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マリファナ博物館
2000年7月28日
「コーヒーショップ」と聞いてピンとくる人はかなりのオランダ通だ。どうしてこのように呼ばれるようになったかは分からないが、マリファナを売っている店のことだ。オランダはマリファナを合法的に吸える唯一の国なのだ。このへんの事情はいずれ報告したいと思っているが、アムステルダムにはたくさんのコーヒーショップがあり、たいていのみやげ物屋さんには喫煙器具やTシャツなどの数々のマリファナグッズが置いてある。
ダム広場と飾り窓地区の間に「マリファナ・ハシシ・麻博物館」がある。博物館といっても普通のレストランぐらいの広さでそんなに大きくはない。アムステルダムには奇妙な博物館がたくさんあるが、この博物館はけっして奇をてらったものではなく充実した内容の展示を見ることができる。入り口のところには1メートル程の高さの美しい麻が鉢に植えられて置かれていた。
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麻はマリファナやハシシの原料だ。日本では麻の栽培が禁じられているので植物そのものを見ることができないので知っている人は少ない。ましてはその歴史や世界史のなかで果たした役割については全くといっていいほど知られていない。ここの展示をたんねんに見るとオランダにとって麻がいかに重要なものであったか分かる。
17世紀オランダは帆船で世界に進出し黄金時代を築いた。帆船の推力は風を帆にうけて得られるが、長い航海に耐えられる帆は麻からつくられたのである。あえていえば麻がなければオランダの栄光もなかったかもしれない。当時、麻がどのように栽培されて繊維として加工されたのか書かれた絵がたくさん展示されていた。
またオランダはレンブラントとゴッホという天才画家を生み絵画の国としても有名だが、キャンバスは帆船の帆を利用して作られた。キャンバスの語源は麻の学名にもなっている「カナビス」から来ていると書かれていた。ゴッホは絵が一枚も売れず、節約のためキャンバスの両面に絵を描いたりしているが、安いキャンバスがなければゴッホはいなかったかもしれない。
麻の喫煙の歴史はインドのほうがずっと古いが、ヨーロッパでは18世紀ころに流行した。オランダでは1960年代のヒッピー流入かららしいが、船乗りたちは吸っていなかったのだろうか? イメージ的には船乗りには酒が似合うが、長い航海に酒をもっていくのは大変だからかさばらないハシシのほうがよかったのではないかと思たりしたがそのような記述は見つからなかった。
しかしなんと言ってもこの博物館の最大の見所は麻が室内栽培されている様子が実際に見られることだ。照明や散水、通気などがコントロールされた奥の部屋ではたくさんの麻が育てられていた。繊維用ではなくドラッグ用に品種改良されたシンセミアがみられる。麻には派手な花はないもののそのしなやかな姿は独特で美しい。
オランダはチューリップを始めとする花の栽培で有名だが、その栽培技術を応用して麻の品種改良が行われ現在では最高品質のマリファナがつくられている。ここは種子バンクにもなっていていろいろな産地の麻の種も販売している。ポップには産地名のほかにも、生育には何日かかるかや何グラム採れるかなども書いてある。栽培器具や肥料、栽培法のビデオなども揃っている。毎年11月にはここの主催で利き酒会ならぬ麻の品評会が開かれているそうだ。
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