日本の公的大麻情報である「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの記述がいかにデタラメか、厚労省自身が示した根拠文書、「Cannabis : a health perspective and research agenda(世界保健機関1997年発行)」との比較も交え、フロッガー医師の検証です。
尚、このシリーズは、他の質問や要望と併せ、厚労省とダメセンターに提出予定の原稿でもあります。
読者の皆さん、お気付きの点、ご意見などありましたらお知らせ下さい。
厚労省の担当公務員及びダメセンターに天下った糸井専務理事、予習しておいて下さい。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページからの引用。
心臓・血管に対して;
心不全、不整脈、胸痛、狭心症、白血球の減少に伴う免疫性の低下、などがあります。
1.心不全、不整脈、胸痛、狭心症が起こるか。
狭心症患者において胸痛が起こりやすくなる(1)、心筋梗塞のトリガーとなりうる(2)、という報告があり虚血性心疾患などの既往があるものに関しては注意が必要であると思われる。
しかしWHOレポートで若年、健康成人で深刻な心血管系への影響の報告は少なく、ありそうも無いとしている(3)。
心血管系の疾患があるものに関しては注意が必要である、という記述に変更すること。
2.血球減少に伴う免疫性の低下が起こるか。
(本筋とは異なりますが、白血球減少を心血管系に入れるのはどうかと思います。レベルが知れますね。)
大麻喫煙による白血球減少について述べた論文は見つけることが出来なかった。
根拠となる論文の提示を要求する。
大麻が免疫を低下させる、と言われ始めたきっかけは、大麻喫煙者の白血球に免疫賦活剤を加えたときに通常より活性化が抑えられたとする報告である(4)。
しかしこれは幾つかの追試がなされ再現性は無かった(5)(6)。
白血球の活性化能の低下と白血球減少を勘違いしているのではないか。さらにこれは否定されているので二重に間違えていることとなる。
WHOのレポートでは、実験室レベルでは大麻が免疫を変化させることはわかっているもののその影響は比較的小さく、健康への影響があるかどうかははっきりしないとしている(3)。
また、ジャマイカ、コスタリカ、ギリシャで行われた3つの大規模な疫学研究でも、大麻使用者と対照群の間に感染性疾患の罹患率に差は認められていない(7)。
HIV患者は免疫不全となり重症感染症を引き起こしやすくなるが、HIV患者においても大麻が発症を早めたり症状を悪化させたりしないとする報告があり(8)、大麻による免疫性の低下は否定的と考える。
この記述の削除を要求する。
(1) Aronow WS, Cassidy J: Effect of marihuana and placebo-marihuana smoking on angina pectoris. N Engl J Med 1974;291:65-67.
(2) Mittleman MA, et al.: Triggering myocardial infarction by marijuana. Circulation 2001;103: 2805-2809.
(3) Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997.
(4) Nahas G.G. et al.: Inhibition of Cellular Mediated Immunity in Marijuana Smokers. Science 183: 419-20, 1974.
(5) Lau R.J. et al.: Phytohemagglutinin-Induced Lymphocyte Transformation in Humans Receiving Delta-9-Tetrahydrocannabinol, Science 192: 805-07, 1976.
(6) White, S.C. et al.: Mitogen-Induced Blastogenetic Responses to Lymphocytes from Marijuana Smokers. Science 188: 71-72, 1975.
(7) Wallace, J.M. et al.: Peripheral Blood Lymphocyte Subpopulations and Mitogen Responsiveness in Tobacco and Marijuana Smokers. Journal of Psychoactive Drugs 20:9-14, 1988.
(8) Carter, W.E. (ed), Cannabis in Costa Rica: A Study of Chronic Marijuana Use, Philadelphia: Institute for Study of Human Issues (1980); Rubin, V. and Comitas, L., Ganja in Jamaica, The Hague: Mouton (1975); Stefanis, C. et al, Hashish: Studies of Long Term Use, New York: Raven Press (1977).
(9) Coates, R.A. et al.: Cofactors of Progression to Acquired Immunodeficiency Syndrome in a Cohort of Male Sexual Contacts of Men with Immunodeficiency Virus Disease. American Journal of Epidemiology 132: 717-22, 1990.
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