豚&鳥インフルエンザ

薬用カナビス・キャンディが有効


cannabis lozenge

Source: Cannabis Science Inc.
Pub date: April 27th, 2009
Cannabis Science Inc. Reports on Prospective Life Saving Treatments
for H1N1 Swine Flu and H5N1 Bird Flu in View of the Current Global Threat
http://www.cannabisscience.com/news-a-media/
63-42709-cannabis-science-inc-reports-on-prospective-life-saving-treatments.html


現在世界中で豚インフルエンザが流行する兆しを見せて、アメリカでもジャネット・ナポリターノ国土安全保障長官が緊急事態を宣言するまでに至っているが、これに応えて、最近誕生したカナビス専門の製薬会社であるカナビス・サイエンス社は、天然のカナビスを使って自社開発した無毒ローゼンジ(lozenge、薬用カナビス・キャンディー) が役立つという緊急レポートを提出した。

ナポリターノ長官に宛てた手紙 の中で、このローゼンジはH5N1型鳥インフルエンザや H1N1型豚インフルエンザの多くの症状を緩和して害を削減する特性を持っていると説明している。また、会社は保健関係当局に100万個のローゼンジを原価で提供する用意があると伝えている。

カナビス・サイエンスのスティーブ・クービー取締役社長兼CEOは次のように述べている。
マウスのよる研究では、カナビノイドにはインフルエンザによる炎症を抑える働きのあることが示されていますが、わが社のローゼンジにも抗炎症特性があることは人間の予備的な事例研究で確認されています。

このことは、ローゼンジを使うことによって、インフルエンザ感染が引き起こす症状や害を最小限に抑えるための無毒治療を効果的に行えることを意味しています。ローゼンジは、インフルエンザ・ウイルスに対する過剰な炎症反応を下方制御することで、普通の風邪よりばかりではなく、さらにたちの悪い感染を減らすことができるのです。

私は癌患者で自己免疫機能も失われていますので、たとえ普通のインフルエンザであっても命取りになる恐れがあります。ですが、ローゼンジによって確実に炎症や症状が軽減することを自ら経験しています。

また、会社の研究部門の主任で、コロラド大学(UCCS)で生物学科の部長を努めていたロバート・メラメード博士は、次のように説明している。
インフルエンザ・ウイルスはその再生機能と結びついて極めて突然変異を起こしやすいというユニークな遺伝特性を持っています。その結果、一部には致死性の高い種類も出現して成人呼吸窮迫症候群 (ARDS)を引き起こします。

ARDSの原因は、腫瘍壊死因子(TNF)による過剰な免疫炎症で、呼吸器上皮細胞が死滅することで内蔵器官に異常が現れます。

このTNFをコントロールしているのが体内で自然生成されるエンドカナビノイドなのですが、カナビス植物の生成するカナビノイドもそれに似た過剰炎症を抑える働きがあって細胞死を防ぐことが多くの研究で示されています。

人間の健康維持にためにエンドカナビノイド・システムがどのような役割を果たしているかを調べた最近の研究をベースに考えれば、カナビノイドは、致死性のインフルエンザの脅威を減らすためのユニークな解決策になり得るのです。実際に使えるようになれば、何百万もの命が救われる可能性があるのです。

われわれは、カナビスの抽出成分をベースにしたローゼンジについてさらなる評価をするために懸命な努力をしています。それによって、現在知られている致死性インフルエンザ・ウイルスに関連した異常な炎症による多くの死を防ぐことができると確信しているからです。

一方、メラメード博士は、カナビスを喫煙した場合は有用な薬理成分は摂取できるものの、煙には喉を痛めて炎症を促進する性質もあるために過剰な炎症を効果的に防ぐことはできないとも忠告している。実際に症状がさらに悪くなることもあり、インフルエンザ・ウイルスに感染した人は避ける必要がある。


また、取締役に一人で最高財務責任者(CFO)を務めるリチャード・コーワン氏は、最近メキシコ議会が主催した カンファレンスで次のように述べている
メキシコ議会のみなさんも医師が医療カナビスを処方できるようにすべきだと考えておられると思います。わが社は、この難局と戦うためにメキシコ政府とともにローゼンジを生産する用意があります。

われわれは、カナダやアメリカなど世界中で治療を前進させるために各国政府の保安当局とともに協力できることを願っています。

メラメード博士も、「現在ある抗ウイルス剤は、一部の致死性ウイルスには効果があまりないことが示されていますが、人類は今回のような緊急事態に新たな抗ウイルス剤が開発されるのを待っていられないのです。われわれは、ローゼンジの試験に必要な政府の許可を取るために懸命な努力をして、その研究結果を待って一刻も早く生産に取りかからねばなりません」 と話している。

また、クービー社長も、「豚や鳥のインフルエンザが急速に蔓延するとなれば、それは時間との戦いでもあり、官僚による通常の手続きなどに時間を使っている暇もないのです。政府が緊急にローセンジを認証すれば、医療カナビスが合法化されているカリフォルニアの巨大な供給源を使って、比較的短時間で数百万人もの命を救うことのできるほどの量を製造して利用できるようになるです」 と加えている。


H5N1型鳥インフルエンザとH1N1型豚インフルエンザ
H5N1型鳥インフルエンザの致死率は現在のところ63%になっている。また、豚のH1N1型と同種のインフルエンザは1918年に2000万人の死者を出している。この数は一次大戦の死者数すら上回っている。

現在、H1N1型豚インフルエンザによってメキシコでは100人近い死者が出ており、1000人以上が感染しているとも伝えられている。アメリカでも、テキサス、ニューヨーク、オハイオ、カリフォルニア、カンサスなど20箇所あまりで感染が確認されている。また、ニュージーランドをはじめとして各国でも見つかっているという情報もある。

H1N1型豚インフルエンザはA型の風邪ウイルスによって豚の呼吸器が障害を受ける病気で、人間にはあまり見られないが、周囲に豚のいる環境で暮らしている人などに感染する。いったん感染すると人間どうしでも伝染る可能性がある。症状とすれば、高熱、体の痛み、咳、喉の荒れ、呼吸器のうっ血などが見られる。

カナビス・ローセンジの特徴  (by スティーブ・クービー)

1.生化学的活性の最大化
カナビスの活性成分であるTHCは、植物によって生成さた段階ではカルボシキル基(COOH)に付いた酸の形状(THCA)をしているが、その状態ではほとんど活性がない。したがって、カナビスの葉をそのまま食べても効力は得られない。

しかし106℃以上に加熱するとCOOHは炭酸ガスと水の蒸気になって発散し、THCAは活性のあるTHCに変化する。さらに180〜200℃まで加熱するとTHCも蒸気になって吸引できるようになる。

カナビスをジョイントやパイプで煙にして吸ったり、バポライザーで蒸気するのはそのためだが、ローゼンジでは摂取直前に加熱するわけにはいかないので、われわれの製品では製造過程でTHCAが完全にTHCに変化するようにしてある。

2.生化学的な吸収力の最大化
われわれのローゼンジは、口から頬に向かってに溶け出してすぐに頬粘膜を通過すように工夫されているので、THCは血液や脳に直接搬送される。通常の食用カナビスや錠剤は胃から吸収されるために効果が発現するのに1〜2時間かかるが、ローゼンジは15分以内で効果が現れる。

3.カナビス品種の最適化
カナビス品種の多くは空腹感がおきたり眠たくなるが、われわれのローゼンジに使われている品種はエクアドル産の強力なサティバ種を改良した特別のもので、エネルギッシュでやる気を起こさせ、俊敏さが増して生産性が上がるという特徴を持っている。その違いは、カリフォルニアの医療カナビス・ディスペンサリーで扱っている他のローゼンジや食用カナビスと比較すればはっきりわかる。

カナビス・サイエンス社
カナビス・サイエンス社はこの4月に発足したばかりの新会社で、カナビス植物の成分を使ったカナビノイド製品を専門に研究開発することを目指している。

会社は、ガルフ・オンショアという会社がカリフォルニアのカネックス製薬(Cannex Therapeutics)の資産とノウハウを買い取って、カナビス製品の開発一本に集中するために設立された。

カネックス製薬は、スティブ・クービー氏が中心となって、ロバート・メラメード博士とリチャード・コーワン氏とともに昨年設立した会社で、カナビノイド医薬品を商業化して、通常の医療カナビス(ハーバル・カナビス)には向かない患者や疾患にカナビスの恩恵を届けることをミッションとしていた。

新しく設立されたカナビス・サイエンス社はそのミッションを受け継ぐために3人をそのままの役職で引き継いでいる。

スティーブ・クービー取締役社長兼CEO
クービー氏は珍しい形状の副腎癌を患っている癌患者で、余命6〜12か月といわれながらもカナビスを使うことで数十年も生き長らえてきた。

もともとカリフォルニア大学で精神生物学を修めていたこともあって、自分でカナビスを栽培しながらさまざまな摂取法を考案してきた。喫煙でも摂取してはいるが、特に風邪などで煙を吸うことが難しい場合もあって違う方法も模索してきた。その中で見出したのがローゼンジで、独特な製法を使った。

彼はまた、カリフォルニアの医療カナビス条例の発議者の一人としても知られ、州知事にも立候補した経歴を持っている。また、昨年はリバタリアン党の大統領予備選挙にも立候補して善戦しているが、その選挙期間中にカナビノイド製品の会社をつくることを勧められたことがきっかけになってカネックス製薬を立ち上げた。


ロバート・メラメード研究主任
分子生物学の専門家であるメラメード博士は、カナビノイドの研究者として世界的によく知られている。現在は、熱力学の平衡性をベースにした生命の生化学に取り組み、エンドカナビノイド・システムの健康へ果たしている役割を中心に研究している。

また、コロラド大学で教鞭をとる傍ら、アメリカン・フォー・セーフアクセスなど各地の医療カナビス・グループの助言者としても活躍している。カナビス関連の裁判でも専門家として数多くの証言を行っている。

カナビスの害削減パラドックス エンドカナビノイド・システムによる体内の害削減
カナビスの煙に発癌性はない


リチャード・コーワン最高財務責任者(CFO)
コーワン氏はNORMLの前事務局長で、新聞や雑誌、テレビなどでもよく知られている。特に、カナビスと医療カナビスの歴史や知識については豊富で抜きん出ている。また、クービー氏と同様にリバタリアンでもあり、経済にも詳しいためにカネックス製薬を立ち上げに加わった。

アムステルダム最新報告 NORML・センシブル・アムステルダム・ツアー2008 (2008.1.28)

カナビス・サイエンスの製品は、カナビス植物全体から抽出した成分を使ってローゼンジ形状(ひし形の甘味入りの錠剤またはトローチ )にしたもので、保健社会福祉省(HHS)と食品医薬品局(FDA)に治験薬テスト・プロトコルでのテスト実施を申し込んでいる。

また、DEAに対して取扱いライセンスの申請もしており、それらを確実なものにするために、研究者たちに聞取り調査をして支持を訴えている。

昨年バンクーバーで初めて実施された人間を対象にしたローゼンジの非公式試験では、口からの投与でも効果が迅速に発現することが示されている。
  • 87.5%の被験者が緊張緩和や痛みの軽減を感じた
  • 被験者の一人は、無気力や頭がぼんやりすることなしに膝の痛みが軽減した
  • 別の人は、15〜20分以内に筋肉の痛みがおさまり、心からリラックスした
Cannabis Lozenge Application for FDA Test Protocols April 27th, 2009

メラメード博士は、カナビノイドによる治療の可能性を詳しく検証した論文も発表している。それには次のように書かれている。
豚インフルエンザを克服しようとする現在のアプローチは、ウイルスが非常に突然変異を起こしやすいために根本的に打ち負かすことはできないという問題を抱えている。確かに将来的には、現在とは違った抗原目標を持ってもっと汎用性のある効果的なワクチンを開発することも可能だろうが、現在の豚インフルエンザに対抗するためには、今すぐにでも使える何かが必要とされている。

解決策としては、体がウイルスに対処する方法をこれまでとは変えることによって、違った結果になるようにすることが考えられる。最近のさまざまな研究によると、カナビノイドには抗炎症作用があることが示されているが、それをベースに新しい医薬品を開発すれば、ウイルス疾患への体の反応を調整することができるようになる。しかもカナビノイドには毒性がないので、効果的な無毒治療を行うことができる。

ここでは、専門家たちによって査読された論文を参照しながら、カナビノイドがどのようにして鳥インフルエンザによる死を防ぐかを理論的に考察している。もし、現在の豚インフルエンザが死を引き起こすとすれば、それもまた成人呼吸窮迫症候群 (ARDS)の原因になっている可能性が大きく、ここでの理論を拡張して考えることができる。

Treating Swine and Avian Flu, by Robert Melamede, PhD

現在、天然のカナビスを素材にした製薬開発としては、イギリスの GW製薬、カナダのカナサット製薬、オランダの エコー製薬、ドイツの 臨床調査研究所、などが知られているが、アメリカで天然のカナビスを使った製薬開発は初めてのことで、今後の成り行きが注目される。

なお、クービー氏の場合は、アメリカ医療カナビス協会 の代表を務めていることからもわかるように、ローゼンジは喫煙やバポライザーを好まない人がターゲットで、カナビスの全面合法化を求めていくことには変わりはないと明言している。この点では、医療カナビスとは違うことを強調しているサティベックスのGW製薬とは全く違っている。


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