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大麻取締法違憲論裁判 > KYさん事件簿
KYさん裁判第5回公判-弁論-
KYさん事件簿 : 投稿者 : THC編集部 投稿日時: 2010-08-24

8月24日に行われたKYさん裁判第5回公判について、談話室では簡単に報告しましたが、検察の論告は、大麻の有害性は「公知の事実」であるとし、求刑は懲役1年6月でした。原弁護士から弁論の原稿を頂いたので以下に掲載します。また、KYさん自身による最終意見陳述と手紙も届いていますので、書き起こしができ次第お伝えします。




平成22年特(わ)第541号
平成22年8月24日
東京地方裁判所刑事第10部 御中

弁護人 原 崇之

上記被告人に対する大麻取締法違反、関税法違反被告事件について、弁論の要旨は次のとおりである。

一(総論)
被告人は本件公訴事実を認めており、当弁護人も争わない。

二(大麻取締法の法令違憲)
1 大麻の危険性・有害性について
大麻には、現代日本社会において認識されているような有害性等は認められず、かかる大麻について、懲役刑という刑罰をもってこれを規制している現行大麻取締法第24条1項、関税法第109条3項等は、憲法の諸規定に反し違憲である。

かつて、昭和60年9月10日最高裁判所が、「大麻が所論のいうように有害性がないとか有害性が極めて低いものであるとは認められないとした原判断は相当である。」と判示した。以後、大麻が有害であることは、「公知の事実」と考えられ、大麻の有害性について、司法の場はもとより、政治部門においてもその具体的検証がなされぬまま放置されてきた。

しかしながら、以下論ずるとおり、近時、大麻の有害性については、その有害性を否定乃至著しく低いものとする各国研究機関等の発表がなされ、また、かかる研究結果を受け、世界各国の大麻規制が緩和されている状況を考慮すれば、昭和60年代になされた上記判断は再検証されるべきである。

1)大麻の危険性・有害性について
ア 大麻の依存性
「世界で最も信頼されている医学書の一つ」である「メルクマニュアル」(第18版 日本語版)には、「マリファナの長期的使用により心理的依存が生じうるが、臨床的に明らかな身体的依存はほとんどない。」「多幸感をもたらし不安を低下されるあらゆる薬物は(精神的)依存を生じることがあり、マリファナも例外ではない。しかしながら大量使用ややめられないという報告はまれである。」「マリファナは一時的に用いられることが最も多く、社会的または精神的な機能不全を示す証拠はない。」との記載があり(弁3)、また、全米医学アカデミー医学研究所「大麻と医療:科学的根拠の検証」抜粋(弁20 以下「IOM報告」という。)には、「動物実験では、大麻への依存性が発生することや、禁断症状も観察されているが、他の薬物の依存性や禁断症状に比較すればいずれも穏やかなものであることが明らかとなっている。」「アルコールやヘロインの激しい身体的禁断症状に比べればいずれも穏やかなものであることが明らかになっている。」との記載があり(弁20 5頁)、同報告書6頁では、使用人口に対する依存症になった人の割合が記載されており、これによると、タバコが32パーセント、アルコールが15パーセントとされているのに対し、大麻は9パーセントに留まるとの記載があり、「他の大半の薬物に比べれば、大麻使用者の依存性は比較的稀にしかおこらない。」との記載がある。(なお、弁1 259頁参照)。

以上によれば、大麻には、身体的依存はなく、また、精神的依存も他の薬物と比較して著しく低いものというべきである。

イ 大麻の毒性
マリファナの科学には、大麻草成分である「テトラヒドロカンナビノール(以下「THC]という。)はきわめて安全な薬剤である。」(弁1 197頁)。「大麻の不正使用は広く行われているが、大麻の過量摂取で死亡した例はほんのわずかでしかない。英国では、政府統計で1993~95年までの間に大麻による死亡例が5件挙げられているが、くわしく事情を調べるといずれも嘔吐物が喉に詰まったことが原因で、大麻に直接起因するものではない(英上院報告、1998)。他の一般的な娯楽用薬物と比較すると、この統計の内容は際立っている。英国では毎年、アルコールに起因した死亡者が10万名以上、タバコに起因した死亡者が少なくともこれと同数だけ発生している。」(弁1 197頁)。「どんな基準に照らしても、THCは急性降下、長期的効果の両面できわめて安全な薬物だと考えなくてはならない。」との記載がある。
以上によれば、大麻には毒性はないというべきである。

ウ 大麻の有害性
(ア)身体的影響
ⅰ 脳への影響
マリファナの科学には、「マリファナのワーキングメモリ(計画作りや本質的理解、論理的思考を求める複雑な課題の遂行に必要な情報について、これを短時間保持する責を負う脳内の体系)に対する急性効果は比較的短時間のもので、マリファナ・ハイが過ぎ去ったのち3~4時間で消失する。」(弁1 105頁 103頁参照)。「知的機能に対するマリファナのより持続的効果-とりわけマリファナを大量摂取した者に同様に長期の認識障害がおこるのかどうか-の可能性について…(マリアファナを長期的かつ多量に摂取している者に対し)マリファナを断ってから72時間後、記憶と注意力の様々な局面を調べるために設定された印象的な配列の認識課題によってテストが行われた。ほんのわずかな比較的複雑な言葉上の記憶課題で統計上意味のある機能障害が観察されたが、これらの相違は相対的に小さいものにとどまっている。若年層の頻繁な使用者に対して行われた同様のテストでは、有意な障害を見出せずに終わっている。」(弁1 106頁)。「ジャマイカやギリシャといったマリファナの大量使用が日常的となっている国々での長期大量使用者についても、これと同様の研究が行われているが、マリファナの使用者と非使用者の間に何ら認識機能上の相違をみいだすことができずに終わっている。」(弁1 107頁)。「マリファナの長期使用が高次脳機能に回復困難な損害を与えることになるとの噂にもかかわらず、数多くの科学的研究の結果はこれを確かめるまでにはいたっていない。」との記載があり、また、IOM報告には、「初期の研究には、大麻のヘビーユーザーの脳に構造的変化が見つかったと主張するものもあるが、それ以降、もっと進んだ技術を使った研究で、この結果が再現されたことはない。」(弁20 7頁)との記載がある。

かかる記載によれば、大麻の意識障害、記憶障害等の脳機能への障害は、大麻使用による急性的影響にとどまるものであり、大麻による同障害は、一過性のものといえる。

ⅱ 発癌性
マリファナの科学には、「THCには、発がん性はないものと考えられている。」との記載があり(弁1 21頁)、また、IOM報告には、「通常タバコの喫煙と関連付けられるガンを含め、大麻がガンの原因になるという最終的な証拠な見つかっていない。大麻を常習的に喫煙した場合に呼吸器系のガンを引き起こすか否かについてのより確実な証拠は綿密に設計された疫学的ケースコントロール研究の結果を待たなければならない。」との記載があり(弁20 8頁)、さらに、山本奈生作成「本件に対する意見」(以下「意見書」という。)には、「とくに2005年以降に行われた大規模なサンプル数の疫学研究では、概ね大麻と発がん性との関係は否定される傾向にあり、これは「タバコよりも少ない平均喫煙本数」および「含有成分の差」に由来するのではないかとの議論が行われている。」(弁19 2頁)、「とくに近年では、いわゆる「医療大麻」の研究において、大麻に含まれる「カンナビノイド」の成分が、発がん性を抑止する作用を果たしているのではないかとの報告もなされており、一般にアルコールと肝臓がんとの関係が実証されているのと同じ水準で、大麻の発がん性との関係が実証されているとはいえない。」との記載がある。

かかる記載によれば、大麻と発がん性との因果関係は未だ不明であり、タバコ以上に発がん性の危険があるなどとは到底いえるはずもない。

ⅲ 胎児への影響
マリファナの科学には、「動物を使った数々の実験により、THCが自然流産や出産時低体重、肉体的奇形を引き起こす可能性があることが分かっているが、いずれも極端に高い用量(人間が通常使う用量の50~100倍)のTHCを投与した場合、しかもげっ歯類にだけ見られる現象で、サルではまったく観察されていない。ヒトにもっとも近い類人猿であるチンパンジーの場合、最大152日間まで多量のTHCを投与しても、受胎能力や出生児の健康に対する影響はいっさいみられなかった。」「いくつかの実験では、妊娠中にマリファナを使用した女性と使用しなかった女性とで、それぞれの出生児が比較されている。ほとんどの実験で両者に著しい差異は認められなかったが、偶然何らかの違いが生じることがあり、一部の実験ではわずかな違いが報告されている。マリファナを吸った母親から生まれた子供の場合、妊娠期間が短く、出産時体重が少ない傾向にある。だがこのうちもっとも大規模な実験(1万2424件の出産を対象としている)で著しく低い出産時体重が観察されたものの、ほかの要因(たとえばタバコの喫煙)を考慮すれ、マリファナの使用と出産時低体重との間に統計上意味のある関係は認められなかった。」「タバコもマリファナも、妊娠中のアルコール摂取がもたらす深刻な危険とは比較にならない。」との記載があり(弁1 205頁~206頁)、また、IOM報告には、「妊娠中に大麻を常用していた女性を対象とした研究によれば、そうした女性から生まれた乳児の体重が少ないという傾向が示されている。タバコを常用している妊婦についても同じ傾向が認められるが、それらの研究では、タバコとTHCが与える影響の程度については不明である。」「また、妊娠中に大麻を吸っていた母親から生まれた乳児の平均体重は、大麻を吸っていない対象群の母親から生まれた乳児よりも95グラムほど少ないが、妊娠期間や先天的な異常児が生まれる率には明確な差は見出されていない。」「ジャマイカで妊娠中に大麻を摂取してい母親とそうでない母親から生まれた新生児を対象とした研究によれば、生後3日目と1ヶ月目に行われた神経行動学的な調査では、何ら違いは見られなかった。」との記載がある(弁20 8頁)。

ⅳ 免疫力への影響
マリファナの科学には、「多量の大麻やTHCは動物の免疫機能を抑圧する場合があるが、大麻が人間の免疫機能に著しい損傷をもたらすという証拠はない。」との記載があり(弁1 203頁)、また、IOM報告には、「現在までのところ、大麻が短期的な免疫抑制効果を持つかどうかはよく分かっていないが、たとえあったにしても、合法的な医療使用を否定しなければならないほどの深刻なものではないと思われる。大麻使用による急性副作用のリスクは他の多くの医療品における許容範囲におさまっている。」「大麻の使用はT細胞やB細胞の機能の断続的な阻害を伴うように見えるが、その程度は僅かなもので、他の数値は正常値を示すことが多い。」「大麻が人間の免疫機能を損なうという主張は多いが、大麻によって誘発された免疫修飾が健康に与える影響はまだ分かっていない。」との記載がある(弁20 7頁)

ⅴ 身体的影響総括
「世界で最も信頼されている医学書の一つ」である「メルクマニュアル」(第18版 日本語版)には、「マリファナを批判する人々は、副作用に関する多くの科学的テータを引き合いに出すが、重大な生物学的影響があると主張の大部分は立証されていない。比較的多量に使用する人についても、また免疫機能および生殖機能など重点的に研究されている分野においても、知見はわずかしか得られていない。」との記載があり、また、前記最近の研究報告の記載をも勘案すると、大麻の身体的悪影響については何らの立証がなされておらず、そうであれば大麻の身体的悪影響は極めて低いといわざるを得ず、昭和60年代において認識されていた大麻の身体的影響は、もはや最近の知見に基づかない不正確極まりないものというべきである。

(イ)精神的影響
ⅰ 無気力症候群について
IOM報告には、「大麻の頻繁な使用にそうした症状が伴った場合、大麻が症状の原因と捉えがちだが、大麻の喫煙とこうした行動特徴の間に因果関係が存在することを示す説得力あるデータはない。」との記載がある(弁20 7頁)。

ⅱ 精神疾患
マリファナの科学には、「大麻使用と長期的な精神疾患との間の因果関係は、ほとんどの人間にとっては無縁と考えてよさそうである。」との記載があり、また、意見書には、「アルコールには固有の重篤な疾患であるところの『アルコール依存症』との因果関係が明白であるのに対し、大麻にはそのような固有の疾患の発症可能性が認めにくく、統合失調症との関係も、アルコール依存症の発症率と比較して、これよりも大きなリスクをもつとする報告は近年ほとんど見られない。」との記載がある(弁19 1-2)。

ⅲ 精神的影響総括
以上のとおり、最近の研究報告の記載を勘案すると、大麻の精神的悪影響については何らの立証がなされておらず、そうであれば、大麻の精神的悪影響は極めて低いというべきであり、昭和60年代において認識されていた大麻の精神的影響は、もはや最近の知見に基づかない不正確極まりないものというべきである。

エ 大麻の社会的の危険性
(ア)暴力行為について
IOM報告には、「大麻のせいで子供が反抗的になったと述べる親は多いが、クラウリーらの研究者が行った調査では、不良青少年は大麻乱用以前に、すでに行為障害を起こしていた」との記載があり(弁20 8頁)、また、意見書には、「実際に大麻と暴力犯罪との結びつきは極めて弱く、むしろ暴力犯罪にいたる性向を抑止しうるのではないかとする見解が多い。」との記載があり(弁19 2)、さらに、地球維新(弁2)には、「1、大麻常用者は、親しみやすくて、社交的な性格であり、攻撃的とか、好戦的には見えないのが不通である。2、犯罪と大麻使用との間には、直接の相関関係がない。」(弁2 198頁)、「凶暴な衝動的行動は、稀である。犯罪と大麻の因果関係は、立証されていない。」との記載がある(弁2 206頁)。

(イ)ゲートウェイ(他の違法薬物へのステップアップ)の可能性
IOM報告には、「大麻の薬物効果が他の違法薬物の乱用の原因となることを示す確定的な証拠はない。」「大麻の生理学的な特性から見て、大麻が(他の薬物への)踏み石の役割を果たすという証拠ない。」(弁206頁)との記載があり、また地球維新には、「大麻を使っていると、それが飛び石となって、ヘロインその他の薬の中毒に移っていくという説(踏み石理論)は、確かではない。なお、この踏み石理論は、アメリカで、禁酒法時代に、アルコールを取り締まる根拠として、つまり、アルコールが、ヘロインなどの薬物中毒の原因となるとして、主張されたものである。」との記載があり(弁2 206頁)、さらに、意見書には、「大麻の薬理効果それ自体に『ゲートウェイ』作用があるかどうかは現在のところ実証されておらず、どちらかといえば、これを否定する研究が2000年以降は多く提出されてきた。」との記載がある(弁19 3)

(ウ)以上の記載によれば、大麻の社会的危険性についての立証はなされておらず、そうであれば、同危険は低いものというべきであり、昭和60年代において認識されていた大麻の社会的危険性は、もはや最近の知見に基づかない不正確極まりないものというべきである。

(2)タバコ・アルコールとの比較
ア アルコールとの比較
マリファナの科学には、「アルコールは大麻と違って攻撃的な行動を促す傾向がある。アルコールは家庭内暴力(DV)の大きな要因でもある。大麻と違って、急性アルコール中毒は命を脅かすことがある。」との記載がある(弁1 229頁)。

イ タバコとの比較
マリファナの科学には、「タバコ、マリファナともに慢性の使用は、気管支炎にかかる危険を高める結果となるが、タバコの場合はさらに気腫や喘息といった呼吸器疾患にかかる危険が高くなる。タバコ喫煙は肺がんやそのほかの深刻な形態のがんとの関連が突き止められているため、大きな公衆衛生上の危険をもたらす。大麻吸引も肺や上気道のがんを発症する危険を高める恐れがあるが、因果関係はまだ明らかになっていない。米国では毎年35万件前後の死亡が、タバコに関係した疾患に起因している。」との記載がある(弁1 230頁)。

ウ そもそも、近年より、大麻は、アルコールやタバコより害の少ないものと言われとおり(前第(1)項参照)、最近のBBCニュース(2006年7月31日)においても、「(英国政府顧問によって立案された薬物分類においては)アルコールは、現在クラスAに分類されているいくつかの薬物を上回り、5番目に有害性の高い薬物と評価されており、煙草は9位。現在クラスCに分類されている大麻は11位で、合法である上記2つの薬物よりも順位が低かった。」と記載されており(弁15)、かかる事実と上記記載をも勘案すれば、大麻は、現在合法とされているアルコール、タバコに比し、有害性が極めて低いことは明らかである。

2 財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター「ダメ。ゼッタイ。」ホームページについて

(1)日本国内において、大麻の有害性については、厚生労働省麻薬対策課の外郭団体として設立された財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下「乱用防止センターという」。)が、同センターホームページ(弁4 以下「ダメ。ゼッタイ。」という。)において、世に周知している。

(2)白坂証言によれば、「ダメ。ゼッタイ。」の大麻に関する記載は、ドラッグエデュケーションマニュアル(薬物乱用防止使用者読本 以下「読本」という。)の内容を引用したもので、同読本は、アメリカから輸入した薬物標本の説明書に過ぎないことが判明しているところ、読本には、「本書に収録された主な分野及び掲載された薬物のいずれにつきましても、完璧な分析を行ったものではありません。」との記載がなされていることが判明しており、かかる読本の内容を引用している「ダメ。ゼッタイ。」の大麻の有害性に関する記載については疑義があるものと言わざるをえず、また、白坂氏は、自己が主宰を務める大麻取締法被害者センターにおいて、医大の腫瘍内科の研究をしている医師らとともに、「ダメ。ゼッタイ。」の大麻に係る記載を検証し、かかる記載の医学的な誤りを発見し、その結果を「要望書」(弁17)として提出しているところ、同「要望書」の記載は、「ダメ。ゼッタイ。」の大麻の有害性に関する記載は現在の記載とも全く相容れないものであり、前第1項の大麻の有害性に関する最近の研究等をも勘案すれば、「ダメ。ゼッタイ。」の大麻の有害性に関する記載は、現在の知見を反映していない不正確極まりないものといわざるを得ない。

(3)さらに、白坂証言によれば、白坂氏は、平成18年以降、再三に亘り、厚生労働省乃至乱用防止センターに対し、電話等により、「ダメ。ゼッタイ。」の大麻の有害性に関する記載の根拠を明らかにして欲しい、最新の知見に基づいた内容に改訂して欲しい旨要望してきたところ、白坂氏は、「厚生労働省は、調査を行ったが、根拠はなかったと回答した。」、「乱用防止センターは『ダメ。ゼッタイ。』の内容を改定する旨約束した」、「にも拘らず、現在に至るまで改定はなされていない」との認識を有するに至っており、かかる乱用防止センター等の「ダメ。ゼッタイ」の大麻の有害性に関する記載を放置するかのごとき行為は、厚生労働省及び乱用防止センターが、大麻の調査研究を怠ったか、又は、大麻の有害性についての根拠を発見することが出来なかったか、いずれにしても、厚生労働省等は、現在に至るも、大麻の有害性を基礎付ける根拠となる論文等を発見できず、大麻の有害性の立証が困難であるとの判断の下、「ダメ。ゼッタイ。」の記載内容をそのまま放置したと考えるのが合理的であり、また、このことは、前第1項記載の大麻の有害性に関する最近の研究が、「ダメ。ゼッタイ。」の記載されている大麻の有害性に関する記載と大きく異なり、その有害性を否定する論調となっていることに照らしても明らかである。

3 大麻取締法等の法令違憲
(1)憲法13条違反について
ア この点、喫煙の自由については、最高裁判所も憲法13条の幸福追求権の一つに含まれることを承認しているところ、前第1項記載のとおり、大麻は、タバコに比し、その有害性が低いものというべきであり、故に、その保障の程度は、タバコ以上に高いものというべきであり、大麻使用の自由についても、憲法13条の幸福追求権の一つとして保障されるというべきである。

基本的人権は、「公共の福祉に反しない限り」最大限尊重されなければならず、已む無くこれを制限する場合にも、その制限立法には高度の合理性を要求すべきであり、制限立法の憲法適合性を判断するに際しては、制限立法の制定を合理化する根拠、すなわち、法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える社会的、経済的、政治的若しくは科学的な事実等の一般的事実が存在しなければならない。

イ しかるに、前第1項記載のとおり、近時、大麻の有害性については、その有害性を否定乃至著しく低いものとする各国研究機関等の発表がなされ、また、かかる研究結果を受け、世界各国の大麻規制が緩和されている状況(弁16)にもあり、さらに、前第2項記載のとおり、大麻の有害性について調査研究することが容易な厚生労働省等ですら、大麻の有害性を根拠付ける論文等を所持していない等の事情に鑑みれば、、大麻が有害であるとの立証は、現代社会においてなされているとは言えず、しからば、大麻の有害性は、極めて低いものといわざるを得ず、大麻取締法の合理性を支える社会的、経済的、政治的若しくは科学的な事実等の一般的事実は存在しないとの評価を与えるべきであり、かかる事実が存在しない以上、現行大麻取締法等は、合理性を欠き、憲法13条に反し違憲というべきである。

(2)憲法14条、31条違反について
ア また、刑事罰、特に懲役刑は人の身体、行動の自由に対する重大な制約であり、しからば、当然、刑罰法規の謙抑性人権保障の観点からして必要最小限のものでなければならない。

イ この点、前第1項記載のとおり、アルコールやタバコは、大麻にに比し、その有害性が極めて高く、にも拘らず、年齢による制限が認められるものの、成人以上の者には何らの制限がない。また、前記第1項記載のとおり、大麻の有害性は極めて低いことが、近時の研究により明らかとなっていることからすれば、大麻の「輸入」等につき、懲役刑を科すのは、罪刑の均衡を逸するものといえ、憲法31条に反するばかりか、タバコやアルコールと比較して著しく重い刑罰であり、憲法14条に反する。

4 以上により、大麻取締法等は、憲法13条、14条、31条に反し違憲である。

三(適用違憲について)
仮に、大麻取締法等が合憲であったとしても、同法等を本件被告人に適用することは、憲法13条、31条に反し違憲である。

1 被告人は、冒頭陳述において、「法治主義を否定するつもりはなく、大麻を所持していた私を警察官が逮捕することについては当然の行為であるが、自己が有罪であるとは思っていない。私は、誰も傷つけていないし、誰にも迷惑を掛けた覚えもない。大麻の薬理効果が自身にとって無害であるだけでなく、有益であるものであること知って使っている。大麻を使用することは自決の権利(憲法13条)である。この人権と大麻取締法のどちらが優先されるべきかを明らかにしていただきたくて、わざと捕まってこの法廷にいる。」旨主張し、大麻取締法等を、大麻に親和している被告人(大麻を使っても精神的身体的悪影響を受けない者)に対して適用するのは、同人の幸福追求権、自己決定権を侵害するものであり違憲である旨主張するものである。

2 この点、喫煙の自由については、最高裁判所も憲法13条の幸福追求権の一つに含まれることを承認しているところ、タバコよりも有害性が低い大麻については、喫煙の自由以上にその保障がなされるべきである。また、被告人は、大麻の薬理効果により、自己の抱いていたコンプレックスを解消し、自殺願望に歯止めをかけることに成功するなどしており、大麻が自身にとって有益であるものであること知って使用するなど、大麻が、被告人にとって、自己の生き方そのものを左右する必要不可欠なものとなっていることからすれば(被告人質問参照)、かかる被告人の「輸入」行為を規制する場合には、被告人の幸福追求権を最大限保障すべく、規制立法の目的の正当性が要求されることはもとより、立法目的達成のための制裁は必要最小限度でなければならないというべきであり、規制立法が定めている制裁よりもより狭い範囲の制裁方法があり、これによって立法目的を達成することができる場合には、法の定めている広い制裁方法は立法目的達成の必要最小限を超えたものとして違憲となると解すべきである。

3 この点、他の薬物規制と異なり、大麻取締法については、その規制目的についての条項がなく、立法目的そのものについて疑義あるものであり、規制立法の目的の正当性は認められるはずもない。

また、仮に、大麻取締法の立法目的が、他の大麻取締法違反被告事件において判示されているように、「国民の保健衛生上の危険を防止する」点にあり、かかる立法目的が正当なものとして承認されたとしても、以下述べるとおり、被告人の「輸入」行為に対し、大麻取締法による懲役刑の制裁を課さなくても、同立法目的は十分達成可能であるから、懲役刑により大麻の「輸入」に対し制裁を課している大麻取締法は、当該被告人の「輸入」行為に適用される限度において、立法目的達成の必要最小限を超えたものとして違憲である。

(1)被告人は、これまで約20年間もの間、大麻を大量に使用し続けており、にも拘らず、被告人には、健康被害をはじめとする身体的精神的悪影響は生じておらず、(被告人質問 弁21乃至23)、むしろ大麻と親和している。また大麻使用により暴力的となったり、他者加害に及んだこともない(被告人質問)。

(2)被告人は、本件犯行により、大麻を使用することができない状況を自ら作出していることからすれば、被告人には大麻中毒の症状は認められず、被告人が大麻に身体的精神的に依存していることもない(被告人質問 弁21乃至23)。

(3)本件で、被告人は、大麻取締法が違憲であることを司法の場において明らかにしてもらいたいとの気持ちから、故意に、大麻を輸入しており、被告人の本件「輸入」行為が、自己使用目的のものでも、譲渡目的のものでもないことは明らかであり、このことは、被告人は、本件被告事件に先立つ大麻取締法違反被告事件においても、税関を通過し、所持していた大麻を自由に使用処分することができたにも拘らず、わざと、税関に対し、自己が大麻を輸入していることを申告し、逮捕されるに至っていること、被告人は、日本国内において、過去に一度も所持していた大麻を他人に譲渡したことがないこと等の事情に鑑みれば明らかであり、しからば、仮に、被告人が、本件で問題となっている大麻を入手できたとしても、捜査機関に対し、自己の大麻所持を自己申告する等の手段を講じ、自ら逮捕されるに至ったはずであり、被告人が、この大麻を使用したり、他者に譲渡する可能性はなく、被告人はもとより、被告人以外の第三者が、かかる大麻を使用等することは考えられず、国民の保健衛生上の危険は発生しえない。

4 以上のとおり、被告人は、大麻使用による悪影響を全く受けておらず、被告人自身に保健衛生上の危害発生の可能性はなく、また、被告人には、所持した大麻を第三者に譲渡する意思などもとより無く、第三者の保健衛生上の危害は発生しえないのであるから、被告人の大麻使用及びそれに先立つ「輸入」行為に対し、大麻取締法による懲役刑の制裁を課さなくても、同立法目的は十分達成可能であるから、大麻の「輸入」に対し懲役刑の制裁を課している大麻取締法は、当該被告人の「輸入」行為に適用される限度において、立法目的達成の必要最小限を超えたものとして違憲である。

四(総括)
以上のとおり、現行大麻取締法等は、憲法13条、14条及び31条に反し違憲であり、また仮に、同法が法令違憲でないとしても、被告人に同法を適用することは、被告人の「輸入」行為に適用される限度において、立法目的達成の必要最小限を超えたものとして違憲である。

よって、被告人は、無罪である。

以上

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