大麻取締法違憲論裁判 > ナタラジャ裁判
控訴審第1回公判傍聴記
<2005年7月21日 福岡高裁那覇支部>
<ナタとは面識のなかった沖縄在住の仲間による傍聴記>
開廷の30分ほど前に到着しました。
法廷の外に張ってあった開廷の予定表に、開廷時間が10:30~11:00とあったので30分ほどで終了なんだなと短く感じました。
法廷の外の椅子に座って待っていたところ、開廷10分ほど前になってH弁護士が法廷の中に入りました。
私も中に入り傍聴席に座り、開廷5分程前にナタさんが警官2人に連れられ腰紐と手錠姿で入廷し、後ろの長いすに警官二人に挟まれて座りました。
弁護士がナタさんに「速達で届いた書類は昨日裁判所にも届いている」と声をかけました。
検察官が入廷し、続いて開廷予定より5分程送れて裁判官3人が入廷しました。
裁判官がナタさんに、本名、住所、生年月日などの確認をして、「控訴審としての審議をするので後ろに座って聞いてください」と言いました。
続けて裁判官が法令の違憲ということで控訴することに関して検察官に質問したところ、検察官は「棄却を求める、受理される理由がない」と答えました。
次に裁判官は弁護人に検察は棄却を求めていますが、と質問したところ、弁護人は「弁護人の元に開廷を求める被告の友人から15枚にも渡る手紙と61名の署名が添えられた嘆願書が届いている」と答えました。
裁判官は「弁護人からの被告人質問、尋問の内容にに関しては控訴趣意書に記載されていることに限る」と言い、被告人へ情状質問をすることに対して検察官に聞いたところ検察官は「嘆願書に対して、不同意であるが、被告人が嘆願書の内容をわかるようにする趣旨であるのなら了承する」と言いました。
弁護人はそれに対し、嘆願書については参考資料として考えていただきたいと裁判官に言いました。
弁護人が持っていた書類はこの時点で裁判官に渡されました。
裁判官はナタさんに「質問は原審で出来なかったことに絞られます。一審の判決後の状況や気持ちに関してもです」と言いました。
弁護人からナタさんへの質問に入りました。
弁)事情を聞いて、原判決に対する報告の要旨は見せました。控訴趣意書に間違いはないですね。
大麻取締法は憲法13条、14条、31条の諸原則に違反しているのに、量刑2年というのは間違っていると思っているのですね?
ナタ)そうです。
弁)憲法違反でなくてももう一度機会を与えられたら量刑不当を主張しますか?
ナタ)します。
弁)実刑判決を受けて初めて主張をしましたか?なぜ原審ではしなかったのですか?
ナタ)原審では主張していません。最初から違憲主張をしたかったのですが、量刑に影響すると思いしませんでした。
弁)大麻取締法があるのは知っていましたか?それとも違憲と思うので従わなくてもいいと思いましたか?
ナタ)いいえ。今後は使用しません。両親も大変なことになっているので、大麻取締法がある限り使用しません。
弁)前回だけでなく、今回も同じようなことをしたのは反省が足りなかったのでは?
ナタ)長期刑務所に行くことがわかって深く反省するようになりました。法律を守る気持ちはあります。
以上が情状質問でした。
その後裁判官が「判決は8月30日午後3時半からになりますがよろしいですか?」と聞きました。
裁判中ナタさんは落ち着いた様子でしっかりと誠実・率直な気持ちで素直に質問に答えていて反社会的な感じには全く見えませんでした。
むしろ、とても純粋で芯根がやさしそうな方だなと思いました。
大麻取締法違憲主張をしたのは、反社会的な気持ちからではなくナタさんが大麻についてのさまざまな知識を得た上で、日本の大麻取締法のあり方に疑問を感じた率直な気持ちからによると思います。
そのナタさんの気持ちにも答えていただきたいところです。
ナタさんは法廷で違法行為をしたことに関して深く反省し、2度と違法行為はしないことを言っていますし、一審の判決で4年6ヶ月もの長期間刑務所で過ごさなければならないとわかったナタさんは、心からご自分の生き方を再考されたと思います。
仕事をしながら社会への貢献、ご両親への償いなど行動を通してしていけるようなチャンスを減刑されることで一日でも早く、ナタさんに与えられることを心から願っています。
裁判長 窪田正彦
裁判官 永井英明
裁判官 唐木浩之
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