カナビスは安全で安価な代替鎮痛薬

アメリカの鎮痛薬使用量年間90トン、死亡事故も多数


クリス・ゴールドスタイン、NORMLポッドキャスター

Source: New Mexican
Pub date: September 12, 2007
Title: Cannabis Could Replace Harmful Meds
Auther: Chris Goldstein and Paul Armentano
http://cannabisnews.com/news/23/thread23323.shtml


何百万人というアメリカ人が痛みとともに生きている。実際、医師が年間に処方する鎮痛剤の量はアメリカ人全員を治療できるほど多い。


麻酔性鎮痛薬の使用、年間90トン以上

アソシエイツ・プレス(AP)が発表した新しい研究によると、2005年にアメリカ人は90トン以上もの強力な麻酔性鎮痛薬を使っている。その中には、コデインを始め、ヒドロコドン、モルヒネ、ばかりではなく、メペリジン(デメロール)やオキシコドンなども含まれている。これらの医薬品の多くには習慣性があり、時には死亡事故を起こすこともある。

だが、こうした医薬品の代替として、安全で安価でより効果的に痛みの管理が可能で、しかも依存性に陥るリスクが大幅に少なく、過剰摂取で死亡することもない・・・このような薬は夢なのだろうか?

実際には、そのような薬を使っているアメリカ人も僅かながらいる。医療カナビスだ。現在では、このニューメキシコ州を含めて12の州が、カナビスを病気の治療に利用することを患者に認める州法を持っている。そうした患者の多くは、痛みの緩和のためにカナビスを使っている。


カナビスは神経性の痛みに顕著な効果

サンフランシスコ総合病院とカリフォルニア大学ペインクリニック研究センターの研究チームは、HIVにともなう感覚神経障害性の疼痛に苦しむ患者を対象にカナビスの喫煙による治療効果を調べている。この症状は俗に神経痛とも呼ばれ、世界では1%の人々が苦しんでいると見込まれているが、多くの場合オピオイド系や非ステロイド系の抗炎症薬でも効果が得られない。

だが、研究者たちは、1日に3回カナビスを喫煙した患者では平均34%の痛みが軽減したと報告している。この研究で使われたカナビスはアメリカ政府認定の比較的低品質のもので、高品質のシンセミラではさらに改善効果があると考えられている。これまでにもカナビノイドを使った鎮痛効果の研究は他にも行われているが、多発性硬化症、糖尿病、癌、関節リウマチなどに関連した神経性の痛みを緩和することが示されている。

また、医療カナビス・ユーザーの多くが、カナビスを使っていない患者に比べて医薬品を余り必要としないこともさまざまな研究で示されている。例えば、今年の6月にはコロンビア大学の研究者たちが、カナビスを治療に使ったHIV患者を調べたところ、プラセボ対照群の患者に比較して、薬局で買える処方外医薬品の鎮痛剤や制吐剤を求めるケースが少なかったと報告している。


カナビスは安全

特に他の鎮痛医薬品に比べて、カナビスの安全性が高いことも多くの証拠で示されている。例えば、イビフルフェンやナプロキセンのような非ステロイド系抗炎症剤を長期間に渡って使用すると、胃潰瘍や胃からの出血を引き起こすことが知られている。アメリカでは、そのために1年間に10万人が入院し、1万6500人が亡くなっていると見積もっている報告もある。

オキシコドン(オキシコンチン)のような麻酔系の鎮痛薬を慢性痛の治療に使った場合も、過剰摂取や中毒による死亡など深刻な健康リスクに見舞われことがある。最近、バージニア州の連邦裁判官は、オキシコンチンの製造元であるパーデュ・ファーマと3人の取締役に対して、薬に中毒性があることを十分に知らせなかったとして約6億3400万ドルの罰金を言い渡している。

一方では、アメリカ・アカデミー医学研究所(IOM)の報告書には、カナビスで依存性になる人は10%以下で、過剰摂取で死亡した例は一件もないと書かれている。


カナビスは安価

さらに、大半の鎮痛医薬品に比べて、カナビスのほうがはるかに安価であることも知られている。例えば、2002年から2004年の間にアメリカ人は全体でオキシコンチンに47億ドルも支払っているが、痛みの管理に医療カナビスを利用した場合の患者一人の負担は月に40ドル以下に収まる。

自宅で栽培すればさらに出費は少なくなる可能性もあるが、カリフォルニア州などの場合は、多くの医療カナビス患者が地元自治体の許可を受けた非営利組合に参加してカナビスを入手している。組合への支払いは患者の経済的余裕に応じたスライド制になっている。

アメリカ慢性痛協会によれば、アメリカ人の3人に1人が絶え間のない痛みの中で暮らしているという。今こそ、こうした患者さんたちが、痛みと苦しみを緩和してくれる毒性のない代替品を合法的に入手できるようにすべき時なのではないか?