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なぜバッズなのか
カナビスをバッズにまで仕上げるのは,主に次のような理由からだ。
- 吸ったときの味を良くする
- 長期間保存しても効力が落ちないようにする
- 商品価値を上げる
逆に言えば、販売を目的とせず、少量の自家消費で味を気にせず、収穫してすぐに吸ってしまうのであれば必ずしも手間のかかるバッズにまでする必要はない。
このような目的では電子レンジを利用して素早く乾燥させれば済んでしまう。レンジを加熱し過ぎないように注意すれば、活性成分のTHCが減退するようなことはない。だが、水分だけが強制的に取除かれ、クロロフィルなどの色素や芳香成分はそのまま残ってしまうので、吸うと味は辛く、煙も濃くなるという欠点がある。
乾燥の目やす
しかし、収穫量が多く、ある程度の長期保存や販売を前提にするならば、植物の組織(特にトリコーム)をできるだけ壊さないように時間と手間をかけて乾燥してバッズに仕立てる必要がある。
収穫直後の植物は約80%が水分だといわれている。当然、そのままでは吸ったり保存したりは出来ないので乾燥させて水分を取り除く必要があるが、乾燥し過ぎて組織がもろくなったり、逆に乾燥不足で水分が残り過ぎてカビやバクテリアなどが生えないようにしなければならない。組織が崩れないようにするには水分を10%以上残し、カビが生えないようにするためには水分を15%以下に抑える必要があるとされている。
また、乾燥時に活性成分のTHCが失われないようにすることが重要で、光と高温と湿度を避けて、乾燥は換気のよい暗い室内でゆっくり行う必要がある。さらにより風味を改善するために温度をコントロールして熟成させることも大切だ
最終的には、乾燥によって水分以外の部分の重量も減るので、でき上がったバッズの重量は収穫時の20%〜30%程度になり、水分の約97%が取除かれることになる。
効力の変化とその対応
カナビスの効力は、THCそのものの重量ではなく、仕上ったバッズやハシシの重量に対する比率(%)で表す。これは、THCが他のドラッグのように単離して結晶化できないという事情から来ている。つまりTHCは、アルコールなどや植物の組織のなかに保持しなけれはすぐに分解してしまう。
植物はTHC以外のカナビノイドも生成するが、なかにはカナビゲロール(CBG)のように乾燥時にTHCへ変化する成分もあるので、絶対量は刈り入れ直後よりも若干増える可能性もある。しかし、THCは時間が経つと少しずつ不活性のカナビノール(CBN)へ変化していくので、実質的には増加することはないと考えてもよい。
絶対量があまり変わらないとすると、乾燥してバッズの重量を減らせば、相対的にはその分だけTHC濃度が高くなる。つまり、バッズの効力が増す。これは、一般に、樹脂だけを取り出して固めたハシシのほうが植物の組織を多く残すバッズよりもTHC%が高いことをみてもわかる。
要するに、効力の強いバッズを仕上げるには、まずTHCが多く生成する植物を育て、収穫後の乾燥ではできるだけ重量を軽くする必要がある。しかし、乾燥過程では、熱や光によってもTHCは分解されてしまうので、高温乾燥は避けなければならない。
さらに、植物組織(特にトリコーム)の破壊によってTHCを酸素にさらすと不活性カナビノールへの変化が促進してしまうので、植物の扱いには細心の注意が必要だ。引きずったり、重ねたり、強い風にあてたりしないようにしなければならない。乾燥のし過ぎもバッズをもろくしてトリコームを壊れやすくする。
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