乾燥


まだ室内でのシンセミラ栽培が一般化していない1980年代ころまでは、乾燥はもっぱらタバコの大型乾燥方法を応用したものだったが、小規模の室内栽培が普及するようになってからは、より高品質のカナビスを作るための方法が工夫されるようになった。

乾燥の目的は第一に、保存に耐え、喫煙時に燃え易くすることにあるが、それとともに重要なのが活性成分のTHCの分解を防ぐことと、風味を改善して付加価値を高めることだ。

このためには光と高温と湿度を避ける必要があり、乾燥は換気のよい暗い室内で行わなければならない。乾燥には最低でも1週間以上の時間がかかるので、場所の確保はなかなか大変だ。

ロープを張り、植物を逆さにして吊るすのが一般的だが、新聞紙の上などに横にしてもよい。吊るすほうがTHCがバッズに集中するのでよいという人もいるが、刈り取った植物内のTHCは生体活動が停止しているので移動することはない。

最初の数日間は、植物内で生成された澱粉を糖に変えるために20℃程度から始める。後半は温度を30℃程度まで上げて、クロロフィルや芳香成分を分解・蒸発させる。湿度が高い場合は除湿機などを利用する。こうした工程によってバッズの色は深い茶色に変化し、味はまろやかに熟成する。

乾燥は、小枝が簡単に折れ、ジョイントで燃える程度にまでなれば一応完成ということになる。自家使用の場合はさらに乾燥してTHCの濃度を高めて熟成させることもあるが、組織がもろくなり過ぎるので、商品にする場合はこの段階で出荷する。

少量ならば、ダンボール箱を乾燥ボックスとして使うこともできる。箱内に糸を張り、小さくした枝を吊るす。普段は蓋を閉じて暗くしておくが、しばしば開けて空気をいれかえる。また、本格な乾燥用ラックも販売されているが、相当に条件が整わない限り利用は難しいだろう。