読者会員ログイン
ユーザー名::
パスワード: :
パスワード紛失
◆新規読者会員登録
現在アクセス中の人数

19名さま。クリックのご協力を! (8 名が 一般公開記事 を参照中。)
人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
もしくはお買い物を

大麻報道センター記事項目

初めての方に
norml
Project CBD


shu
kaigai

メディアとの対話

政党・政治家との対話
大麻有害論に問う
大麻取締法違憲論裁判録
麻生しげるの医療大麻フォトギャラリー
サル・パラダイスの今週ノマスコミよかった大賞
THC主宰白坂の雑記帳
読み物
もし大麻で逮捕されたら
逮捕された人たちの話
資料
関連法
english


◆大麻報道センター管理サイト

thctube

QRコード
読者会員フォーラム一覧
フォーラム一覧
大麻報道センター内検索
読者会員限定記事カテゴリ
記事カテゴリ
「大麻所持」の国際比較 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2008-01-20

2.各国の個人使用目的での大麻所持に対する罰則規定


第1章で述べたように、個人使用目的での大麻所持に関する罰則規定は、原則的に各国の憲法および法体系の原則に基づいて規定される余地がある。これを反映するように、以下にみるように基本的には禁止行為とされてはいてもその罰則規定は様々である。本稿ではこれをなるべく俯瞰的に把握できるよう、関係法律、罰則(法律上の罰則規定)を挙げたうえで、その実際の運用状況を付記として要約した。

ドイツ
○関係法律:BtMG s.29, s.31 a・1994年3月29日の憲法裁判所の決定
○罰則:禁固5年以下もしくは罰金刑。ただし刑罰は「少量」の場合には減免される。
○付記:憲法裁判所は、大麻所持に対する罰則が憲法に準じたものであることを認めつつ、各州は個人使用目的での所持の場合でかつ、少量の場合は不起訴とするべきとし、その少量の規定は各州の判断に任せている。他に不起訴要件として、第三者を巻き込んでいないこと・未成年者を巻き込んでいないこと・個人使用目的であることなどが挙げられる。
各州の「少量」の規定については以下の通り。
・シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州:30グラム
・ヘッセン州とノルトライン=ヴェストファーレン州:10グラム
・ハンブルグ州:10グラムあるいはマッチ箱1つ分程度
・ベルリン・ブレーメン・ザーランド州:10グラム
・バイエルン・バーデン=ヴュルテンベルク州:6グラム

フランス
○関係法律:公衆衛生法(Code de la sante publique)Art.L.3421-1・刑法 Art. 222-37・法務省2005年4月8日付通達書。
○罰則:使用については禁固1年以下もしくは罰金。所持は禁固10年以下。
○付記:2005年の通達により、個人使用目的での所持は、使用と同じように罰することになった。逮捕者は24時間もしくは48時間の拘留の後、初犯でありかつ常習者でなく起訴が妥当であると思われない場合は、警告のみで釈放されることが多い。常習者の場合、起訴されるか、あるいは医療・社会福祉機関への送致命令が下される。ヨーロッパでは所持に対して比較的厳しい法運用を行っている国といえる。

イギリス
○関係法律:薬物乱用法1971 s.5・1984年警察・刑事証拠法(Section 24 of PACE 1984)・2003年9月通達の全国警察本部長・副本部長組織による大麻取締におけるガイダンス(ACPO Cannabis Enforcement Guidance, September 2003)
○罰則:2年以下の禁固刑。
○付記:2004年1月のクラスCドラッグへの移行に伴い、上記ガイダンスでは、警察官の判断により、未成年者が利用する場所で所持していた場合、常習者であると近隣の人々によって確認された場合、近隣への迷惑行為を伴っていた場合、17歳未満の使用者(警察署にて適切に指導する必要から)の場合などを除き逮捕には慎重であるよう指導されている。 ACPOガイダンス原文
http://www.ukcia.org/pollaw/acpoguidelines/default.html

スペイン
○関係法律:Law 1/1992, Art 25-28
○罰則:公共の場での使用・所持は刑事罰でなく、行政処分によって罰せられる。
○付記:実際に個人使用目的での大麻所持は、逮捕・起訴の対象としては扱われていない。

イタリア
○関係法律:イタリア共和国大統領令309/90, Art.75(DPR)
○罰則:行政処分
○付記:初犯であり、かつ今後繰り返し使用する意図がない場合は警告のみ。2006年に行政処分の適用が厳格化され、大麻所持の再犯者には運転免許の停止と一日夜間の外出禁止などの行政処分が下される
(参考[http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/europe/4695368.stm])。

ポルトガル
○関係法律:Law 30/2000, Art.2, n.o 1
○罰則:行政処分
○付記: 10日分の使用量(25グラムの大麻あるいは5グラムの大麻樹脂)以下の所持の場合は、コミュニティーサービス・免許停止・罰金などの行政処分が適用される。それ以上の場合は10日間の留置。上記法律のArt.5, n.o 1により、薬物依存抑止委員会により、依存状態や問題行動の程度に応じ治療が求められる。

オランダ
○関係法律:アヘン法Art.3C・アヘン法指令
○罰則:1976年以降30グラムまでの所持は1か月以下の禁固刑。もしくは2,250ユーロの罰金。30グラム以上の所持は、最高4年の禁固。
○付記:アヘン法指令では、個人使用目的での5グラム以下の所持は、法的優先性が低いと規定され逮捕されることはない。AHOJ-G規準(A:アルコールを出さない H:ハードドラッグの販売を行わない O:騒音など近隣への迷惑行為を行わない J:未成年者へ販売しない G:500グラム以上の在庫を持たない)を満たすコーヒーショップでの1回あたり5グラム以下の売買は捜査対象とはならない。

ベルギー
○ 関係法律:1998年4月17日付指令(Directive de 17 avril 1998)・2003年5月16日付内閣指令 (Directive ministerielle de 16 mai 2003)・ 2005年1月付司法省および司法局による指令(Directive commune de la Ministre de la Justice et des autorites judiciaires du 25 janvier 2005)
○罰則:公共の秩序を乱す行為を伴う場合、禁固3か月から1年。
○付記:2003年の指令により、非合法薬物の使用に対する刑法の適用は最終手段として扱われるべきであると規定された。1回の使用量および24時間以内の使用量として規定される3グラムまでの所持は、個人使用目的として規定される。初犯の場合75-125ユーロの罰金。初犯から1年以内での再犯の場合130-250ユーロの罰金。さらに同じ年に再犯の場合、8日間の拘留と250-500ユーロの罰金。

フィンランド
○関係法律:刑法第50章1および2a
○罰則:罰金もしくは6か月以下の禁固刑
○付記:10グラム以下の大麻樹脂、15グラム以下のマリファナ所持は、5-10日間の拘置に処せられる。警察による捜査、事件化が猶予されることは稀である。(参考:地方行政裁判所において、オランダ人医師によって処方されたフィンランド人の大麻の医療目的での使用を認める判決が下され、それを受けて2008年1月現在、社会保健省は医師の処方に基づく医療使用に関するガイドラインを作成中)

デンマーク
○関係法律:大統領令NO.698/1993 s.27(1) ・2004年の法令No.445 S.3(1)・2004年の検察官指令35
○罰則:罰金もしくは2年以下の禁固刑
○付記:2004年の法令制定以後、それまで警告のみであった単純所持に対し法運用が厳格化され、70ユーロの罰金が科されるようになった。
参考:[http://www.drugpolicy.org/library/041207copenhagen.cfm

スイス
○関係法律:1924年制定の連邦薬物法(Swiss Federal Narcotics Law:LStup)
○罰則:罰金あるいは1年以下の禁固
○付記:州(canton)によって法運用に差があり、売買などに対して西部フランス語圏では比較的厳しい法運用がなされているが、個人使用目的の所持で罰せられることはない。2007年を含め過去に数回連邦議会で大麻合法化の法案が提出されているが否決されている。

★ ランキングとツイートにご協力ください ★     
人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ 

0コメント

「大麻所持」の国際比較 : 投稿者 : 匿名 投稿日時: 2008-01-13

大麻の個人使用目的での所持に対する法的位置づけ(*1)

1.国際条約の解釈について

大麻の個人使用目的での所持に対する法的位置づけは各国で様々である。
大麻を含めすべての麻薬および向精神薬に関する国際レベルでの規制は、1961年の単一条約、1971年の向精神薬条約(向精神薬に関する条約)、および1988年の麻薬新条約(麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約)によって規定されており、批准国はこれらの条約に準じ国内での規制を行うことが義務付けられる。

しかしながら、国際条約で要求される内容は薬物統制に限らず、1969年のウィーン条約法条約に規定されているように、各国の法的理念および原則にのっとり独自に法制化することが期待されている。

よって大麻の個人使用に関しても、先の3条約の目的に反しない限りで、批准国が独自に法的位置づけを行うことが可能であることを確認しておきたい。
また以下に述べるように、特に個人使用目的での所持に対する罰則規定については、これら条約自体の中に各国がこれを軽減する裁量があることが認められるのである。

1961年の単一条約については逐条コメンタリー(Commentary on the Single Convention on Narcotic Drugs 1961)が出されている。4条「一般的責務」(General Obligations)に対するコメンタリー23では、

「政府は、法的権限なしに個人使用のため薬物を所持した場合、禁固刑を科することを控える(refrain)ことがありうることを疑う余地はない。それに対し、そのような権限なしに配布を目的とする所持に対しては、禁固刑や他の自由の剥奪(deprivation of liberty)を伴う罰により処罰されなければならない」
United Nations(1973), Commentary on the Single Convention on Narcotic Drugs 1961 .

と述べている。つまり単一条約の趣旨として、個人使用目的での所持と配布目的での所持を区別すると同時に、前者に対しては禁固刑を控える権限を各国政府が持っていることがコメンタリーとして付されているのである。

これに対し1988年の麻薬新条約の第3条2項「違反と制裁」(Offences and Sanctions)では、以下のように所持に対し規定している。

「1961年の単一条約の規定に反し、意図的に麻薬あるいは向精神性物質が個人的使用のために所有、購買および栽培されたときは、各国の憲法上の原則および法体系の基本的考え方に基づき、それぞれの国家は国内法のもとに、犯罪(criminal offence)として規定するための措置を採用する義務がある。」
United Nations, Convention against Illicit Traffic in Narcotic Drugs and Psychotropic Substances of 1988 (訳:筆者)

このように個人使用目的での所持についても、犯罪として規定すべきであると書かれている。しかしながら、この2項で言及されている個人使用目的での所持に対する規定は、同じ第3条1項と対比して検討される必要がある。というのも、第3条1項では配布および販売を目的とした生産・所持・採取等について規定されているが、そこでは2項で言及されていた「各国の憲法上の原則および法体系の基本的考え方に基づき」という文言がそのまま欠落し、何ら留保なく犯罪として規定されることが要求されている。すなわち2項で論じられている個人使用目的での所持については、1項で論じられている販売や配布目的での所持と、本条約では明らかに区別されており、より各批准国の裁量に委ねられるべき行為として規定されているといえる。

原文
Article 3
OFFENCES AND SANCTIONS
1. Each Party shall adopt such measures as may be necessary to establish as criminal offences under its domestic law, when committed intentionally: a) i) The production, manufacture, extraction; preparation, offering, offering for sale, distribution, sale, delivery on any terms whatsoever[…].

2. Subject to its constitutional principles and the basic concepts of its legal system, each Party shall adopt such measures as may be necessary to establish as a criminal offence under its domestic law, when committed intentionally, the possession, purchase or cultivation of narcotic drugs or psychotropic substances for personal consumption contrary to the provisions of the 1961 Convention[…].
(傍線:筆者)

以上のように、大麻の個人使用目的での所持に対する国際条約の規定は、販売・頒布目的での所持と区別し、その罰則規定に対する各批准国独自の裁量権をある程度容認しており、これから見ていくように、各国様々な法的位置づけを生み出しているのである。

---------
(*1)本稿の1章および2章は、EMCDDA(European Monitoring Centre for Drugs and Drug Addiction) (2005) EMCDDA THEMATIC PAPERS - Illicit drug use in the EU: legislative approaches : Lisbon: European Monitoring Centre for Drugs and Drug Addiction. およびEMCDDAのオンラインデータベースであるELDD(European Legal Database on Drugs) のpossession of cannabis for personal useの内容を主に参照している。特に参照したデータはそのたびに付記した。

(続く)

★ ランキングとツイートにご協力ください ★     
人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ 

0コメント

「大麻所持」の国際比較 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2008-01-01

大麻規制の国際比較コーナーです。少量の大麻所持に関する規制状況の世界地図がWIKIMEDIA COMMONSにあります。
Image:World-cannabis-laws.png

★ ランキングとツイートにご協力ください ★     
人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ 

0コメント

HOME | お知らせ | 新規読者登録 | 談話室 | 大麻検索エンジン | 公開フォーラム | 相談希望の方へ | 大麻報道センターついて | サイトマップ | 会員専用フォーラム | english

制作・著作 大麻報道センター