カナダ連邦地裁

政府の医療カナビス栽培制限を認めず

Source: Chronicle Herald (CN NS)
Pub date: 11 Jan 2008
Canada: Decision Opens Field for Medical Marijuana Growers
http://www.mapinc.org/norml/v08/n036/a05.htm


カナダでは、保健省の医療カナビス・プログラムによって、ケアギバーの栽培者がカナビスを提供できる患者数が一人に制限されているために、その是非をめぐって裁判が続いていたが、昨日遅く連邦裁判所はその制限を無効とする判決を下した。この決定により、医療カナビス患者は、連邦政府の供給するカナビスを強制的に買わされることがなくなる可能性が出てきた。

この判決を下したのはバリー・ストレイヤー裁判官で、基本的には、医療カナビス患者のカナビスを購入の自由を押し広げるもので、栽培者にとっては複数の患者にカナビスを供給することが認められた内容となっている。

連邦政府は医療カナビスの供給を厳格にコントロールすることを目指しているが、この試みに対しては多くの裁判が起こされている。政府は、今回の判決で手痛い打撃を受けることになった。

現在の医療カナビス・プログラムでは、患者は自分自身でカナビスを栽培するか、または栽培者から供給を受けることもできるが、一人の栽培者が供給できる患者は特定の一人に限られている。

医療カナビス患者の弁護側は、こうした制限には、実質的カナダ保健省が国内で唯一の合法的医療カナビス供給者になろうとする意図が隠されているとする主張を展開した。また、制限は不公平で、患者のために栽培しようと思っても一人に限定されていれば実行することは難しく、結果的に患者が栽培者を見つけることを困難にし、さらに、深刻な病に苦しむ患者が自分の病状に適合した種類の違うカナビスを入手できなくするとも訴えている。

裁判では、患者がグループを作って、外部の特定の栽培者一人からカナビスをまとめて購入できるようにしてほしいという要望が出されていたが、ストレイヤー裁判官は23ページにおよぶ判決文の中で、連邦政府はそのことも考慮すべきであるとも書いている。

さらに、政府側は、自分で栽培できない患者については政府が契約した供給者から購入できると主張していたが、現状では政府の供給者から購入している患者は全体20%にも満たず、患者の要求に対応できていないと指摘している。

「私の見解とすれば、これまでの裁判で認定医療患者には適切なカナビスを入手する権利があるという判決が確立しており、連邦政府側が自身の契約者から購入することを強要したり、自分で栽培するか特定の栽培者一人に強制したり、あるいは政府と契約していない栽培者が供給できる患者数を不必要の制限することは、権利と自由の憲章とは相容れず、反論に耐えらるだけの根拠を持っていない」 と結論づけている。

医療患者グループを代表してこの問題を連邦裁判所に提訴したトロントのロン・メルツェル弁護士は、今回の判決について、患者さんたちにとって 「素晴らしい治療薬」 になったと語っている。

「この判決は、すべての問題の根源になっている一対一の制限が完全に退けられたことを意味しています。裁判所は、この制限が明白に憲法違反で、独善的であると認めたのです。これまで一対一の理由にしてきたすべては通用しないということです。私たちは政府のカナビスを買うつもりもないし、受け入れるつもりもありません。」

一対一の条項をめぐっては2003年のオンタリオ控訴審でも無効とされたこともあるが、政府はそれをかわすために、マニトバ州のフリンフロンにあるプレイリー・プランツ・システムと契約を結んで自ら患者にカナビスを供給することで、一対一政策を復活していた。

この裁判の弁護士の一人であり、170年の歴史を誇るオスグード・ホール・ロースクールの教授でもあるアラン・ヤング氏は、「この件は、最初から憲法違反の疑いが持たれていたのです。いつも言っていることなのですが、憲法違反の疑いがありそうなことを何かやろうとする時には、他にもっと良いやり方を探るべきなのです」 と語っている。

「連邦政府は、条項を比率を書き換えることもできますが、オープンな市場に委ねて、経験を積んだ認定栽培者が適切なセキュリティ施設で10人とか20人の患者分のカナビスを栽培できるようにすることもできるはずです。」

またメルツェル弁護士は、患者が最良の医療カナビスを手に入れられるように、政府が外部の供給者向けの品質管理マニュアルを用意することもできるはずだとも指摘している。

だが彼は、政府側が控訴してくるだろうと予想している。控訴期限は判決後30日以内になっている。