、広く一般に受け入れられてきたものであり、また、その摂取による心身に及ぼす影響についてもよく知られており、したがって過剰摂取等への対応も歴史的になされてきているのに対し、大麻についてはこれらの事情が歴史的に異なるのであるから〔注5〕、その規制が異なるからといって、直ちに不合理な差別とは言えず、憲法14条に違反するとはいえない〔注6〕。
5. 前記のとおり、大麻に有害性があり、その内容・程度からこれを規制することについて、合理性が認められる以上、その所持について、実質的ないし可罰的違法性があることは当然である〔注7〕。
6. 被告人の大麻使用は、腰の痛みを緩和するためであるというが、被告人は痛みを和らげるために、大麻を吸いたいと思って、渋谷のセンター街に出て、中東系の外国人に声をかけて、4000円で大麻樹脂を購入して使用したものであり、医師の処方に基づいて使用したものでないことが認められ、被告人の大麻所持が正当行為ないしそれに準ずるものであるといえないことは明らかである〔注8〕。
(量刑の理由)
大麻の使用が規制され、刑事罰に処せられることは上記説示したとおりである。
被告人は、アメリカに留学して、大麻を使用するようになり、平成16年7月に帰国した後、本件当日前述した経過で、大麻樹脂を購入して、これを所持していたのを警察官の職務質問を受け、通常逮捕されたものである。
しかしながら、被告人は大麻所持について、正当性を主張しているが、本件によって逮捕、勾留されており、犯罪となることについて、自覚する機会が与えられていること、被告人の母親が出頭して、被告人を監督する旨述べていること、被告人にこれまで前科前歴がないことなどを考慮して、今回に限り、刑の執行を猶予することとした。
【メモ】
〔注1〕 大麻の薬理作用等には議論の余地があり、原審のいうように人体に有害なものであることが「公知の事実」となっているとはいえない。
〔注2〕 本件の大麻所持はライフスタイルにかかわるものとして個人の自己決定権に含まれるが、憲法13条の幸福追求権の一内容をなすものとして、その規制は、規制目的の正当性を前提として、規制手段は合理性・必要性の認められる範囲内に止められるべきであって、「原則として立法政策の問題」にすぎないとするのは不当。また、憲法31条の定める適正手続の観点からは、刑罰規定が罪刑の均衡の点で著しく不合理なものであるときは同条違反となる。
〔注3〕 大麻取締法の規制目的が正当であると仮定しても、大麻の単なる所持も含めていかなる場合も規制の対象としている点で、合理性・必要性は認められない。また、常に懲役刑をもって規制している点、2回目からは確実に実刑となる点、執行猶予の場合も含めて逮捕・勾留を伴い、起訴後の保釈には極めて多額の保証金を要する点など、軽微な行為に対し過度に重い規制手段がとられているという面で罪刑の均衡を失し、著しく不合理な規制であるといえる。
〔注4〕 上記の理由から、大麻取締法は憲法13条・31条に違反し無効である。これに対し、憲法25条(生存権)、36条(拷問・残虐な刑罰の禁止)、22条1項(職業選択の自由)は、本件とは関係がない。
〔注5〕 原審は一方で大麻が人体に有害なものであることは公知の事実であるとしながら(注1参照)、他方で、アルコール飲料や煙草は心身に及ぼす影響についてよく知られているが大麻はそれと異なる(知られていない)、と言っている。この点で原審は自己矛盾を含んでいる。
〔注6〕 例えば、喫煙に対する規制は、未成年者喫煙禁止法はあっても事実上野放しであり、健康増進法25条は学校、飲食店等の管理者に受動喫煙を防止するための必要な措置を講ずる努力義務を課しているが義務の内容は不明確であり違反しても罰則等の制裁はない。千代田区の条例では、路上禁煙地区での路上喫煙に対し過料2万円以下(当面は2000円)、逮捕者は出ていない。 これと比べた場合、大麻は本件のような単なる所持に対しても懲役刑が科され、罰金刑の余地もなく、逮捕・勾留の事例も相次いでいるものであり、その差別的取扱いは合理性を欠き、法の下の平等を定めた憲法14条に違反することが明らかである。
〔注7〕 実質的ないし可罰的違法性の理論は、具体的行為が仮に違法性を欠くとはいえないとしても、可罰性が否定されるものであるが、原審は本件について具体的な検討をせず抽象論のみで結論を導いており、不当。
〔注8〕 原審は医師の処方がないことを根拠として正当行為でないと断じているが、本件のような場合医師の処方を求めること自体、少なくとも国内では不可能である。
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ヘルニア治療による大麻所持は無罪であることを主張して控訴したNさんの原審判決文を掲載します。
Nさんは、国選弁護人とも相談のうえ、大麻取締法違憲論を主論とした控訴趣意書を3月14日の提出期限に向けて作成中です。 国選弁護人でもきちんとした法廷闘争ができるかどうか、試金石になるかと思います。
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嘆いてなんかいられない。俺たちを苦しめているのは誰なのだ。
攻めてこいよ、テメエらこそが、やられるぜ。
生まれてから死ぬまで、ずっと押しつぶそうというのなら、俺は闘う。
やるならやってみろ、俺はもっと激しくやり返してやる
-映画 THE HARDER THEY COMEより-
12月7日判決。懲役6月執行猶予2年。裁判官は小さな声で早口で読み上げた。最後に「被告人は判決が不服そうだが、現在の日本では無罪はありえない。大麻が合法な国に行って使用すれば問題はないが…」あまりにも小さい声で早口で言っているので、何を言ってるのかはハッキリとはわからなかったが、ふざけた話だった。
8月28日に逮捕され、取調べの刑事に医療用目的での使用だと説明した。取調べは今年還暦になるKという老刑事と、被疑者の取調べは俺が始めてだという若いI刑事。俺のケースというのは、極めて稀らしかった。というのも、大麻樹脂を所持していて、捕まったのは8月の13日の深夜。しかし、大麻試薬の反応が出ず、任意で証拠提出をして一旦は釈放された。後日、正式な鑑定の結果、大麻である事が確認されたため出頭した。渋谷で薬物を25年担当してきたという老刑事にとって俺は、彼の刑事人生の中で指定された日時に出頭してきた初めての被疑者だと言っていた。その為、若い刑事の最初の取調べの被疑者にされたのだろう。
若い刑事は誠意を持って対応してくれたと思う。大麻の知識がまるで無い彼に、一から俺が教えるはめになって面倒だったが、初めから頭ごなしに決め付けられるよりは、よっぽどマシだった。留置場にいる俺を気遣い、保釈が決定するまで、ほぼ毎日取り調べという名目で留置場から出してもらい、色々な話をした。最初は大麻なんて薬物だと言っていた老刑事も、途中で大麻だけの個人的使用は問題無いと思うと言った。それは俺に言わないで俺の親に電話してやってくれと頼むとその通りにしてくれた。現場ではわかっているのだ。大麻に犯罪性なんて無い事を。ただ、法律があるから法治国家である以上、警察としての仕事をする。と言っていた。
起訴になるか決まる3日前、老刑事は俺に聞いた「もし、処分保留で釈放になったら、俺に大麻樹脂を売った売人を探しに渋谷のセンター街に行ってくれるか?」と聞かれた。もちろん即答した。「警察として、俺を捕まえるよりも、俺の上で売っている奴等を捕まえないのはおかしい」と言っていた。
そして、検事が起訴かどうか判断する前日に、いつものように留置場から出されて言われた。「検事の判断だから、こっちじゃどうしようもないが、渋谷の売人を捕まえたいから不起訴にしてくれって言ってあるから、頑張れ」と言われた。最初は大麻を否定していた刑事が、大麻の犯罪性の無さを認め、問題なのは大麻だけでは無くその他のドラッグを扱って生計を立て、その上には暴力団や蛇頭などの関係がある事だと言ってくれた。
じゃぁ捕まえるなって言ったが、そこにも俺の場合はややこしかった。俺が捕まったのは警視庁の人間で、所轄警察署に渡されている関係上、勝手に釈放出来ないらしかった。というより、その判断にはウエの判断が必要だったらしく、老刑事にそこまでの権限は無かったのだ。その事は若い刑事から聞かされた。老刑事が俺の事でウエにかけあい、たしなめられた事も聞かされた。警察が俺に恨まれないための手口なのかもしれないが、事実毎日のように取り調べ室に連れていかれる俺に刑事課の他のヤツラの目線は冷やかだったし、留置場の警察官はもっと露骨に俺だけ毎日外に出される事を、他の留置人との兼ね合いも上手くないと思い、俺は留置場内は邪険に扱われた。
俺の幸運もここまでだった。事件担当の副検事が最悪の人間だった。頭から、犯罪として扱われ、検事とのやり取り中には、彼は目を合わせなかった。途中裁判所から電話がなった。「裁判所から保釈の件で電話です」「彼は若いけど相当大麻に傾向しているようだから、まぁ、今回は保釈金は高めで」冷たく言い放った。保釈金とは相手の経済事情とかでは無く、多分、保釈申請をしている彼は検事の前で大麻取締法の不合理を説いたのだろう。その仕返しとして、保釈申請を蹴られ保釈金を吊り上げられているのだ。何という事だろう。何という国だろう。この国において言論の自由なんて無い。出る杭は徹底的に叩かれるのだ。三権分立などとはただの言葉だ。実際は検事、弁護士、裁判官が日本古来の風習である談合で全て決まるのだ。検察官の意見はあくまで「意見」にすぎないので、裁判所がこれに拘束される必要もなければ、検察官の顔を立てる義務もないはずだが。目の前にいるそいつは、全部俺が決めるんだぞという倣岸不遜な無機質な目をした男だった。
俺は、そいつの言うままに調書を取られ、俺が言った言葉を選び、横の男にタイプさせた。多分検察官の能力とはこの部分を指すのだろう。一字一句裁判で不利になる事は書かず、起訴が決定する前の俺に無言の圧力をかけ、拇印を押させた。言った内容とはだいぶ変わっていたが、この時点でまだ不起訴を望んでいた俺は、黙って拇印を押した。その直後、目の前の権力の化け物は言い放った。「君はいい弁護士つけたね。こんなに不起訴にしてくれって資料送ってきたよ」と目の前の資料を見せられた。「だけど、今回は起訴するから。大麻樹脂は起訴する方針でね。」
目の前が真っ暗になった。検察官は続けて言い放った。「大麻樹脂は成分を凝縮してるから普通より重い。それに君が買ったように不良外国人の犯罪の温床だ。その上には暴力団などの資金源になっているから、見逃すわけにはいかない」・・・で俺を捕まえれば、不良外国人はいなくなるのか?納得なんて出来なかったが、起訴されてしまったらしょうがない。後は保釈と裁判だった。
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大麻樹脂0.4グラムの所持で8月28日に逮捕されたNさんの判決公判がありました。
Nさんは、 ヘルニアの鎮痛効果を得るために大麻を所持していたと、調べでも公判でも供述・証言し、前回の初公判でも本人は無罪を主張しました。
ご本人から聞いたところによると、求刑6月に対し、懲役6月執行猶予2年の判決だったそうです。
ご本人は、判決に納得できないから控訴するとのこと。引き続き注視したいと思います。
後日、ご本人が事件と裁判のレポートを書いて下さることになりました。
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本人と弁護人が無罪を主張しました。求刑6ヶ月。次回、判決公判です。近いうちに傍聴記を掲載します。
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ヘルニアの痛みを抑える目的で大麻を所持していたNさん(26歳・男性)は、今年8月28日に大麻取締法違反容疑(所持0.4グラム)で逮捕され、9月8日に起訴された。Nさんの事件を継続的にレポートします。
Nさん裁判
第1回公判 2004年10月26日(火) 東京地方裁判所八王子支部
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米国での四年半の留学生活を終え、Nさん(26歳・男性)は、今年7月16日に帰国した。
8月13日、就職活動の用もあって大阪に出かけていたNさんは、東京での用事を片付けてから新宿発の高速バスで■■県の実家に帰る予定だった。
東京に着いた時は、移動の疲れもあってか、腰に辛い痛みを感じていた。持病のヘルニアだった。高速バスに乗るのも腰に負担となりそうだった。近くに整形外科があれば診てもらおうと思い、いくつかの病院に電話をしたが、お盆休みで緊急医しかいなかった。持病のヘルニア痛に大麻が効くことを知っていたNさんは、渋谷に向かい、イラン人と思われる男から0.5グラム4,000円で大麻樹脂を買った。
高速バスは、お盆の帰省混雑で空席はなかった。都内の友人宅に泊めてもらうことにし、所用を済ませたNさんは、吉祥寺駅に降り立った。徒歩で友人宅に向かう途中、井の頭公園を抜ける際、腰の痛みが激しくなっていたNさんは、大麻樹脂を一服した。パイプは米国滞在中に彼女から貰ったものだった。
Nさんが大麻を知ったのは米国に渡ってしばらくしてからのことだ。喘息に悩んでいたNさんに、大学の友人が勧めてくれたのだ。確かに、大麻を吸って、喘息がよくなった。だが、Nさんは大麻はあまり自分には合わないと思い、常用することはなかった。アルコールの方がいいと思っていた。パーティーなどでジョイントが回ってくることはあったが、吸わずに隣に回した。
喘息が治まると、Nさんは特に大麻と触れることもなく留学生活を過ごしたが、今年の1月末、腰痛に耐えかねて日本人医師のいる病院へ行った。ヘルニアと診断され、以降、4月まで毎週3回の通院を続けた。薬を処方されたが、便秘になったり、眠気が取れなかったりと、明らかに副作用があった。
当時、Nさんはジャパニーズ・レストランでバイトをしていた。50歳くらいの日本人オーナーは癌で、医師からマリノールを処方されていた。だが、オーナーはマリノールよりも大麻そのものの方が効果が高いと言って、マリノールではなく大麻を服用していた。その大麻は医療用に開発されたものだとオーナーは言っていたが、それが合法的に処方されたものかどうかNさんは知らない。
ヘルニアに悩んでいるNさんに、オーナーは、処方薬なんか服用しないで大麻を試してみたほうがいいと勧めた。Nさんは、喘息が治まったことを思い出し、大麻に切り替えてみた。日中も眠気が晴れないとか、便秘の症状は消え、大麻を吸って一定時間は痛みも治まり、快眠できるようになった。
それでもやはりNさんは大麻を嗜好目的で使うようにはならなかったが、ヘルニアの痛みを抑える目的で、時々大麻を服用するようになった。その事情を知った彼女が、自分の誕生日にプレゼントとして友人からもらったタバコ型のパイプを、自分は使わないからとNさんにプレゼントした。
帰国前には既にしばらく大麻から離れていたが、彼女からもらったパイプはお守りのように持ち歩いていた。
渋谷で買った大麻樹脂を一服してみたものの、パイプはしばらく使っていなかったせいもあり、埃でも詰まったのか、空気の通りが悪かった。午後11時半頃。Nさんは歩きながらパイプを口にし、空気の通りを良くするために、数度吹いたりした。
いきなり後ろから手を捕まれた。
「何か吸ってたろ?」
制服の警察官が二人立っていた。その場で所持品検査をされ、パイプと大麻樹脂が出た。パトカーが5台来た。警察官は10名ほどいた。パトカーの中で簡易試薬で検査したところ、反応が出たとのことで、三鷹署に連行され、取り調べを受けた。だが、その取り調べ中、パトカーの中では反応が出たように見えたが、明るい場所で見ると判別できないので、詳しい鑑定結果が出たら連絡するから出頭に応じるようにとのことで、パイプと大麻樹脂を任意提出し、採尿され、その日は帰宅を許された。
実家に戻り、ネットで調べてTHCを知り、メールした。任意出頭に応じる必要があるのかどうか、問題が微妙で素人判断は危ないので、この問題に詳しい弁護士に相談することをTHCは勧めた。
東京に事務所を持つ弁護士◆◆先生に連絡し、Nさんは相談に訪ねた。弁護士は、悪いことをしたわけではないのだから罪の意識なんか持たずに元気を出すようNさんを励まし、事情を聞くとその場で担当の刑事に電話を入れ、状況を確認した。刑事の話では、お盆を挟んで鑑定が遅れているが、陽性反応が確認でき次第、逮捕状を取るとのことだった。
弁護士の相談料は10,000円だった。一時間の料金だが、相談は一時間半に及び、状況が明確になり、大麻問題について書かれた弁護士の著書ももらい、Nさんは相談して良かったと思った。
8月25日、夜。担当の刑事から電話。鑑定の結果、大麻の陽性反応が出たので、逮捕状を取るから28日土曜日に出頭するように。Nさんはそう告げられた。
8月28日、三鷹署に出頭。逮捕。
取り調べでは、ヘルニアの痛みを和らげる目的で大麻を買い、持っていたことを話した。米国内での経験も通院歴も話した。取り調べは実質3日で終わった。刑事に厳しく責められるようなことはなかった。調べは二人の刑事が行った。直接担当したのは新米の刑事だったが、補佐指導する立場らしい年配の刑事は渋谷で薬物事犯に20年関わっていると言っていた。
Nさんについては自分の腰痛治療目的の微量所持であり、不起訴にすべきであると、◆◆弁護士は参考資料を添付して検察に正式な文書を出した。
9月8日、起訴。大麻樹脂0.4グラムの所持。
年配の刑事は、起訴後になって、自分としては不起訴でいいケースだと思うが検察が認めないのだとNさんに話した。
9月14日、保釈。保釈金250万円。Nさんには人生で最も長い17日間だった。
法を犯したことについては反省しているが、痛みが激しく、病院も休みで治療も受けられず、緊急手段として手に入れた大麻だ。犯罪者として扱われ、罪に問われるのはおかしいのではないかとNさんは考えている。
被告人にされてしまったNさんは、ヘルニアでの通院歴を証明するため、米国の病院から記録を取り寄せる手続をし、書類を待っているところだ。
◆◆弁護士とも相談のうえ、Nさんは、裁判で無罪を主張するつもりだ
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下記にNさんから頂いたメールを本人の了解を得て抜粋します。上から時系列に並んでいるので、このまま下に続いています。Nさんの取り調べでの様子や裁判の方針などは追ってレポートします。
▼ Nさんからのメール
<04.08.16.>
初めまして。Nと申します。インターネットのHPを見てメールさせて頂きました。■■県出身で、先月の15日まで4年半アメリカ(LA)生活を終え、現在、東京で就職活動中でしたが、先週の金曜日の夜、職務質問に遭い、パイプと大麻樹脂0,4グラムの所持により、警察で取調べを受けました。その場で大麻試薬の検査をし、一旦は、大麻成分が確認されたとのことで、三鷹署に連行されましたが、取調べ中に、「さっきのパトカーの中はライトの関係で大麻反応がでたように見えたが、明るい場所では、証拠としては使えない」との事で、何がなんだか分かりませんでしたが、パイプと大麻樹脂を証拠提出し、帰りに尿も提出し、父親が金曜日に入院したため連絡があり次第、出頭するとの条件で釈放され、今は実家のある■■市に帰っています。
ただ、刑事さんの話があまりにも人により違い、逮捕後の流れが一切分からなくて困っています。国選弁護士は、保釈請求してくれないのでしょうか?できれば、裁判が終わるまで、ずっと留置場も耐えれそうに無いですし、かといって仮に保釈金200万と言われても、現実問題払えません。いっその事、刑事さんから電話が掛かってくる前に、海外に飛んだ方がいいのか?も考えましたが、それでは、親にきちんと挨拶して来い。と言って、釈放?してくれた刑事さんを裏切ることになるし、一生日本に帰って来れなくなるのも考えものです。
僕自身、医療用大麻の合法化大賛成です。今年1月に、ヘルニアになり、痛くて寝れないのを、助けてくれたのも大麻です。医者に処方される薬は、過度の眠気、便秘等、副作用がきつくて、最悪でした。
自分勝手に色々好き放題、一方的にメールして申し訳ありません。ただ、今は、日本の法律の大麻に対する過剰反応にやられています。0,4グラム所持してるだけで、パトカー5台、大の大人が10人も来て、笑いました。パトカーの中では、家庭内暴力の通報や、中国人窃盗団の通報があるにも関わらず、現場で10人が0,4グラムの事で一時間以上、あーだこーだやってるのを見てると、映画でも作って友達のアメリカ人に見せたかったです。ただのコメディとしか見てもらえないでしょうけど。何かアドバイスもらえれば嬉しいです。
<04.08.17.>
アドバイスありがとうございます。◆◆先生の事は友達からも聞いています。白髪で長髪の先生ですよね?裁判という事になれば依頼したいと思いますが、今のうちから相談した方が良いのでしょうか?
僕の場合は、現行犯で捕まり、パイプ、樹脂の鑑定結果を待ってから、携帯電話に刑事さんの方から電話が入るので、僕の方で出頭?する日を指定してから三鷹署に来てくれ、との事でした。という事はやはり強制では無く任意ですよね。不起訴になれば良いのですが。友達にも相談したところ、今外に出れたというのは奇蹟という事でした。
何にしろ、日本国内ではもう吸わないですよ。合法にならない限りは。
今回の事を、アメリカ人の友達にメールしたら、信じられないと言ってました。向こうは多分0,4gなら、チケットも切られず警官に取られて終りです。友達は前に、40g持って捕まりましたが、裁判所に罰金$500で終りでした。
本当の意味で日本はいつまで戦後アメリカから貰った法律を大事に犬みたいに何も考えずに、守っているんでしょうね?0,4gに大の大人が10人がかりで一時間も騒ぐ事が、とても正常に税金貰って働いてる人の神経じゃ無いと思いますし、その一時間で10人に払ってる給料のほうが無駄だと思います。犯罪が年々増えてる日本で一体何を考えてるんでしょうね?サラリーマンみたいな奴が多すぎて、誰も自分の頭でなんか考えないんだと思います。
精神的に結構参っていたので、メール貰えてとても嬉しかったです。今後どうなるか分かりませんが、結果は逐一報告しようと思います。では。
<04.08.25.15:45>
先日、◆◆先生のところに相談に行って来ました。担当刑事に◆◆先生の方から電話して確認して頂いたところ、正式鑑定がお盆を挟んだ為に遅れていて、その結果待ちで、大麻反応が出次第、逮捕状を執って逮捕の方針との事でした。現在東京地検では、大麻事件は全て起訴する方針で、どうやら逮捕されることになりそうです。
◆◆先生の話では、不起訴の可能性も無くはないが、パイプを所持していた事が常習性と見なされるので多分起訴されるだろうとの事です。その事を友達に話したところ、今の法律では一つのミスも許されないし捕まった俺が間抜け。僕は裁判が終わるまで拘置所に入ろうと思ってたのですが、中での生活は結構キツイし、弁護士代は高いけど早めに保釈して貰って次に進んだ方が良いんじゃないか。と言われ、ちょっと迷っています。
◆◆先生には悪い事はして無いんだから、罪の意識なんて持たないで、ただ事故に遭ったみたいなもんだから、と言って頂き、だいぶ気持ちがすっきりしました。
留置所、拘置所での事も◆◆先生にはアドバイスを頂き相談して良かったです。出所後は、父の事も心配ですので実家の■■市で生活するつもりですので、その時は美味い蕎麦と日本酒でも飲んで一緒にお話できればいいなと思っています。一人で色々悩んでいる時に白坂さんからのメール本当にありがたかったです。
日本に帰って来て、色んな事があって少しヘコんでますが、また前に向かって進んで行こうと思います。
<04.08.25.23:24>
今日の夜、担当刑事から電話があり、大麻反応が陽性のため逮捕状を取っているので土曜日に出頭してくれとの事で、行ってきます。何とか親から、弁護士代を借りれそうなので◆◆先生に頼んでみるつもりです。その友達も白坂さんと全く同じ事を言っていました。中で過ごしてる人間からの悪影響を考えたら、今死ぬ気で回りに頭下げてでも、弁護士雇って、早く出たほうがよっぽどいいとの事です。頑張って1ヶ月ぐらい我慢してこれを機に頑張ります。
親に理解を得ようとは思っていませんでしたが、親には覚醒剤も大麻も同じだ!と言われて、悪法のせいで、親から見た俺はシャブ中と変わらないそうで悲しいです。何とかこの機会に大麻とは何か?を教えたいのですが、◆◆先生の本すら読んでもらえない状態でまだまだ時間がかかりそうです。最終手段はオランダ連れていって吸わせますけどね。親父も元ジャズのピアニストで回りは多分大麻だらけだったと思うんですが。相談料は1時間1万円とのことでしたが、一時間半ほど相談してもらい一万円でした。◆◆先生の書いた本まで頂いて、◆◆先生には頭が上がりません。
あまり、日本酒で辛口とか甘口とかは分からないんですが、アメリカで働いていたレストランでは、ハリウッドという場所柄、純米大吟醸でワインサイズ(720ml)で$100以上の日本酒ばかり飲んでました。万寿久保田や八海山、越の寒梅よりも僕は長野の「黒澤」が一番好きでした。
打ち上げ心から楽しみにしています。
<04.08.27.>
白坂さん、色々ありがとうございます。◆◆先生と相談したところ、起訴前から判決まで、無理を言ってだいぶ安い値段でやっていただく事になりました。まだ正式では無くて、親の承諾もこれからですが、僕の借金なので弁護士は◆◆先生に一任するつもりです。
僕の場合は、まだ不起訴の可能性もゼロでは無いので、今朝わざわざお金が無いと言ってる僕に、◆◆先生から電話があり昨日の時点では起訴後からの弁護代+報酬で100万以内で。という話だったのですが、起訴前から検事に掛け合って貰い、不起訴になれば報酬50万。起訴になっても、起訴後の報酬、頭金(取り掛かり金?)を全てひっくるめて、こちらの払える金額でいいから。という事でした。
◆◆先生は有名な先生ですし(僕はアメリカの授業で、まるっきり◆◆先生のHPを英訳したくらいです)その先生が、一般の弁護士と変わらない取り掛かり金(30万から50万の間で払える金額とおっしゃられてました)で引き受けてくれると言って下さった事に感謝しています。本当に良い出会いだと思います。
やっぱり、アメリカ留学中は潜りでジャパニーズレストランが王道ですよね。僕は未だに戻りたいですもん。仕事帰りにTIPで酒持ってクラブ行って、人種関係なく騒いで、帰りの車でCYPRESS HILLのI wanna get high~ so high~を大合唱の生活でした。白坂さんと話できる事を楽しみにして、ちょっとGhettoな社会見学に行ってきます。
明日は◆◆先生のところに行ってから、三鷹署に出頭する予定です。
起訴不起訴、どっちにしても秋に会いましょう!
<04.09.15.>
昨日付けで保釈請求が通り保釈されました。人生で一番長い17日間だったと思います。
色々な問題もありましたが紆余曲折何とか出れました。
裁判は来月の26日だったと思います(まだ召喚状が来てないので)理不尽な事に、海外から帰ってきたばかりだという事で2泊以上の外泊は許されず、裁判が終るまでは■■にずっといる事になってます。地元の友達と飲むしか無いですね。でも、まずは白坂さんと話したいです。あんまりこの話題で盛り上がる友達は■■にいないので。今週末あたりに、どうでしょうか?積もる話もあるので(僕の話長いですよ)葛温泉行きたいですね。5日に1回の風呂はきつかったです。僕は金曜まで、通院しなきゃいけないので金曜の夜以降は、大丈夫なので都合の良い日時を知らせて下さい。連絡お待ちしています。
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