刑事裁判で弁護側が証拠として出したものが採用されるには、検察官の同意が必要になります。証人についても同様なのだそうです。
KYさんの裁判は、ひとえに、ダメセンと厚労省の責任者を法廷に証人として呼び出すことができるかどうかにかかっていると思います。
ダメセンと厚労省の責任者を法廷に立たせることができれば、日本で公的に喧伝されている大麻情報がいかに医学的・薬学的事実とかけ離れているか、彼ら自身の口で証明することになります。
原弁護士によると、ダメセンと厚労省の証人申請が認められなかった場合、せめて私(白坂)を証人に、というのは、作戦としてもアリだとのこと。確かにそうだと思いますが、しかし、率直なところ、ダメセンの専務理事も麻薬対策課の課長補佐もいないのでは、私がひとりで証言したところで、所詮は活動家にとって都合の良い説明でしかあり得ないので、インパクトもないでしょう。弁護側がいくら大麻の有害性が低いことを示しても、裁判所はこれまでまったく審理すらしてこなかったのです。証人申請が認められない場合、KYさんの裁判もそのような流れに終わる公算が強いということです。
やはり、なんとしても、25日の証拠調べでは、まず、ダメセンと厚労省の担当者に、大麻の有害性について説明させるべく、証人申請を通すこと。これのみだと思います。
先日、KYさんの公判を担当している検事に上申書を出しました。担当の廣田検察官とは先日ちらっと電話で話しました。「廣田」さんの漢字を確認しようと思い、事務の方とお話できればと思って東京地検に電話したところ、ご本人につながってしまったのでありました。びっくりしました。びっくりしながら、上申書を出したいと伝えたところ、「出さなくていいです」と言われてしまいました。が、出します。担当の検事さんだけでなく、検事総長とか、もっと上の人にも出したほうが良かったかな。
東京地方検察庁 第7検事室
廣田検察官様
平成22年特(わ)第541号
KY一夫さんの裁判についての上申書
平成22年5月17日
大麻報道センター
主宰 白坂和彦
平成22年5月25日午前10時、東京地裁801号法廷で行われる予定の標記公判について、検察官殿にお願いしたく、上申致します。
この事件で、被告人のKYさんは、大麻の何が懲役刑に値するほど有害なのかを問うています。累次の同種裁判で、大麻の有害性について、検察と裁判所は、論告や判決のなかで、昭和60年の最高裁決定を判例としています。しかし、この判例以降、多数の権威ある海外の研究機関によって、大麻にはアルコールやタバコほどの依存性もないことや、大麻がさまざな疾病に対して治療効果を持つことなどが次々と明らかになっています。
ところが、我が日本では、法の規制によって、大麻の臨床研究すらできない現状です。
大麻取締法を所管する厚生労働省は、大麻についての医学的・薬学的・社会学的な世界的知見を認識していません。つまり我が国では、大麻の事実に基づいた政策が採られていないことが、大麻取締法から派生する問題の諸悪の根源です。
専務理事ポストを厚労省の元官僚が順送りしている財団法人、麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下「ダメセン」と略)は、「乱用薬物の精神・身体に与える影響等に関する正しい知識の普及啓発」を事業とする公益法人として、「ダメ。ゼッタイ。」の標語で広く国民に知られています。同センターのウェブサイトによると厚労省と警察庁の所管です。
平成16年、大阪高裁で大麻の有害性について争われた際、検察は捜査報告書として
『厚生労働省外郭団体 財団法人「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」ホームページ抜粋』などを提出しました。そこには「大麻の身体的影響」や「精神的影響」について書かれていましたが、弁護側がその記述の根拠を求めて求釈明したところ、検察はダメセンに照会したものの、根拠は分からなかったと報告しました。
「乱用薬物の精神・身体に与える影響などに関する正しい知識の普及啓発」をしているはずの、公益法人のホームページなのに、根拠不明の大麻有害論が書かれていたわけです。そして、その記述は、今もまったく同じ内容のまま、この公益法人の「ダメ。ゼッタイ。」ホームぺージに掲載されています。
検察官殿、平成16年の大阪高裁の法廷で、検察が捜査報告書として提出された(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの、「ダメ。ゼッタイ。」の大麻情報は、現在も根拠不明の、全く同じ内容のままです。
しかも、その後、外部の専門家によって内容が見直され、更新するはずの新たな掲載原稿が2年前にはできており、専務理事の手元にあるにも関わらず、です。
大麻取締法を所管する厚生労働省と、乱用薬物情報を国民に啓発している公益法人は、大麻の有害性について、どのようなデータに基づいて、どう認識しているのか。それを、厚労省の担当者と、ダメセンの責任者に、法廷で説明して頂きたく、検察官におかれましては、この二名の証人請求に、なにとぞ不同意となさらぬよう、お願い申し上げる次第です。
法を所管する厚生労働省と、「正しい知識の普及啓発」を行っている公益法人から、大麻の有害性について説明を聞くことは、誰の不利益になることでもありませんし、大麻の何が懲役刑に値するほど有害なのか、説明を求めるKYさんの問いでもあります。
検察官におかれましては、正義の実現のため、何卒よろしくお願い申し上げます。
以上
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- 420KY裁判初公判傍聴の報告 (2010-04-20)
- 新麻布法律事務所 原弁護士との対話 (2010-04-04)
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